【東成田・新整備場】日本に2つだけの存在・「空港秘境駅」訪問記~乗降客の少ない理由は?

いつも賑やかなはずの成田・羽田の両空港に、関係者以外ほぼ誰も利用せず、ひっそりとした「空港秘境駅」が存在します。その2駅を訪問してきました。

空港敷地内に「秘境駅」?

空港、しかも日本を代表する羽田空港や成田空港は常に人で賑わい、空港内の駅もスーツケースなどの大荷物を抱えた客でごった返しているのが普通です。しかし、空港敷地内にありながら一般客が寄り付かず、常に閑散としている不思議な駅が2つ存在しています。

もちろん空港敷地内なので駅の周囲は人工物ばかりで、世にいう「秘境駅」とは異なりますが、空港ターミナルの喧騒とは別世界のような雰囲気を持つこれらの駅は「空港秘境駅」と呼べそうです。そんな2つの駅を訪問してきた記録を紹介します。

東成田駅:空港当局と京成の綱引きの結果生まれた駅

コロナの影響もすっかりなくなり、成田空港の第2ターミナルは多くの旅行者で賑わっています。各国の航空会社のカウンターがずらりと並ぶ姿には毎回圧倒されます。そんな第2ターミナルの地下に、「空港秘境駅」への連絡通路が存在しています。

成田空港公式サイトより

京成の空港第2ビル駅の切符売り場の横、案内図の赤丸の部分にこのような扉があります。この先はかつて空港利用者の荷物検査を行っていた検査台、そして降車専用改札があります。そのため本来この先に進む人はおらず、入り口のガラスドアには立ち入り禁止の印が張ってあります。それでも気にせず中へと進んでいきます。

すると突如、このような看板が現れます。この看板の500m先に、今回目指す東成田駅があります。(空港公式サイトのマップで無視されているのが悲しい…) 看板の先には、長い長い地下通路がそれこそ延々と続いています。通路の脇には、何年も更新されていないであろう芝山鉄道や県内自治体のポスターが張られていて、余計に不気味さを増幅させます。写真では分かりづらいですが、通路には勾配もあり、歩くと結構疲れます。

途中一回曲がり角を挟みつつ、地下通路はまだまだ続きます。途中、一組の利用者と出会った以外は誰もいない通路を10分近く歩き、ようやく目指す東成田駅に到着しました。

駅の一角には、秘境駅には似つかわしくないほど立派なオブジェ「曲水の宴」が壁一面に設置されていますが、これも実際に見てみると黒っぽく古びていて不気味です。駅の構内には柵やパーティションで囲われて入れない区画も多く、これまた不気味な雰囲気…

折角珍しい駅に来たので、駅スタンプを押していきます。訪れる人が少ないからか、スタンプのインクの乗りは上々でした。(スタンプの図柄を見るとこの駅の素性がほぼほぼ分かってしまいますが…) 駅の施設は最小限しか稼働していないようで、エスカレーターは上りしかないようです。エスカレーター上の行先案内を見ると、「成田」「芝山千代田」の表示が。

ホームに降り立つと、隣には真っ暗な謎のホームが!… 勘のいい人はもうお分かりかと思いますが、この東成田駅はかつての成田空港駅なのです。広い駅構内や立派なレリーフ、2面4線のホームは空港アクセス駅として造られたものです。

成田空港開業の際、京成電鉄は社運を賭けて成田空港への乗り入れを実現しようとしました。しかし、空港ターミナルの直下は国鉄の成田新幹線用に確保され、京成は第1ターミナルと第2ターミナル(駅開業時は未完成)の中間の中途半端な場所しか割り当てられませんでした。それが現在の東成田駅です。空港ターミナルとの間はバスで連絡していたといいます。

しかし、国鉄の財政悪化などの混乱で成田新幹線計画は立ち消えとなり、第2ターミナル開業を機に、新幹線用の路盤を京成とJR成田線が分け合う形でターミナル直下に乗り入れることになりました。こうして東成田駅はメインルートから外れ、秘境駅となったのです。今でも空港関係者の利用がある他、2002年に開業した芝山鉄道と京成線との接続駅という役割が新たに加わりましたが、非常に寂しい利用状況であることには変わりません。

