大山ケーブルカーで大山阿夫利神社へ~休日の混雑状況は?行列を回避するには「丹沢・大山フリーパス」がおススメ(2022/12)

神奈川県伊勢原市の大山阿夫利神社への足である大山ケーブル。混雑するハイキングシーズンの休日朝に乗ってみた経験に基づき、行列を避ける方法を紹介します。

近くにありながら長年未乗だった大山ケーブルカー

国内全鉄道完乗者を自称している私ですが、これまでケーブルカーは「鉄道」の定義の対象外と見なしていました。しかし最近はケーブルカーも乗りつぶすようにしており、この前のゴールデンウィークには未乗路線の一つである御岳登山鉄道に乗りに出かけました。

今回は、関東で唯一未乗のまま残っていた大山ケーブルに乗りに出かけました。(本当は平日に休みを取って天橋立ケーブルカーに乗りに行くつもりだったのですが、事情があって行けず…) 大山ケーブルカーは、小田急の伊勢原駅からバスと徒歩で30分あまりの場所にあり、関東のケーブルカーとしては比較的アクセスしやすい方なのですが、「いつでも行ける」という油断ゆえかずっと手つかずのまま残っていました。また、バス停を降りてからケーブルカー乗り場までの徒歩での移動距離が長く、雨の日や夏場などは行きづらいことも足を遠ざける原因となっていました。

今回は12月の初旬、しかも晴天ということでケーブルカー乗車には絶好のタイミングでしたが、思った以上に混雑が激しく閉口しました。混雑の様子と、その対策についてお伝えしたいと思います。

ロマンスカー&直行バスでケーブル乗り場へ

大山ケーブルカーに乗るには、まず小田急の伊勢原駅に向かうことになります。伊勢原に停車するロマンスカーはおおむね一時間に一本ほどありますが、休日であれば新宿7時発・伊勢原7時47分着の「はこね51号」、あるいは新宿8時発・伊勢原8時47分着の「はこね53号」がおすすめです。なぜなら、これらのロマンスカーは一日2本しかない、ケーブルカー乗り場行きの直行バス(7時55分、8時55分)に接続するからです。ケーブルカー乗り場行きのバス(途中のバス停にも停車する)は通常20分おきに運行されますが、直行バスはその隙間に運行されるので空いている可能性が高いです。

伊勢原駅からケーブルカー乗り場への所要時間は27分で、「はこね51号」と直行バスを乗り継げば、途中の徒歩を考慮してもケーブルカーの始発が出発する9時にはゆうゆう間に合うはずです。

という訳で、朝早くまだ空いている「はこね51号」(EXEα)に乗車し、伊勢原駅に降り立ちました。駅前には大山の山上にある阿夫利神社の鳥居があり、早くも門前町の雰囲気が漂います。

大山ケーブル方面へ向かう神奈中バスの乗り場に向かうと、既に中学生のグループなどがいて早くも行列ができていました。その後もロマンスカーや後続の急行から続々と客がやってきて、数十メートルほどの行列となってしまいました。行列の客をバスに詰め込むと車内は満員御礼、通路にもぎっしりと客を詰め込んだ状態で発車しました。(それでも乗り切れない客もいて、そちらは次の各停便に乗るようでした) ロマンスカーから乗り継ぐ場合、油断せずなるべく素早くバス乗り場に移動するのが良いでしょう。

そのような状況だったため車窓はあまり見えなかったのですが、途中の道が妙に狭いのが気になりました。また、直行便に限って地元出身の落語家の方による車内アナウンスが行われ、沿線の名所案内をしたり、落語「大山詣で」を披露したりしていました。そういえば、富山の万葉線でも地元出身の立川志の輔師匠が車内アナウンスをしていましたね。今もまだ続いているのでしょうか?

北陸私鉄乗りつぶし(その2)

バスは途中渋滞もなく順調に進み、定刻通り8時22分に「大山ケーブル」バス停に到着しました。

ハードな山登り&大行列で疲労困憊

バスを降りると、ケーブルカー乗り場までは10分強(これでもかなり早く歩いたので、実際はもっと掛かるでしょう。公式には乗り継ぎ時間は16分とされています)参道を歩く必要があります。この参道は途中300段以上の階段があり、速足で歩くとなかなかハードな道のりでしたが、途中には茶店や土産物店も点在しており(私が訪問した時は朝早すぎて空いてませんでしたが)、店に立ち寄りながらゆっくり歩けばそれほど大変ではないと思います。

ケーブルカー乗り場には8時半前に着いたのですが、まだ乗り場の手前の柵が開いておらずしばらく待ちました。その間にも後ろには長い行列ができ、混雑の様相を呈してきました。8時45分に柵が開くと、行列は2手に分かれます。1つはケーブルカーに直接乗り込む客の列、もう1つはケーブルカーの切符を買うための列です。実はここまで何も考えずに来てしまったのですが、大山ケーブルカーは御岳ケーブルと違ってSuicaは使えず、乗車券を持っていなければ窓口で紙の切符を買わなければいけません(窓口での支払い時にSuicaを使うことは可能)。ケーブルカー乗車券がセットになった「大山フリーパス」(後述)で来ておけば、少なくとも切符を買う行列に並ぶことは回避できたのですが、時すでに遅し。切符を買ううちにケーブルカー乗車待ちの列は写真のようにかなり長くなり、ケーブルカーの始発は満員で乗れませんでした。

