2005/8/17
■ 八王子6:36発〜小淵沢9:01着 429M
猛暑の時期とはいえ、朝の6時台ともなるとまだ空気は涼しい。
そんな朝早い八王子駅から、中央本線の普通列車松本行きに乗車する。
列車は6連で、早朝だけにがらがらだろうと思いきや、ハイカーや若者で結構混んでいる。
足の長い列車だけあって、18きっぷシーズンのこの時期はそれなりに混むようのだ。
八王子を発車し、小仏峠のトンネルを抜けると、都会から田舎へと風景は一変する。
途中駅でドアが開くたびに、ひんやりとした山の空気が入ってきて心地よい。
そんな空気を味わっているうちに、列車は大月に到着。
とはいえ車内の乗客はまだまだ先を目指すようで、車内の賑わいは相変わらずだ。
大月を出て、元スイッチバック駅の初狩を過ぎると、長い長い笹子トンネルに入る。
トンネルを抜けてしばらく走ると、勝沼ぶどう郷に着く。この駅からの眺めは良く、甲府盆地がよく見渡せる。
この辺の駅から山を目指す人は結構いるらしく、駅に停車するたびにぱらぱらとハイカー達が下車していった。
甲府盆地に降り、塩山に着く頃には車内の混雑は大分落ち着いてきた。
代わって乗ってくるのが、部活か補習に出かける学生たちである。
甲府を過ぎ、韮崎あたりまでは学生の姿が目立った。
韮崎を過ぎると、列車は延々と上り勾配を進む。何せ中央本線最高地点の富士見駅は標高が900mを超える。
ちょっとした山の山頂並の標高だ。列車は、そんな高さにまで居ながらにして運んでくれるわけで、
そう考えると何だか有難く思えてくる。
途中、日野春駅で特急「スーパーあずさ」を待避する。八王子を出て以来、初の特急待避だ。
昼間に中央本線の普通列車に乗ると、待避待ちが多くてやきもきさせられるが、
その点早朝のこの列車はほとんど待避がなくてよい。
日野春を出ると、あとは八ヶ岳山麓の高原地帯を突き進み、小淵沢に到着。
日野春で「スーパーあずさ」に追い抜かれる。
■ 小淵沢9:18発〜中込10:46着 9251D
■ 中込11:22発〜佐久平11:36着 135D
小淵沢からは、2度目の乗車となる小海線で佐久平を目指そうと思う。
小淵沢からの小海線は列車本数が少なく、本来だとしばらく列車がないはずだが、
この日は夏の掻き入れ時だけあって中込までの臨時列車が運転されている。
普通列車からの客と、その後からやってきた特急からの乗継客を乗せると、
車内は結構な混雑となった。列車は小淵沢を発車すると、右に180度カーブした大きな築堤を進む。
この築堤は中央本線からもよく見える。
八ヶ岳らしい森林地帯をしばらく進み、甲斐小泉に停車。
しばらく来ないうちに、駅舎は小さく新しいものに建て替えられていた。
さらに森林地帯を進み、甲斐大泉に停車。こちらの駅舎は古いままだった。
どちらの駅も別荘や美術館が多く点在するリゾート地で、観光客が多数下車していく。
甲斐大泉を過ぎると見所が訪れる。八ヶ岳に鋭く食い込む沢を、Ωカーブで超えるのだ。
これまで淡々と林の中を走ってきたところに、いきなり荒々しい沢が現れ、驚かされる。
そんな箇所を過ぎると、八ヶ岳観光の中心地清里に到着。ここで車内の客の大半が下車した。
清里から先しばらくは、高原野菜の畑が車窓に広がる。
その景色は本州離れしていて、北海道の富良野線あたりから見る風景かと思ってしまう。
そんな光景が信濃川上あたりまで続いた後は、千曲川に沿っての川下りが始まる。
こちらはごく日本的な車窓である。
小淵沢から1時間半ほどで、臨時列車の終点の中込に到着した。
中込は佐久平の南端に位置するが、駅前にはこれといった見所はない。
