JR東日本「新幹線eチケットサービス」とは?~往復割引の適用忘れにご用心

JR東日本「新幹線eチケットサービス」を用いて新幹線にチケットレスで乗車する方法と、利用可能な割引運賃について解説します。

価格的メリットは少ないが、きっぷの引き取り不要

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新幹線eチケットサービスは、JR東日本・北海道の予約サービス「えきねっと」でのみ利用できるサービスです。両社管内の新幹線(JR西日本管内の北陸新幹線も含む)の乗車券・特急券を窓口等で受け取ることなく、事前に紐付けた交通系ICカードで改札を通過できるというサービスです。

エクスプレス予約では専用のICカードが会員に配布されますが、新幹線eチケットサービスでは専用ICカードは配布されません。代わりに、改札で使用する交通系ICカード(モバイルSuicaでもよい)の番号をチケット購入時に指定します。

運賃・料金は、紙のきっぷに比べて一律200円引きです(ただし、自由席は紙のきっぷと同額)。紙のきっぷと同じく、「はやぶさ」「かがやき」「はやて」とその他の列車間の料金差も存在しますし、繁忙期・閑散期の料金変動もあります。また、エクスプレス予約の「EX予約サービス」と同じく、特定市内制度や在来線特急との乗継割引は適用されません。また、新幹線と在来線を乗り継ぐ場合、運賃は乗換駅で打ち切り計算となり、在来線の運賃を別途支払う必要があります。

例えば、都内の蒲田駅から仙台の一駅先の東仙台駅まで、通常期の「はやぶさ」に乗るとしましょう。この場合、紙のきっぷの運賃は、

  • 「東京都区内~東仙台」の乗車券:6050円
  • 「東京~仙台」の指定席特急券:5360円

で合計11410円なのに対し、新幹線eチケットサービスだと

  • 「東京~仙台」の新幹線eチケット11210円
  • 「蒲田~東京」のIC運賃230円
  • 「仙台~東仙台」のIC運賃189円

で合計11629円となり、紙のきっぷを買う方が200円ほど安いということになります。きっぷ全体の価格を考えると些細な差ではありますし、「事前にきっぷを指定席券売機等で受け取る煩雑さ」と「安さ」のどちらを取るかは人次第ではありますが、「新幹線eチケットサービス」は紙のきっぷに比べて必ずしも安くないことは知っておくとよいでしょう。

このような「ICカードと紙のきっぷで運賃違う問題」は、エクスプレス予約など他の予約サービスにも存在します。そのうち、解説記事を作成したいと考えています。

「新函館北斗~函館」問題

北海道新幹線の新函館北斗で下車した方の大半は在来線で函館に向かうはずですが、北海道新幹線開業時から言われている通り、新函館北斗~函館間は交通系ICカードが使えません。新幹線eチケットを利用する場合、新函館北斗~函館間の乗車券が別途必要となるため、特に準備していないと新函館北斗駅で一旦下車して購入しなければいけません。指定席券売機やえきねっとを利用して、乗車券を事前に購入しておくとスムーズに乗り継ぎできます。(新白河駅など周辺在来線でICカードが使えない駅についても、同種の問題が存在します。)

ちなみに、2024年春には新函館北斗~函館間でもICカードが使えるようになり、不便が解消されることになっています。

新幹線eチケットの購入方法は?

「えきねっと(PC版)」の購入画面
「えきねっと」アプリの購入画面

購入方法ですが、PC版の「えきねっと」では座席の種類(指定席・グリーン車など)を選ぶ際に、新幹線eチケットと紙のきっぷのどちらを購入するか指定できます。

一方、スマホアプリ版の「えきねっと」では、紙のきっぷを選ぶことはできず、新幹線eチケットしか購入できません。アプリでは購入したきっぷの情報を参照できるので、列車の出発時刻や座席の位置を確認するのに便利です。

「えきねっと」での決済完了後、改札で使用するICカードの番号を指定します。ICカードは、全国相互利用サービス対象のものであればよく、PASMOやICOCA等でもOKです。人数分のICカードの番号を事前登録しておけば、複数人分の予約をまとめて行うこともできます。

ICカードの右下の黒い枠内に書かれている番号を入力する(写真はクレジット一体型カードですが、通常のSuicaでも記載場所は同じ)
モバイルSuicaの場合、「Suica管理」画面の「SuicaID番号」欄を見ればよい

ICカード番号の確認方法は上記の通りです。番号は17桁と長く、仮に誤入力してもエラーメッセージなどは特に出ないのでよく確認しましょう。

「往復割引」購入時は要注意

通常の紙のきっぷでは、片道601キロ以上の区間の往復乗車券は1割引きとなる制度があります。これと合わせる形で、新幹線eチケットについても片道601キロ以上の区間の往復行程を一括で申し込むと、運賃部分に往復割引(10%OFF)が適用されます。対象は普通車指定席・グリーン車・グランクラスで、自由席は対象外です。東京発の場合、東北新幹線の二戸や秋田新幹線の大曲まで乗ると600kmを超えます。

紙の往復乗車券の有効期間は片道乗車券の2倍(例えば、東京~新函館北斗間の往復乗車券の期限は12日)なのですが、新幹線eチケットの復路は往路の1ヶ月先まで指定可能です。

上記画面は、新幹線eチケットサービスでの往復割引購入画面の例です。往復割引で購入する場合、最初に行程を入力する際に「往復」を選ぶ必要があります。片道ずつ申し込んだ場合、往復割引は適用されませんので注意が必要です。(片道だけ購入すると「往復割引」の選択肢が画面に表示されません)

新幹線eチケット専用割引あり

新幹線eチケットサービスには、「えきねっとトクだ値」と呼ばれる割引サービスがあります(席数限定)。かつての「えきねっとトクだ値」は紙のきっぷにも設定があったのですが、現在は新幹線eチケットにのみ設定されています。割引率は5~30%で、列車種別や購入時期によって様々ですので、上記のJR東日本のサイトで確認してください。

実際に乗ってみる

エクスプレス予約の「ご利用票」

先日東京から新函館北斗まで、新幹線eチケットで乗車してみました。東京駅では事前に紐付けたモバイルSuicaで入場したのですが、改札機にはSuicaの残額しか表示されず、本当に乗りたい列車がちゃんと予約できているか若干不安になりました。指定された席に他の人が来ることもなく、新函館北斗では問題なく出場できたので大丈夫だったはずですが。

ちなみに東海道新幹線だと、上の写真のような「ご利用票」が改札機から出てきて、列車番号や時刻、座席番号が確認できます。新幹線eチケットにそういう仕組みはありません。

「チケットレス」というコンセプトからすると本末転倒なのですが、新幹線eチケットは指定席券売機でチケットを受け取って乗車することもできます(申し込み時に使用したクレジットカードが必要)。手元に紙のチケットがないと不安だという人は利用するといいでしょう。

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