最終更新日:2021/3/22

名古屋のミョーな鉄道に乗る:二日目―バス・新線・ナロ―・船・新空港・展望車…

目次

2005/8/18

久屋大通〜大曽根 名古屋市営地下鉄

大曽根〜小幡緑地〜大曽根 名古屋ガイドウェイバス

大曽根〜名古屋

 翌朝、ホテルを出て地下鉄で大曽根へと向かう。 今日はまず、名古屋ガイドウェイバスに乗ろうと思う。
 名古屋ガイドウェイバスは、大曽根から小幡緑地までの間に設けられたバス専用軌道である。 走る車両はどこをどう見てもバスであるが、れっきとした「鉄道」である。 ジャンルとしては、ゆりかもめ等と同じ新交通システムに分類されるようだ。
 乗り場に上がって軌道の様子を見てみると、確かに新交通システムに似ている。 ただし、「ホーム」が通常の新交通システムと違って軌道と同じ高さにある。
 早速、やってきたバスに乗り込む。運転席の様子を見ていると、 ハンドルは運転士が触ることなく勝手に動いている。運転士はアクセルとブレーキの操作のみを行っているようだ。 軌道は高架上を進むので、街の様子がよく見える。 途中、ナゴヤドームの近くも通るので、ドームが間近に見えた。 大曽根から10分ちょっとで、小幡緑地に着く。
 小幡緑地は専用軌道の終点ではあるが、ほとんどのバスは小幡緑地から先、高蔵寺などを目指す。 小幡緑地から先は普通の路線バスとして運転する。 小幡緑地の駅の外れには、専用軌道の駅から一般道路にアプローチするためのスロープがあった。
 小幡緑地からの折り返しに乗ったバスは、朝の通勤時間帯とあって混んでいた。 大曽根に戻り、これまた混雑している中央本線で名古屋に向かう。


軌道はまるで新交通システムのよう。


専用軌道乗り入れ対応のバス型車両で運転される。


専用軌道と一般道路はスロープのようなもので結ばれている。

名古屋8:40発〜金城ふ頭9:04着 あおなみ線

金城ふ頭9:11発〜名古屋9:35着 あおなみ線

 名古屋からは、あおなみ線に乗る。あおなみ線は正式名称を「名古屋臨海高速鉄道西名古屋港線」という。 純粋な新線ではなく、西名古屋港線という貨物線を改良した路線である。 そのため、旅客列車専用ではなく貨物列車も通過する。 ちなみに、よく似た名前を持つ東京のりんかい線も、その一部は建設途中の貨物線を改良したものである。
 あおなみ線の名古屋駅は、東海道新幹線ホームの脇にある。ただし、駅中心部からはやや南にずれており、 乗り換えの際はやや歩かされた。ホームに上がると既に列車が停車している。 真新しいステンレス製の車両だ。ホームにはホームドアも設置されており、まるで地下鉄線のようだ。 ラッシュの逆向きということで閑散とした列車に乗り、名古屋を発車する。
 最初の停車駅は「ささじまライブ」という駅で、愛知万博のサテライト会場があるらしい。 まだ時間が早いせいか、ここで降りる人はあまりいない。その後しばらくは、関西線や近鉄線と併走する。 名古屋機関区を過ぎると関西線と別れ、南へ進む。荒子から南荒子にかけては、 広大な貨物ターミナルの脇を通過する。周囲は団地やスーパーなどが目立つ、ごく普通の住宅街である。 そんな光景が稲長あたりまで続く。
 野跡を過ぎると、巨大な倉庫や空き地などが目立ってきて、臨港地帯の風景に変わってきた。 やがて目の前には、伊勢湾岸道の巨大な橋が見えてきた。 その橋の下をくぐると、終点の金城ふ頭に到着した。 この時間にここまでやってくる人はめったにいないらしく、乗降客は自分以外ほぼゼロだった。
 時間があるので改札の外に出てみる。駅前には洋風の結婚式場があるぐらいで、 他には何もない。少し離れたところに展示場があるらしいので、 そこでイベントか何かがあるときは賑わうのだろう。
 再び駅に戻り、乗ってきた列車で名古屋に戻る。


