阪神・淡路大震災から28年~鉄道復旧と代行輸送の記憶

阪神・淡路大震災からはや28年、当時関西にいた私の記憶と、当時各社が発行していたポケット時刻表をもとに、鉄道復旧と代行輸送の様子を思い出していきます。

阪神・淡路大震災から28年

震災当時に配布された、暫定ダイヤを告知する簡易ポケット時刻表。当時はまだインターネット黎明期で、情報伝達は紙ベースが基本だった。

1995年1月17日に発生した阪神・淡路大震災から28年が経ちました。東日本大震災をはじめ、日本はこれまで数々の地震災害に見舞われていますが、「震災」といえば未だに阪神・淡路大震災を真っ先に思い出すほど、個人的に強いインパクトを受けました。

震災時にまだ生まれていなかったという世代も増えている中、当時の記憶も年々風化しつつあります。若い方にはピンとこないかもしれませんが、震災では鉄道網も過去に例を見ない甚大な被害を受けました。 戦後ほとんど例がないと思われる、都市間鉄道の長期にわたる運休も複数の区間で発生しました。 当時関西に在住していた私個人も自宅の被災は免れたものの、 通学に使用する鉄道が長期運休となり、しばらく代替バスでの通学を余儀なくされました。

当時はまだインターネットが普及する前の時代とあって、 復旧区間が延びる度に変化する暫定ダイヤの告知にはポケット時刻表が大いに活躍しました。 実家に眠っていた当時のポケット時刻表を発掘し、鉄道復旧の足跡を辿る記事を作成しておりますので、興味のある方はご覧いただければと思います。

ポケット時刻表コレクション 阪神・淡路大震災と時刻表(その1)
ポケット時刻表コレクション 阪神・淡路大震災と時刻表(その2)

また、「鉄道ジャーナル」の2009年10月号には、10ページほどに渡って当時のバス代行輸送の様子に関する克明な記事が載っており、当時を知る貴重な資料といえると思います。(電子化されていないので今では入手は相当困難でしょうが…)

個人的な震災の記憶

震災で多数の被災車両が出た阪神8000系(今や懐かしの赤胴車)。写真の8235Fも御影駅付近で被災した車両だ。

震災時、私は関西に住んでいました。寝ている際に突如激しい揺れに襲われ、飛び起きた記憶は今でも鮮明にあります。幸い自宅はほとんど被害はなかったのですが、近所の古い家は壁が崩れたり瓦がずれるなどしていました。しかし、テレビで伝えられる被災地の惨状はもっと深刻でした。普段通学で利用していた路線も被災し、震災以降長期間運休する事態となりました。最も大きい被害を受けたのは阪神電鉄で、線路の崩壊ばかりか、多数の車両が廃車となる事態になりました。写真の阪神8000系が石屋川車庫の倒壊に巻き込まれ、多数横転している映像は衝撃的でした。

そんな状況なので学校もしばらくは休校になったのですが、2月には再開されました。そのため、鉄道の復旧までは路線バスや代替バスのお世話になりながら通学したものです。代替バスには関西のみならず名古屋や九州まで様々な会社の車両が寄せ集められていて、例えば阪急の代替バスには丹後海陸交通の観光バスがよく入っていました。

震災直後は壊滅状態だった神戸市内の鉄道も、1ヶ月ほど経つと阪神は御影、JRは住吉まで電車が通じるようになりました。また、神戸市中心部も案外鉄道の復旧は早く、阪神は岩屋、JRは灘より西が復旧していました。また、阪急の御影~王子公園間も復旧しており、JR住吉と阪急御影、王子公園とJR灘の間を徒歩連絡とすることで、一応鉄道のみで阪神間を行き来できるようになりました。この頃、用があって一度大阪から三宮まで行ったことがあります。三宮などの市街地は瓦礫の撤去が進んでいましたが、駅から離れると倒壊した家屋がそのまま放置されている、そんな時期でした。

その後4月1日にJR神戸線が全線復旧しました。その日もたまたま大阪から三宮まで乗車したのですが、代替バスを乗り継いで苦心して移動することに慣れてしまっていて、こんなに速くたどり着けるのかと感動すら覚えたものです。その後、6月12日の阪急神戸線全線復旧の際も、乗車しに行ったのを覚えています。(この日デビューした8200系にも乗車し、当時関西では見慣れない格納座席や車内LCDを見て感心した記憶があります)これら一連の震災による鉄道網の寸断を通じて、鉄道の有難みを強く実感させられました。

今後万が一、阪神・淡路大震災当時と同規模のバス代行輸送を今行うことになったら、本当に対応できるのかと思ってしまいます。規制緩和やクルマとの競合により、大手バス会社の貸切部門が衰退し切っているからです。関西よりも人口の集積が激しい首都圏に関して考えると、なおさら心配になります。阪神・淡路大震災をきっかけに鉄道施設の耐震化が進められていますが、それが奏功することを願いたいものです。

※この記事は過去のブログを再編集しました。
http://rail20000.sblo.jp/article/32663368.html

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