ソウルメトロ2号線と京義・中央線に乗ってソウル東のターミナル・清涼里を訪問しつつ、COEX・ロッテタワー・国立博物館を巡りました。
韓国・ソウルの名所とは?
前回までの記事で書いたとおり、2日目の午前までにソウル周辺の気になる路線・列車は一通り乗ったので、あとはソウル市内の観光に充てることにしました。
とはいえ、今回結構気まぐれでソウル行きを決めてしまったので、筆者もソウルの名所はよく分かっていませんでした。出発が迫ってきてようやくガイドブックやネットで色々調べ、各スポットの訪問優先度を考えておき、体力と時間のもつ限りできるだけ多くの場所を訪れることにしました。
個人的に、初訪問の街ではなるべく歴史的な遺構や建物を巡るようにしているのと、街のランドマーク的な大型ビル・商業施設を巡るのが好みなので、それに該当するスポットを優先的に巡りました。なので、ガイドブック等で一般的にお勧めとされているスポット(明洞・弘大・ソウルタワーなど)とは若干ズレています。
大阪梅田並みの地下迷宮?COEX
地下鉄9号線・奉恩寺駅の目の前にあるのが「COEX」という複合施設です(2号線の三成駅からも直結)。ここはオフィスビル・展示場・水族館・商業施設が入り混じった巨大施設で、中を歩いてみると非常に広大です。また、構内図を見て分かる通り通路の方向がぐちゃぐちゃで、中を歩いていると自分がどこにいるのか分からなくなりがちです。
さすがに分かりづら過ぎるためか、写真のような青いトラックのようなものが引かれています。これが地図の二重線に対応しており、ここを歩くと奉恩寺駅から三成駅まで最短で歩けるようになっています。
そのCOEXの一角にあるのが「STARFIELD LIBRARY」という巨大図書館です。見ての通り2階までぶち抜きの巨大な本棚が並んでいて、映えスポットとして外国人観光客にも人気です。本棚の本は実際に取り出して閲覧することもできるのだとか。
サプライズ演出にびっくり・ロッテワールドタワー展望台
三成駅から地下鉄2号線に乗り、蚕室駅へ移動します。ここには、ロッテワールドタワーという高層ビルがあり、屋上の展望台に上ってみることにしました。ビルの高さは何と555mで、世界7位の高さだそうです。ビルの下層部はショッピングモールとなっていて(平日の昼間ながら結構人は多かった)、やや迷いながら展望台の入り口にたどり着きました。入場料は29000ウォンと、結構いい値段でした。
入口を抜けると、薄暗い地下通路に何やら複雑な映像がプロジェクションマッピングされた空間を進みます。通路の先はエレベーター乗り場で、しばらく待って直通エレベーターに乗ります。1分もしないうちに展望台に到着、しっかり耳抜きをしておかないと耳が痛くなりそうです。
エレベーターを降りると、真っ暗な会議室のような空間に通されます。目の前のスクリーンには、漢江沿いにソウルの街が発展してきたことを表現する映像がしばらく流れます。何なんだろうと映像を見ていると…
いきなり映像が終わり、先ほどまで映像が流れていたスクリーンがぱかっと開きました。すると、そこには漢江とソウルの街並みが…。この演出はなかなか格好良かったです。
展望台からは360度全方向が眺められるので、しばらく景色を眺めました。さすがに500mを超える場所だけあって、周辺のビルはどれもはるか下の方に見えます。それにしても、周辺には30階ぐらいはありそうな高層マンションが林立していて、ソウルの住宅需要はそれほど凄いのかと思ってしまいます。
あと、ソウルの街は基本的に山がちで、ビルの周りはぐるっと山に取り囲まれている印象でした。ビルのある蚕室はソウル中心部からやや離れており、ソウル駅や景福宮のあるエリアも山のせいで見えないのはちょっと残念でした。マリーナベイサンズの展望台は片やシンガポールの中心部、もう一方はガーデンズバイザベイとシンガポール海峡が見えて絶景だったのですが、それに比べると景色はやや平板に感じられました。ここは夜景目当てで来る方がいいかもしれないですね。
展望台の一角には、床がガラス張りになっているエリア(ただし立ち入るには追加料金が必要)や、屋根がなくオープンエアになっているエリアもありました。標高差が500mもあるので、地上と比べると空気はひんやりしています。
展望台を降り、ビルを地上から眺めてみました。こうやって地上から眺めると、周辺に対照となる建物がなくあまり高さが実感できないですね。
