千葉のミニ私鉄・流鉄流山線を全駅訪問~交通系ICなし・完全手動改札のレトロな路線【新京成電鉄も】

常磐緩行線の馬橋駅を起点とするミニ私鉄・流鉄流山線の全6駅を訪問してきました。昭和で時が止まったようなレトロな営業形態もご紹介します。

常磐緩行線・馬橋駅を起点とするミニ私鉄

流鉄流山線は、常磐緩行線の馬橋駅(といっても地元の方以外はピンと来ないかもしれませんが…松戸の2つ先の駅です)を起点とする、全長5.7km、6駅からなるミニ私鉄です。関東のミニ私鉄(距離が短く、他路線との直通もないもの)といえば流鉄以外にも江ノ電湘南モノレール、銚子電鉄などがありますが、それらの中でも一際地味な路線です。

そんな流鉄ですが、関東近郊にありながら交通系ICを導入しておらず完全手動改札と、昭和で時が止まったようなレトロな営業形態も特徴的です。東武野田線の全駅訪問で流山を訪問したついでに、流鉄(&ご近所の新京成電鉄)を全駅訪問してきました。

交通系ICなし・一日乗車券も超アナログ

TXの流山セントラルパーク駅へとやってきました。ここから流鉄の各駅へは歩けるほど近いので、まずは終点の1つ手前の平和台駅まで歩きます。ごく普通の住宅街を歩くこと10分少々で平和台駅に到着です。

平和台駅は平屋の小さな駅舎と、単線のホームを持つシンプルな駅でした。窓口で500円の一日乗車券を買い求めると、ハガキより一回り小さいサイズの常備券(券面を事前に印刷しておき、発券時は日付をスタンプで押すもの)が出てきました。関東近郊で、常備券のフリーきっぷを扱っているところは(期間限定のものを除けば)非常に少ないです。

そして、改札は昭和の頃のような「完全手動」で、降車時に駅員さんが切符を回収します(乗車時は改札なし)。当然ながら交通系ICカードは使えず、ご丁寧に改札口にその旨が表示されています。流石に切符の発行は手動ではなく券売機が設置されていますが、これも平成初期に導入されたと思われるものをいまだに使用していて、現金しか使えません。

今や他社では交通系ICカードを廃止し、スマホアプリ+QRコードで置き換えようという動きすらあるような時代ですが、ここ流鉄ではそんなのどこ吹く風、とばかりに昔懐かしいシステムが生き続けています。

ホーム屋根の支柱に設置されている駅名表示も、ホーローに手書きで字を書いた古めかしいものが健在でした。

小金城趾駅で撮影

そして、各駅の改札付近には駅スタンプが設置されていましたので、全駅分を集めてきました。やや年季が入っているスタンプもあり、インクも一部薄かったりしますが、それでも全駅にスタンプ台を設置してくれているのは駅巡りファンにとっては大変有難いです。

駅も車両もレトロな流鉄

平和台駅から1駅乗車し、終点の流山駅へ。流山駅に来るのは2009年以来15年ぶりですが、駅周辺の様子はほぼ変わっていないようです。古めかしい駅舎に、小ぢんまりとした駅前広場も以前と変わらずでした(駅名表記の脇に駅ナンバーが付いたのが違うぐらい)。駅構内のベンチといい、番線表示のフォントといい、昭和の風景と言われても信じてしまいそうです。

流山の駅構内には使用されていない車両が3本ほど留置されています。15年前は元西武の旧101系が使われていましたが、今は運転台周りの黒い縁取りが特徴の新101系に変わりました。これから乗るのも新101系ベースの赤い車体色の車両で、編成名は「あかぎ」です。

発車時刻になると、金属の鈴を打ち鳴らす昔ながらの「ベル」が鳴り、程なく流山を発車します。車内放送はテープによる自動音声で、その点は近代的ですね。

流山から2つ先の鰭ヶ崎で下車します。流鉄は日中20分間隔で、このままだと20分待ちになってしまいます。隣の小金城趾駅までは700mほどしかないですし、先程から降っていた雨も運よく止んだので、歩いてしまうことにします。

