2011/8/8
大阪8:44発〜新大阪8:48着
恒例の帰省を終え、大阪から山陽新幹線で九州へ向かう。
今回の帰省は短い期間だったが、改装を終えて見違えるようになった大阪駅を見たり、
阪急6300系を改造した「京とれいん」に試乗するなど、驚きの連続だった。
特に大阪駅など、高架下の薄暗い駅だった頃から知っているので、隔世の感がある。
そんな大阪駅から高槻行きの各停に乗ると、これが阪和線から転属してきたばかりの205系だった。
205系というと首都圏というイメージがあるので、妙な色の帯をつけて関西を走る姿を見ると違和感を覚える。
大阪駅の上にできた大きな広場には、目立つ金の時計が設けられた。
元梅田貨物駅の敷地を一部再開発してできるグランフロントはまだ建設中。
新大阪9:09発〜小倉11:26着 のぞみ5号
新大阪から乗車したのぞみ号は意外に混んでいた。岡山までは満席に近い状況が続く。
新神戸を過ぎてしばらくすると、明石海峡の向こうに淡路島の山並み、そして明石海峡大橋が見えた。
海はいかにも夏の海といった感じの青色で、夏を実感する。
姫路を過ぎるとだんだん景色がひなびてきて、トンネルの合間に山村が見えるという景色が続く。
周囲に人家が増えてくると新幹線が減速して、岡山、福山、広島といった主要駅に停まるというパターンが続く。
広島あたりまで来ると沢山いた乗客の多くをはき出してしまい、車内は落ち着いてくる。
夏休みとあって乗客には家族連れもいるが、やはり圧倒的にビジネス客が多い。
おおよそ新幹線停車駅とは思えない山間にある新岩国を通り過ぎ、
徳山、新山口といった山口県内の主要駅を通過する。
徳山は曲線の途中にあるため、やや徐行しながら通過する。
新下関を過ぎると長いトンネルに入る。本州と九州を結ぶ新関門トンネルだ。
海底の形に合わせて曲がりくねっているので、途中でやや厳しいカーブを通過するのが分かる。
トンネルの途中から減速を開始し、トンネルを抜けるとすぐに小倉に到着。
2008年以来、3年ぶりの九州上陸だ。
小倉11:29発〜門司港11:42着
久々に九州にやってきたものの、のんびりその雰囲気を味わってはいられない。
小倉での乗り換え時間がわずかであるため、大慌てで通路を駆け抜ける。乗車したのは門司港行きの普通列車。
これまた久々となる811系である。しかし、到着列車の接続を待つため発車は2分遅れ、
新幹線ホームからわざわざ走ってきた意味はなかった。
列車は小倉を出ると、広大な貨物ターミナルの脇を走って門司に着く。
下関へ向かう線路が地下に消えると、車窓には次第に海が見えてくる。
海の向こうには本州が見えるが、その家並みはくっきりと見えている。
間にあるのは川か湖だよ、と言われても信じてしまうかもしれない。
やがて列車は速度を落とし、ゆっくりと頭端式の門司港駅に到着。
時が止まったかのようなレトロな駅に久々に降り立った。
九州鉄道博物館12:00発〜関門海峡めかり12:10着 やまぎんレトロライン
わざわざ寄り道して門司にやってきたのは、福岡県に残る未乗の私鉄を乗りつぶすためだ。
福岡県には西鉄や地下鉄など数々の私鉄があるが、これまでこつこつと乗りつぶし、残るは2路線となった。
その一つが、これから乗る「やまぎんレトロライン」である。
この路線は門司港から延びる貨物線を旅客線化したもので、
沿線にある関門海峡にまつわる観光施設を結ぶために改造された。
遊戯施設に毛の生えたような路線とはいえ、やはり列車運行に関するノウハウが必要なためか、
運行はやや位置的に離れた平成筑豊鉄道に委託されている。
駅前のロータリーを通って乗り場に着くと、係の人に乗車券について案内された。
単純往復して帰ってくるだけなら往復乗車券がいい、ということで500円の往復券を買う。
改札開始までここで待っていてください、と言われたが、待っているのは1組の家族連れだけだった。
しばらく待つと列車が入ってきて、改札を受ける。トロッコを機関車がプッシュプルする形の編成だが、
その機関車が驚くほど小さい。その辺の軽トラと似たようなサイズだ。
ちなみにこの機関車は南阿蘇鉄道、トロッコは島原鉄道からの譲渡車だそうだ。
そういえば、立野駅であんな機関車を見たな、と思い出す。
結局10人ほどの観光客を乗せ、発車する。列車はまず踏み切りを通過し、
自転車並みの速度でゆっくりと走る。それでもトロッコだけあって、振動はなかなかのものだ。
列車は門司港のレトロな建物や、屋上が展望台になっているという背の高いマンションの前を過ぎ、