ここ蚕室はロッテグループの牙城のようで、ワールドタワーの他にもデパートが2つにホテル、屋内遊園地まであります。そのうち1つのデパートに入り、地下食品売り場に行くと、昨日見たのと同じようなフードコートを見つけました。まだ朝食のキンパが消化できていない感じですが、この先食べる場所が見つかるか分からないのでここで昼食を摂ることにします。
注文したのはカルビタン。骨付きの牛肉の塊がスープに5つほど入っています。ハサミやトングが付属していて、これで豪快に切り分けて食べます。味付けは非常にあっさりしていた上、意外に骨の部分が多くて肉はそこまで多くないのですんなり完食できました。お値段は2000円近くで、ローカルのレストランで食べるよりはお高い気がしますが、何せ筆者は現地のレストラン事情がさっぱり分からないですし、一人だと入れる店も非常に限られるとのことで仕方ありません。
ソウル東部のターミナル・清涼里駅へ
再び2号線に乗り、一気に8駅先の往十里へ向かいます。線路は漢江の手前で地上に出て、道路の併設された橋梁で川を越え、その後もしばらく地上を進みました。マンションと雑居ビルが入り混じった光景が続きます。
その途中、聖水駅では新設洞方面へ向かう支線が分岐していきました。環状線の支線というと名古屋の名港線を思い出しますが、この2号線にはもう一つ支線があるようです。
そういえば、途中には「建大入口」「漢陽大」と大学名の入った駅が2つもありました。これ以外にもソウルの地下鉄には大学名の入った駅がやたら多く、日本以上の学歴社会といわれる韓国らしさが表れているのかもしれません。
往十里駅でKORAILの京義・中央線に乗り換えます。この路線はソウルから郊外に向かう2つの路線をつなぎ合わせたもので、都心部を横断する線形が日本の中央・総武線によく似ています。京義線はもともと中国国境の新義州に行く路線でしたが、南北朝鮮の国境分断の結果、今はあの板門店あたりで線路が途切れてしまっています。
電車を待っていると、隣のホームに昨日乗り場を見た水仁・唐盆線の列車が入ってきました。車両前面部の造りは1号線のものとほぼ同じのようです。
京義・中央線に一駅乗って、清涼里駅に向かいます。清涼里はソウルから西へ向かう京春線・中央線のターミナルと聞いていたので、一度は訪問しておこうと思ってやってきました。ですが、構内はそんなに広くなく、駅の造りも他の駅と大差がないようでターミナルらしさはありません。
この駅は8番線まであるのですが、一部のプラットホームは電鉄線と長距離列車が混在していて、ホームの真ん中が柵で仕切られ、間に改札機が置かれていました。筆者の降りたホームの横には、日本海側の江陵へ向かう「KTX-イウム」が停車していました。車両の色合いは小田急ロマンスカー・MSEに似ています。
圧巻の展示内容・国立博物館
京義・中央線に乗り、ソウル中心部へと戻ります。この路線はソウル中心部の地上を進む数少ない路線で、しかも漢江やその支流沿いをずっと進みます。この立地条件も、中央・総武線の市ヶ谷あたりによく似ています。時折、京春線からソウル駅まで乗り入れる長距離列車が通過するのも、「あずさ」が乗り入れてくる東京~新宿間に似ていますし。
6駅先の二村駅で下車。ここの駅前に国立博物館があるので、下車してみることにします。駅から博物館前までは長い長い地下通路で結ばれていました。
博物館に到着すると、まず建物の巨大さに圧倒されました(写真で見るとあまり大きく見えないですが、周辺の人が米粒のように小さいことから建物のサイズが想像できるはず)。建物は3層構造になっていて、大まかにいうと1階が考古物、2階と3階の半分が絵画や書・仏像といった韓国の美術品、3階のもう半分が海外(日本、中国など)の美術品となっています。
館内の展示物の数は圧巻で、ゆっくり見ていたら丸一日は掛りそうなのでかなり飛ばしながら眺めました。上野の国立博物館にも行ったことがありますが、それに匹敵するぐらいの展示量といえるでしょうか。伝統的に朝鮮半島の名産品である陶磁器の展示は特に充実していました。
博物館の裏は緑地になっており、その奥にはソウルタワーが見えました。建物前の広場で修学旅行生がたむろしているのは昨日の徳寿宮と変わらず。
そういえば、この国立博物館は何と無料で入場できました。日本の国立博物館は無料ではないですし、シンガポールのは結構高かったので、それに比べると非常に良心的です。この後紹介する景福宮も入場料は安かったですし、ソウルは旅行者には優しい街だと感じました。
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