そんな東成田駅ですが、現在成田空港では3本目の滑走路の建設計画に合わせ、老朽化したターミナルの建て替えが検討されています。その予定地が東成田駅に隣接しているようで、新ターミナル開業の暁には東成田駅から「成田空港駅」へと返り咲く可能性もありそうです。

2枚とも2007年撮影

ちなみに、芝山鉄道の終点である芝山千代田駅も、空港敷地の駅ではないものの利用者は東成田とそう変わらないレベルで少ない状況です。空港の敷地からは非常に近く、上記の写真のように駅のホームからは空港内の様子がよく見えます。(よく見ると、今や懐かしい「太陽のアーク」塗装の747ジャンボが写ってますね)

さて、そろそろ電車に乗って成田へと戻ります。やってきたのは1本しか存在しない芝山鉄道の3500形(京成からの譲渡車)。日中、この区間は40分に1本しか列車がなく、この車両がひたすら折り返し運転をしているようです。東成田を出ると程なく空港第2ビル方面からの線路と合流。合流地点では東成田からの線路が京成成田方面の線路へとまっすぐつながっていて(空港第2ビルへの線路は分岐側)、元・本線であることが分かります。あとはまっすぐな線路をひた走り、成田山新勝寺の脇を抜けて京成成田に到着。

到着後、行先表示幕を変える途中、遠く「三崎口」などの字幕も一瞬だけ表示されました。しかしこの車両が三崎口に行くことはおそらくもうないでしょう。

新整備場駅:日本の航空業界を陰で支える駅

羽田空港を目指す客で混雑する東京モノレール、その駅の一つに目指す「空港秘境駅」があります。駅備え付けの路線図を見てみると、発着する路線の案内が目立つ羽田空港第1~3ターミナル駅の間に、ひっそりと「新整備場」という駅があるのがお判りでしょうか。空港利用客がまず下車することにないこの駅に初めて下車してみました。

電車が出発し、わずかな乗降客が姿を消すと、ホームはもぬけの殻となります。一方、ホームから改札へと進む階段はターミナル駅と比べて非常に狭く、エスカレーターもありません。この時点で、この駅の利用客の少なさが大体想像できてしまいます。

改札を出ると駅前コンコースが広がっていますが、数台の自販機があるのみで売店はありませんし、そもそも人もほとんどいません。とりあえず、外に出てみましょう。東成田ほどではありませんが、やや長い地下通路を進むとようやく出口です。

いたってシンプルな出口を出ると、左手には滑走路が広がります。時折航空機が柵のすぐ脇を通るため、ものすごい爆音がします。しかしながら、ご覧の通り滑走路との間には厳重な柵が設置され、写真や動画の撮影は厳しそうです。こんないい場所なのに、航空ファンが全然集まらないのも納得です。

反対側に目を転じると、「JALメインテナンスセンター」という建物が目に入ります。「新整備場前」という駅名なのだから、もっと工場のようなものが並んでいるのかと思いきや、ごく普通のオフィスビルでした。なお、このビルの中にはJALのこれまで歴史について展示する「スカイミュージアム」や、航空機事故に関する展示を行う「安全啓発センター」があるようで、申込制で見学することも可能とのことですので、入ったことがある方もいるかもしれません。隣のビルにはコンビニもあり、生活の匂いも多少します。

現在位置は案内図の通りです。第1ターミナル(地図上の緑色の部分)からは比較的近いようです。駅前のバス停に張り付けられた時刻表を見ると、その第1ターミナルやそのさらに奥にある西貨物地区、(新整備場駅ではなく)整備場駅に近い羽田警備ビルへのバスが走っているようです。ただし、乗れるのは関係者のみで一般人は利用できません。

バスの時刻表を見ると、平日はそこそこ本数があるものの、土日はわずか3本しか運転されません。今回来たのは日曜でしたが、おそらく土日はほとんどの社員は出社してこないため、これほど閑散としているのでしょう。平日はもうちょっと社員の方がいるのでしょうか。

一通り観察して、駅スタンプをゲットしたところで第2ターミナルへ戻ります。賑やかな第2ターミナルですが、その一角にはこのようなポスターが張られ、その周辺は閑散としています。コロナ禍の直前にできた第2ターミナル内の国際線施設は用途を失い長らく放置されていましたが、先日ようやく使用が再開されたようです。

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