ブラックフェースとつるんとした側面が特徴のあおなみ線の車両。


車内は313系をロングシート化したような感じ。


終点の金城ふ頭近くでは、巨大な伊勢湾岸道の橋梁をくぐる。


名古屋から20分強で、終点・金城ふ頭に到着。。


金城ふ頭の駅前は閑散としていた。

近鉄名古屋9:41発〜桑名10:01着 近鉄名古屋線

 先に述べたとおり、あおなみ線はJR名古屋駅構内の外れにあるため、 近鉄名古屋駅への乗り換えには非常に時間がかかる。名古屋駅構内を大急ぎで歩いて、 何とか41分発の電車に間に合った。
 近鉄名古屋線の急行に乗り、桑名へ向かう。 桑名の駅前にはナガシマスパーランドに向かうバスが待機していて、結構な数の若者が乗車していた。


桑名で見かけた養老鉄道の車両。ここにもナガシマスパーランドに向かう若者が。

西桑名10:11〜阿下喜11:07着 三岐鉄道

 近鉄桑名駅から少し離れたところに、三岐鉄道北勢線の西桑名駅がある。 以前、北勢線が近鉄に所属していた頃は、同じ会社なのに駅の位置も名前も違うということで、 まるで別の会社のようだといわれていたが、今や本当に別の会社になった。
 古びた西桑名の駅で切符を買い、改札を通る。 すると、ホームには黄色い列車が停まっていた。近鉄時代は近鉄の車体カラーに準じたえんじ色だったが、 三岐鉄道に移管後は三岐線に準じた黄色に塗り直された。
 北勢線は、今や日本で数少ないナローゲージ(軌間762mm)の路線である。 列車の正面に回ってみると、車体幅が狭いのに驚かされる。 ホームの下の線路の幅も狭い。遊園地の遊戯用の汽車のようだ。こんな狭い線路で大丈夫なのかなと思う。 車内に入ると、まとわりつくような蒸し暑さである。北勢線の車両は車体の小ささから冷房が載せられず、 今時珍しい非冷房車なのだ。これから小一時間、蒸し暑さに耐えなければならない。 車体幅の狭さにも驚いた。車内のロングシートに座って足を伸ばすと、前の人の足に触れてしまいそうだ。
 西桑名を発車した列車は、住宅街の中を走る。スピードはさほどでもないが、揺れがものすごい。 さすがはナローゲージだけあって、走行中の車両が安定しないのだろう。 スピードが遅いせいで窓から入ってくる風も勢いが弱く、暑い。
 そんな旧態依然とした北勢線だが、三岐鉄道に経営が移ったことをきっかけに改革が進んでいる。 一つは駅の統廃合や整理で、駅間の短い駅を統合することで合理化を図るという。 また、駅前に大きな駐車場を整備することで自動車との乗り継ぎを円滑化する取り組みもしている。 途中の星川はその過程でできた駅で、真新しい駅舎と広い駐車場を備えていた。
 しばらく走ると、列車は東員に到着する。この駅もごく最近できたようで、 ホームが真新しい。北勢線の車両基地がある駅でもある。 この駅では臨時に車両交換を行うということで、別の列車に乗り換える。最初に乗っていたのは3両編成だったが、 4両編成に変わった。
 東員を出ると、程なく廃止された駅の跡が見える。 ここはかつての北大社駅で、かつては車両基地を備えた北勢線の中枢として機能していた。今は車両基地だけが残っている。 東員あたりから、車窓が田園風景に変わる。途中にはナローゲージらしい急なカーブもいくつかある。 ただし、三岐鉄道では高速化にも取り組んでいて、急なカーブは減る傾向にあるようだ。 車内から見ていると、至るところで線路工事が行われていた。
 田園地帯を揺られながら進み、西桑名から1時間ほどで終点の阿下喜に着いた。 阿下喜は行き止まりなので、路線図だけを見るとそのまま西桑名に折り返すしかないように見える。 しかし、実際は三岐線の伊勢治田駅に近く、十分歩ける距離にある。 阿下喜駅にはタクシーも待機していたが、距離的に見て15分もあれば着くだろうと思い、歩くことにした。
 炎天下の中、調べてきた道を歩く。だが、およそ半分の距離を歩いたところで、 西藤原行きの発車時刻まで残り時間は半分を切っていた。 このままではまずいと思い、小走りで先を急ぐ。滝のように汗が出てくる。 残り時間2分というところで、何とか伊勢治田駅にたどり着いた。