中込始発の定期列車の発車までは時間があるので、待合室でぼんやりと次の列車を待つ。
中込を出て10分あまりで、真新しい佐久平駅に着く。
新幹線が地平、在来線が高架という妙な位置関係が面白い。
前回乗車したときはこの先さらに小諸まで行ったので、佐久平で下車するのは初めてだ。
佐久平付近は近代的な高架線路となっている。ただし車両は気動車2連。
■ 佐久平10:47発〜上田10:57着 507E あさま507号
これから先は篠ノ井まで一旦出て、篠ノ井線、中央西線に乗るつもりである。
しかし小海線で小諸まで出て、しなの鉄道に乗っていたのでは所望の列車に間に合わないため、
佐久平から上田までは長野新幹線でショートカットすることにした。
書き忘れていたが、今回の旅行の主体は18きっぷであるため、
佐久平から上田までは特急券の他に乗車券も買わねばならない。
切符を買って新幹線のホームに向かうと、列車が大幅に遅れているという。
その遅れはちょうど1時間程度のようで、幸いにもこれから乗る予定の1時間前の列車が間もなくやってくるという。
ホームに下りると、すぐに列車がやってきた。わずか10分の乗車で、上田に到着する。
1時間遅れでやってきた「あさま」。
■ 上田12:24発〜川中島12:58着 2641M
城下町で知られる上田にやってきたのは初めてだ。長野新幹線開業とともに駅は整備されたようで、
どの施設も真新しい。その片隅に、上田交通の乗り場があった。列車の姿を眺めることはできなかったが、
ぜひ一度乗車してみたいものである。
上田からは、しなの鉄道で篠ノ井に向かう。この区間に前回乗ったのはまだJR信越本線だった頃であり、
しなの鉄道となってからは初めてである。車両は真っ赤な派手な塗装に変わったが、
車両自体はJR時代の115系を継承しており、車内の内装も従来と変わらない。
工場と果樹園が入り混じる車窓を眺めること30分で、篠ノ井に着く。
この駅で下車してもよいが、次の篠ノ井線まで時間があるので、2つ長野寄りの川中島で下車することにした。
派手なカラーリングのしなの鉄道115系。
■ 川中島13:08発〜松本14:17着 1226M
「川中島」と聞いて真っ先に思い出すのは、川中島の合戦である。
そんな駅名に引き寄せられて下車した川中島駅であるが、駅構内に新幹線の高架が通る以外は、
これといった特徴もない駅であった。
しばらく待って、やってきた松本行き普通列車に乗る。
篠ノ井を出ると、列車は篠ノ井線に入る。この区間、中学生の頃に一度乗車して以来一度も乗っていなかった。
実に十数年ぶりの乗車である。
篠ノ井を出た列車は、山裾を巻くようにぐんぐんと登っていく。
しばらく進むうちに、先程通った屋代付近の市街地を見下ろすようになってきた。
この付近は昔から車窓が素晴らしいことで知られ、「日本三大車窓」の一つに数えられてきた。
やがて列車はポイントを通過し、行き止まりの線路で停車した。
上り勾配の途中にある姨捨駅は、今もスイッチバック構造となっているのだ。
やがて列車はバックし、姥捨駅に停車する。
姥捨では、特急列車との行き違いのためしばらく停車するという。早速、ホームに出てみる。
ホームからはいわゆる善光寺平が見渡せ、まるで展望台のようだ。
景色を見ていると、下の線路を特急「しなの」が慌しく通過していった。
この時ばかりは、特急より普通列車の方がいいな、と思った。
姥捨を発車し、善光寺平の風景が見えなくなると、列車は長いトンネルに入る。
冠着、聖高原といったあたりは山の中を進む。
西条を出ると、松本盆地に抜けるための長いトンネルが連続する。
