グランドキャニオン・フーバーダム・レッドロックキャニオン…ラスベガス周辺の大自然を巡る

ラスベガス周辺には、グランドキャニオンなど著名な自然公園がいくつも存在します。その中でも特に有名な3つのエリアについてご紹介します。

ラスベガス周辺の代表的観光地・グランドキャニオン

ラスベガスは砂漠の真ん中にぽつんとあるような都市なので、街を少し離れると手つかずの自然が残っており、著名な自然公園もいくつか存在します。その中でも一番メジャーなのがグランドキャニオンで、世界遺産にも指定されています。

ただ、ラスベガスから比較的近いといっても直線距離で200km以上離れており、陸路(バスツアー、レンタカー等)で行き来するのは結構大変で、片道4~5時間はかかるそうです。

そのため、時間のない観光客向けに航空機を使ったツアーもいくつか存在していて、筆者は2017年にツアーに参加して訪問しました。ただしラスベガス側の出発地は、一般の旅客便が発着するハリーリード国際空港ではなく、 南東へ20kmほど離れたボルダーシティという田舎町にあるセスナ専用の飛行場です。 ホテルから空港へは、ツアー専用の送迎バスで30分以上を要しました。

空港ターミナル、というよりは田舎のバスセンターのようなところで搭乗手続きを済ませ、飛行機に乗り込みます。航空機は定員わずか20人ほどの小さなプロペラ機で、よく言えばレトロ、悪く言えば内外装とも古臭くて、大丈夫なんだろうかとやや不安になりました。古臭いながらも、シートにはイヤホンが付いており、日本語の観光案内が流れるようになっていたのは高ポイント。

ちなみに、搭乗時はコックピットへのドアは空いていました。コックピットへの距離感は近く、まるで路線バスのようです。

下に見えるのは空港の滑走路

ボルダーシティの空港を飛び立つと、飛行機はぐるりと旋回して東へ一直線に進みます。しばらく進むと、歴史の教科書で見たことのあるフーバーダムのダム湖であるミード湖が見えてきました。空からだと感覚が狂ってしまいますが、ミード湖の大きさは琵琶湖の2倍にもなるそうです。

更に進むと、フーバーダム本体が見えてきした。高さは220mもあり、あの黒部ダムよりも大きいです。ダム手前の道路橋と比べると、その巨大さがよく分かります。フーバーダムはラスベガスから比較的近いため観光地としても人気があり、実は2024年のラスベガス訪問の際に行ってきましたが、この話は後ほど。

その後は砂漠の上をひたすら進みますが、セスナゆえに大型機よりはやはり揺れは大きく、飛行機の乱気流が苦手な私が冷や冷やするほどの揺れもありました。やがてミード湖の上流部に来ると、コロラド川の浸食によって作り出した崖が見えてきます。この辺りはグランドキャニオン・ウエストと呼ばれ、崖の上に張り出したガラス張りの通路(Skywalk)が名所となっています。これから行くグランドキャニオン・サウスリムもコロラド川の流れが作り出したものなので、景色としてはよく似ていて、かつラスベガスから比較的近いため、ウエストへ向かうツアーも存在するようです。

その後も砂漠を延々と飛び、グランドキャニオン空港に到着です。ここからは再びバスで移動し、グランドキャニオン・サウスリムのBright Angel Lodgeというところで下車します。ここで、サンドウィッチ・カットりんご・プリングルス・甘い大きなクッキーの詰め合わせというアメリカらしいランチボックスを受け取りました。

昼食後、まずは散策路を歩いてロッジ裏手のビューポイントに向かいました。言葉で説明するのは野暮なので画像を見てくださいというしかないのですが、ここからの景色は正に圧巻です。散策路の造りはかなりしっかりしていて、普通に歩く分には転落の心配はほぼないものの、転落防止用の柵はほとんどなく、それが迫力を倍加させます。

しばらく散策した後、今度はMather Pointという別のポイントに移動しました。ここは高さ数百メートルはあろうかという断崖絶壁に張り出した岩の上を歩くことができるようになっていました。ここから転落すると本当に危険であるため、さすがに岩の上には柵が付いていました。右手には先ほど見たロッジがごく小さく見え、いかに断崖が高いかを実感します。そんな断崖の上を、野生のリスが平然と行き交う光景も見ることができました。

