【日本初】山万ユーカリが丘線で顔認証改札を体験した&京成線・北総鉄道全駅訪問を達成

山万ユーカリが丘線では、日本で初めて顔認証改札の本格運用を開始しました。顔認証改札を体感するとともに、全駅を訪問してきました。

日本初の本格運用・山万ユーカリが丘線の顔認証改札

近年、日本の鉄道の自動改札機は高機能化が進んでおり、磁気券やICカードのみならずクレカ・QRコードなどが使えるものも増えてきました。そんな中、カードもスマホもいらない「未来の改札」として注目されているのが顔認証です。現在はJR西日本や大阪メトロといった大手の鉄道会社で実証実験が進んでいますが、それらに先駆けて2024年6月より千葉県の山万ユーカリが丘線が顔認証改札の本格運用を開始しました。

JRや地下鉄を差し置いて地方の中小私鉄で「未来の改札」が実現するというギャップが面白く、筆者も先日体験してきました。

ちなみにユーカリが丘線の起点・ユーカリが丘の所在地は佐倉市で、接続路線は京成本線です。京成線といえば、先日「ナゾ解きしたまち電車旅2024」に参加した際に温存しておいた一日乗車券が残っていて、これを使って京成線の全駅訪問をするついでにユーカリが丘線も訪問してきました。

大手私鉄らしからぬ秘境駅?大佐倉を訪問

という訳で、まずは京成本線のうすい~公津の杜間の駅を巡るべく京成上野へとやってきました。この区間は日中20分おきにしか列車が来ないので、列車本数の多い朝ラッシュ時に訪問することにしました。朝一番の快速列車で、まずは京成佐倉の1つ先の大佐倉へと向かいます。

快速で1時間ほどかけてやってきた大佐倉駅ですが、駅周辺は昔ながらの民家が数件あるのみの文字通り「集落」で、まるでローカル線の駅のようです。ホーム間の跨線橋はもちろんなく、構内踏切でつながっています。駅の屋根も短いですね。

上野方面行のホームの屋根は幅数メートルしかありません。少し奥に行くと、ホームの脇は雑木林が広がっています。

京成では平日朝ラッシュ時、最後尾車両は女性専用車となるのでその旨掲示がありますが、その看板の後ろも空き地と雑木林が広がっています…なんともシュールな光景です。それでも列車に乗る人は案外いて、車で送迎してもらっている学生さんが目立ちました。

しばらくするとやってきた通勤特急(実際に見たのは初めてかも)で京成佐倉に戻ります。

京成佐倉、宗吾参道、公津の杜、京成酒々井と未訪問の駅を巡っていきます。なかでも公津の杜は近年のニュータウン開発に伴ってできた駅のようで、駅前は非常に賑やかでした。それでも大佐倉とほぼ列車本数は同じというのは何だか不思議です。

京成酒々井から、JR酒々井まで歩きます。京成佐倉とJR佐倉は徒歩で移動するのは困難なほど遠いのですが、こちらは徒歩10分弱で難なく移動できました。

酒々井から成田線に乗り、千葉~成田間の未訪問の駅を巡ります。(空港第2ビルは後述する北総線の駅巡りをしたついでに訪問) この日は総武快速線や成田線のダイヤが乱れていたのですが、運よくそれほど待たずに各駅を巡ることができました。

東京駅で大船行きと新宿行きを切り離し中の「成田エクスプレス」

千葉に到着後、京成千葉線の駅を巡ったところで成田エクスプレスに乗り、一旦東京に戻ります。本当は全駅を訪問しつくすまで千葉に居続けたかったのですが、この日は昼にカスケイドカフェを予約してしまっていた上、京成の一日乗車券の有効期限も迫っていたので致し方ありませんでした。

以前も記事にしましたが、日中の東京~千葉間の移動には「成田エクスプレス」が非常に快適で便利です。特に、JREポイントを使えば特急券がたった400ポイント(400円分)で乗れ、普通列車グリーン車よりも安いです。安いうえに座席も広く、スピードも速いと来れば乗らない手はありません。

山万ユーカリが丘線の顔認証改札の実物は?

