大阪万博を訪問するにあたり気をつけておくべき点や、事前予約なしで人気パビリオンに入場する方法などをお伝えします。
大阪万博の「お祭り感」にゾッコン
前回の記事にも書いたとおり、筆者は関西で生まれ育ち、1970年大阪万博の伝説を散々聞かされてきたので、今回の万博も楽しみにしていました。万博に関しては何やらネガティブな報道が目立ちましたが(特に関東では)、「万博の真の姿を皆様にお届けしたい」という謎の使命感に逆に火が付き、開幕から一週間後の日曜日(4月20日)に出かけました。


実際に行ってみると、会場にぐるりと張り巡らされた木製リングは圧巻で、リング上からの大阪湾や会場全体の眺めも良く、ここを歩くだけでも楽しめました。


また、個性的な各国パビリオンもずらっと立ち並んでおり、一日では到底見て周れないほどボリュームがあります。インド館など一部未完成のパビリオンがあることが話題となっていますが、パビリオンがあまりに多すぎるので、3つや4つ休んでいたところで気にもなりません。
外国からの訪問者の方も多く(体感だと1割ぐらい?)、1970年以来の(この間愛知万博もありましたが)「世界のお祭り」が再びやってきたんだな、と感激しました。この日は頑張って3万歩以上歩いていろんなパビリオンを観ましたが、おそらく全体の3分の1も見れていないはずで、今後も会期中の休みをつぎ込んで何回か通おうかと思っております。…と言いつつ、GWは前々から計画していた別の旅行に行ってきますが。
以下、今後行かれる方のために気づいたことをいくつか述べたいと思います。
スマホ充電切れ対策を入念に

これは散々言われていることですが、スマホの充電の減りが思っている以上に早いです。本イベントではチケットサイト上で表示されるQRコードが入場券代わりとなっており、会場に入る際や予約制パビリオン入場時に提示する必要があります。また、後で述べるようにパビリオンの当日予約もスマホで行いますので、バッテリーがどんどん減ってしまいます。
現地では無駄なスマホ使用は極力抑え、スマホバッテリーを持ち込むのがよいでしょう。バッテリーは経年劣化するので、これを機に高容量の新しいものを買っておくのも良いかもしれません。新幹線や飛行機で当日会場入りする方は、車内・機内のコンセントで充電しておくようにしましょう。
また、QRコードを表示する操作でも若干ですがバッテリーを消費するので、スクショを取っておくか紙に印刷しておくとよいでしょう。
パビリオンの入場方法は「非公式マップ」を参考に
万博のパビリオン巡りを主目的とした地図をVer2.00にバージョンアップ
(リンクはGoogledriveのpdf)https://t.co/NCIJK7DmiD
・パビリオンの入場方法を最新情報(4/24)に更新
・飲食関係(水飲み場含む)、エレベーター、
当日予約登録の場所を追加
ネットプリント、根拠資料、今後の更新等はリプに pic.twitter.com/fDnUG4gHDF— つじ@万博1/7回目 (@t_tsuji) April 24, 2025
筆者がパビリオン巡りをする際に突き当たったのが「情報のなさ」です。公式サイトには地図とパビリオンのリストはあるものの、その入館方法や展示内容(一応軽い説明とコンセプトムービーのようなものはあるが)は全く分からず、手あたり次第で入館してみるしかありませんでした。
そんな中、非常に参考になったのが上記の「非公式マップ」です。各館について予約は必要か、予約なしでの入場も受け付けているかが一目でわかるようになっています。今回、会場で配られる紙のマップが有料ということもあり、上記の地図を印刷して持っていくとよいでしょう。
展示の内容についてはまだまとまったサイトは無いようです。ご参考までに、筆者の巡ったパビリオンの内容を後でご紹介します。
「並ばない万博」はウソ、パビリオン巡りは体力勝負

今回は「並ばない万博」を目標としているそうですが、現地の様子を見る限りそれは嘘というかハッタリというか、とにかく並ばずにパビリオンに入るのは(空いている朝一番などを除けば)難しいです。予約なし・自由入場のパビリオンでもそれなりに待ちますし、中にはオランダ館のように完全予約制にもかかわらず中でかなり待たされるところもありました。
筆者はクリスマスシーズンのTDRとかで訓練を積んでいる(?)のでそこまで苦になりませんでしたが、小さいお子様連れだと多くのパビリオンを巡るのはしんどいかもしれません。
西地区への移動はそれなりに大変

