最終更新日:2021/1/5

JR四国完乗:二日目―予讃線・予土線・土讃線で西部一周、最後に鳴門線

目次

2003/4/29

松山6:58発〜伊予大洲8:51着 4725D キハ32(1)

 駅前のビジネスホテルをチェックアウトし、早朝の松山駅に向かう。 今日はこれから、予讃線の松山〜宇和島間を乗りつぶすことにしている。 だが、松山から宇和島までの間は途中でルートが二手に分かれており、 単に特急で通過するだけといいというわけには行かない。
 まずは、松山から普通列車で伊予大洲を目指す。祝日の早朝、 しかも松山から離れる方向の列車とあって車内はがらがらだった。 松山を出て、市の郊外をしばらく走り、伊予市へ。 伊予市の次の向井原からは、内子を経由する新線と伊予長浜を経由する旧線とに分かれる。 この列車は伊予長浜経由なので、旧線のほうに進む。
 向井原を出てしばらくすると、目の前に瀬戸内海が広がる。 海との間には狭い道路があるぐらいで、目の前が海といってもよい。 途中の下灘駅などはホームのすぐ下が海で、ポスターなどの撮影地としても有名である。 この景色がある分、旧線経由の方が車窓はよいといわれている。 車内は相変わらずがらがらで、そんな車内から朝の海を眺めていると清々しい気分になる。 早起きしてよかったと思う瞬間だ。
 そんな海沿い区間も伊予長浜で終わり、あとは山の中を掻き分けて進む。 やがて新線と合流し、伊予大洲に到着。典型的な田舎駅といった風情の駅だ。


路面電車が行き交う松山駅前の風景。


レトロな松山駅から今日の旅がスタート。


旧線の普通列車は小柄なキハ32での運転だった。


途中ですれ違った普通列車は、特急用のキハ185を普通用に転用した車両だった。

伊予大洲9:18発〜松山9:56着 1056D 宇和海6号 2000(4)

 伊予大洲でしばらく待ち、今度は新線区間を乗りつぶすべく松山に一旦向かう。 やってきた特急「宇和海」はまたしても2000系気動車だった。
 列車は伊予大洲を出て、新線区間に入る。 新線の一部は、内子線という零細なローカル線を改良する形で建設された。 その関係で、伊予大洲から次の新谷までは予讃線、新谷から内子までは内子線、 内子から先はまた予讃線というように、線名がころころ変わる。
 しかし、車窓の方は特段の変化はなく、新しい線だけあって山々をトンネルで直線的に貫いていく。 結局、あっという間に伊予市まで戻ってきてしまった。 伊予大洲から松山までの所要時間はわずか40分ほどで、 旧線経由の普通列車の所要時間と比べると3分の1ほどだ。
 伊予市で一旦下車してしまってもよいのだが、時間があるので松山まで戻ることにする。

松山10:09発〜宇和島11:26着 1055D 宇和海5号 2000(4)

 松山駅の構内を歩いていると、朝にはなかった駅弁売りのスタンドがあった。 ここで「醤油めし」というのを買う。醤油がひたひたになったご飯・・・が入っている訳ではなく、 いわゆる炊き込みご飯が箱にぎっちりと入っていた。松山駅では歴史ある駅弁だそうだ。
 再び特急「宇和海」に乗り、宇和島を目指す。 伊予大洲を過ぎ、いよいよ予讃線の末端部に入る。 しかし、このあたりは海岸線から遠く離れたところを進むようで、山また山といった景色が続く。 松山から1時間ちょっとで、愛媛県西端の宇和島に着いた。 小高い山の上にある宇和島城が名物で、車窓からもちらりと見ることができた。


2000系で運転される特急「宇和海」。

宇和島11:28発〜窪川13:45着 4840D キハ54(1)