前置きが随分長くなってきましたが、都内での用事を終え、昼過ぎに京成ユーカリが丘駅にやってきました。この駅にやってくるのは2010年以来2回目なはずですが、駅前は筆者の記憶以上に栄えている印象です。駅名にちなんで、駅前にはコアラの親子の銅像がありました。

早速ユーカリが丘線の乗り場に移動し、顔認証改札の現物を見てみますが…「未来の改札」のイメージとは程遠い、昔ながらの改札機が並んでいます。

JR大阪駅の顔認証改札
大阪メトロの顔認証改札

ちなみに、筆者がJRや大阪メトロの駅で見た顔認証改札は、このようにハイテク感のあるものだったので余計にギャップがありました。

改めて改札機を見てみると、4つある改札機の半分にタブレット端末が取り付けられていて、これで顔認証を行うようです。配線がむき出しになっているなど、「後付け感」が漂いますが果たして機能するのでしょうか。ちなみに、タブレット端末の後ろにはQRコードの読み取り機も配置されています。

そして、残り半分の改札機は従来からある磁気券専用となっていて、改造は施されていません。なお、ユーカリが丘線はSuica・PASMOなどICカードには対応していません。

改札機の横の券売機を見ると、磁気券用の券売機は使えなくなっていて、代わりに食券券売機のような機械で切符を販売しています。この機械で買える切符は磁気券ではなく、QRコードが印刷されたものが発行されるようです。

筆者は事前に専用サイトで顔を登録し、一日乗車券を購入しておいたので、さっそく顔認証改札を通ってみることにします。すると、案外あっさりと通過することができました。顔認証自体は成熟した技術なので当然と言えば当然ですが、この「キメラ」のような改札機を通過するのは何だかクセになりそうです。

ホームに上がると、14年前にも乗車した「こあら2号」が停車していました。このユーカリが丘線は「VONA」という日本にここしかないシステムを採用していて、それゆえ新車両の開発が難しく、開業当時の車両をそのまま使い続けています。

それでも車内は比較的手入れが行き届いていますが、冷房の取り付けが難しいため夏場は「冷たいおしぼり」を無料提供していることで話題になりました。筆者が乗車したのは11月だったので、もうおしぼりはありませんでした。

車両を観察していると程なくユーカリが丘駅を発車。車両が古いゆえか他の新交通システムと比べて振動や走行音はやや大きめです。

このユーカリが丘線は全6駅ありますが、途中が一部環状線となった「6の字状」の路線となっています。環状部分の最初の駅、女子大駅で下車してみます。この女子大駅は「女子大という駅名なのに駅前に女子大はない」というので有名な駅ですね。(ただし女子大のセミナーハウスがある) 駅名標は開業時から手を加えられていないのか、非常にレトロです。

次の列車までは20分もある上、隣の駅までそれほど遠くないので歩いてしまいます。途中、山万の運営するバスの車庫がありましたが、バスにも「こあら〇号」という名前が付いているようです。

この後、中学校・井野・公園の各駅を巡って最後にやってきたのは地区センター駅。この駅は入口がスーパーの駐車場のような目立たないところにあるうえ、ホームに到達するには殺風景な階段を延々と登る必要がありました。ホームも無機質で狭く、今は無き三江線の宇津井駅を思い出してしまいました。

本線・千原線の残る駅を踏破

ユーカリが丘線の各駅を踏破し、次は京成本線の船橋までの未訪問駅を巡ります。ユーカリが丘から京成津田沼までは競合する路線がなく、乗降客が多いためどの駅も活気がありました。

特に京成大久保駅は沿線の学生の利用が多く、しかも駅前の道路が踏切で大渋滞を起こしてしまっており、駅周辺は人と車で溢れかえっていました(写真では全く分かりませんが)。早急に高架化が望まれるところですが、京成本線は船橋以西も全然高架化が進んでいないのでしばらくは無理そうですね…

京成本線の駅を巡ったところで日が暮れてしまいましたが、もうひと頑張りして京成千原線の駅も巡ることにします。京成津田沼からちはら台行きの電車に乗車します。

おゆみ野駅にて撮影

京成千原線はかつて「千葉急行」という独立した会社で、1995年3月に全線開業しました。しかし、バブル崩壊のあおりで沿線人口が伸び悩んだ上、外房線が並行していることから乗客数は増えず、経営破綻してしまいました。結局京成線に吸収され今に至っています。そのような経緯から千葉市内の路線(ちはら台のみ市原市)ながら本数は少なく日中は20分おきで、夕方以降はもっと本数が減ってしまいます。