上記の地図を見て頂くと分かる通り、多くのパビリオンはリング沿いにあります。ただ、「未来の都市」「空飛ぶクルマ」などのある西エリアは西ゲートのさらに奥にあり、他のエリアからは多く離れていて、移動には10分程度を要します。パビリオンの予約の際は移動時間も織り込んでおく必要があります。
「静けさの森」で方向感覚を失わないよう注意
上記の通り多くのパビリオンはリング沿いにあります。リング下は歩道となっているほかベンチも設置されていて、休憩所の役割も果たしています。移動の際はリングの下を歩くようにすると、自分がどこにいるのかもわかりやすいですし、日差しや雨を避けられます。
一方、リングの中のエリアに入ると方向感覚が分かりにくかったです。特にややこしいのは中央の「静けさの森」エリアで、通路の形状が複雑で慣れないうちは迷いやすいと思います。
現在、Googleマップの方に多くのパビリオンの位置が反映されているので(筆者が訪問したころは未反映でした)、これを見ながら進めば迷いにくいのではないでしょうか。ただ、上でも書いた通りスマホの充電を使い尽くさないよう気をつけましょう。
大人気「シグネチャーパビリオン」予約なしで入れる裏ワザ


静けさの森の南にある「シグネチャーパビリオン」は著名な文化人がプロデュースし、一番話題となっているゾーンです。その分人気も高く、筆者はチケットを購入したのが遅かった分事前登録もできませんでした。当日登録もあっという間に埋まってしまい、筆者が入場した9時半過ぎではもう予約が難しい状況でした。当日登録で人気パビリオンを狙うなら、9時のゲートオープン直後に入場できるよう速め(できれば8時ごろまで)にゲートに到着しておくべきでしょう。
しかし、事前登録や当日登録ができなかった場合でもチャンスはあります。それが「キャンセル待ち」という方法で、「いのちの未来」「いのちのあかし」「いのち動的平衡館」の3パビリオンが対象です。会場の看板に書かれたQRコードから専用サイトにアクセスし、キャンセル待ちにエントリすると、QRコードの書かれたメールが飛んできます(メールが来るまでの時間は場合による)。このQRコードをパビリオン入口で提示すると、キャンセル待ちという形で入場できます。
ちなみに「いのちの未来」は予約者とは別の列に並び、30分ほど待ちました。一方「いのち動的平衡館」は予約者と同じ列に並ぶことができ、割と早く入場できました。
この他、「null2」も朝方は予約なしの人向けに整理券を配っているとの話もありますので、狙ってみてください。
当日登録をうまく使えばパビリオンを一網打尽に?
ちなみに、当日登録というのはTDRのファストパスに似た制度で、サイト上で特定のパビリオンの入場時間を予約でき、そのパビリオンに入場する(入口で入場券のQRコードをスキャンする)と次のパビリオンが予約できます。
午後になってくるとどのパビリオンも予約が埋まってしまうのですが、予約をリリースする人もいるためか、サイト上でリロードを繰り返すと直近の時間帯に空き枠が見つかる場合があります。うまく空き枠が取れれば、人気パビリオンの直近の予約を取ることも可能です(ただし争奪戦となるため、成功率は低い)。ただ、この方法で複数人の予約を取るのはかなり難しそうで、一人で訪問している場合限定の方法かもしれません。
筆者はパビリオン待ちをしている間にリロードを繰り返し、オランダ館とオーストラリア館の予約を取ることができました。
飲食は低額から高額まで幅広い、持ち込みも可


場内の飲食に関してはピンからキリまで揃っていて、ゲート付近にコンビニがあるほか、パンなど軽量な食べ物を持ち込んで費用を浮かせることも可能です。西エリアの「風の広場マーケットプレイス」は建物の内外に無料で使えるテーブル席があるほか、フランクフルトなどお祭りの屋台のようなフードも売られていて、そこまで高くは無さそうでした。
一方、リングサイドマーケットプレイスの方はテーブル席は有料ですが、無料で使える立席用のテーブルもあります。


リングサイドマーケットプレイスや、各国のパビリオンで売られているフードは国際色豊かなもののお高く、家族でまとめて利用するとかなりの値段になってしまいます。各国パビリオンの店は人気が高いうえ、夕方になると売り切れ続出のようでしたので、利用するなら午前早いうちがいいでしょう。
ちなみにオーストラリアパビリオンで購入したクロコダイルの肉は、「ちょっと生臭い固めの鶏肉」といった味でした。普段なかなか食べられない食材が味わえるのは万博ならではです。
パビリオン前でのライブも楽しみ


一部のパビリオンの館外では、民族音楽から落語に至るまで多種多様なショーが行われていました。一部はスケジュールが書かれているものもありましたが、多くはゲリラ的に行われているようです。もし見かけたらラッキーですね。
今回巡ったパビリオン
最後に、今回巡ったパビリオンの入場方法・待ち時間と感想を述べたいと思います。感想はごく主観的なものなのであしからず。
中国館(待ち時間ゼロ)


朝一番で訪れた中国館は空いていてすぐ入場できました殷・周の時代から現代までの中国の歴史をなぞる展示がメインで、古代のお宝も展示されています。


入口で渡されたQRコードを、館内に設置された機械でスキャンしてくださいと言われたので指示に従うと、最後に順位?のようなものが表示されます。
クウェート館(待ち時間ゼロ)