アメリカ人に大人気・フーバーダム

2017年に上空から眺めたフーバーダムですが、2024年には現地まで行くことができました。なお、ラスベガス周辺の景勝地には路線バスなどの公共交通機関はなく、ツアーに参加するか、レンタカーを借りるぐらいしかアクセス手段はありません。今回筆者は、現地在住の知人の方のクルマで連れて行って頂きました。

フーバーダムはラスベガスからクルマで40分あまり、先ほど述べたボルダーシティを超えてしばらく進んだところにあります。ダムがテロなどの標的になり得るためか意外に警備体制は厳しく、ダム駐車場の手前には検問所がありました(といっても車内のチェックなどは甘めでしたが)。訪問したのが休日だったためかダムの駐車場は混んでおり、入場待ちの行列ができていてやや待たされました。

フーバーダムは世界恐慌時の経済対策の一環として1931年に着工し、1936年に竣工しました。ダムの脇には小さいながらも展示スペースがあり、歴史や建設方法についての展示があるようですが、いかんせん混んでいたのと、時間がなかったので入場はしませんでした。

ダムの上を歩き、まずはミード湖を眺めてみます。…が、このところの渇水のためかなり水位が低くなってしまっているとのこと。最近のラスベガスは水不足が深刻で、庭の芝生への散水が禁止されているのだとか。

また、このダム湖はネバダ州とアリゾナ州の州境となっていて、それを示すモニュメントもありました。2つの州はタイムゾーンが異なるため、ダム湖を渡ると時刻が変わるというのも日本ではできない体験です。

一方、ダムの反対側に目を転じると(写真ではわかりにくいものの)目がくらみそうな断崖のはるか下に水面があり、その横には水力発電の施設が設けられています。そしてその上空には、ダム湖周辺をバイパスする形で設けられた道路の巨大なアーチ橋(フーバーダム・ブリッジ)がそびえ立っています。

実はこの橋の上にも歩いていくことができ、ダム見学用とは別に専用の駐車場も設けられているのですが、そちらの駐車場がダムの駐車場以上に混んでいたので今回は行くのを断念しました。ちなみにフーバーダム・ブリッジへの行き方はこちらの記事に詳しく書かれています。

自動車で専用コースを回る・レッドロックキャニオン

レッドロックキャニオンはラスベガスから西へ20kmあまり離れた場所にある自然公園です。公園内は主に岩山となっていて、自動車専用のコースを20~30分ほどかけて周れるようになっています。ラスベガス周辺にある自然公園の中では最も中心部から近く、手軽にアクセスできます。これも知人の方に連れて行って頂きました。

公園の入口で料金を支払い、まずはビジターセンターに立ち寄りました。ここは売店とちょっとした展示があるだけのシンプルな施設ですが、公園内の詳しい地図がもらえるので受け取っておきましょう。

公園内には自動車用の道路に沿っていくつか駐車場があり、そこから27個のハイキングコースが延びています。27個のルートは装備なしでOKのものから、本格的な崖登りを行うものまで様々な難易度があり、地図に難易度が記載されているのでそれを参考に選ぶとよいでしょう。

レッドロックキャニオン内の赤い岩は一部のみ
赤い奇岩が続くブライスキャニオン(2006年撮影)

自動車用コースに入ってすぐ、「レッドロックキャニオン」の名に相応しい赤い岩が見えてきました。ですが、その手前にある駐車場は混んでいました。「とりあえずスルーしようか」と通り過ぎると、その後赤い岩は全く現れませんでした。

実は筆者は2006年に「ブライスキャニオン」という別の自然公園に行ったことがあり、そことレッドロックキャニオンを混同していて、てっきり赤い岩が延々と続いているものと勘違いしていました。赤い岩のある地帯に行きたい場合は、ビジターセンターから1番目か2番目の駐車場で降りるべきでしょう。

その後は荒涼とした荒れ地を延々と進みますが、奥の方がグランドキャニオンのミニチュア版のような切り立った崖になっていたりして、日本ではまず見られない光景が続き見ごたえはありました。公園の奥の方まで行くと駐車場も空いていて、大自然を静かに楽しむことができました。

※本記事は以下の記事を加筆・修正しました。
https://rail20000.jpn.org/foreign/foreign5.html

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