コモンズ館は大小様々な国のブースが一堂に会し、「世界旅行」を楽しめる万国博覧会の真髄ともいえるパビリオンです。館内を巡る際の注意点を紹介します。
長くなり過ぎたので、コモンズAとDは次ページでご紹介します。
コモンズ館こそ万国博覧会の真髄
筆者は過去7回の万博訪問で、独立した建物を持つ海外パビリオンは2つ(ネパール、エジプト)を残して踏破しましたが、万博に出展している国自体はまだまだ沢山あります。
独立したパビリオンを持たない中小の国は「コモンズ館」と呼ばれる巨大な建物内のブースに出展しており、その数は実に94にも上ります。独立した海外パビリオンは59(台湾を含む、北欧館は1つとカウント)しかないので、それより圧倒的に多いです。
コモンズ館の参加国は実に多様で、モンゴルやイスラエルなど誰もが知っている国もあれば、筆者も全く聞いたことのなかった国(主にカリブ海の小国が多い)もあります。展示内容も、独立館に負けないようなハイクオリティの所もあれば、一生懸命手作りしたであろうポスターを張り付けているような所もあり、多様性に富んでいます。
中には紛争中だったり治安の問題があって訪問がほぼ不可能な国もあり、それらも含めて「超簡易な世界旅行」を楽しめるのはこの万博だけの貴重なチャンスです。ネット上ではどうしてもイタリア館とかGUNDAM、モンハンなど予約必須の有名どころが話題になりがちですが、コモンズ館こそが万博の真髄だと個人的に思っているので(その割に訪問は先送りしていましたが)、皆様もぜひ見にいってください。
複雑な構造のコモンズ館・地図の入手方法は?

コモンズ館は主にA~Dの4つに分かれているのですが(Eは海外展示なし、Fは3か国のみ)、どれもだだっ広い上にレイアウトも複雑で、闇雲に巡るとどこを訪問済みか分からなくなりがちです。流石に「つじさんの地図」や公式マップにもパビリオン内のレイアウトはありませんが、以下のサイトでコモンズ館内のレイアウトが確認できます。(ページの下の方)

また、上記の地図に日本語表記を埋め込んだものも有志の方が作成しておられるようです。確実に全部を巡りたい、あるいはスタンプを集めたいという方はこの地図を印刷しておくとよいかもしれません。
各国のブースは2つに分離
なお上記の地図のうち、黄緑色のエリアがメインの展示場で、その脇にある水色のエリアは「アイランドゾーン」と呼ばれ、分所のような位置づけとなっています。

どうやら、展示はメインエリアで行い、アイランドゾーンでは物販を行う想定だったようです。しかし、残念ながらコモンズ館で物販を行っている国はそれほど多くなく、アイランドゾーンは十分に活かされているとは言えない状況でした(やっつけ仕事のように展示物が置かれていたり、下手をすると空き家のようになっているケースも)。
また、メインエリアとアイランドゾーンが館内に混在し、各国のブースが二分された形になってしまっているのもレイアウトのややこしさに拍車をかけている気がします。
基本的にすぐ入場できるが、日中は待ち時間発生
コモンズ館は予約も必要ない上、朝晩などは待ち時間ゼロで入館できます。しかし、入場者が最も増えるお昼から夕方にかけては、入口で待たされることもあります。どうやら、混雑時はパビリオンを退場した人数分だけ入場させる方式のようで、館内でショーなどのイベントが行われているときはなかなか退場者が出ず、延々と待たされることもあるようです。
筆者の見た限り、東ゲートに近いA館と、パキスタンのピンク岩塩など人気ブースの多いD館は混むことが多いので、その場合はB館やC館に回ってみるのも手でしょう。
ちなみに、1つの館をざくっと見るだけでも30分から1時間ぐらいは掛かりました。一日でA~D館を全部を見ようと思うと、それだけ最低2~3時間は掛かると思っておいた方がいいでしょう。
それでは各館内のブースの見所を、例によって筆者の独断と偏見で紹介していきたいと思います。筆者の訪問順での紹介となるため、順番は若干分かりにくいですがご容赦ください。
コモンズB館のブース