これらのトンネルは複線規格で作られているが、線路は単線分しか引かれていない。
トンネル以外の部分の路盤も複線分が用意されており、線路を引けばすぐにでも複線化できそうだ。
未成線と並ぶ国鉄時代の負の遺産なのだろうが、篠ノ井線は特急列車が多く走り列車密度も割と濃いので、
この部分だけでも複線化を検討したらどうだろうかと思う。
明科からは松本盆地を進み、終点の松本に到着。
姥捨駅は洋館風の駅舎が特徴的。
姥捨駅のホームはまるで展望台のよう。
■ 松本14:19発〜中津川16:22着 1832M
松本ではわずか2分の連絡で中津川行き普通列車に接続する。
この列車は2連と短く、18きっぷシーズンはいつも混雑するので座れるかどうか心配だったのだが、
無事席を確保できた。
塩尻からは予想通り多くの乗客があり、混雑した状況で木曽路を進む。
奈良井峠をトンネルで越えると、列車は延々と木曽川の流れに沿って進む。
この区間は車窓も素晴らしいが、複線と単線が入り混じった線路を観察するのも面白い。
よく観察していると、古い単線の線路を放棄した跡なども見ることができる。
南木曽を出ると線路は複線となる。ここも、単線の旧線路を放棄して複線のトンネルを掘りなおしている区間と、
単線のトンネルをもう一つ追加している区間とがあって面白い。
トンネルを越えると、やがて列車は中津川に到着する。
大雨の降る中津川に到着した313系普通列車。
■ 中津川16:38発〜恵那16:49着 2728M
中津川は都市近郊区間と山岳区間の境となる駅で、中央東線でいえば高尾のような役割を担っている。
そのため、普通列車で中央西線を通過する際は、中津川で必ず乗換えをしなければならない。
この駅に降り立つのはもう何度目だろうか。
構内で列車を待っていると、急に雨が激しくなった。
鉄道旅行をしている身には、豪雨は天敵のような存在である。
列車の運転が見合わせになって、ダイヤが乱れる恐れがあるからだ。
中央西線などは山岳地帯を進むため、雨には特に弱い。心配である。
ともかく列車に乗り、2駅目の恵那で下車する。下車すると雨はもう上がっていた。
■ 恵那17:00発〜明智17:49着 17D 明智鉄道
恵那からは明智鉄道に乗る。明智鉄道は盲腸線であり、名古屋から近いようで遠い微妙な位置にあるため、
三セク線の中でも一際地味な路線である。切符を買って列車に乗り込むと、
夕刻だけに車内は学校帰りの生徒が目立つ。
全国どこのローカル線もそうだが、学生は乗客のかなりの割合を占める。
恵那を発車した列車は、延々と急な上り坂を進む。この勾配はかなりのもののようで、
気動車のエンジンはずっとうなりを上げっぱなしである。
途中の飯沼駅などは、日本一の急な勾配上(33.3パーミル)にある駅なのだそうだ。
山の中を進む鉄道のほとんどは、基本的には川の流れと並行に線路が引かれている。
そうすることにより、鉄道が苦手な勾配を比較的抑えることができるからだ。
ところが、この明智鉄道は木曽川に注ぐ何本かの支流を横切るように走っている。
川を五指に例えると、明智鉄道の線路は爪と爪とを結ぶように引かれている。
そのため、これほどまでに勾配が多いのだろう。
勾配と格闘し続け、列車は沿線の主要駅である岩村に着く。
恵那を出る頃にはあらかた座席が埋まるほど客が居たが、ここで随分下車した。
岩村を出ても、勾配はまだまだ続く。車窓はごく普通の田舎といった感じで、特に変わったものは無い。
勾配と格闘し続けること50分、ようやく終点の明智に到着した。
明智鉄道の車両は、三セク線にありがちなレールバス。