三岐鉄道北勢線の車両。車体と線路幅の細さに驚かされる。


車内の様子。ロングシートの両側に人が座ると膝がぶつかるのではないかと思うほど狭い。


東員駅からは近鉄オリジナルカラーの車両に乗り換える。


北勢線の終点、阿下喜駅。

伊勢治田11:22〜西藤原11:36着 三岐鉄道

西藤原11:45発〜近鉄富田12:21着 三岐鉄道

 伊勢治田駅は、貨物側線を何本も備えた大きな駅であった。 一人だけいた駅員さんに「乗るの?」と聞かれ、乗る旨を伝えると、 もう時間がないので降りる駅で運賃を払ってくれとのこと。
 やってきた列車は元西武の車両で、座席など至るところに西武の車両らしい特徴が見られる。 今度の列車は冷房がついており、ありがたい。 伊勢治田の次の東藤原は、駅近くに巨大なセメント工場があり、構内には貨車が何両も留置されている。 この三岐線は、私鉄では珍しく今も貨物輸送が盛んである。 貨物牽引用の電気機関車も多数所有している。 また、中部国際空港の建設時には、埋め立て用の土砂の輸送も行ったという。
 伊勢治田から3駅で、三岐線の終点の西藤原に到着する。 駅前には鉄道公園があり古い車両が展示されているというが、時間がなくて見ることはできなかった。
 駅の窓口で硬券の乗車券を買い、折り返しの列車に乗り込む。 最初は鈴鹿山脈の山すそを進むためカーブが多かったが、 途中からは平地を進むため線路も直線的になった。 そのため、先程の北勢線に比べ随分スピードが出る。 風景が田園から住宅地に転ずると、程なく近鉄富田に着く。


三岐鉄道三岐線の終点・西藤原駅。


西武鉄道時代同様、黄色いカラーリングの三岐線車両。

近鉄富田12:24発〜近鉄四日市12:32着 近鉄名古屋線

近鉄四日市〜四日市 三重交通

 富田には近鉄とJR関西本線の駅がやや離れて立地している。 以前は三岐線は近鉄・旧国鉄両方の富田駅に乗り入れていたが、 当時の国鉄関西線は非常に本数が少なく不便だったため、いつしか近鉄富田にのみ乗り入れるようになった。
 さて、この後は伊勢鉄道に乗るので、当初はJR富田駅まで歩くつもりだった。 しかし、先程の「マラソン」のせいで疲れており、暑い中を歩きたくない。 そこに、近鉄の普通電車がやってきた。面倒なのでこれに乗ってしまうことにする。
 近鉄四日市は立派な高架駅で、デパートやバスターミナルがあり賑わっている。 バスターミナルに行くと、程なくJR四日市駅行きのバスが来たのでこれに乗る。 四日市市街の目抜き通りを走り、5分ほどでJR四日市駅に着いた。
 JR四日市駅は、大都市の駅らしく2階建ての立派な駅舎を備えている。 しかし駅に人影は少なく、大きな駅舎を持て余しているかに見える。


立派な駅舎を持つJR四日市駅だが、人の気配は少ない。


駅の後ろにはコンテナヤードがあり、まるで貨物駅に紛れ込んだかのよう。

四日市12:58発〜津13:17着 伊勢鉄道

 四日市からは伊勢鉄道で津に向かう。 伊勢鉄道は旧国鉄伊勢線で、特急「南紀」などが走る重要路線であるにもかかわらず、 国鉄再建時の理不尽な廃線基準により廃止対象となり、第三セクターに転換されてしまった。
 そんな伊勢鉄道であるが、確かに今も「南紀」や快速「みえ」が通過するものの、 普通列車は普通列車が1時間に1本行き来するのみで、その普通列車も単行の気動車である。 普通列車だけを見ると、他の3セク線とあまりレベルは変わらない。 ちなみに、このあたりのJR線に乗るのは初めてではないが、 亀山を回ったり近鉄で大阪方面に抜けたりしてしまったため、伊勢鉄道は初乗車である。
 四日市から快速「みえ」に乗る。快速は津までノンストップである。 18きっぷでは伊勢鉄道に乗車できないので、車内で精算した。 四日市から2つ目の河原田で関西本線から分岐し、伊勢鉄道に入る。 車窓は田んぼや雑木林が目立ち、途中の駅も小さい。 それでも通過列車の本数はそこそこ多いため、かなりの区間が複線化されていた。 四日市から20分で津に着く。


