2023年10月1日・エクスプレス予約が変わる~ライトユーザは会員資格維持すべきか?【8/26更新】

通常のきっぷより大幅にディスカウントされていたエクスプレス予約の運賃体系が、2023年秋より見直されます。主にライトユーザの視点で対応策を考察します。

【2023/8/26 追加のニュースリリースがありましたので赤字部分を加筆しました。】

東海道新幹線の「オアシス」が…

東海道・山陽・九州新幹線の会員制予約サービス「エクスプレス予約」は、新幹線の予約をオンラインで簡単に実行でき、しかも通常の紙のきっぷよりも大幅なディスカウントを実現していることから、ビジネスユースから帰省・行楽まで幅広く利用されてきました。特に割引きっぷの少ない東海道新幹線においては「オアシス」のような存在で、私も随分前から自身のWebサイトにて解説ページを作り、「年一回東京~大阪を往復するならとりあえず入会しとけ」という趣旨の説明を記載していました。

ところが2023年10月1日より、紙のきっぷと比べたディスカウントが大幅に縮小となることが明らかになりました。「エクスプレス予約」では紙のきっぷと異なり、「のぞみ」と「ひかり・こだま」の価格差異、あるいはシーズンによる価格変動もありませんでしたが、これも今後は紙のきっぷ同様変動することとなります。よって、繁忙期の「のぞみ」は相対的にかなりの値上げとなります。

「エクスプレス予約」における価格体系の見直し及び新早特商品の発売について
エクスプレス予約は、東海道・山陽・九州新幹線をスムーズ&スピーディに一年中おトクなおねだんで利用できる、会員制のネット予約サービスです。
2023年10月1日、「エクスプレス予約」で新たな新サービスを開始します!
エクスプレス予約は、東海道・山陽・九州新幹線をスムーズ&スピーディに一年中おトクなおねだんで利用できる、会員制のネット予約サービスです。

2023年秋以降の新運賃を見てみる

では、実際に新運賃を見てみましょう。ところで、東海道・山陽・九州新幹線にはエクスプレス予約と別に「スマートEX」という会員サービスがあります。エクスプレス予約との主な差異は以下の通りです。

エクスプレス予約
・年会費1100円が必要
・使用できるクレジットカードはJR各社系のカードなど一部に限られる
・スマートEXに比べてディスカウント幅が大きい
・特急券のみの購入(e特急券)が可能
・グリーンプログラム(ポイントを一定数貯めると無料でグリーン車にアップグレード)が使える
 →グリーンプログラムは2023/12で終了(貯めたポイントの引換は2024/6まで)
・EXポイントが貯まる(例:東京~新大阪普通車指定席利用で83ポイント)

スマートEX
・年会費不要
・ほぼ全てのクレジットカードが使える
・エクスプレス予約に比べディスカウント幅は小さいが、早期予約割引(早特)は使える
・特急券のみの購入はできず、乗車券一体で購入する必要あり
・グリーンプログラムは使えない
・EXポイントはエクスプレス予約の約半分

※EXポイントは、JR東海グループの駅商業施設での買い物に使える「TOKAI STATION POINT」などに引き換え可能。その場合、1ポイント=1円と思っておけばいいでしょう。

まずは東海道新幹線(東京~新大阪間)について、紙のきっぷとエクスプレス予約、スマートEXとの運賃比較表を作成してみました。通常期ののぞみは600円、最繁忙期ののぞみに至っては1000円を超える値上げになります。一方、ひかり・こだま(通常期)は300円ほどの値上げに収まり、自由席は据え置きとなります。

シーズンや種別に関係なく、紙のきっぷとエクスプレス予約との価格差は490円、エクスプレス予約とスマートEXとの価格差は290円に統一されます。(自由席除く)

運賃種別通常の
きっぷ
EX予約
('23/10~)
スマートEXEX予約
(~'23/9)
のぞみ(通常期)14720円14230円14520円13620円
のぞみ(最繁忙期)15120円14630円14920円
のぞみ(繁忙期)14920円14430円14720円
のぞみ(閑散期)14520円14030円14320円
ひかり・こだま
(通常期)
14400円13910円14200円
ひかり・こだま
(最繁忙期)
14800円14310円14600円
ひかり・こだま
(繁忙期)
14600円14110円14400円
ひかり・こだま
(閑散期)
14200円13710円14000円
自由席13870円13620円13870円

次に山陽新幹線(新大阪~博多間)についても比較表を作成してみました。紙のきっぷに関しては、乗車券を往復割引乗車券とするともう少し安くなりますが、今回は考慮していません。

