JR東日本は、新幹線の普通車指定席のうち1両を「ワーク&スタディ優先車両“TRAIN DESK”」としています。予約方法と車内の様子をお伝えします。
TRAIN DESKとは?
以前、東海道・山陽新幹線の「S Work車両」についてご紹介しましたが、似たようなコンセプトの車両がJR東日本の東北・北海道新幹線、上越・北陸新幹線にもあります。「ワーク&スタディ優先車両“TRAIN DESK”」と呼ばれており、各列車の指定席のうち1両が割り当てられています。
TRAIN DESKは、「車内で仕事・勉強などをされるお客さま優先の普通車指定席」というコンセプトで、座席でパソコンを使った仕事や勉強、リモート会議、電話などを行う人向けの車両となっています。仕事や勉強をする人が集中できるよう、座席の回転や大きな声でのご歓談は控えるようアナウンスがなされています。
具体的には、東北・北海道新幹線の7号車、上越・北陸新幹線の9号車がTRAIN DESKに割り当てられています。「S Work車両」は「のぞみ」のみが対象でしたが、TRAIN DESKは「はやぶさ・かがやき」だけでなくすべての種別が対象となっています。ただし、「こまち・つばさ・つるぎ」と、全車自由席の列車には設定がありません。
また、設定日は平日のみで、土休日・最繁忙期(4/27〜5/6、8/10〜8/19、12/28〜1/6)は対象外です。
TRAIN DESKの予約方法は?予約は取りやすい?
TRAIN DESKの予約は、通常の座席と同じく指定席券売機・えきねっと・みどりの窓口から実施できます。座席の種類を選ぶ際、通常の指定席ではなくTRAIN DESKを指定して購入すればOKです。料金は、通常の普通車指定席と変わりません。
東海道新幹線のS Work席は、「EX予約経由でのみ予約可能」「子供料金の設定がない」「一人客しか利用できない」といった厳しい制約がありましたが、TRAIN DESKにはそのような制約はありません。逆に言えば、本来のユーザであるべきビジネス客以外でも予約できてしまうことになります。
さて、TRAIN DESK車両の予約は他の車両と比べて取りやすいのでしょうか。「えきねっと」を使って何度か予約状況を調べてみました。上記は、出発数日前の「はやぶさ1号」(東京~新函館北斗間)の予約状況です。TRAIN DESKでない車両はB列以外がほとんど埋まっているのに対し、TRAIN DESK車両はC列、D列もかなり余っています。このように、TRAIN DESK車両は他の車両に比べて明らかに予約の埋まりが遅い傾向が見られます。おそらく、TRAIN DESKの存在がまだまだ世の中に浸透しておらず、「何だかよく分からないので止めとこう」という人が大半なのでしょう。
東北新幹線の「はやぶさ」は東京から青森・北海道へ向かう唯一の列車ながら本数が少なく、非常に混雑する傾向にあります。仮に利用目的がビジネスでなくても、車内で静かに過ごせるのならば、TRAIN DESKは混雑列車予約の際の穴場として活用できそうです。
実際に乗ってみた
先日、所用のため東京から函館まで行くことになり、TRAIN DESKを実際に利用してみました。TRAIN DESK車両の全座席には、ポケットのところに上記のような注意書きが設置され、注意を促していました。もっとも、TRAIN DESKにはビジネス客向けの付帯設備のようなものは一切なく、極端な言い方をすると他の車両との違いは上記の紙切れ一枚の有無だけです。
行きは始発の「はやぶさ1号」を利用したのですが、予約の際はやはりTRAIN DESK車両は他の車両に比べ空いており、他の車両では埋まっていた窓側席もあっさり取れました。しかし実際に乗ってみると大宮から盛岡まではずっと満席に近い状態で、他が満席でもTRAIN DESK車両だけがらがら、ということはなさそうです。(みどりの窓口などでは、普通席が満席ならばTRAIN DESKを案内するでしょうし) それでも客層は一人で利用するビジネスマン風の人が多く、他の車両はインバウンドでやってきた外国人グループが目立ったのとは対照的でした。
一方、帰りの便はデッキまで立ち客があふれるほど(はやぶさは基本全車指定席ですが、満席の時に限り立席専用の特急券が販売される)だったのですが、車内にはグループ客や家族連れも目立ちました。筆者の横にも外国人観光客グループの一人が座りました。立席特急券が出るほどの混雑時は、「TRAIN DESK=ビジネスマン向け」のポリシーは守られないと思っておいた方がよさそうです。
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