今や入手困難なPASMOカードをゲットする方法とは?~「京急全線1日フリーパス」で駅巡り

半導体不足の影響で入手困難となりつつあるPASMOカードですが、「京急全線1日フリーパス」など一部会社のフリーきっぷを購入する際であれば入手できます。

半導体不足の影響でプレミア化、Suica&PASMOカード

以前別記事にまとめたとおり、スタンプラリーや駅巡りのためにフリーきっぷで何度も(概ね10回以上)入出場を繰り返す場合、紙の磁気きっぷだと高確率で磁気エラーや券詰まりが発生し、まともに改札機を通れなくなってしまいます。

そもそも紙の磁気きっぷは一乗車で使い捨てするのが前提で、何度も改札機を通すことはあまり想定されてないからなのでしょうが、最近駅巡りやスタンプラリーに妙にハマっている筆者はこの現象に散々悩まされていました。最悪、有人窓口を通ればいいのですが、乗降の少ない駅だといちいち駅員さんを呼び出す必要がありますし、向こうがフリーきっぷの存在を把握しておらず「(本来使えるはずなのに)この駅ではこの切符は使えません」と理不尽なことを言われたりもします(実話)。

この問題を解決するにはICカード版のフリーきっぷを購入すればよいのですが、今年に入って世界的なICチップ不足を理由にSuicaやPASMOの発行が定期券を除き停止されてしまいました。代替としてモバイルSuicaやPASMOの使用が推奨されていますが、現状私鉄のフリーきっぷはモバイルPASMOに対応していません。(カード版PASMOにも対応していない物も多いですが)

仕方なく、しばらく使っていなかったPASMOを探し出してみましたが、PASMOなどの交通系ICカードは10年以上使用しないと無効になるというルールがあり、手持ちのカードも見事に期限切れとなってしまっていました… そのため仕方なく、紙のフリーきっぷを利用し続けていました。

PASMO発行停止に関するプレスリリース:
https://www.pasmo.co.jp/pressrelease/pdf/2023731_press_release_Suspension_of_Suica_and_PASMO_sales.pdf

PASMO限定のフリーきっぷはどうするの?

そんな中、京急の各駅を巡ろうとフリーきっぷを探していたところ、「京急全線1日フリーパス」というのを発見しました。このフリーパスは紙のきっぷでの発売はなく、カード版PASMOでのみ利用可能な点が特徴です。しかし、筆者はカード版PASMOを持っておらず、その場合どうするのだろうと横浜駅の窓口で聞いてみたところ、何とこのフリーパスを利用する場合のみPASMOを新規発行してくれるとのこと。

しからばと駅員さんにPASMO発行をお願いすると、何やら券売機を操作し、PASMOを発行可能な状態にしてくれました(通常は新規発行はできないモードになっているようです)。そして、入手したPASMOを窓口に持っていき料金2000円を払うと、窓口の機械を操作しフリーパスを発行してくれました。どうやらこのフリーパスは券売機では発行できず、窓口の機械を使う必要があるようです。様子を見るにあまり発行の実績はないからか駅員さんも不慣れなようで、一連の操作に10分以上を要していました。横浜駅ですらこの状態なので、他駅ではもっと時間が掛かるかもしれません…

ちなみに京急のフリーきっぷだと「三浦半島まるごときっぷ」「みさきまぐろきっぷ」の方が知名度が高く、京急としても推している感がありますが、「京急全線1日フリーパス」はバスの乗り放題や観光プランが付いていない分安いので、純粋に鉄道のみを乗りまくりたい場合はこちらの方がお勧めです。とはいえ、京急は長距離でも比較的運賃が安いので2000円分乗るのはなかなか大変でしょうが…

「京急全線1日フリーパス」の実物

JRや東京メトロでもICカード発行可能?