山陽新幹線では2023年に運賃改定があり、のぞみ・みずほ号について紙のきっぷが値上げされましたが、エクスプレス予約やスマートEXの値上げはありませんでした。その値上げ分が2023年秋からの新料金に反映されます。通常期ののぞみ・みずほは1000円超、ひかり・こだま・さくらは300円の値上げとなります。

紙のきっぷとエクスプレス予約との価格差は380円、エクスプレス予約とスマートEXとの価格差は180円に統一されます。

運賃種別通常の
きっぷ
EX予約
('23/10~)
スマートEX
('23/10~)
EX予約
(~'23/9)
のぞみ・みずほ
(通常期)
16020円15640円15820円14600円
のぞみ・みずほ
(最繁忙期)
16420円16040円16220円
のぞみ・みずほ
(繁忙期)
16220円15840円16020円
のぞみ・みずほ
(閑散期)
15820円15440円15620円
ひかり・こだま・
さくら(通常期)
15280円14900円15080円
ひかり・こだま・
さくら(最繁忙期)
15680円15300円15480円
ひかり・こだま・
さくら(繁忙期)
15480円15100円15280円
ひかり・こだま・
さくら(閑散期)
15080円14700円14880円
自由席14750円14600円14750円

ちなみに、早特運賃については以下のページにまとめていますのでご覧ください。早特運賃に関しては、乗車日28日前までの予約で利用できる(ただし申し込み後の変更不可)「EX早特28ワイド」が新たに追加されます。それ以外の商品については、今のところ2023年秋以降の変更は特にアナウンスされていません。

ライトユーザは会員資格維持すべきか?

上述の通り、エクスプレス予約とEXサービスの価格差は東京~新大阪間で290円で、EXポイントを考慮しても330円ほどです。エクスプレス予約とスマートEXの差はe特急券の利用可否以外は大きな違いはありません。そのため、東京~新大阪間を年間最低2往復以上利用するユーザでなければ、1100円のエクスプレス予約年会費の元が取れない計算となります。

加えて、エクスプレス予約は使用できるクレジットカードが限られるのがネックです。JR系のクレジットカードは、ゴールドカードでもなければ還元率は0.5%が普通です(ビューカードは「えきねっと」利用時は還元率が上がるが、エクスブレス予約利用時は上がらない)。一方、スマートEXは基本的にどのクレジットカードも使えるので、還元率のいいクレカを使っている人ならばエクスプレス予約との実質的な価格差はより縮まることになります。

さらに言えば、早特運賃はエクスプレス予約・スマートEXともに同じなので、早特運賃狙いならばエクスプレス予約に加入するメリットはありません。

よってエクスプレス予約は2023年秋以降、スマートEXで代替できないかをよく考えて申し込むべきでしょう。少なくとも、エクスプレス予約を利用するためだけにクレジットカードを新規に作るのは得策ではありません。

諸行無常の響きあり

エクスプレス予約は、まだネットでの列車予約が一般的でなかった2000年代初頭にサービスを開始しました。筆者も2007年ごろから利用を開始し、繁忙期であっても直前の予約であっても安価に新幹線を利用できる手段として、関西など西日本方面への行き来の際はほぼ毎回利用させてもらいました。

当初はまだ珍しかったネット予約の普及や、有人窓口の縮小による経費削減という目的もあって、東海道新幹線としては破格のディスカウントが実現していたのでしょう。しかし近年は指定席券売機やスマートEXの普及もあって、有人窓口の縮小も行きつくところまでやりつくした感もあります。航空などライバルの値上げ(羽田~伊丹間の運賃もコロナの頃に比べると高くなりました…)もあって、JRとしてもディスカウントのメリットが薄らいできたのではないでしょうか。今回の値上げで新幹線の「シェア」が大きく落ちることもないでしょうし…

この秋以降は、エクスプレス予約との「付き合い方」を大きく考え直す必要がありそうです。個人的には、グリーンプログラムのポイントを使い切ったらスマートEXに移行しようかな…

【2024/2追記】

この記事を執筆した時(制度変更のリリース直後)は、若干アタマに血が上っていたこともあり、エクスプレス予約を解約する気満々でした。しかし、年に数回家族を引き連れて東京から関西まで往復することを考えると、エクスプレス予約とEXサービスの価格差290円も積もり積もればそこそこの額になるかなぁと思い直し、解約は見送り中です。ポイント還元率の超高いゴールドカードとかも持ってないですしね…

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