海沿いに出る。ここからは関門海峡の向こうが間近に見え、関門海峡大橋も見える。
海沿いには漁業関係の施設もある。
途中駅での乗降のないまま、列車は九州島の突端部をくぐるトンネルに入る。
ここではライトが消え、天井のイルミネーションが光る仕掛けとなっている。
ひんやりとしたトンネルをゆっくりと通過すると、列車は公園の中を進む。
関門海峡めかり駅の周辺はちょっとした公園になっており、立派なプールや遊具が車窓から見えた。
やがて、列車は終点の関門海峡めかりに着く。駅前はすぐ海となっており、
ステンレス製のEF30や旧型客車が保存されていた。
ここは本州に抜ける人道トンネルの入り口に近く、また関門海峡を眺める展望台へのバスも出ていた。
やまぎんレトロラインの印象だが、車窓は肥薩線や豊肥線など九州の他の観光路線に劣るものの、
乗務員や案内係の対応は非常によく、好印象を持った。
今回はただ乗るだけで終わってしまったが、観光するべき所も結構あるので、
今度来るときは色んな所をじっくり巡ってみたい。
関門海峡めかり12:15発〜九州鉄道博物館12:25着 やまぎんレトロライン
折り返して九州鉄道博物館駅に戻り、余った時間で九州鉄道博物館を見てみようと思う。
以前門司港に来たときは早朝だったので、九州鉄道博物館は見れずじまいだったのだ。
入場料300円を払って中に入ると、まずは保存車両が目に入る。
だが、あまりに暑いので車両は後回しにし、まずは本館の中を見てみる。
館内に入ると、まずは原型どおりに復元したという明治時代の車両が目に入る。
その他、Nゲージのレイアウトや運転台シミュレータ(事故廃車になった811系の先頭部を切り取ったという代物)、
古い切符やヘッドマークのレプリカが展示されていた。
とはいえ、そんなに展示物は多くないし、シミュレータは子供が列を成しているので、ひとしきり涼んだ所で外に出る。
次に、屋外に展示されている保存車両を見る。ボンネット型のクハ481(東北で余ったクロを改造したという珍車)、
クハネ581(ただし車体は715系時代のまま)を見た後、キハ07と言うのを見た。
この車両は今や絶滅した機械式気動車というやつで、かなり貴重な車両らしい。
車内は旧型国電のように見事な木張りの内装で、前面は戦前に流行した小窓を円筒形に並べたもの。
運転機器を見るとまるでバスのようなクラッチと変速レバーがあり、これが機械式の証である。
あとはSLとELを見て、おしまい。そんなに展示物は多くないので、
わざわざこれを見に来るためだけに門司港まで来るほどのことはないと思うが、
門司港駅とセットで是非見ておきたい施設だ。
門司港13:19発〜小倉13:32着
小倉13:43発〜博多13:59着 のぞみ15号
門司港から小倉に戻り、新幹線で博多に向かう。 小倉〜博多間は、以前は自由席券で指定席車両の空席に座ってもいいというローカルルールがあったが、 九州新幹線開業を契機に廃止され、その旨を注意する方法が車内でも流れていた。 色々寄り道してしまったが、次はいよいよ本題の九州新幹線だ。
博多14:09発〜新八代15:00着 さくら417号
博多で下車すると、向かいのホームにこれから乗る「さくら」が停車していた。
このホームは九州新幹線開業時に増設されたホームで、熊本方面からきた列車の折り返し専用である。
博多駅の変わりように戸惑いつつも、列車に乗り込む。
次に乗るのは「さくら」の指定席だが、これが見事に満席だった。
ただ、九州新幹線の指定席は「2&2シート」なので、横の席に別の客がいても余裕だ。
客層を見ると、これまでの列車に比べて圧倒的に子供連れが多い。
九州新幹線は子供にも注目の的のようだ。
14時9分、いよいよ博多を発車する。博多からしばらくは博多南線と共有しているので、一度通ったことのある区間だ。
福岡市内をゆっくりと走り抜け、博多の車両基地を過ぎると、いよいよ新線区間に入る。
と同時に、列車は一気にスピードを上げてトンネルに突入する。脊振山脈をくぐる筑紫トンネルだ。
筑紫トンネルを抜けるとすぐに新鳥栖を通過するが、それと同時に列車は減速し始める。
新鳥栖から次の久留米まではわずか7.1kmしかなく、下手な在来線の1駅間よりも短い。
ゆっくりと筑後川を渡り、久留米に到着する。久留米というと福岡の郊外だが、ここまで16分も掛かっており、
新幹線にしては遅いという印象を受ける。久留米駅は待避線もなくホームの長さも8両分しかない。
整備新幹線らしくコストを切り詰めた感じがする。
久留米を出ると、しばらくは鹿児島本線に沿って走る。
