2025年2月22日、阪急神戸線・宝塚線ダイヤ改正~改正で消滅するものとは?

2025年2月22日に阪急神戸線・宝塚線でダイヤ改正が行われます。朝ラッシュ時の10連運用が消滅するほか、神戸線の「通勤急行」が廃止となります。

ダイヤ改正は突然に

そろそろ春のJRダイヤ改正のプレスリリースの時期が近付いてきた12月の初め、意表を突くかのように阪急神戸線・宝塚線のダイヤ改正が告知されました。阪急はダイヤ改正の時期が一定しておらず、毎回唐突にプレスリリースが出るんですよね…

前回ダイヤ改正の記事

前回ダイヤ改正の時ほどではありませんが、(趣味的には)なかなかびっくりするような内容が含まれていました。通常、弊サイトではニュース速報的な記事はあまり取り上げていませんが、今回はこのダイヤ改正について掘り下げてみたいと思います。

なお、筆者は阪急沿線から離れて久しく、乗車する機会もほとんどないため、この改正の妥当性に関してはコメントを差し控えたいと思います。現在の居住地付近の路線のダイヤ改正は全然ネタにしないくせに、阪急ばかり毎回記事にするのも妙ではありますが…

ダイヤ改正の中身は?

【神戸線】朝ラッシュ時の10両運転廃止、阪急の10連運転は完全消滅

10連運転用に投入された8000系8040番台2連。現在は8連に組み込まれているとか

神戸線はほとんどの列車が8連での運転ですが、朝の一部の通勤特急のみ10連で運転されています。この通勤特急は10連のまま西宮車庫を出庫し、大阪梅田~神戸三宮間を往復した後、大阪梅田から西宮車庫に回送されていました。これが今改正で8連に変更され、阪急電鉄では昭和末期から続いてきた10連運転が完全に消滅します。

また、10連は神戸三宮より西の神戸高速線に入れないため、10連の通勤特急は神戸三宮始発で運転されていましたが、この制約がなくなることから新開地(一部は高速神戸)始発となります。そのため、神戸三宮始発の通勤特急は今改正で消滅します。

【神戸線】「通勤急行」が塚口通過となり「快速」に改称

朝夕に運転されている通勤急行は中津・神崎川・園田のみを通過する種別でしたが、これが新たに塚口を通過するようになり快速に改称されます。快速は2022年まで京都線で走っていましたが、これが神戸線で復活することになります。

その影響で朝の西宮北口~塚口間は停車駅がなかなか複雑となり、
通勤特急:西宮北口停車、武庫之荘通過、塚口停車
快速:西宮北口停車、武庫之荘停車、塚口通過
準急:西宮北口通過、武庫之荘通過、塚口停車
というように、上位種別が停車する駅を下位の種別が通過するという「下剋上」が発生します。乗り間違いに注意が必要ですね。

【神戸線】朝の特急が通勤特急に、夕方の特急が準特急に変更

快速(現・通勤急行)が塚口を通過するのを補うため、今改正では朝の特急通勤特急に、夕方の特急準特急にそれぞれ変更となります。これまで優等列車の停車本数の少なかった六甲駅は、列車本数が大きく増えることになりました。

【神戸線】朝の快速・準急・急行を増発

今改正より、神戸三宮発の快速を2本、宝塚発準急を1本、大阪梅田発西宮北口ゆき急行を13本増発しするそうです。他はともかく急行の「13本」という数字にはさすがにびっくりしましたが、これは現在、大阪梅田から西宮北口まで回送で戻している列車を営業運転するということだと思われます。

【宝塚線】夕方の一部急行が「通勤急行」に変更

宝塚線の「通勤急行」が久々に復活

宝塚線の夕方ラッシュ時は、特急または急行が10分あたり2本運転されていますが、このうち1本が新たに曽根・岡町に停車するようになり「通勤急行」に改称されます。今回通勤急行に変わる急行は、前に普通がつかえている関係で曽根から豊中までノロノロ運転を強いられており、停車駅が増えても所要時間は変わらないとのこと。

通勤急行は現在の通勤特急に改称されて一旦消滅しましたが、久々に復活することになりました。ちなみに、先代の通勤急行よりさらに遡った2000年ごろには、宝塚~服部間と十三に停車する通勤急行が朝ラッシュ時のみ走っていた時期もありました。今回復活する通勤急行は先々代の通勤急行と停車駅的には似ています。

ついに10連運転が完全消滅、増結車は仕事増?

阪急の10連運転は1982年の宝塚線を皮切りに各線で開始されましたが、バブル崩壊や少子高齢化に加え、阪神大震災の発生やJRの輸送改善により乗降客数は伸び悩み、この度完全消滅することになりました。そもそも、朝ラッシュの1往復の増結のためだけに専用の増結車をわざわざ準備しているような事例は他社ではほとんどなく、車両のランニングコストを抑えるためにもやむを得ないことと思います。

増結用2連しかない8200系などは平日朝ラッシュ時にしか乗れない「レア車両」と化していましたが、今後は適宜組み合わせて今津北線などの支線、あるいは能勢電鉄に回るのでしょうね。今改正で快速や準急が増発されることから本線の運用数も増えるかもしれず、「増結車×4本」の8連が本線を走ることもあるかもしれません。

「震災復旧ダイヤ」も大幅見直し

震災復旧に合わせて大幅なダイヤ改正が行われた1995年6月のポケット時刻表

今回廃止となる「通勤急行」と「神戸三宮始発の通勤特急」は、1995年6月12日にダイヤ改正で登場しました。このダイヤ改正は震災で一部不通となっていた神戸線の全線復旧に合わせて行われたものでした。

この改正では朝ラッシュ時のダイヤが大幅に見直され、特急が岡本駅に停車するようになったほか、従来の特急停車駅に加え塚口に停車する通勤特急と、従来の急行停車駅に加え武庫之荘に停車する通勤急行が新たに出現しました。通勤急行は西宮北口で8200系2連を増結する(一部列車のみ)のも特徴でした。8200系は関西で唯一の座席収納車(現在は通常の座席を設置)で、 営業初日に早起きして乗車しに行ったのを今でも覚えています。

実はこの時のダイヤは微妙に修正されつつも現在まで引き継がれており、通勤急行が神戸高速線始発になった以外はほぼ同じ運転パターンが30年近くも踏襲されていました。このダイヤも今回ついに大幅に手が入ることになりました。

ちなみに、実家に眠っていた阪神大震災当時のポケット時刻表を発掘し、鉄道復旧の足跡を辿る記事を過去に作成しておりますので、興味のある方はご覧いただければと思います。

ポケット時刻表コレクション 阪神・淡路大震災と時刻表(その1)
ポケット時刻表コレクション 阪神・淡路大震災と時刻表(その2)

コメント

タイトルとURLをコピーしました