JR西日本の新快速の一部列車に1両のみ連結されている指定席車両「Aシート」に乗車しました。料金や実際の利用状況について述べたいと思います。
3路線が交わるターミナル・尼崎へ
関西での次の用事まで時間があるので、まだ乗車したことのない新快速の指定席「Aシート」に乗車してみることにしました。Aシートは2019年にサービスを開始し、これまでは既存の223系8連のうち1両をリクライニングシートに改造したものが用いられてきました。そして2023年3月改正より、当初よりAシートとして設計された225系車両を含む編成もデビューし、更に増発されました。現在は一日6往復体制で運行されています。
増発したとはいえ一日6往復なので、タイミングを狙わないと乗るのは難しいです。時間は9時を回ったところで、幸い大阪駅9時45分発の列車があるのでこれに乗ることにしました。時間があるので尼崎まで戻り、ちょっとでも長くAシートを満喫しようと思います。
尼崎はJR神戸線・宝塚線・東西線の3路線が交わり、4面8線からなる巨大な駅です。これまで何度も通ってはいますが、下車するのは東西線開業以来初めてかもしれません。昔は古臭い駅だったのですが、すっかり新しくなりました。
時間があるので、ホームで次々にやってくる列車を眺めます。基本的には別方面から同時に到着した列車が同じホームに停車し、階段を使わずに乗り換えられるよう工夫されていますが、タイミングによってはうまくつながらない場合もあります。
駅の東端から線路を眺めると、大阪方面・北新地方面への出発信号機と、「S→P」「P→S」なる謎の看板が。JR神戸線はATS-S、東西線と宝塚線はATS-Pと制御システムが異なるので切り替えよ、という意味ですね。
意外に盛況「Aシート」
尼崎9:38発→京都10:15着(新快速24号)
そうこうするうちに新快速がやってきました。やってきたのはこの春にデビューしたばかりの真新しい225系でした。Aシート車両は当初から専用の2ドア車として設計されており、側面には2連窓がずらりと並びます。「A-SEAT」のロゴはやや控えめですが、他の車両とは異なる青色の帯が入っているので、Aシート車両であることは一目瞭然です。
JR西日本の車両は行先表示はLED、種別表示は幕と使い分ける方式が長らく用いられてきましたが、225系からは種別・行先がLEDで一体表示されるようになりました。
Aシートを連結した新快速はいずれも野洲もしくは草津行きで、湖西線や米原方面には入りません。そもそも、ここ数年のダイヤ改正で米原や長浜方面まで行く新快速は激減し、日中は1時間に1本まで減ってしまいました。
シートはこんな感じ。ごく普通の特急型シートです。一日6往復しかないレアな列車で、しかも平日ラッシュ時でもないので乗車率はそれほど高くないかと思っていましたが、50席近くあるシートはほぼ満席でした。
やがて列車は大阪に到着。下車する客は多かったものの乗車はあまりなく、空席も目立つ状態で発車しました。新快速は通常、大阪駅でガラッと乗客が入れ替わるのですが、Aシートに関しては神戸方面から京都以東へ向かう客が主な利用客のようです。
そして驚いたことに、大阪駅からはデッキまで立ち客でぎっしりの状態になりました。JR東日本のグリーン車の場合、グリーン券を持っていない人はグリーン車のデッキに立ち入ることすらできませんが、Aシートのデッキは乗車券のみでも立ち席スペースとして利用できるようです。この日は観光シーズンの祝日ということで、一般車は超満員だったのでしょう。
Aシートは距離に関係なく一律840円で、JR西日本独自の予約サービスである「e5489チケットレスサービス」を使えば600円で乗車できます。JR東日本の普通列車グリーン車が50km未満で780円、50km以上で1000円(いずれも平日・事前料金)することを考えるとややリーズナブルではあります。
ちなみに、e5489チケットレスサービスで購入したAシートの指定席券は、駅の「みどりの券売機」で受け取ることも可能です。その場合、指定券とは別に「Aシート指定席券」なる謎の横長のきっぷが同時に発券されるようです。
おまけ:e5489の裏技・使用済みのチケットも発券できる
上述の通り、「e5489チケットレスサービス」で購入した特急券や指定席券は全て券売機で発券することが可能です。その際、何と既に乗車済みのきっぷも発券できてしまいます。上記のきっぷは「はるか11号」から下車した後、大阪駅で発券したものです。実用上は何の役にも立たないテクニックですが、きっぷを記念に手元に残したい方は是非どうぞ。
それにしても、紙のきっぷの券面に「チケットレス」と堂々と記載されているのは何ともシュールです…
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