鰭ヶ崎から小金城趾までは線路に沿って道があるので、非常に歩きやすいです。途中、流山方面に向かう若葉色の車両とすれ違いました。坂川という小さな川を渡ると、程なく小金城趾に到着です。

ここは流鉄唯一交換可能な駅で、ほぼすべての列車が行き違いをします。車内に掲示されている路線図にも線路の形が描かれているので、分かりやすいですね。

小金城趾からは、先ほど見かけた「若葉」編成に乗って終点の馬橋駅に向かいます。座席が軽く埋まるほどの乗車率で幸谷駅に到着。ここは武蔵野線新松戸駅との乗換駅で、半数の乗客が下車しました。終点の馬橋駅も改札口は「非自動」で、ホームドアまで導入されている常磐緩行線とは対照的です。

馬橋から折り返して幸谷に戻り、これで流鉄の全駅訪問を達成しました。幸谷から新松戸まで歩き、常磐線で柏に出て東武野田線に復帰します。

新京成の全駅訪問はさながら「修行」?

野田線で柏から南下したところにある新鎌ヶ谷では、新京成線と接続します。新京成線のうち松戸~八柱間は以前訪問したものの、他はまだ手付かずです。

新京成は夏休み期間中、「夏のわくわく1日乗車券」(紙版、デジタル版)というのを枚数限定で発売しており、600円と安価で駅訪問をすることが可能です。新京成のフリーきっぷは発売されている期間が短く、枚数も限定ということなので、デジタル版の方を購入しておきました。

まずは新鎌ヶ谷から1駅移動し、北初富駅にやってきました。北初富は近年高架化されたようですが、駅周辺はごく普通の住宅地で、至って地味な駅です。

しかし、この北初富駅は鉄道の歴史に名を残す駅でもあります。かつて北総鉄道(当時は北総開発鉄道)の第一期区間が開業した際、まだ京成高砂~新鎌ヶ谷間が完成しておらず、しかも新鎌ヶ谷駅が未開業だったため、この北初富駅が暫定的な起点駅となっていました。新京成と北総は車体規格が共通であることを生かし、相互乗り入れも行っていたそうです。今では双方の線路とも高架化され、乗り入れはできなくなっています。

その後は常盤平までの各駅で下車していきます。写真の常盤平駅は、改札に向かう階段のど真ん中にエスカレーターがあるのがちょっと珍しいかなと思いました。

当初は、常盤平~新鎌ヶ谷間だけ巡ろうかとも思っていたのですが、こちらまで来る機会もあまりないですし、せっかくフリーきっぷを持っているので残る新鎌ヶ谷~京成津田沼間も巡ることにしました。といっても、新鎌ヶ谷~京成津田沼間には途中12も駅があります。しかもいずれもごく普通の住宅街の駅ばかりで、駅前の賑やかさや駅ビルの有無など多少差異があるものの似たり寄ったりの駅が続きます。

以前乗車した東急田園都市線あたりもこんな感じでしたが、あちらは二子玉川・たまプラーザ・南町田グランベリーパークなど賑やかな駅もいくつかあるのに対し、新京成の各駅は失礼ながらひたすら地味で、朝から歩き回っていた疲れが蓄積していることもあり修行のような時間が続きました(だったら来なきゃいいのですが…)。

また、フリーきっぷの方も「デジタル版」といいつつ実際は各駅の有人改札で券面を見せる必要があり、野田線と同じく奥に引っ込んでしまった駅員さんを大声で呼ばなければならないこともしばしばで、ややストレスを感じました。野田線の方は「リアル桃鉄」という大義名分が一応ありましたが、新京成の方は特にそういう理由もないので、駅員さんには不審がられたかもしれないですね。

そんな中、新型の80000形の座席はハイバック仕様で座り心地がよく、疲れた体にはありがたかったです(座ってる時間はわずかでしたが…)。写真のN800形は京成の車両とほぼ同じシートで、あまり特徴はありませんでした。

最後の新津田沼~京成津田沼間は「逆S字」のようなものすごい線形になっていて、カーブが連続します。とはいえ思っていたほどは減速せず、案外すんなりと走り抜けている印象でした。

そんな訳で非常に苦労はしましたが、これで新京成の全24駅を踏破しました。

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