新線開業、おおさか東線

 1997年の東西線開業以来、長らく新路線の開業がなかった大阪都心部であるが、 2007年から2009年にかけて開業ラッシュとなった。 私鉄では2007年に地下鉄今里筋線が、2008年には京阪中之島線が、2009年には阪神なんば線が開業した。そしてJRでは、 2008年3月におおさか東線が開業した。JRでは九州新幹線(新八代〜鹿児島中央)以来となる新線であった。
 既にJR全路線を乗り終えた私だが、完乗達成後初の新路線開業を迎えることとなった。 完乗タイトル維持のためにも当然、乗りに行かねばならない。 とはいえ、実家のある関西の路線ゆえ乗りに行くのは容易だ。 そこで、ゴールデンウィークの帰省のついでに乗車することにした。

目次

2008/4/27

■ 新横浜13:16発〜新大阪16:53着 こだま557号

 昼下がりの新横浜駅から、300系こだま号のグリーン車に乗り込む。 なぜグリーン車、それもこだま号なのかとお思いの方も多かろうが、 JRの「エクスプレス予約」サービスでは、予約の際にポイントが蓄積され、 ポイントに応じて無料にグリーン車に乗れるのだ。 だが、手持ちのポイントではこだま号にしか乗車できない。 しかも、ポイントの期限切れが間近に迫っており、やむなく今回利用することにした。
 車内はやはり空いていた。グリーン車だけあって乗客は熟年層が多く、落ち着いた雰囲気だ。 シートはブラウン系の落ち着いた色合いで、座り心地も良い。 300系といえば今やこだま号として走ることが多いが、かつてはのぞみを中心に活躍し、 このグリーン車にも東京大阪間を行き交う著名人などを乗せたことだろう。 座席には、ビジネス誌の「WEDGE」や、JR東海の車内誌 (JR北海道や九州に存在することは知っていたが、東海が発行していることは初めて知った) が備え付けられており、この席が選ばれしビジネスマンのためのものなのだと実感した。 そんなことに思いをはせつつ、西へと進む。
 小田原、三島などでのぞみ号を先行させ、今日は富士山は見えないなと思っていると静岡に着く。 ここまででほとんどの客は下車してしまい、残っているのは自分と熱海から乗ってきた親子連れのみとなった。 安倍川、大井川、天竜川と渡り、浜名湖を眺め、豊橋に着く。 ここで今日何度目かののぞみ待避をするのでホームに出てみる。 こだま号は途中の停車時間が長いので、ホームの売店で買い物もしやすい。 グループ客なら、こだま号に乗って各駅の駅弁食べ比べなどをしても面白いのではないだろうか。
 岐阜羽島で親子連れが下車してしまい、いよいよグリーン車は貸し切り状態となった。 新横浜から新大阪まで3時間半、 のぞみ号より時間はかかったがこんなに落ち着いた気分で大阪まで移動できたのは久しぶりのことだ。


見事に空席だらけの300系グリーン車。

■ 新大阪〜大阪17:03発〜久宝寺17:23着

 新大阪からはやや遅れていた321系の各駅停車で大阪へ移動し、 大阪ではすぐにやってきた大和路快速に飛び乗って久宝寺へ向かう。 大和路快速は休日の夕方としてはかなりの混雑で、乗り降りに時間がかかって少し遅延気味だった。 221系6連ではちょっと苦しいのではないかと思った。 途中の西九条では工事中の阪神なんば線の様子が見えた。来年春開通ということで もう随分工事が進んでいるようだった。

■ 久宝寺17:43発〜JR河内永和17:52着

 久宝寺駅に降り立ち、いよいよおおさか東線に乗り換えようとして驚いた。 次の列車まで何と20分待ちではないか。おおさか東線の列車本数が少ないことは知っていたが、 大阪市内でまさか20分も待たされるとは。 仕方ないので、やって来る列車を観察する。すると、東西線・おおさか東線経由の直通快速がやってきた。 ぴかぴかの223系8連だが乗車率は良くなく、特に最後尾の車両などがらがらであった。 先ほどの大和路快速と車両をコンバートしてほしいぐらいだ。 次に、快速の難波行きがやってきたが、これが何と環状線のオレンジの201系8連だった。 車両運用的には興味深いところだ。

