【免許維持路線】一日わずか三往復「バスターミナル東京八重洲」から京王バス050系統 渋谷駅行きに乗車(2022/10)

9/17開業の「バスターミナル東京八重洲」からは、「050系統渋谷駅行き」という一日たった三本のバスが発車します。この怪しげなバスに乗車してきました。

9/17開業・東京駅八重洲口発着の高速バスを集約

2022年9月17日、東京駅八重洲駅前の再開発によってできた「東京ミッドタウン八重洲」の地下に、「バスターミナル東京八重洲」が開業しました。従来、八重洲口のバス乗り場は、JRの高速バスターミナルを除き路上に分散していましたが、これがバスターミナル東京八重洲に集約されます。このようにバス会社の枠を超えて大規模なターミナルが整備されるのは、東京では「バスタ新宿」以来の事例となります。(ただし、今回開業したのは第一期分のみで、全ての乗り場が完成するのはもう少し先になるようです。)

個人的な話ですが、20年ほど前に八重洲のバス停から東北急行バスの仙台行き夜行バスに乗ろうとした際、乗り場が分からず乗り遅れそうになった(バス停に着いた時には発車時刻を過ぎていたが、バスが遅れていて辛うじて乗れた)苦い思い出があります。ですので、このような取り組みは大変ありがたい限りです。もっとも、最近は体力の低下もあって夜行バスに乗る機会は皆無に近いですが…

夏の北東北の旅

さて、今回集約されたのは主に千葉方面へ向かう高速バスなのですが、その中に1本だけ通常の路線バスも混じっています。これが中々「訳あり」の路線らしいので、バスターミナル訪問を兼ねて乗車してみることにしました。

少々迷いつつも、ミッドタウン八重洲地下2階のターミナルへ

まずは、東京駅前にできた高層ビル「ミッドタウン八重洲」に向かいます。夏に来たときはまだ囲いが設置され中に入れませんでしたが、10月に訪問した時点では一階から地下へ降りるエスカレーターが開放されていました。一階はまだまだ工事中のようで、何やら作業中のエリアもありました。

地下一階に降りると、目の前には飲食店が立ち並んでいます。まだ開業間もないのですが、八重洲地下街とほぼ一体化していることもあってかどの店もそこそこお客さんが入って賑わっていました。案内図を見ながらしばし飲食店街をさまようと、意外にこじんまりとしたバスチケット発券カウンターを見つけました。カウンター前のディスプレイに、これから発車するバスの一覧が掲示されていましたが、銚子や木更津・君津など千葉方面の行先が並んでいました。そんな中、「新橋駅、新宿駅、渋谷駅」という行先が異彩を放っています。このバスにこれから乗ってみようと思います。

発券カウンターの前にあるエスカレーターで地下二階に降りると、きらびやかな飲食店街とはうって変わって無機質なバスターミナルが現れました。乗り場は11番から16番まであり、通路の左右に3個づつ並ぶ形となっています。バスが行き来する通路との間はガラスで仕切られ、排気ガスの匂いは全くしません。停車しているバスは京成や日東交通といった千葉方面のバス会社に、ウィラーなど高速専業の会社が中心です。そんな中、これから乗る京王バスの「050系統渋谷駅行き」がちょこんと停車していて、何とも場違いな感じがします。

一日三往復、謎の路線バスで東京散歩

撮影ミスで下半分が切れてしまいましたが悪しからず…

やってきたバスは、都バスなどでも見られる最新の燃料電池バスでした。車内の客は5人ほどで、自分も含め皆このバスに乗ること自体が目的の客と見受けられました。一日三本の珍しい系統だからか、運転士とは別に添乗の乗務員さんも乗られていました。

時刻通りにバス乗り場を発車すると、地下通路をぐるぐると曲がりながら進んで地上に出ます。都営浅草線の上に位置する昭和通りに入ると、バスはしばらく掘割の中を進みます。昭和通りを通るのはほぼ初めてだったのでこのような構造になっているとは知らなかったのですが、途中信号待ちもほとんどなく、あっという間に新橋に到着しました。

新橋駅バス停を過ぎると、バスは環状2号のトンネルに入ります。トンネルを抜けると、現在建設工事中の虎ノ門ヒルズの新ビルの脇に出て、溜池交差点、赤坂見附を経て四ツ谷へと向かいます。このルートの地下には銀座線、丸ノ内線があるのでさんざん通っているはずですが、地上を通ることはめったにないため何だか新鮮です。途中、日枝神社の鳥居も見えました。

駅前からやや離れた四谷一丁目バス停に停車し、今度は新宿通りを経て新宿へと向かいます。御苑トンネルには入らず新宿御苑前バス停に停車し、歩行者天国の行われている区間を避けるかのように靖国通りへと迂回します。歌舞伎町の前を通って大ガード下を抜け、新宿駅西口バスターミナルに停車しました。停車したバス停は一番外れの方の、ヨドバシカメラ付近にありました。道路が空いていて時間が余ったためか、ここで5分ほど発車待ちとなります。

八重洲から新宿まではバス停の数も少なく、この路線独自のルートを通ってきましたが、新宿から渋谷までは既存の路線が並行し、バス停の数も普通の路線バス並みに増えます。時間も無くなってきたので、新宿副都心の西のはずれにある「十二社池の下」バス停で下車しました。バス停には専用の時刻表が掲示してありましたが、一日たったの三本しかない時刻表は都心としては何とも「異様」に感じられます。

謎の路線誕生の背景は?

乗車日は日曜日ということで道路は空いており、途中のバス停の少なさも相まって八重洲から新宿まで40分ほどで到着することができました。それでも地下鉄の所要時間に比べると圧倒的に長く、本数も少ないことから、普通に考えるとこの路線の存在価値は正直言って見出せません。実際に乗っている客もバスファンばかりでしたし。

そんな路線をなぜ京王バスがわざわざ走らせているのかは正直謎ですが、実はバスターミナル東京八重洲の運営に京王バスが参画していることが大きく関係していそうです。京王はこれまで新宿以西の路線しか持っておらず八重洲には縁がありませんでしたが、一本ぐらいは乗り入れ路線を持っておかなければ格好がつかない、という意思が働いたのでしょうか。

という訳で狙わないとなかなか乗れない本路線ですが、車窓はなかなか楽しかったので時間が合えば是非一度乗ってみてください。椅子がかなり硬いので40分も乗っているとお尻が痛くなるのが難点ですが。

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