待避線のある筑後船小屋付近で鹿児島本線と分かれ、あとは田園地帯を進みつつ新大牟田、新玉名と通過する。
通過した3駅はいずれも周囲に建物が少なく、開発はこれからのようだ。
新玉名を過ぎると、田原坂のあたりの山間部を通るためトンネルが増える。
長いトンネル内で早くも列車は減速し始め、トンネルを抜けるとすぐに熊本市街に入る。
途中、左手に上熊本駅が見える。熊本電鉄の車両が停車しているが、
この前乗った「青ガエル」こと5000系とは異なる車両だった。
上熊本駅を過ぎると熊本市電と併走し、やがて熊本駅に到着する。ここまでわずか40分ほどだから、
やはり在来線時代に比べると圧倒的に速い。
熊本を出ると、広い田園地帯をひたすら南下する。
右手には、ちらりとだが有明海が見えた。熊本から10分で、新八代に到着する。新規開業区間はここまでで、
新八代から先は以前乗ったことがあるので、これで九州新幹線を乗りつぶしたことになる。
新八代駅には、以前「リレーつばめ」が乗り入れていた頃の線路が赤錆びて残っていた。
新八代15:44発〜博多16:36着 さくら418号
新八代は日中、1時間に1本しか新幹線が停車せず、折り返しの列車まで40分ほど待ち時間がある。
駅の外に出てみたが、以前と同じく一軒の店もない。
駅構内にもみどりの窓口と売店、待合室といった最低限の設備しかなく、ひたすらぼんやりするしかなかった。
ようやく、折り返しの博多行き「さくら」を迎える。今度は自由席に乗ったが、これが見事にがらがらで、
1号車には終始5人ぐらいしか乗客がいなかった。
自由席は指定席より座席幅が狭いのだが、これだけ空いているともはや関係ない。
博多16:44発〜天神16:50着
天神南17:00発〜橋本17:24着
博多では2時間強時間が余った。この時間を利用して、福岡県最後の未乗線である地下鉄七隈線に乗ろうと思う。
七隈線は2005年に開業した新しい路線で、既存の路線とは規格が違い、起点駅の天神南も空港線の天神駅から離れている。
博多駅から乗りに行くのは結構面倒で、これまで後回しになっていた。
まずは博多から空港線に乗り、天神へ。
天神駅から天神南駅に行くには、地下道を延々と5分ほど歩かねばならない。
天神はいうまでもなく福岡一の繁華街で、地下道もしゃれた店が並んでいて、買い物客で賑わっている。
空港線から七隈線に乗り換える際は、120分間以内に乗り換えれば運賃が通算されることになっており、
乗り換えついでにショッピングを、という人への便宜が図られているが、
急いで乗り換えようとする私のような人には結構つらい。
ようやく天神南駅に着き、留置線から出てきた橋本行きに乗る。
車両の内装はかなり個性的で、どことなく外国のトラムにでも乗っているかのような感じがする。
最後尾の運転席は開放されていて、着席することが可能なのが面白い。
途中の駅は判で突いたように同じ構造の駅ばかりで、見るべきものはない。
終点の橋本駅は高速道路沿いにあり、駅前には大きなショッピングモールがあった。
それでもまだ開発途上のようで、空き地も目立つ。
橋本17:30発〜天神南17:54着
天神18:00発〜博多18:06着
橋本から天神南へ戻り、例の地下道を大慌てで歩いて天神駅へ向かう。
天神から乗車したのはJR九州の303系だった。これまで乗ったことのない車両だったが、ようやく初乗車を果たした。
博多駅では残り時間を使って、新しく完成した駅ビルを見る。
「鉄道神社」なる謎の施設がある屋上に行って博多の町を眺めたりした。
とはいえ、大阪駅の巨大な駅ビルを見てしまうとやや分が悪い。
博多18:55発〜新横浜23:27着 のぞみ66号
博多からは最終の「のぞみ」で一気に東京に戻る。
この「のぞみ66号」は、山陽新幹線内での停車駅が最も少なく、
博多〜東京間の所要時間が上下通じて最も短い「最速列車」である。
それでも博多から新横浜までは4時間32分も掛かり、疲労した状態で乗り通すのはかなりしんどかった。
ノートパソコンを持ち込んでこの旅行記を書いていたので、暇を持て余すことはなかったが。
乗ってみて実感したが、やはり現状の所要時間では、新幹線が福岡〜東京間で飛行機に対抗するのは難しい。
リニアが名古屋なり新大阪なりまで開通すれば状況が変わるのかもしれないが。
これで九州新幹線を完乗し、再びJR完乗のタイトルを奪還した。 次に開業するのは、2015年以降に開業予定の北陸新幹線、そして北海道新幹線となろう。 その頃までには、今回の震災で甚大な被害を受けた東北太平洋岸の路線が少しでも復旧していることを願いたい。