阪急京都線「京とれいん 雅洛」に乗る~特別料金不要の豪華シートを堪能(2023/2)

阪急京都線の「京とれいん 雅洛」は料金不要ながら贅沢なシートに座れ、外国人旅行者からも人気があります。混雑時でも座席を確保する方法をご紹介します。

「京とれいん 雅洛」とは?

阪急京都線は、大阪や京都と沿線の住宅街を結ぶ通勤路線である一方、嵐山や祇園、八坂神社といった一級の観光地を抱える観光路線でもあります。しかし、従来は6300系、9300系といったクロスシート車両を特急用に投入してきたぐらいで、観光に特化した車両を運行することはありませんでした。

阪急6300系よ、永遠に(その3)

外国人観光客の増加などで年々京都が活況を呈するようになる中、2011年に6300系の余剰車を活用した「京とれいん」がデビューしました。これは6両編成のうち中間2両にいわゆる「水戸岡改造」のような本格的な観光列車としての改造を施したものでした。(その他の車両はクロスシートや内装板の張替えのみ実施)

これが好評だったのか、第2弾である「京とれいん 雅洛」が登場しました。これは元々神戸線用の3ドアの通勤車両だったのを2ドアに改造し、さらに全車両に大幅な改造を加えた本格的な観光列車です。現在は土休日のみ、大阪梅田~京都河原町間を一日4往復しています。なお、初代の「京とれいん」は2022年12月に引退してしまいました。

初代「京とれいん」
二代目「京とれいん 雅洛」

「京とれいん 雅洛」の座席配置・料金・時刻表

京とれいん 雅洛|阪急京都線の観光列車|阪急電鉄
阪急京都線「大阪梅田~京都河原町間」を走る和モダンな観光列車「京とれいん 雅洛」。一両ごとに異なる内装でどの車両にご乗車されても京都の雰囲気を感じていただけます。ご予約不要、普通運賃のみでご利用になれます。

本来なら自作の画像で車内の様子を解説したいところなのですが、いかんせん「京とれいん 雅洛」は人気列車のためガラガラの状態を撮影するのが難しく、上記の公式サイトでご覧ください。車内の座席配置は大まかに以下の通りとなっています。

  • 1・6号車:2人または4人掛けのボックスシート
  • 2・5号車:6人または4人掛けのロングシート(+坪庭)
  • 3・4号車:2人または3人掛けの窓向きシート+1人掛けのクロスシート
  • 全車両の車端部:1人用シート、4人掛けのロングシート

私の体感では、ボックスシートや窓向きシートは物珍しいからか人気が高いので、座りたければ大阪梅田駅で早めに並んでおく方がいいでしょう。一方、ロングシートは通勤電車とそんなに雰囲気が変わらないからか、人気はそれほどでもありません。

そして太っ腹なことに、他社なら特急料金を取られてもおかしくないこれらのシートに何と無料で乗れてしまう(もちろん乗車券は必要ですが)のが「京とれいん 雅洛」の凄いところです。(その分混むというデメリットもあるのですが…詳しくは後述)

停車駅は定期列車の特急よりも絞られていて、十三・淡路・桂・烏丸のみに停車します。ただし、特急の後追いで走るので、所要時間は特急と同等です。(大阪行は特急よりもむしろ遅い) 大阪梅田発は9:32~15:32まで、京都河原町発は10:41~16:41までそれぞれ2時間おきに走ります。

「京とれいん 雅洛」に乗ってみた

2023年2月の日曜日、朝一本目の「京とれいん 雅洛」に大阪梅田から烏丸まで乗車してみました。発車10分前に、列車の発車する3号線にたどり着くと、既に乗車口に列ができていました。列に並ぼうかと様子を見ていると、隣の宝塚線ホームにラッピングトレイン「ミッフィー号」がやってきたので思わず撮影してしまいました。3月までの限定で運行されていたらしく、助士側の先頭部にはミッフィー人形が鎮座していました。

そうこうしているうちに、「京とれいん 雅洛」が入線してきました。到着は発車の4分前と、結構ぎりぎりのタイミングでの入線です。細かい話ですが、前面の種別は「快速急行」「京とれいん雅洛」が交互に表示されます。

側面には丸窓が設けられていて、巨大な扇がペイントされています。不自然ともいえるこのスペース、実は元々乗降扉があった場所なのですが、それを埋めて丸窓にするという大胆な改造が行われています。乗降扉と客室の間はパーティションと暖簾で区切られていて、客室内は落ち着いた雰囲気となっています。

発車直前に乗り込んだのですが、グループ客が多いからか一人用のシート(しかも順方向)が運よく空いていました。リクライニング機能こそありませんが座席幅は下手な特急列車のシートより広く、こんな立派なシートに無料で座れるとは素晴らしいです。車内は天井や網棚含めて徹底的にリニューアルされており、元々の通勤電車の名残はほとんどありません。

側面部分には障子や寄木細工のような模様のパネルが設置され、和の雰囲気が漂っています。日よけのカーテンには巻き簀のような素材が使われています。この改造により、側面の窓は3分の1ほどが塞がれています。

この日はシーズンオフの2月、しかも朝から雨が降るあいにくの天候だったためか、大阪梅田駅を出た時点ではまだ空いている席もありました。しかし、十三や淡路から続々と客が乗ってきて、淡路出発時点では立ち客も出ていたようです。「京とれいん 雅洛」は料金不要なのは大変ありがたいのですが、裏を返せば定員を大幅に超える客が乗ってきてしまう可能性もあります。観光シーズンなどは「ゆったりとした雅な空間」とはいいがたい状況になる恐れもありそうです。

ちなみに、車内には外国人観光客の姿も目立ちました。海外での知名度が決して高いとは言えない阪急の、一日4本しかない列車の情報を彼らがどうやって入手しているのか気になるところです。

快適に乗車するコツは?

「京とれいん 雅洛」に実際に乗ってみて分かったのですが、この列車を狙って乗っている観光客は案外多く、人気の高いボックス席や窓向きシートは大阪梅田駅から乗らないと確保は難しいでしょう。十三で神戸線や宝塚線から乗り換えてくる客も多く、淡路駅から乗車すると座席の確保すら難しそうです。(観光シーズンは十三からでも座れないかもしれません) 対策としては、十三や淡路から直接乗るのではなく、大阪梅田まで折り返して乗車するしかなさそうです。(その場合大阪梅田駅では一旦改札を出ましょう)

「京とれいん 雅洛」は特急よりも編成が短く、かつゆったりとした造りのため、座席数は特急列車に使用される9300系の3分の2ほどしかありません。しかも淡路から桂までノンストップのため、十三や淡路で座れないとずっと立ちっぱなしが確定してしまいます。淡路からの乗車ならば、2分前を先行する特急に乗って茨木市や高槻市での入れ替わりを狙う方がいいかもしれません。

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