二日目:離れ小島、多摩川線を巡る
隠れた「乗り換え」を使ってアプローチ
西武鉄道は基本的に池袋線と新宿線の二本柱で成り立っており、他の支線はどちらかに所属する形になっているのですが(システムの全く違う山口線は除く)、唯一多摩川線はそのグループから完全に切り離されています。そもそも起点は中央線の武蔵境で、他の西武の路線と繋がってすらいません。そのため、わずか6駅の支線ながら独自の車両基地があるほか、大規模な検査の際はわざわざJRを経由して車両を送り込んでいます。
そんな多摩川線ですが、武蔵境の他に白糸台駅が京王の武蔵野台駅と乗換駅となっています。終点の是政は路線図上では孤立した駅となっていますが、南武線の南多摩駅とは多摩川を挟んで1kmほどの距離にあり、徒歩でのアクセスも十分可能です。この日はたまたま南武線の方に用があり、南多摩から是政まで歩いてみました。
是政駅は東京競馬場裏手の静かな住宅街にあり、駅の位置を知らなければ存在に気づかないようなロケーションでした。多摩川線は例のフリーきっぷが使えないため、Suicaで入場します。多摩川線の各駅には一部を除いて自動改札機がなく、有人改札の傍らにPASMOのリーダーのみが置かれています。PASMO導入前は完全手動改札だったようで、まるで地方私鉄のような雰囲気です。
停車していた101系は水色の派手なカラーを纏っていました。これに乗って競艇場前、白糸台と巡ります。白糸台駅の前には武蔵野台駅への乗り換え経路が書かれた看板が設置されていました。途中まで歩いてみましたが、他に乗り換え客はいませんでした。
次の多磨駅は大学の最寄り駅とあって駅舎も立派で、自動改札機も設置されていました。それにしても、多摩川線は短い路線ながらカラーバリエーションが豊富ですね。多摩川線は日中12分おきと運行頻度はそこそこ高いので、あっという間に武蔵境に到着です。
武蔵境到着後は中央線で国分寺に向かい、前回取り残した周辺の各駅を回りました。最後は多摩湖線の青梅街道駅で下車し、5分ほど歩いて武蔵野線の新小平駅に出て帰宅しました。この乗り継ぎもあまり知られてないですね。そういう私も現地で地図アプリを見てようやく気付きました。
三日目:西武の大黒柱・池袋線を攻略
快適・ラビューで飯能へ
数日後、今度は池袋線の各駅のスタンプを押しに行きました。池袋線の池袋~飯能間は少なくとも10分おきに電車がありますが、飯能から秩父までは山間部のため本数が大幅に少なくなります。一部無人駅のスタンプは近場の有人駅にまとめて設置されているため、全駅を巡る必要はないようですが、かなりの難関であることは間違いないようです。そこで、この日は池袋~飯能間をターゲットとすることにしました。
今回も例のフリーきっぷを利用するのですが、前回の反省を踏まえ、100円ショップで首からぶら下げるカードホルダ(大きな会議や展示会で使うようなやつ)を購入し、これに切符を格納することにしました。改札機を通す回数を極力減らしたことも相まって、今回は最後まで切符をきれいな状態に保つことができました。見た目はちょっと怪しいですが致し方ありません。
まずは池袋から朝9時半発の特急ラビューに乗り、一気に飯能に向かいます。ラビューに乗るのは2年ぶりですが、快適な乗り心地は健在でした。足元近くまで拡張した大きな窓と、ふかふかのカーペットが特徴的です。車内は5割ぐらいの乗車率でしたが、飯能で下車する人はほとんどおらず、多くの人が秩父方面に向かうようでした。
飯能といえば、以前は関東平野の際にある街、というイメージしかありませんでしたが、近年「ムーミンバレーパーク」なるテーマパークができたようです。駅名標にもムーミン一家のイラストが描かれるなど西武としてもアピールしていきたいとの意気込みが感じられます。そして、池袋方面に折り返そうとしたところやってきた電車は偶然にも「ムーミン」ラッピング車両でした。
飯能を出て、各駅で下車しながら池袋方面へと進んでいきます。小手指まではきっちり10分おきのダイヤで、途中の各駅も静かな駅が多いです。唯一、入間市駅の「ペペ」が随分大きな建物だなというのが印象に残ったぐらいです。小手指からは始発列車も増え、列車間隔も短くなるので慌ただしく進みます。列車の行先も「新木場」「元町・中華街」とバリエーションに富んできました。真新しい高架駅、かつ複々線と複線の切り替え駅となった石神井公園まであっという間に到達することができました。
新桜台・豊島園を忘れずに
一旦池袋に戻った後、今度は東京メトロ有楽町線の西武線直通電車に乗車します。3つ先の小竹向原で和光市方面と練馬方面に分かれるのですが、和光市方面は引き続き東京メトロの路線なのに対し、練馬方面は「西武有楽町線」という西武所属の路線に代わります。その西武有楽町線(有楽町から遠く離れた場所なのに有楽町線というのも変ですが…)唯一の途中駅が新桜台で、ここにもスタンプがあります。
