最終更新日:2021/8/21

ポケット時刻表コレクション ロンドン編

 2015年にロンドンを訪問した際、市内のターミナル駅にいくつか立ち寄り、 そこで無料配布されていた時刻表を入手しました。 ロンドンでは、発車時刻を駅単位でまとめた時刻表は発行されていないようで、近郊路線の全駅時刻表が系統ごとに配布されていました。 そのサイズはものによっては結構大きく、「ポケット時刻表」とはとても言えないサイズのものも散見されました。
 時刻表のサイズや体裁は会社ごとにかなり違いがあり、個性が見られました。 私はロンドンの鉄道網に特段詳しいわけでもなく、誤りを含む可能性もありますが、各時刻表を解説してみたいと思います。

目次

ポケットサイズの時刻表

Tube Map(December 2014)


表面

裏面

折畳み時のサイズ:縦15cm×横7.5cm

コメント:
 "Tube"もしくは"Underground"と呼ばれるロンドン地下鉄は時刻表を発行していないようで(ホームの時刻案内も「○分後」という表示のみ)、 このような折り畳み式の路線図が発行されているのみでした。
 内容としては表面が駅一覧、裏面が路線図となっています。 時刻によっては停車しない駅があるようで、路線図の横に細々と注意書きがされています。 ロンドン地下鉄の運賃はゾーン制で、ゾーンをまたぐと運賃が上昇する仕組みになっており、路線図にもゾーン(1〜8までの数字)が描かれています。
 こうやって見ると、ロンドンの地下鉄網は路線同士の離合集散や、路線内での枝分かれが多く複雑ですね。。 東京の地下鉄のように私鉄との相互乗り入れがない分、まだましではありますが。

Thameslink train times(17 May to 12 December 2015)


表紙

時刻表

折畳み時のサイズ:縦10.5cm×横7.5cm

コメント:
 ロンドンを発着する近郊路線は現在、10社あまりの鉄道会社によって運行されています。 日本でいえば東武・西武・小田急といった私鉄各線が郊外への輸送を担当しているのと同じようなものでしょうか。
 Thameslinkはそれらの鉄道会社の1つで、南北250kmに渡る路線網を持っているそうです。 この会社の特徴は、中心部のCityを経由する形でロンドン市内を縦断する路線を持っていることで、 郊外からの列車はすべてこの線に乗り入れています。日本でいえば上野東京ラインのような運行形態ですね。 ちなみに、電化方式は架線・第三軌条の2つの方式が入り混じっており、 両者を走行できる車両(日本には現状存在しない)を使用しているとか。
 時刻表の方ですが、全走行区間をB1〜B4の4つに分割し、4つの冊子には各区間を走行する全列車を全て掲載する形をとっています。 折りたたんだ状態だと比較的コンパクトですが、開くと20cm×80cmほどと大きく、「ポケットサイズ」とはいいがたいです。
 例えばB1の冊子を開いてみると、BEDFORD〜ST ALBANS CITY間の各駅の時刻(+他区間の主要駅の時刻)が確認できます。 ルートン空港・ガドウィック空港という2つの空港を結ぶ線だからか、終夜に渡って列車が運行されているようです。 長距離を走る列車には1等車が連結されているのも東京の近郊列車と似ています。

EAST MIDLANDS TRAINS TRAIN TIMES(18 May 2015 to 12 December 2015)


表紙

時刻表

脚注

折畳み時のサイズ:縦10.5cm×横7.5cm

コメント:
 こちらはEAST MIDLANDSという、ロンドンから北に路線を延ばす会社の時刻表です。 起点はすべてSt Pancras駅で、系統ごとに5冊の時刻表に分かれています。 時刻表を開くと、蛇腹状の細長い紙に列車ダイヤが列挙されているという、 日本の地方線区でありがちなフォーマットになっています。 ただし全駅掲載ではなく、主要駅のみ記載されているようです。
 ノッティンガム、シェフィールドといったイングランド中部まで足を延ばす列車は走行距離が軽く100kmを超えるため、 日本の特急列車並みに車内サービスが充実しているようで、普通車でも車内販売があるほか、 1等車では食事も提供されるようです。

冊子サイズの時刻表

south eastern Train times(17 May to 12 December 2015)


表紙(1)

表紙(2)

1ページ目

2ページ目

時刻表

折畳み時のサイズ:縦21cm×横10cm

コメント:
 south easternはロンドンから南東部に複雑な路線網を張り巡らせています。 起点駅はVictoria, Blackfriars, Charing Crossの3駅に分散しています。 加えて、一部の路線にはThameslinkの列車も乗り入れていて、これも時刻表に記載されています。 (日本の鉄道でいう相互乗り入れのようなものなのだろうか?運賃体系など、どうなっているのかは謎)
 時刻表はちょうどA4の3分の1サイズで、運行系統別に7冊に分かれています。 全駅全列車の時刻を掲載していることからトータルのページ数はかなりのもので、 中には厚さが1cm近くに達している冊子もあります。 時刻表を眺めるとどうやら快速運転も行われているようですが、停車駅は列車ごとにランダムで、 使いこなすのは結構大変そうですね。
 その他、営業規則的な記述や、謎のイラストを使ったオフピークチケットの広告も掲載されていました。

greater anglia train timetables(17 May 2015)


表紙

裏表紙(路線図)

時刻表

折畳み時のサイズ:縦21cm×横10cm

コメント:
 こちらはgreater angliaというロンドン北東部に路線を延ばす会社の時刻表です。 基本的にsouth easternと同じ体裁で、3冊の冊子に全駅時刻表が掲載されています。 ケンブリッジ大学で有名なCamblidgeにも路線を延ばしているようです。
 この鉄道の特徴として、一部の列車の座席予約が可能な点が挙げられます。 他の近郊路線で、そのように明示している路線はありませんでした。

Interim trains timetable(17 May 2015)


表紙

時刻表

裏表紙(脚注)

折畳み時のサイズ:縦21cm×横10cm

コメント:
 最後に掲載するのは、現在TfL RailおよびLondon Overgroundとして運行される2路線です。 この路線、2015年の5月末まではgreater angliaの管理下だったようなのですが、 2015年5月17日のダイヤ改正から会社移行までの暫定的な時刻表としてこの冊子が配られていたようです。 いかにも暫定版らしい、無味乾燥なレイアウトになっています。
 そういえば、ここまで掲載してきた時刻表はいずれも5月17日改正(EAST MIDLANDSのみ18日)でした。 イギリスでは近郊鉄道を全て国営企業が保有しており、その影響があるのでしょうか。