中国館のすぐ横のクウェート館では、建国や戦災復興の歴史を紹介します。最後はプラネタリウムのようなドームで星空を眺める趣向となっていました。
未来の都市(事前登録)


「未来の都市」は、国内企業がそれぞれ考える未来像について展示をしていました。展示の一部はゲームのような形となっていましたが、それをプレイするにはパビリオン内でまた並ぶ必要があります。


鉄道ファンとしては、川崎重工が展示する「未来の新幹線」という展示が気になりました。食堂車も備えた余裕ある空間を想定しているとのこと。
いのちの未来(キャンセル待ち30分)


ロボット工学の第一人者がプロデュースするパビリオンです。てっきりアンドロイドがうにょにょと動き回っているだけかと思っていたら、ロボットと人間が共存する未来の姿をストーリー仕立てで見せるという凝った内容で非常に面白かったです。

最後の部屋ではRPGゲームのラスボスのような姿のロボットが動き回り、なかなかシュールでした。
シンガポール館(待ち時間10分)


シンガポールは国土が狭く、世界地図上で首都を表す赤丸に国土が隠れてしまうことから「赤丸」がパビリオンのテーマとなっています。壁面をよく見ると丸い鉄板を組み合わせた構造となっています。


館内は「シンガポールは自然保護に努めています」という内容がメインで、都市国家シンガポールのイメージからすると意外でした。パビリオンの天井は巨大なスクリーンとなっていて、海をイメージした映像が流れます。
日本館(当日登録)


日本らしく木板をふんだんに使った作りの日本館の目玉は「火星の石」で、実際に触ることもできるようになっています。透明な樹脂のようなものの中に石が入っているだけにも見えますが、ちゃんと石の表面を磨き出しており、直接石を触れるようになっているとのこと。


内容はSDGs的な話が中心となっていて、あまり日本らしさのある内容ではありません。それでも、展示のところどころにキティちゃんやドラえもんなど日本のアニメキャラが使われていて、日本をアピールしていました。
いのち動的平衡館(キャンセル待ち10分)


直径10mぐらいの丸い舞台のような空間を眺める形式のショーです。舞台上にあるのは大量の白色LEDで、これを使って「生命の進化」を表す映像が流れます。

最後に福岡教授からタイトルの「動的平衡」に関する説明がありますが、これがなかなか奥が深く哲学的な内容でした。
ポルトガル館(待ち10分)


大量のロープがつるされた姿が印象的なポルトガル館ですが、建物は平屋構造で(ロープの隙間から中の建物が見える)、展示内容は非常にシンプルです。アルコール、パン、ボタンなど、ポルトガル由来の日本語が意外に多いそうです。
オランダ館(当日登録)


オランダといえば「ミッフィー」ということで、展示内容はミッフィーのイラストとともに子供にもわかりやすい言葉で併記されていました。(もちろん大人向けの内容もあります)


展示内容は、入口で受け取った「光の玉」とともにオランダに関する知識を学び、最後に玉を空に解き放つ(?)というものでしたが、完全予約制にもかかわらず館内は終始渋滞気味で待ち時間が非常に多かったです(トータル30分近くは待ちました)。時間に余裕をもって訪問するようにした方がよいでしょう。
韓国館(待ち30分)


正面の巨大なディスプレイと、たどたどしい日本語ながらも一生懸命頑張っていた誘導のお兄さんが印象的だった韓国館。館内では光と音のショーや、巨大ディスプレイを使った「未来の韓国」のムービーが見られます。ムービーには韓国ご自慢の(?)K-POPの要素もありました。
オーストラリア館(当日登録)


館内はオーストラリアの森林を再現したエリアと、大小さまざまな形のモニタを組み合わせた空間からなります。モニタには海や砂漠などの大自然の様子が流れ、没入感がありました。
建物の前には小さなステージがあり、アーティストの方が常に音楽を演奏していました。横の売店で食べ物を買い、音楽を聴きながら食べるのもおすすめです。
アメリカ館(未入場)

アメリカ館は朝9時半の時点で1時間半待ち、夜7時でも1時間待ちで入館を断念しました。今のところアメリカ館は予約の対象ではなく、入館するには行列に並ぶしかなさそうです。
フランス館(待ち10分)


一方、お隣のフランス館は少し並べば入れそうだったので入ってきました。館内はロダンの「手」のオブジェがいくつか配置されており、それぞれのオブジェにちなんだ展示内容となっています。


展示内容はハイセンスなものばかりで、ルイヴィトンやディオールなどフランス企業とのコラボや、モンサンミシェルと宮島の鳥居をしめ縄でつなぐオブジェは話題になりました。
各国のパビリオンが全般的に国の風土や技術をアピールするため情報過多になりがちな中、展示空間を美しく演出することにこだわったフランス館を見て「さすがはおフランス」と唸らされました。今回訪れた各国のパビリオンの中では個人的に一番おススメです。
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