JR九州ネットきっぷは、会費不要ながら在来線特急が通常運賃に比べて大幅に安くなります。利用時の注意事項についても併せてご紹介します。
会費不要なのにいつでもお得!JR九州ネットきっぷ
博多で宿泊した翌日、いよいよこの旅最大の山場である西九州新幹線に乗車します。この旅行はJR各社独自の予約サービスを極力用いることにしているので、今回はJR九州の「ネットきっぷ」を利用することにしました。
ちなみに、JR九州のホームページ上では「ネット限定きっぷ」「JR九州ネット予約」などの表記も見受けられます。どうやら「ネット限定きっぷ」は九州内で完結しない(本州に跨る)場合を含み、「JR九州ネット予約」はネット予約システム全体(通常運賃のきっぷも買える)を指すようです。ややこしいところですが、本稿では九州内&ネット限定の割引きっぷである「ネットきっぷ」についてのみ説明します。
「ネットきっぷ」は、JR九州の主要特急(新幹線、鹿児島本線、日豊本線、長崎本線あたり)のみが対象で、乗車券+特急券が必ずセットで販売されます。よって、特急の停まらない駅が出発地の場合、出発駅から特急停車駅までの運賃が別途必要です。
そして、通常の運賃に比べると若干安くなります。割引幅は路線によって異なり、新幹線はそれほど割り引かれませんが、在来線を含む区間である博多~長崎間は2000円近く、博多~大分間は3000円以上も安くなります。
さらに、博多~長崎間は通常6050円、ネットきっぷ4200円なのに対し、3日前まで購入できるネット早特3だと3600円、7日前まで購入できる早特7だと3200円まで下がります。九州において鉄道の強力なライバルである高速バスへの対抗のほか、新幹線開業により特急料金が大幅に上がったことへの「激変緩和措置」としてこのような設定になっていると思われます。
ちなみに、筆者はうかうかしているうちに早特予約が可能な期間を過ぎてしまい、4200円で買う羽目となってしまいましたが、商用など乗車直前に切符を買わざるを得ないケースでも大幅な割引を享受できるのは有難い限りです。
このように大変お得なネットきっぷですが、クレジットカードさえあれば無料で会員登録可能ですので、一見の観光客の方でもぜひ利用を検討してみるといいと思います。
チケットレス制度は無し、きっぷの受取必須
JR東日本や西日本の予約サービスでは、在来線特急の多くをチケットレスで利用できます。乗車券は交通系ICカード、特急券はチケットレスサービスを利用することで窓口や券売機でのきっぷ受取が不要となり、手軽に乗車できるようになっています。
一方、ネットきっぷは現在のところきっぷの受取が必須です。乗車直前に切符を受け取る際は乗り遅れに注意が必要です。特に博多駅は日中券売機が混んでいて、筆者も数分ほど列に並びました。そんなJR九州ですが、2024年秋からQRコードを使ったチケットレス化に踏み切ることが最近明らかになりました。どんなシステムになるか楽しみです。
まずは在来線で武雄温泉へ
博多6:00発→武雄温泉7:00着 リレーかもめ1号
前夜、23時にラーメン食べたりしていたので果たして起きられるか心配だったのですが、どうにか5時半に起床し、博多駅へと向かいます。まずは在来線特急に乗り、西九州新幹線の起点・武雄温泉駅へと向かいます。
やってきたのは、前夜も利用した787系でした。かつては字幕式だった方向幕はいつの間にかLED化されていましたが、面積に対して書くべき情報量が多くキツキツになっています。この列車は武雄温泉までしか行きませんがあくまで行先は「長崎」。これはかつての鹿児島本線「リレーつばめ」の時と同様です。
この787系、車内は暗めのモケットや木目調のパネルを多用した重めの内装なのに対し、通路部分には明るめのメタリックなパネルが張られており、一転してメカメカしい雰囲気です。この辺のギャップの激しさも特徴的です。
まだ早朝の列車ということで、窓側のシートもあまり埋まらないまま博多を発車します。博多を出て、福岡と佐賀を分ける脊振山地の脇を通り抜けて鳥栖へと向かいます。駅前の近代的なスタジアムに比べて昔ながらの駅構内を過ぎると、長崎本線に入ります。ここから先の長崎本線はだだっ広い佐賀平野をひたすら走ります。
それにしても、この区間を新幹線で一気に通過できればどんなにいいことだろうなあ、と思わざるを得ません。今回の西九州新幹線開業で博多~長崎間で30分の時短効果があったそうですが、それだけではあまり意味がなく、やはり「かもめ」が中国・関西地方にまで足を延ばし、長崎へのお客をダイレクトに運んでくるようになって初めてフル規格新幹線を作った意味があったといえるかと。関係者間の利害の調整はうまくいっていないと聞きますが、ここまで来たら早めの開業をお願いしたいところです。
やがて列車は肥前山口改め江北に到着。この駅は長らく最長片道切符の終点駅で、NHKが最長片道切符を実際に旅する番組を作った際の記念碑まで立っているのですが、現在最長片道切符の終点は新大村に移ってしまいました。あの記念碑はどうなっているのでしょうか。
江北から先は元々単線だったはずですが、リレーかもめが来るようになったので一部区間が複線化されていました。博多から1時間で、高架上の武雄温泉に到着です。
いよいよ西九州新幹線、水戸岡ワールド全開!
武雄温泉7:03発→長崎7:31着 かもめ1号
武雄温泉駅での乗り換え時間は3分しかありません。同じホームに横並びで停車しているので乗り換えはスムーズですが、結局駅構内の様子も十分に観察できないまま発車することとなりました。
使用されている車両はN700S系6両編成で、やや塗装こそ違うものの外見は東海道のN700Sとそっくりです。行先のLED表示までそっくり。
一方、少しでも空いたスペースには筆文字の「かもめ」や円を3つ繋ぎ合わせた独特の列車ロゴが所狭しと描かれていました。この辺は相変わらずの水戸岡ワールドです。
よく見たらパンタグラフのカバーや、室内の廊下にも装飾がなされています。廊下の装飾は過去の在来線特急と比べると大人し目かな?
そして、N700Sの座席はこんな感じ。「みずほ」の指定席車両と同じく「2列+2列」配置で隣の席との間の手すりが広く、ゆったり座れます(といってもせいぜい30分ぐらいしか乗らないでしょうけど)。
車内は(リレーかもめが空いていたので)空いており、整備新幹線らしくトンネルを多用しながらひた走ります。なので、途中停車駅の嬉野温泉、新大村、諫早駅付近以外はほとんど地上が見えません。それでも新大村周辺でちょっとだけ海が見えたのは印象に残りました。
武雄温泉からたったの28分で、長崎に到着。長崎県内の長崎本線といえば海沿いをクネクネとカーブしながらゆっくり進んでいた印象があるので、それに比べると本当に速くなったなと思いました。長崎駅で下車する前に、もう少し駅構内を散策しようと思います。
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