伊勢鉄道の乗り場はJRのホームの一番端にあり、結構歩かされる。


伊勢鉄道のローカル列車は単行気動車で運転。

津13:30発〜津新港13:40着 三重交通

津新港14:00発〜セントレア14:40着 津エアポートライン

 津からは、高速船で伊勢湾を一跨ぎして一気に中部国際空港に向かおうと思う。 津駅前から港まで連絡バスが出ているので、これに乗る。
 高速船乗り場は最近整備されたと思われ、真新しかった。 20分ほど待つと、出航の時刻となった。船内は空いており、夏休みにしてはかなり寂しい乗船率だった。 まだ開港したばかりということで、路線が十分に認識されていないのだろうか。 それとも、そもそもこの程度の需要しかないということか。それはおいおい分かるだろう。
 出航すると、船は結構揺れた。窓には水しぶきがザブザブと掛かる。 ひたすら海原を進むこと40分、中部国際空港に到着した。


高速船で伊勢湾をひとまたぎし、セントレアへ。

中部国際空港15:58発〜豊橋17:26着 名古屋鉄道

 中部国際空港はつい最近開港したばかりということもあって、 空港内にはただ空港を見物しにきたという人も結構いるようだった。 自分もその一員だが、もともと空港という場所はけっこう好きなので色々見て回る。 一通り見た感想としては、思ったより色んな施設が簡素だなと感じた。 成田や羽田、関空といった巨大空港に見慣れるとどうしてもそう感じてしまう。
 さて、中部国際空港からは豊橋行きの特急に乗車する。 車両は名鉄自慢のパノラマSuperで、展望席の最前列を確保できた。 列車に乗り込むと、横には旅行帰りと思われる家族連れが座った。
 豊橋行き特急は、一旦金山まで常滑線を北上した後、 金山からは方向転換して豊橋を目指すというユニークな経路をとる。 そのため、金山までは後面展望、金山からは前面展望を楽しむこととなった。 展望車から見る車窓はやはり迫力があり、1時間半という長い乗車時間であったが飽きることがなかった。


中部国際空港駅で、空港連絡特急が発車を待つ。


金山からは方向転換し、最前列からの展望が楽しめた。


豊橋に到着した列車は、慌ただしく乗客を入れ替えて折り返す。

豊橋17:38発〜浜松18:09着 188F

浜松18:10発〜静岡19:19着 820M

静岡19:35発〜藤沢21:54着 338M

 豊橋からは、例によって普通列車を乗り継いで東京を目指す。 静岡からは373系使用の普通列車に乗るのももはやお約束である。 藤沢で小田急に乗り換え、帰宅した。


18きっぷで東海道を行き来するときの定番、373系東京行き。

私鉄乗りつぶし状況

新規乗車キロ数

会社名路線名乗車区間キロ数
明知鉄道明智線恵那〜明智25.1
愛知高速交通東部丘陵線藤が丘〜八草8.9
名古屋市交通局東山線本山〜藤が丘6.4
名城線上前津〜栄、久屋大通〜大曽根、本山〜八事10.0
鶴舞線上前津〜八事6.2
名古屋ガイドウェイバスガイドウェイバス志段味線大曽根〜小幡緑地6.5
名古屋臨海高速鉄道西名古屋港線名古屋〜金城ふ頭15.2
三岐鉄道三岐線近鉄富田〜西藤原26.6
北勢線西桑名〜阿下喜20.4
伊勢鉄道伊勢線河原田〜津22.3
名古屋鉄道名古屋本線豊橋〜神宮前62.2
常滑線太田川〜常滑17.0
空港線常滑〜中部国際空港4.2
合計231.0