ただ、並んだおかげでレトロな往復乗車券が入手できたのはよかったです。本来ケーブルカーは20分おきの運行ですが、このように混雑しているので到着した便が随時折り返す形で運行されるようです。結局、9時10分頃に出発した2台目のケーブルカーに辛うじて乗ることができました。車両は比較的近年更新されたようで、ライトグリーンが目立つおしゃれな車体です。

ケーブルカーは満員の乗客を詰め込んで(とはいっても重量の制限があるためか満員電車のような寿司詰めではありませんでしたが)大山ケーブル駅を出発します。大山ケーブルには、ケーブルカーとしては珍しい途中駅(大山寺駅)があります。箱根登山ケーブルや坂本ケーブルにも途中駅がありますが、大山寺駅はケーブルカーの行き違い場所に駅にあり、これは国内では唯一の事例だそうです。写真の通り、駅のベンチが階段状になっているのが特徴ですが、乗り降りする客はいませんでした。大山ケーブル駅からわずか4分で、終点の阿夫利神社駅に到着です。

阿夫利神社参拝&あっさり帰路へ

ケーブルカーを降りて少し歩くと、大山阿夫利神社に到着します。(御嶽神社のように、駅からめちゃくちゃ歩かされることはなくほっとしました) 大山は御岳山と同じく関東では広く信仰されてきた神社で、大山講が建てた石碑が境内の至る所に安置されていました。ケーブルカーの客は神社参拝よりもハイキングが目当ての客が多いようで(ケーブルカーに乗らず自力で登山する客も多かった)、境内の混雑はそれほどでもありませんでした。私は参拝後あっさり折り返して、すぐに下山します。帰りの便は流石に空いていたので、運転台直後の席に座りました。この日は天気が良かったおかげで、車内からは三浦半島や相模湾が良く見えました。

帰りのバスも空いていたので運転台直後の席に座ります。出発してしばらくは片側1車線の普通の道が続いたのですが、途中からバス1台が通るのがやっと、という道が延々と続きました。写真が撮れなかったのでGoogleマップのストリートビューへのリンクを張りましたが、軽自動車同士ならばなんとかすれ違えるものの、バス同士やバスと一般車のすれ違いは困難なレベルでした。休日朝なので行き交う車はそれほど多くありませんでしたが、普段はどうやってすれ違っているのだろう、と思ってしまいます。

大山行くなら丹沢・大山フリーパスで!

という訳で、ハイキングシーズンの休日は大山ケーブル駅の乗り場が混雑するため、大山ケーブル&周辺の神奈中バス・小田急線が乗り放題となる「丹沢・大山フリーきっぷ」を使い、ケーブルカーの乗車券を事前に入手しておくのがおすすめです。そうすることで切符を買う列に並ぶ必要がなくなるため、ケーブルカー乗車までの時間をかなり短縮できるはずです。「丹沢・大山フリーきっぷ」には、色々なバス路線の乗り放題が付いているので高いのでは?と思いがちですが、伊勢原駅から神奈中バス&ケーブルカーで阿夫利神社駅まで往復するだけで元が取れます。

なお、「丹沢・大山フリーきっぷ」にはAキップ・Bキップの2種類がありますが、大山ケーブルに乗れるのはAキップのみですのでお気を付けください。新宿など小田急線各駅で買えるほか、もし発駅で買い忘れた場合は伊勢原駅で購入することもできます。

丹沢・大山フリーパス | 小田急のお得なきっぷ
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ひとまずこれで関東のケーブルカーは全て完乗し、残るは近畿以西の路線のみとなりました。

会社名路線名営業キロ
青函トンネル記念館青函トンネル竜飛斜坑線0.8
筑波観光鉄道筑波山鋼索鉄道線1.6
高尾登山電鉄ケーブルカー1.0
御岳登山鉄道ケーブルカー1.0
箱根登山鉄道鋼索線1.2
大山観光電鉄大山鋼索線0.8
伊豆箱根鉄道十国鋼索線0.3
立山黒部貫光鋼索線(黒部ケーブルカー)0.8
鋼索線(立山ケーブルカー)1.3
無軌条電車(立山トンネルトロリーバス)3.7
比叡山鉄道比叡山鉄道線2.0
京福電気鉄道鋼索線1.3
鞍馬寺鞍馬山鋼索鉄道線0.2
丹後海陸交通天橋立鋼索鉄道0.4
近畿日本鉄道生駒鋼索線2.0
西信貴鋼索線1.3
南海電気鉄道鋼索線0.8
京阪電気鉄道鋼索線0.4
六甲山観光六甲ケーブル線1.7
神戸すまいまちづくり公社摩耶ケーブル線0.9
四国ケーブル八栗ケーブル0.7
皿倉登山鉄道皿倉山ケーブルカー1.1
岡本製作所別府ラクテンチケーブル線0.3
総計25.6

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