では、他社でも一日乗車券を購入する場合はICカードの新規発行は可能なのでは?と思ってネットで最近の事例を調べてみたところ、少なくともJRの都区内パスや東京メトロの24時間券については、購入と同時に新規ICカードの発行が行えるようです。東京メトロについては実機を操作して購入の一歩手前まで試してみましたが、どうやら本当に可能っぽいです。

「京急全線1日フリーパス」は2000円とお高いですし、正直鉄道ファンでもなければなかなか使う機会もないでしょうが、「都区内パス」や「24時間券」は安いので買い物やビジネスなど普段使いも十分可能でしょう。どうしてもICカードを入手したければこちらの方がお勧めです。

京急&東京モノレール、駅巡りの記録

そんな訳で、東京23区内の全駅訪問を実現すべく「京急全線1日フリーパス」で横浜以東の京急線全駅を訪問してきました。なお、空港線のみは東京モノレールとともに別日に訪問しています。

京急本線(品川~六郷土手):直上高架と商店街

新馬場駅の高架下
立会川駅の高架下

まずは品川から京急川崎方面へと向かいました。この区間は北品川付近を除きほぼ全線が高架化されています。通常、鉄道を高架化する際は元の線路に沿って仮線を敷設し、空いたスペースに高架橋を建てるのが一般的です。しかし、京急は「直上高架」といって線路の両脇に柱を立て、その上に線路を敷設する方式が得意なようで、多くの区間でこの方式を採用しています。柱の構造は新馬場駅付近では鉄製、立会川付近ではコンクリート製と時代によって異なるようですが、かつての地上線の痕跡が見て取れます。

雑色駅の高架下

これまでこの沿線は何度も通過していながらほぼ降りる機会がなかったのですが、大森や蒲田といったJR駅に近いエリアだけではなく、立会川や雑色といったやや地味な駅の周辺にも商店街が広がっているのが意外でした。特に雑色は各駅停車しか停まらない駅ながら、アーケードの付いた立派な商店街が広がっており、乗降客も多かったです。

雑色駅の隣の六郷土手駅はその名の通り多摩川に架かる六郷橋のたもとにあり、多摩川を渡って少し歩けば大師線の港町駅まで歩くことが可能です。そこで、まず大師線の各駅を訪れることにしました。

京急大師線:狭い駅間と工業地帯

大師線は乗りつぶし目的で20年ほど前に1度乗車したのみで、久々の乗車です。あの頃は古びた旧1000形車両が主力だった記憶がありますが、今は1500形が主力(一部列車は新1000型)のようです。途中の大師橋(かつては産業道路駅)は地下化され、地下鉄と見まがうような雰囲気に一変していました。

終点の小島新田駅での折り返し時間はわずかで、構内外の写真を撮っているとすぐに発車時間となってしまいました。前来た時もそうだった記憶があるので、あの頃からダイヤが変わっていないのかもしれません。

そんな中気になったのが、途中の鈴木町という駅です。この駅は周辺を味の素の工場敷地がぐるりと取り囲んでおり、駅に至る通路以外は部外者が立ち入ることができません。通路の途中には「ここから構内道路」という表示があり、味の素関連以外の自動車は入れないようになっています。徒歩であれば駅まで到達することが可能ですが、踏切のすぐ先には門があって関係者以外は入れないようになっています。「関係者以外下車不可」で有名な海芝浦駅に近いものを感じます。

京急本線(京急川崎~横浜):昔ながらの地上駅と踏切

本線へ戻り、京急川崎から横浜を目指しますが、こちらは一転して高架化されている区間は少なくなります。しかもJRと並走するようになり、海側と山側の移動を阻む形となっています。さすがにほとんどの道路が立体化されていますが、途中の花月総持寺駅には踏切がまだ残っていました。京急とJRの踏切は一応分かれていますが、合計12本もの線路を横断する必要があり、事故の危険も高そうです。並行して歩道橋もあるので廃止してもよさそうなものですが、歩道橋の入り口(花月総持寺駅への入り口も兼ねている)が階段しかなく、自転車などは踏切を通るしかないため残されているようです。

花月総持寺駅以外にも、ホームへの通路が階段しかない駅が多く、乗り降りしていると疲れました。一日に多くの駅を訪問しているとエスカレーターの存在がありがたく感じます。

そんな中、異色なのが八丁畷駅です。他の駅と同じくホーム間に跨線橋があるのですが、これがJR南武支線の八丁畷駅のホームも兼ねています。事情を知らない人だと、跨線橋にいきなりホームが現れたかのように感じて面食らうでしょうね。