西武有楽町線は建設当初、新桜台~練馬間が未完成で、実質営団地下鉄の支線と化していたそうです。そのせいか駅構内はどことなく地下鉄駅のような雰囲気です(有楽町線のラインカラーの黄色い帯が壁に貼り付けられていたりとか)。
ところが、都内の地下鉄駅とは思えないほど構内は閑散としています。池袋線の桜台・江古田の両駅が至近にあるというのも一因でしょうが、この駅から池袋方面に出ようとすると西武・東京メトロ両方の初乗り料金が掛かるので割高となり、敬遠されているのが大きそうです。加えて、池袋線で輸送障害が起きてダイヤが乱れると、地下鉄との直通運転が数時間ストップし、その間新桜台には全く電車が来ない、ということもしばしばあるようです。その他、日中ダイヤだと10分以上も列車間隔が空くこともあったりと、一見便利そうに見えて実はなかなか扱いづらい駅です。
新桜台から練馬に出て、今度は練馬高野台までの区間のスタンプを集めます。このあたりのホームは複々線に挟まれた島式ホーム一面で、どこもよく似た造りです。ただ、中村橋駅周辺にはなかなか立派な商店街が広がっていました。そういえば、練馬から乗ったのは遠く横浜からやってきたみなとみらい線の車両で、しかもDeNAベイスターズラッピング車でした。ライオンズ命の西武鉄道ですが、流石に乗り入れ禁止まではしていないようです。どこかの駅のスタンプにはロッテの工場も描かれていたので、他球団には寛容なのかもしれません。
練馬に戻り、今度は豊島線に乗ります。豊島線は日中15分おきと本数が少なく、地味に乗りにくい路線です。練馬駅の高架を降り、北にカーブしてゆっくり走るとあっという間に終点・豊島園に到着です。そういえばとしまえんも「ハリー・ポッター」関連のテーマパークに代わったばかりでした。数は多くないもののお土産を抱えた観光客が結構います。駅の方は基本的に以前とあまり変わっていないのですが、駅の柱や看板が「イギリス風」ということなのか塗り直されています。何だか朱塗りの寺社風駅のようにも見えてしまいました。
西武鉄道は関東ナンバーワンの「派手好き」
豊島園から練馬に戻り、最後は池袋までの各駅のスタンプを集めます。池袋まではホームの10連化が完了しており、10連用のホーム監視モニターまで整備されているのですが、それはあくまでダイヤ乱れ時用だそうで、池袋口の各停は全て8連での運転です。そのため、ベテランの2000系が当たる確率が高めです。
それにしても、西武はラッピングの種類が半端なく多いですね。旧武蔵野鉄道のリバイバル車やハリー・ポッターラッピング、そして写真は撮れませんでしたが西武ライオンズラッピングの車両もいました。ライオンズのは訳あってしばらくお休みしていたようですが、運行再開したようです。私が確認しただけでも、ラッピング・オリジナルカラーの類は10種類を優に超えていたと思います。これほど車両を派手に装飾している会社は関東では見たことがありません。
西武の意外な一面を見るうちに、終点の池袋に到着。この数日後、新宿線の新所沢以北の各駅のスタンプも集め、残るは東飯能~西武秩父間のみとなりました。これも夏休みに予定を組んで、狙ってみたいと思います。
スタンプ一覧表
以下、今回集めたスタンプのリストです。スタンプの色は黒、赤、青、緑、紫の5色です。当初は国鉄のスタンプのように色に意味合いを持たせているのかと思いましたが(「黒=鉄道施設」とか)、リストを見る限り特にそんなことはなさそうです。
駅番号 | 駅名 ●は他駅に設置 | 図柄 | インク色 |
---|---|---|---|
SI01 | 池袋 | 西武本社ビル | 黒 |
SI02 | 椎名町 | 豊島区立トキワ荘マンガミュージアム | 赤 |
SI03 | 東長崎 | 駅舎 | 青 |
SI04 | 江古田 | 武蔵野音大 | 緑 |
SI05 | 桜台 | 千川通りの桜並木 | 赤 |
SI06 | 練馬 | 練馬区役所 | 紫 |
SI07 | 中村橋 | 中村橋阿波おどり | 黒 |
SI08 | 富士見台 | 車窓からの富士山 | 赤 |
SI09 | 練馬高野台 | 武蔵野三十三観音霊場一番 長命寺 | 青 |
SI10 | 石神井公園 | 石神井公園 | 緑 |
SI11 | 大泉学園 | 練馬区立牧野記念庭園 | 赤 |
SI12 | 保谷 | 留置線 | 紫 |
SI13 | ひばりヶ丘 | 駅舎 | 黒 |
SI14 | 東久留米 | ダイヤモンド富士 | 赤 |
SI15 | 清瀬 | ひまわり | 青 |
SI16 | 秋津 | 貨物線走行牽引車 | 緑 |
SI17(SS22) | 所沢 | ところざわまつり | 赤 |