 宇和島ではわずか2分の接続で、予土線の窪川行き普通列車に連絡している。 予土線は四国でも最も奥まった位置にあるローカル線で、 きっと寂れてるんだろうなと思っていたが、単行の列車には結構乗客が乗っており、 座るのがやっとといった状態だった。また、列車の後部にはトロッコが連結されているが、 そちらには誰も乗っていない。
 宇和島を発車し、次の北宇和島で予讃線と分岐する。 北宇和島を出てしばらくは山の中をぐいぐいと登っていく。随分進んだところで、 最初の停車駅である務田に着く。ここから先は、小さな駅にちょこちょこと停車しながら進むため、 やたらと時間がかかる。この区間は戦前に軽便鉄道として開通したため、その名残だろうか。
 のどかな山村を進み、宇和島から一時間ほどで予土線の主要駅である江川崎に着く。 ここからは、割と近年になって造られた区間に入る。 また、いよいよ四万十川との併走が始まり、景色も良い区間だ。 車窓からは川幅の広い四万十川がよく見える。 ただし、四万十川は激しく蛇行しており、 線路は付き合いきれないとばかりに鉄橋とトンネルで蛇行をショートカットして進む。
 やがて、十川という駅に着く。 ここで車内にいた観光客風の乗客たちがいっせいに下車し、トロッコの方へと乗り換えていった。 どうやら、この駅から客をトロッコに乗車させるようだ。
 十川から先はますます四万十川の屈曲が激しくなり、何度も鉄橋で川を渡る。 鉄橋では徐行をしたりして、トロッコの乗客を楽しませていたようだ。 見てみると、列車は四万十川を遡る形で進んでいる。 内陸にある江川崎から太平洋岸に近い窪川に進んでいるのに、である。 四万十川は妙な流れ方をする川で、窪川から江川崎まで内陸へと進んだ後、再び太平洋へと進み中村で海に出る。 そのことを知らなかったので、川の流れる向きには違和感を覚えた。
 家地川を過ぎると列車はトンネルに入り、四万十川から離れる。 トンネルを抜けると、突然別の線路が合流してくる。中村からやってきた土佐くろしお鉄道である。 ここから先、窪川までは土佐くろしお鉄道に乗り入れる。 そのため、予土線を宇和島から窪川まで乗りとおすためには、必ず土佐くろしお鉄道を経由しなければならない。 伊勢鉄道のあたりもそうだが、特定地方交通線廃止の際、国鉄時代の路線名称を杓子定規に適用した弊害といえよう。
 若井という、無人の小さな駅を過ぎると、次が終点の窪川だ。 窪川は山間の小さな駅といった感じで、海には程遠い感じだ。


予土線は清流として名高い四万十川に沿って走る。


普通列車の後尾にはこのようなトロッコが連結されている。


トロッコを牽引するのは普通列車用のキハ54。

窪川13:55発〜阿波池田16:10着 48D 南風18号 2000(3)

 窪川は土讃線という幹線の終端である割には寂しい駅だ。 特急は全列車がこの駅から土佐くろしお鉄道に乗り入れて中村まで行くため、 人の流れ的には終着駅ではないのだろう。
 土讃線の末端部を乗りつぶすべく、すぐにやってきた特急「南風」に乗る。 窪川を出ると、列車は山の中を進む。どんどんと坂を下っていき、 海沿いの須崎へと出る。しかし太平洋を望めるのはこの付近だけで、 再び列車は山の中へと進み、内陸の佐川に着く。
 伊野を過ぎると土佐電鉄の線路が見えた。高知市内では路面電車として走る土佐電鉄だが、 このあたりでは専用軌道で、しかも単線であった。あちらにも一度乗ってみたいものだ。
 窪川から一時間ほどで、高知に到着。高知駅は昔ながらの地平駅だ。 高知にやってくるのは、高校時代に一度来て以来のことである。 しかし、この列車は高知に数分停車するとすぐに発車してしまうので、下車することはできない。
 高知の少し先の後免からは昨日一度乗車区間だ。 大歩危付近の渓流を再び眺めつつ、阿波池田に着く。


窪川で見かけた土佐くろしお鉄道の車両。中間の窓が大きいのが特徴。


ビジネスホテルの看板が妙に目立っている窪川駅舎。

阿波池田16:15発〜徳島17:23着 20D 剣山10号 キハ185(2)

 阿波池田からは、徳島線で徳島を目指す。 徳島線は全線が吉野川に沿って走る線で、これから乗る特急「剣山」が走る。 編成は牟岐線の特急と同じ2両編成である。
 阿波池田を発車した列車は、吉野川沿いの集落を進む。 吉野川は中央構造線に沿って一直線に流れており、進んでも進んでも風景はあまり変わらない。 加えて、線路から川が見える箇所はあまりなく、車窓はやや単調だった。
 車内に目を転じると、乗客はそれほど多くない。 乗客には短距離利用の学生なんかもいて、特急という感じはあまりしない。 どちらかというと往年の急行列車のような雰囲気である。
 観光地である脇町に近い穴吹や、沿線の主要駅である鴨島などに停車しつつ、 1時間ちょっとで徳島に到着した。

