京阪神のJR線が1250円で3日間乗り放題の「三都物語周遊乗車券」。EXサービス利用者限定の上、購入方法が複雑です。本記事で買い方を詳しく解説します。
「エクスプレス予約・スマートEX」利用者限定のフリーきっぷ
京都・大阪・神戸の三都市を擁する京阪神エリアは日本屈指の観光地ですが、このエリアを包含する鉄道フリーきっぷというのは案外多くはありません。そんな中、東海道・山陽新幹線の予約サービスである「EXサービス」利用者向けに、「三都物語周遊乗車券」というフリーきっぷが販売されています。
(なお、「EXサービス」は「エクスプレス予約」「スマートEX」など、東海道・山陽新幹線の予約サービスの総称です。)
この切符、京都・大阪・神戸の各市内とそれらを結ぶJR線が3日間も乗り放題で1250円と非常に格安です(ただし、特急には乗れません。特急券を別買いしてもダメです)。例えばJR西日本のライバルで、京阪神に路線網を広げる阪急電鉄の一日乗車券が1300円しますし、JR東日本の都区内パス(23区内が乗り放題)は一日760円します。それに比べると、3日で1250円というのがいかに安いかお分かりいただけるでしょう。
三都物語周遊乗車券で行ける場所は?
三都物語周遊乗車券のフリーエリアは上図の通りです。フリーエリア内の主な観光地は、
- 京都市内:保津峡(嵯峨野観光鉄道)、嵯峨嵐山(嵐山の各寺院)、梅小路京都西(京都鉄道博物館)、東福寺、稲荷(伏見稲荷)など
- 大阪市内:大阪(梅田の商業施設)、ユニバーサルシティ(USJ)、天王寺(あべのハルカス)、大阪城公園(大阪城)、JR難波(ただし難波の中心部から離れているので、やや不便)など
- 神戸市内:三ノ宮(異人館)、神戸(ハーバーランド)、灘(王子動物園)、須磨海浜公園(神戸須磨シーワールド)など
と、非常に充実しています。奈良や宝塚方面には行けませんが、かなり周りごたえがあるのではないでしょうか。ちなみに、大阪駅から京都駅へは580円、三ノ宮へは420円するので、実は京阪神を行き来するだけでも簡単に元が取れてしまいます。
さらに言えば、「エクスプレス予約(EX予約サービス)」で東京から新大阪まで行くところを京都で下車し、三都物語周遊乗車券で在来線に乗れば550円浮かせることができます。京都から新大阪まで、新快速を使えば25分ほどで行け、新幹線との差はわずか10分強です。
三都物語周遊乗車券、購入方法は複雑
このように非常にお得な三都物語周遊乗車券ですが、「EXサービス」を利用して新幹線の予約をしていないと買えない上、購入手順もなかなか複雑です。以下、実際の画面を用いて購入方法をご説明します。
なお、筆者はJR東海の「エクスプレス予約」会員として購入したので、それ以外の方はもしかすると購入方法が微妙に異なる可能性があります。
Step1:WESTER会員IDを取得する
WESTER ID(JR西日本の会員サービス)を持っていない方は、こちらのサイトからWESTER IDを作成してください。
Step2:e5489サービスにてクレジットカードを登録する
Step1で作ったIDを用いて、こちらのサイトからe5489(JR西日本のネット予約サービス)にログインします。
ログイン画面の右上のメニューから、クレジットカード情報を登録しておきましょう。(登録済みの場合は不要)
Step3:EXサービスで予約情報を参照
次にEXサービスの予約画面を開き、新幹線の予約情報を参照します。画面を下の方にスクロールしていくと、「EX旅先予約」というボタンが出てきますのでタップします。
すると、上のような画面が出てきて、中央付近に「三都物語周遊乗車券」というボタンがあるはずですので、これをタップします。
Step4:三都物語周遊乗車券をネット購入
WESTER IDのログイン画面が出てきたら、Step1で登録したIDを使ってログインしましょう(出ない可能性もあり)。その後、三都物語周遊乗車券の購入画面が出てくるはずですので利用開始日と枚数を指定し、購入します。
Step5:現地の券売機で発券
新幹線に乗って移動後、京都・新大阪・新神戸のいずれかの駅の指定席券売機で切符を受け取ります。「予約したきっぷのお受取り」「5489サービス」を選択すると上記の画面になるはずですが、左側の赤い枠「予約時にクレジットカードでお支払い済み」を選択しましょう。あとはStep2で登録したクレジットカードを投入し、電話番号(下4桁)を入力すればきっぷが受け取れます。(予約番号(5桁)は結局使いませんでした。)
複数の予約サービスを使いこなさねばならない上、現地の券売機での受け取りも必要なのでなかなか面倒ではありますが、それに見合った価値はありますので頑張ってください。
余談:「三都物語」の由来
ところで切符の名称にある「三都物語」は、JR西日本発足直後の90年代に、京阪神地区の観光PRのためのキャッチフレーズとして広く用いられていました。谷村新司さんが歌うCMソングに乗せて、京阪神の主要観光地を紹介するコマーシャルが関西では頻繁に流れていましたので、覚えている方も多いと思います。
その後、関西地区をターゲットとした観光キャンペーンは下火となり、「三都物語」のフレーズも最近はあまり使われていなかったようですが、思わぬ形で復活したのはうれしい限りです。
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