ソマリア


ソマリアブースの展示のメインは「サッカー」。サッカー強豪国のイメージは正直無いですが… マスコットデザインは日本人が担当しているそう。
パラグアイ


パラグアイブースでは奇妙な面相のお面などを展示。奥のエリアでは360度スクリーンでパラグアイの自然を鑑賞できます。
タンザニア


タンザニアブースでは、自国の鉱石から作ったツリーのオブジェなど名産品を展示。
ドミニカ共和国


ドミニカ共和国はスポーツ強豪国ということで、選手のパネルを展示。


サンバの衣装や、古代の工芸品の展示もありました。
ザンビア


ザンビアブースでは工芸品や、ヴィクトリアの滝など国内の自然を紹介。
ジャマイカ


ジャマイカが誇る人類最速の男・ボルトの等身大人形は記念撮影の名所となっていました。同国発祥のレゲエに関する展示もあり。

あと、映画で有名になったボブスレーには乗ることもできます。
ベナン


アフリカ中西部・ベナンのブースでは民族衣装や木像などを展示。
カーボベルデ、チャド、シエラレオネ


上記3か国のブースは、他のブースの裏手のひっそりとした場所にありました。スタンプ集めの際などは見落としに注意が必要です。


気付かない人が多いせいか、ややうら寂れた雰囲気だったのはちょっと可哀想。
ミクロネシア


太平洋の島国・ミクロネシアのブースでは南国らしいオブジェや沈没船の模型を展示。
セントビンセント


カリブ海に浮かぶ島国・セントビンセントブースでは南米らしいド派手なサンバの衣装を展示。
ジブチ


ジブチブースには、伝統衣装を着たマネキンが複数いました。アラビア半島に近い国だけあって、衣装もどこかアラブ風。
中央アフリカ


中央アフリカブースは、駅の壁に貼ってある駅員さんお手製ポスターのような(?)味のあるパネルが印象的。
コートジボアール


コートジボアールはカカオの生産世界一ということで、ブース内の随所にカカオ豆があしらわれていました。
東ティモール


伝統の木造家屋の模型が鎮座する東ティモールブース。意外な所では鉱物の展示などもありました。
ツバル


海面上昇による水没危機が問題となっているツバルのブースでは、民族衣装と美しい自然風景を紹介。
エチオピア


エチオピアといえばコーヒーということで、茶器やコーヒー豆の写真を展示。
フィジー


フィジーのブースでは、文化やエコへの取り組みをいくつかの小部屋で紹介。パネルにはかなり細かく説明が書き込まれています。
モーリタニア


北アフリカ・モーリタニアのブースでは砂漠の砂に触れることができます(本物かどうかは不明)。ヨルダン館に入り損ねたらぜひどうぞ。
ハイチ


カリブ海に浮かぶハイチのブースには、「ハイチーズ」と書かれた写真パネルが…。ダジャレだと気づくのに数秒掛かってしまった。
レソト


レソトブースは、投資のお誘いをアピールするポスターに民芸品、山の模型などの展示内容となっていました。
ナウル


ナウルブースには緑色のゆるキャラ「ナウルくん」が鎮座。その姿は島の形を表しているようです。
ガンビア


ガンビアブースは映像放映にパンフレット、楽器の展示など非常にシンプルな内容でした。
ガイアナ


南米大陸の北部にあるガイアナは熱帯雨林が売りのようで、綺麗な鳥やナマケモノ、チーターが再現されまるで動物園のようでした。
ジンバブエ

ジンバブエブースは夜7時の時点で店じまいモードになっており、スタンプだけ集めました。開いていればタブレット端末で映像鑑賞ができるっぽい。
コモンズCのブース

クロアチア


クロアチアブースは、大量の透明なホースが吊るされた異様な造りに驚かされます。何でも、クロアチアの現在の気温・湿度を正確に再現しているのだとか。猛暑の大阪と比べると非常に涼しく、気候の違いを実感できます。
ガボン

人が多くてうまく写真が撮れていないのですが、ガボンブースはトンネルのような通路を進んだ先のシアターでガボンの自然などの映像を鑑賞するスタイルでした。
サンマリノ


イタリアに周りを取り囲まれた形の小国・サンマリノのブースは立体感があってなかなか洒落ています。


所々に設けられた覗き穴のような所からも、サンマリノの風景が見られる趣向となっていました。
グアテマラ


南米・グアテマラのブースは、トラスのように幾何学的に組まれた材木が異彩を放っています。

様々な民芸品と並んで飾られているのは、大量の「鬼」でしょうか?
ウクライナ

戦時下にあるウクライナですが、万博には出展しています。ブース内は国旗の色である黄色と水色で統一され、非常によく目立っていました。入場できる人数に限りがあるようで、平日午前中ながら10分ほど待ちました。


ブース内ではハンドルの付いたスマホ型端末を受け取り、店の商品に見立てたオブジェに付けられたタグのバーコードを読み取ると様々な映像を見られます。映像の内容は、厳しい戦災の中でも希望を捨てないウクライナ人を描いたもので、ウクライナの人々の魂の叫び、といえる内容でした。
ウルグアイ


ウルグアイブースには巨大なディスプレイが設置され、観客も参加してウルグアイに関するクイズ大会が行われていました。ちと難問過ぎて付いていけそうにないですが…
スロバキア


スロバキアブースは2面の大型ディスプレイを備え、スロバキアの街の風景や自然を映し出します
イスラエル


イスラエルブースは色々と凝っていて、入口付近にある石のようなオブジェでは聖書の言葉を紹介。


奥の方の映像ブースでは、他国のように単に風景を映した動画ではなく、なかなか芸術度の高い映像が流れていました。
パナマ


中米パナマは、奥へと続く長い通路がすべてスクリーンとなっていて、当地の生活の様子などが映像で流れます。
スロベニア


スロベニアブースは、入口付近の大きなスクリーンで自然風景を流すほか、冬のオリンピック強豪国ということでスキーが展示されていました。
モンテネグロ


モンテネグロブースは一風変わった作りになっていて、奥の方に張られた芝生スペースに寝転んで、天井のスクリーンに流れる自然風景を眺めるという趣向のようです。筆者もやってみましたが、寝る場所とスクリーンが近接しすぎていてやや見にくいのが気になりました。
長くなり過ぎたので、コモンズAとDは次ページでご紹介します。
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