徳島17:46発〜鳴門18:35着 752D キハ40(2)

 2日間に渡る四国乗りつぶしの旅も、いよいよ佳境を迎えた。 最後に乗るのは、鳴門線の普通列車である。鳴門線は四国でも一際地味な盲腸線で、 普通列車が細々と走るのみである。この路線が四国最後の路線となった。
 徳島駅から鳴門線の列車に乗り込む。車両はキハ40で、意外にもこの旅で最初で最後の国鉄型車両である。 考えてみると、これまで乗ったのは民営化以降の車両か、国鉄最末期の車両ばかりだった。
 昨日も通った高徳線を通り、池谷へ。ここでは高徳線と鳴門線が分岐するが、 両者のホームは「ハ」の字の形に配置されている。 国鉄・JRでは本線・支線のホームが平行に設置されていることが多く、このような配置は珍しい。
 池谷から鳴門線に入るが、沿線に目立った風景はない。 途中、「教会前」「金比羅前」というバス停のような駅名の駅があるのが目立つぐらいだろうか。 途中駅はどれも、屋根もろくにない小さな無人駅ばかりである。
 やがて、終点の鳴門に到着。ごく普通のどこにでもある地方の駅、といった風情である。 夕方とあって下車する人は多く、そこそこ賑わっている。


四国カラーリングのキハ40。


夕暮れの鳴門駅で四国乗りつぶしを達成。

高速鳴門〜阪急梅田 高速バス

 鳴門で四国乗りつぶしを終え、あとは大阪へと帰るのみである。 鳴門は大鳴門橋を通じて淡路島と繋がっていて、さらには明石海峡大橋を通じて関西へと繋がっている。 盲腸線の終点である鳴門は、実は四国で最も関西に近い場所なのだった。
 そこで、鳴門から高速バスに乗り、一気に大阪へと戻ることにした。 ただしバスは駅前からではなく、少し離れた高速道路上のバス停から発着している。 徳島発のバスがここを経由するのだ。
 しばらく鳴門駅でつぶした後、駅前の道を10分ほど歩く。 すると、高速道路の高架下にバス停へと繋がるリフトの乗り場がある。 「すろっぴー」と名付けられたそのリフトに乗り、バス乗り場に到着した。
 あとはやってきたバスに乗り込み、帰るのみである。 生まれて初めて大鳴門橋と明石海峡大橋を通過したが、どちらも橋の巨大さに圧倒された。 特に明石海峡大橋など、JR神戸線の車窓からは橋桁の部分が随分細く見えるが、 実際通ってみると6車線ほどもあって非常に幅が広く感じられた。 明石海峡大橋を抜け、阪神高速神戸線を経由して、夜の大阪梅田にたどり着いたのは9時近くのことだった。

 今回の旅で、四国のJR全線を走破し、これでいわゆる「三島会社」を全て制したことになる。 走破率も85%となり、いよいよゴールが見えてきた。


高速鳴門バス停に設置された「すろっぴー」。

JR線乗りつぶし状況

新規乗車キロ数

路線名乗車区間キロ数
高徳線高松〜徳島74.5
牟岐線徳島〜海部79.3
内子線新谷〜内子5.3
予讃線高松〜坂出、宇多津〜伊予長浜〜宇和島、
向井原〜内子、新谷〜伊予大洲
322.4
予土線若井〜北宇和島76.3
土讃線多度津〜窪川198.7
徳島線佐古〜佃67.5
鳴門線池谷〜鳴門8.5
合計832.5

累積乗車キロ数

 総キロ数走破キロ数走破率総路線数走破路線数路線走破率
旅行前19860.916219.881.67%17112774.27%
旅行後19860.917052.385.86%17113578.95%

私鉄乗りつぶし状況

新規乗車キロ数

会社名路線名乗車区間キロ数
高松琴平電気鉄道琴平線高松築港〜片原町0.9
阿佐海岸鉄道阿佐東線海部〜甲浦8.5
土佐くろしお鉄道中村線窪川〜若井4.4
阿佐線後免〜奈半利42.7
合計56.5