ZIPAIR Tokyoの新路線が就航したサンノゼ空港は公共交通がやや貧弱です。サンフランシスコ市街へ、おススメのアクセス方法をご紹介します。
祝・ZIPAIR Tokyoサンノゼ就航
2022年12月、ZIPAIR Tokyoは成田~サンノゼ間の新路線への就航を開始しました。北米への乗り入れはロスアンゼルスに続き2路線目となります。サンノゼへはANAもかなり前から乗り入れてはいるものの、正直日本での知名度が高い場所ではなく、どこにあるのかピンとこない方も多いのではないでしょうか。
実はサンノゼは西海岸屈指の都市・サンフランシスコの中心部まで50kmほどしか離れておらず、今回開業したZIPAIRの新路線はサンフランシスコへの足としても利用可能です。そこで、今回はサンノゼ国際空港からサンフランシスコ市街へのアクセス方法についてご紹介します。
サンノゼって、どこ?
サンノゼはサンフランシスコの南東50kmほどの場所にある都市です。AppleやGoogleなどのハイテク産業が集積しており、隣接するサンタクララ・マウンテンビューなどの都市と合わせ、「シリコンバレー」と呼ばれています。シリコンバレーには日本企業も進出しているため日本人の駐在者も多く、ANAが以前からサンノゼ空港への直行便を飛ばしています。
ちなみにサンフランシスコと海(サンフランシスコ湾)を挟んだ対岸には、オークランド・アスレチックスの本拠地オークランドがあります。サンノゼからサンフランシスコに向かうには、サンフランシスコ湾の東岸(オークランド経由)もしくは西岸(マウンテンビュー経由)を通ることになります。
サンノゼ空港からの公共交通は?
サンノゼ市内にはトラム(路面電車と普通鉄道の合いの子のようなもの)が走っていて、サンノゼ空港からわずか数百メートルの所をかすめるように走るのですが、残念ながらサンノゼ空港へは乗り入れていません。このあたり、日本の感覚だと訳が分からないのですが、アメリカは大都市を除いて公共交通軽視のクルマ社会なのでこのようなことが得てして起こります。
なので、サンノゼ空港からの移動はバスが頼りです。VTA(地元の交通局)がサンタクララ・ミルピタスの両駅にバス(60系統)を走らせているので、これに乗ってどちらかの駅に向かうしかありません。(両駅からの乗り換えについては後述) 公式サイトによるとバスは日中15分間隔で走っているようで、そこそこ本数はあります。
ちなみにバスはこんな感じです。(手持ちの写真が無いのでWikipediaへのリンクを張ります)
ルート1: SJC-(VTA)-Milpitas-(BART)-S.F.
まず、ミルピタス(Milpitas)経由のルートについて説明します。サンノゼ空港(SJC)からミルピタスまでは上記のバスで約25分と結構な距離があります。ですが、ミルピタスにはサンフランシスコを中心に路線を延ばす高速鉄道(といっても新幹線のようなものではなく、日本でいえば地下鉄に近い)であるBARTが乗り入れており、一発でサンフランシスコ市内に向かうことが可能です。
この辺りの地理に詳しい人だと逆に、「BARTってサンノゼまで来てたっけ?」と思われるかもしれませんが、コロナ禍の最中の2020年に延伸を果たしています。
上記がBARTの路線図です。気を付けたいのは、ミルピタスから北へ向かう列車の半分(Green系統)はサンフランシスコ市内に乗り入れますが、残り半分(Orange系統)はオークランドから北進し、サンフランシスコに乗り入れない点です。途中のBay Fair駅で他方面からサンフランシスコ市内に乗り入れる列車(Blue系統)が合流しますが、これと接続を取ることは特にないようなので、大人しくGreen系統に乗りましょう。
ミルピタスからの列車は日中は約15分おきで、サンフランシスコ中心部までは1時間ほど掛かります。バスの所要時間と合わせると、サンノゼ空港から市内までの所要時間は2時間弱といったところでしょうか。以下のサイトにBARTの1列車ごとの時刻表がありますので、あらかじめ時刻を調べておくことも可能です。