そして、横浜駅の一つ隣にある神奈川駅もなかなか印象深い駅です。かつての神奈川宿の最寄り駅で、県名を冠している駅ですが、駅舎は小さくホームや通路は狭く利用者は少なく、日本屈指の巨大駅である横浜のお隣にこのような駅があるとは驚かされます。

東京モノレール:中間駅は地味ながらも個性的

昭和島駅のホーム

ここで話題が京急線から逸れますが、先日東京モノレールがエキタグに対応したので、京急空港線に乗りに行く前に全駅を訪問してきました。東京モノレールの沿線は、浜松町や天王洲アイルを除き倉庫街や空港関連施設ばかりでなかなか途中下車する機会がなかったのですが、個性的な駅もいくつかありました。

写真の昭和島駅はホームの幅が2mもなく、まるで阪急中津駅のようです。この駅を通過していく快速の走行スピードはモノレールとは思えないほどで(最高時速は80kmらしい)、ホームドアが無かったら怖いだろうなと思いました。あとは、国鉄の地方ローカル線のような古びた平屋駅舎を備えた整備場駅も印象に残りました。

また、各駅の駅名標には駅周辺の名所や施設にちなんだイラストが描かれているのも面白いです。上下線で異なるイラストが描かれているなど、結構凝ったデザインになっています。

新整備場駅については以前記事にしています

各駅停車でちまちまと乗降を繰り返し、無事全駅のスタンプを集めることができました。東京モノレールは足回りの関係上車両の中央部が盛り上がっていて、運転台直後のクロスシートはまるで「リゾート21」のようですね。空港利用者で混雑する快速とは対照的に、休日の各駅停車は空いていて席も選び放題なので、時間に余裕があれば「展望席」で眺めを楽しむのもいいかもしれません。

京急空港線:元「羽田駅」を久々に訪問

東京モノレールで羽田空港に到着後、最近復活したばかりの第2ターミナル国際線エリアを見物してきました。まるで海外の空港のような、柱のない巨大な空間が印象的でした。このエリアの店舗はまだ営業を開始しておらず、完全復活にはもう少し時間が掛かりそうです。

外国人客で大賑わいの第3ターミナルから一駅、天空橋駅へとやってきました。天空橋駅は、ある年代以上の方(かつ京急で空港へ向かっていた人)にとっては懐かしい駅ではないでしょうか? かつて1993年から1998年までは京急の空港ターミナル乗り入れが実現しておらず、この天空橋駅を暫定的に「羽田駅」と称していました。羽田駅から空港ターミナルに行くにはモノレールに乗り換えねばならず、私も何度か乗り換えた記憶があります。

京急がターミナルまで乗り入れるようになって以降、この天空橋は通り過ぎるばかりで降りる機会は全くありませんでした。久々に下車してみると、羽田イノベーションシティの開業に伴って改札口が増設されるなど色々変化していましたが、休日だからか訪問客はほとんどおらず閑散としていました。

その天空橋から隣の穴守稲荷までは700mと距離も短いので、歩いて行ってみることにしました。地下道を出るとすぐに、空港島と本土を隔てる海老取川という川に細い人道橋が掛かっています。これが「天空橋」という名前で、駅名の由来にもなっているのですが、何だか古びていて名前に似つかわしくない気もしました。橋を渡って昔ながらの路地をしばらく歩くと穴守稲荷駅に到着です。この後、大鳥居・糀谷と回って全駅訪問を達成しました。

下車した各駅では、スタンプ代わりに駅名標の写真を集めてきました(京急は基本的に駅スタンプを置いていないので)。駅名標の形やデザインが駅ごとにバラバラな会社も多い中、京急のはデザインに統一感がありますね。

コメント

  1. 匿名 より:

    雑色駅・立会川駅など旧東海道沿線の商店街は江戸時代から続いています。江戸時代から続く有名なそば屋もあります。

    • rail20000 より:

      コメントありがとうございます。京急のこの区間は旧東海道に沿っているため、京浜東北線沿いに比べて昔ながらの風情が残っている気がしました。
      #Google様の気まぐれでこのページが妙にバズっているようで、アクセス数がえらく増えてますね…

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