駅舎はどれも新しく、複線分の路盤も確保されていますが線路は単線で、千葉寺など行き違い施設のない一部の駅は使われないホームが空しく放置されています。

京成に吸収後も運賃は従来の体系のままのようで、例えばおゆみ野から京成千葉駅まで出ると400円を超えます。

終点のちはら台は屋根が高く、まだまだ駅舎も新しいです。山がちなニュータウンで駅も新しいが、その割に乗降客が少ないということで、何となく能勢電鉄に雰囲気が似ている気がするのは筆者だけでしょうか。列車の本数が少ないながらも行きつ戻りつして、ちはら台までの全駅を訪問しました。

そして北総線も全駅訪問

別の日、季節限定の北総線一日乗車券(1000円)を購入して北総線の未訪問の駅と京成の成田湯川駅・空港第2ビル駅を巡ってきました。(空港第2ビルは確実に行ったことがあるけど写真がなかったので)

北総線一日乗車券は北総線内の各駅と京成高砂駅の定期券売り場のみで販売されているのですが、高砂駅の売り場は12時以降しか開かないので、午前中から使いたい場合は北総線内のどこかの駅に一旦向かう必要があります。筆者はたまたま「ナゾ解きしたまち電車旅」で柴又まで行ったので、そこから新柴又まで歩いて行って購入しました。

…と書いていて気づいたのですが、スマートフォンアプリ「RYDE PASS」のデジタルチケットでも買えるそうなので、高砂から使用開始する場合はこれを買うのがよさそうですね。

北総線には都営や京急など各社の車両が乗り入れますが、中でも個人的に好きなのが北総(正確には住都公団)9100形、通称”C-flyer”です。通勤電車らしからぬ丸っこいボディと斬新なカラーリングが特徴なのですが、3本しか存在しない上、北総の車両は遠く羽田空港まで乗り入れているのでなかなか遭遇するのは難しいです。今回は運よく3回ほど遭遇しました。

この車両、車内は車端部がクロスシートになっているのが特徴です。一部のシートの後ろにはデッドスペースがあるのですが、ここはかつて公衆電話が設置されていた跡だそうです。通勤電車に公衆電話が設置されることは当時でも珍しく、他社だと阪急6300系など少数しか例がありません。

北総線は高砂から新鎌ヶ谷までは訪問済みなので、西白井から先の駅を巡ります。西白井から小室までは1979年開業とやや古いので、駅舎も年季を感じます。このあたりの駅はバカでかい駅名看板が妙に目立ちました。駅舎と外とをつなぐ通路もそっけないものが目立ちますが、白井駅の通路は立派な屋根が掛けられていました。

北総線は日中20分おきと本数が少なく、行きつ戻りつしながら進みます。途中、印西牧の原では時間が余ったので駅前のショッピングモールを歩いてみました。観覧車もあって、広くて立派なモールなのですが、空きテナントや事務所や塾などに転用されているスペースも目立ちました。

その次の印旛日本医大は2000年開業と新しい駅で、展望塔のような駅舎が特徴です。しかし、駅前は平屋の建物が目立ち、商店の類も駅構内のコンビニぐらいしかありません。

例によって運賃表をチェックしてみると、高砂まで820円、成田空港まで720円とどっちの方向も高いですね…北総線はご近所の他の高額路線(東葉高速、千原線)よりも距離が長い分、値段の高さが際立ってしまいます。1000円の一日乗車券の有難味を感じます。

印旛日本医大から先は京成線に入るので一日乗車券は使えませんが、成田湯川駅まで行ってみました。ホームは3階にあり、まるで新幹線の駅のようです。この駅はさらに本数が減り、アクセス特急が40分おきに停車するのみですが、成田市の玄関口として活用されているようで、送迎の自家用車が多く来ていました。

この後バスで成田駅に出て、JRに乗り換えて空港第2ビル駅を訪問。これで京成線・北総線の全駅を訪問しました。浅草線と京急、芝山鉄道は既に全駅を訪問しているので、浅草線に乗り入れる全路線を踏破しました。

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