ルート2: SJC-(VTA)-Santa Clara-(Caltrain)-S.F.-(Muni Metro)
次に、バスでサンタクララ(Santa Clara)に向かった場合です。サンタクララからはCaltrainという郊外電車がサンフランシスコ市内へと走っています。サンフランシスコ側の終点までの所要時間は列車にもよりますが、1時間10分~30分ほどです。ただ、この列車は本数があまり多くなく、サンタクララに停車する列車は平日は毎時2本、休日は毎時1本と少ないのがネックです。サンタクララ駅周辺は商店が集積しているわけでもなく(アメリカの鉄道駅はどこもそんなもの)、暇を潰せるようなところはなさそうであり、時刻を調べずに向かうと途方に暮れる恐れがあります。以下、Caltrainの時刻表です。
Caltrainのサンフランシスコ駅は市中心部からやや外れており、近くにあるKing St. & 4th St.駅からMuni Metroという路面電車に乗ってさらに移動する必要があります。運転間隔は10~15分ほど、所要時間はおよそ15分です。
ルート3: SJC-(VTA)-Santa Clara-(Caltrain)-Milbrae-(BART)-S.F.
ルート2の派生ルートとして、Caltrainを途中のミルブレー(Milbrae)という駅で下車し、ここからBARTに乗り換えるという手もあります。以下のサイトに、両路線の乗り継ぎ時刻表が掲載されています。これを見る限り日中は概ね10分少々の接続時間で乗り継げるようになっているようです。
空港からサンタクララまでのバス所要時間は約10分、サンタクララからサンフランシスコ中心部までは(乗り継ぎ時間を含めて)1時間40分ほどなので、ベストの乗り継ぎをしたとしても約2時間はかかりそうです。BARTが速い分、ルート2よりは所要時間が短く済みそうですが。
おススメのルートは?
という訳で、個人的には乗換回数も所要時間も少なく、本数も多いルート1がおすすめです。列車の乗り心地や車窓はBARTよりCaltrainの方がいいので、時間に余裕があり、アメリカらしい汽車旅を少しでも楽しみたいという向きにはルート2や3も有りかもしれません。(本格的な汽車旅がしたいのなら、サンタクララ駅からオークランドまでAmtrakのCapitol Corridor号に乗る手もありますが、一日6本しかないので現実的ではないですね)
車内の治安は大丈夫?
最後に、皆さん気になるであろう車内の治安について個人的な体感を述べたいと思います。(数年前のものなので、今は変わっているかもしれません) まず、BARTは各車両最低1人は浮浪者が乗っているという状況でした。別に何か悪さをしてくるという訳ではないのですが、1対1だと流石に恐怖を感じるので、空いている車両にはあえて乗らないようにしていました。一方、Caltrainは怪しげな客はおらず、車掌が巡回していることもあってのんびりした雰囲気でした。
サンノゼ空港からのバスについては個人的に乗ったことが無いのでわかりませんが、アメリカでは「郊外の路線バス=クルマを持てない人のための乗り物」という傾向があり、サンノゼ市内を走るバスはいつ見ても空いていましたし、客層もよろしくなさそうでした。アメリカではバスに限らず、都市の規模の割には公共交通を使う人の数が少ない傾向にあります。特に一人旅の場合や、早朝・深夜に乗り物を利用する際は怪しげな人と1対1にならないよう十分に気を付け、危なそうならばタクシーやUberなど別の手段を使う方がいいでしょう。
※以前、サンフランシスコ・サンノゼ周辺の鉄道に乗車した際の記録が以下のページにありますので、ご興味がありましたらご覧ください。
追記(2023/02/23)
ZIPAIRは先日、2023年春より成田~サンフランシスコ便の運航を開始すると発表しました。もし実現すればこの記事も不要となるかもしれません。
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