SI18 | 西所沢 | 駅舎 | 紫 |
SI19 | 小手指 | 小手指原古戦場 | 黒 |
SI20 | 狭山ヶ丘 | 駅舎 | 赤 |
SI21 | 武蔵藤沢 | 駅舎 | 青 |
SI22 | 稲荷山公園 | 稲荷山公園 | 緑 |
SI23 | 入間市 | 入間茶 | 赤 |
SI24 | 仏子 | 旧入間川橋梁 | 紫 |
SI25 | 元加治 | 阿須運動公園 アンモナイトの水飲み場 | 黒 |
SI26 | 飯能 | 飯能まつり | 紫 |
SI38 | 新桜台 | 地下ホーム | 青 |
SI39 | 豊島園 | 庭の湯 | 赤 |
SI40 | 下山口 | 駅ホーム | 緑 |
SI41(SY03) | 西武球場前 | 西武ドーム | 赤 |
SS01 | 西武新宿 | 新宿プリンスホテル | 黒 |
SS02 | 高田馬場 | BIGBOX高田馬場 | 赤 |
SS03 | 下落合 | 神田川・妙正寺川 | 青 |
SS04 | 中井 | 染の小道 | 緑 |
SS05 | 新井薬師前 | 旧駅舎 | 赤 |
SS06 | 沼袋 | 哲学堂六賢台 | 紫 |
SS07 | 野方 | 笑い地蔵尊 | 黒 |
SS08 | 都立家政 | 駅舎 | 赤 |
SS09 | 鷺ノ宮 | 鷺宮八幡神社 | 青 |
SS10 | 下井草 | 旧駅舎 | 緑 |
SS11 | 井荻 | 駅舎 | 赤 |
SS12 | 上井草 | スーパーロングベンチ | 紫 |
SS13 | 上石神井 | 旧駅舎 | 黒 |
SS14 | 武蔵関 | 武蔵関公園 | 赤 |
SS15 | 東伏見 | ダイドードリンコアイスアリーナ | 青 |
SS16 | 西武柳沢 | 駅舎 | 緑 |
SS17 | 田無 | 田無アスタ専門店街 | 赤 |
SS18 | 花小金井 | 小平ふるさと村 | 紫 |
SS19 | 小平 | ブルーベリー | 黒 |
SS20 | 久米川 | くめがわ電車図書館 | 赤 |
SS21(SK05) | 東村山 | 北山公園菖蒲苑 | 青 |
SS23 | 航空公園 | 駅舎 | 緑 |
SS24 | 新所沢 | 駅ビル | 赤 |
SS25 | 入曽 | 七曲井 | 紫 |
SS26 | 狭山市 | 狭山市入間川七夕まつり | 黒 |
SS27 | 新狭山 | 株式会社ロッテ狭山工場 | 赤 |
SS28 | 南大塚 | 山王塚古墳 | 青 |
SS29 | 本川越 | 時の鐘 | 緑 |
SS30(ST04) | 萩山 | 立体交差 | 紫 |
SS31(SK04) | 小川 | ブリジストンイノベーションギャラリー | 黒 |
SS32 | 東大和市 | BIGBOX東大和 | 赤 |
SS33 | 玉川上水 | 玉川上水 | 青 |
SS34 | 武蔵砂川 | 国営昭和記念公園 | 緑 |
SS35 | 西武立川 | 駅舎 | 赤 |
SS36 | 拝島 | ヤシの木 | 紫 |
ST01(SK01) | 国分寺 | 武蔵国分寺公園 | 黒 |
ST02 | 一橋学園 | 駅舎 | 赤 |
ST03 | 青梅街道 | 駅舎 | 青 |
ST05 | 八坂 | 野火止用水 | 緑 |
ST06 | 武蔵大和 | 多摩湖堰堤 | 赤 |
ST07(SY01) | 多摩湖 | 多摩湖取水塔 | 青 |
SK02 | 恋ヶ窪 | ハートのつり革 | 赤 |
SK03 | 鷹の台 | 玉川上水と線路 | 青 |
SK06 | 西武園 | 西武園競輪場 | 赤 |
SY02 | 西武園ゆうえんち | 観覧車 | 赤 |
SW01 | 武蔵境 | 101系車両 | 緑 |
SW02 | 新小金井 | 駅舎 | 赤 |
SW03 | 多磨 | 多磨霊園 | 紫 |
SW04 | 白糸台 | 車両基地 | 黒 |
SW05 | 競艇場前 | 多摩川ボートレース場 | 赤 |
SW06 | 是政 | 是政橋 | 青 |
SI27 | 東飯能 | 飯能ひな飾り展 | 赤 |
SI28 | 高麗 | 将軍標・巾着田の曼珠沙華 | 赤 |
SI29 | 武蔵横手● | 北向地蔵 | 黒 |
SI30 | 東吾野● | 吾那神社 | 緑 |
SI31 | 吾野 | 東郷公園 | 赤 |
SI32 | 西吾野● | 子ノ権現天龍寺の鉄のわらじ | 緑 |
SI33 | 正丸● | 正丸隧道 | 黒 |
SI34 | 芦ヶ久保● | フルーツ | 赤 |
SI35 | 横瀬 | 武甲山 | 赤 |
SI36 | 西武秩父 | 駅舎 | 紫 |
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