 ようやくやってきたおおさか東線の列車に乗る。車両は201系6連で、 新車とはいかないものの車内はきれいにリニューアルされている。 201系といえば東京では廃車が進行しているが、関西ではまだまだ使うということなのだろう。 もともと昭和50年代後半の車両であり、廃車するにはまだ惜しい車両だと個人的には思う。
 久宝寺駅を発車し、しばらく大和路線と併走した後、右にカーブして新加美に着く。 この駅は大和路線の加美駅のすぐ近くで、 先ほどの大和路快速から駅の様子がよく見えた。新加美からはやや距離が離れてJR長瀬。 この駅はおおさか東線の駅で唯一、 他線との連絡がない。おおさか東線は既存の貨物線を再利用した路線で、 既に他の鉄道がある地域ばかりを通っている。 しかも、あまり需要のない南北方向の路線ということで、 乗客は少ないものと想像していたが、案外客は乗っている。 とはいえ運転間隔もまだまだ長く、折角作った新路線でありながらまだ十分に活用されているとは言い難い。 この路線が本領を発揮するのは新大阪まで延長されたときになるのだろうと思う。
 車窓に目を移すと、ごく普通の住宅街が続き見所は特にない。 JR俊徳道では近鉄大阪線の下を、JR河内永和では近鉄奈良線の下をくぐる。 そのJR河内永和で途中下車した。このおおさか東線では開業記念にスタンプラリーを実施しており、 それに参加するためである。


久宝寺駅の駅名標にも「新加美」の表示が加わった。


新たに誕生した種別・直通快速。ぴかぴかの223系の車内には空席が目立つ。


おおさか東線の主役は201系。103系が使用されることもあるらしいがこの日は見かけなかった。

■ JR河内永和18:03発〜放出18:09着

 特に目立った店もないJR河内永和から再びおおさか東線に乗車する。 高井田中央は巨大な阪神高速の下にあり、 地下鉄中央線とも接続する。やがて学研都市線と合流し、終点の放出に到着する。 これで無事おおさか東線を乗りつぶし、JR全線完乗のタイトルを奪還したのだった。
 次に開業するJR新線は、九州新幹線博多〜新八代間か、あるいは東北新幹線の八戸〜新青森間ということになろう。 両方とも東京からは遠く、開通したとしてもすぐに駆けつけるのは大変そうだ。 どちらも開業まではまだ数年掛かるものと思われるが、 完乗タイトル維持は前途多難である。

2019/6/14

 そして11年の月日が流れ、2019年3月におおさか東線が全線開業した。 今後、新大阪から既存の貨物線を経由してうめきた地区の新駅に乗り入れる計画はあるものの、 新線建設は一段落したこととなる。開業後の6月、所用で関西に出かけたついでに乗車することにした。

■ JR淡路16:29発〜新大阪16:34着

 夕刻、高架化工事の進む阪急淡路駅に降り立った。 狭苦しい改札を抜け、JR淡路駅に向かう。両社の駅はやや離れており、商店街を5分ばかり歩かなければならない。 昔ながらの商店街をとぼとぼ歩くが、乗り換え客はほとんどいない。阪急沿線から新大阪に出るには、南方から御堂筋線に乗るルートもあるので、 乗り換え時間のかかる淡路経由は敬遠されているのだろうか。
 真新しいホームで列車を迎えると、やってきたのは相変わらずの201系。東京ではとうに消えた車両で新線には似つかわしくないが、 内装や乗り心地は悪くなく、あと10年ぐらいは働けそうだ。うめきた新駅開業の際はぜひ新車に入れ替えてもらいたいものだが。 淡路を出ると、阪急の線路と立体交差する。阪急淡路駅は高架化が進んでいて、京急蒲田のような二層構造の駅になる予定だ。 高架のおおさか東線を二層の線路がまたぐ形になるので、上の層はかなりの高さになりそう。 南吹田駅付近で大きく左にカーブし、東海道線の貨物線と合流。ほどなく、新大阪に到着する。


真新しいJR淡路駅の周辺は閑散としていた。

■ 新大阪16:39発〜放出16:54着

 新大阪で折り返し、今度は久宝寺方面に向かう。JR淡路を過ぎると、淀川の橋梁を渡る。 かつておおさか東線が貨物線だった時代、この橋梁は単線分しか線路がなく、もう片方の線路は歩道橋として使われていたという。 その時代に一度歩いてみたかったと思う。淀川を越えてすぐ、城北公園通駅に到着。この辺はかなり家やマンションが密集しているが、 この駅ができるまでは鉄道空白地帯だったようで、新線の恩恵を最も受けた地域といえるだろう。 そのためか、乗降客は比較的多かった。
 鴫野で学研都市線と合流し、そのまま並走して放出に到着。 この駅ではおおさか東線と学研都市線を同じホームで乗り継ぐことができる構造となっており、 今回乗った列車も学研都市線の快速と連絡を取っていた。
 これで、JR線の全線完乗タイトルを取り戻した(本当は2017年に可部線の可部〜あき亀山間が開業しているのだが、 この区間は非電化時代に乗車していることを理由に、乗車済みの扱いとした)。 次は、九州新幹線(長崎ルート)か北陸新幹線(金沢〜敦賀間)となりそうだ。


11年ぶりにうぐいす色の201系に乗車。ヘッドマークは「関西本線開業130周年」のものだった。

JR線乗りつぶし状況

新規乗車キロ数

路線名乗車区間キロ数
おおさか東線(2008年)放出〜久宝寺9.2
おおさか東線(2019年)新大阪〜放出11.0
合計20.2