■ 明智18:15発〜瑞浪18:53着 東濃鉄道バス
明智は割と開けた街で、駅前には「大正村」という、明治村の姉妹版のような一種のテーマパークがある。
ただしもう時間が遅いため閉館しており、周囲に人影はない。
他には見所もないので、駅に戻ってバスを待つ。駅には酔っ払いのおっさんがおり、落ち着かない。
しばらく待つと中央西線の瑞浪に出るバスがやってきた。
明智鉄道で引き返すよりもこちらに乗ったほうが名古屋に手っ取り早く出られるので、乗る。
バスに乗っているうちに日が暮れてきてしまったので、バスがどこをどう通っているのかは分からなかったが、
とにかくひたすら坂を下っていくのには驚いた。明智鉄道はこれほどの標高差を登っていたのか、と実感させられた。
蔵を意識した明智駅の駅舎。
■ 瑞浪18:53発〜多治見19:05着 1720M セントラルライナー
■ 多治見19:19発〜高蔵寺19:31着 2628M
瑞浪駅に到着し改札を通ると、既に発車したはずの「セントラルライナー」の時刻が表示されている。
先程嫌な予感がしたとおり、列車が遅れているようだ。
幸いダイヤの乱れはそれほどでもなく、10分弱の遅れで列車はやってきた。
セントラルライナーは310円の乗車整理券が必要なことで一部からは悪評が高いが、
中津川から多治見までの間は普通列車としての役割も持つため、乗車整理券なしで乗車できる。
しかし、今は多治見を越えて高蔵寺まで行きたいので、乗車整理券が必要となる。
310円も取られるのは癪なので、多治見で下車して多治見始発の普通列車に乗り換える。
こちらはほとんど遅れもなく、高蔵寺着。
■ 高蔵寺19:32発〜万博八草19:45着 2538H 愛知環状鉄道
高蔵寺駅に到着すると、向かいのホームに「エキスポシャトル」の字幕を出した列車が停車している。
大慌てで階段を上り下りし、何とかその列車に乗る。
乗車した「エキスポシャトル」は、万博会場に程近い愛知環状鉄道の万博八草と名古屋を直結する列車で、
愛知環状鉄道内はノンストップで運転する。
新しくて規格のよい線路を無停車で駆け抜け、程なく万博八草に着く。
万博八草からは、リニモという万博に合わせて開業した路線に乗り換えて万博会場に向かう。
押し寄せる大量の乗り換え客に対応するため、駅の外には大量のカラーコーンが並んでいた。
しかし私が訪れた時は駅ではほとんど人を見かけなかった。タイミングの問題だろうか。
押し寄せる万博客をさばくため、広い通路など様々な施設を持つ。
■ 万博八草〜藤が丘 リニモ
■ 藤が丘〜本山〜八事〜上前津〜栄 名古屋市営地下鉄
万博八草からはリニモに乗る。詳しい原理はよく知らないが、
リニモは営業路線としては日本発の浮上式鉄道である。
車内の内装もどことなく無機質というか近代的で、照明が車体側面部に寄せられているのが面白い。
ゆりかもめなどと同じく無人運転で、各駅にはホームドアもついている。
この時間から万博会場に向かう人はほとんどおらず、ガラガラの状態で発車する。
車外を見つめると、真っ暗である。この路線、終点の藤が丘周辺と万博会場以外にはほとんど明かりが見られず、
万博終了後は採算が取れるのかな、と思ってしまう。
しばらく走り、万博会場の明かりが見えてくると万博会場駅に到着する。
予想通り、ここから一気に乗客がなだれ込んできて、ラッシュ時並みの混雑となった。
万博会場駅を発車してもなお、万博のパビリオンが車窓に見える。
JR東海のリニアモーター館も見えた。
あとは特に乗り降りもないまま、終点の藤が丘に到着。
ここは地下鉄東山線の始発駅である。地下鉄で名古屋市中心部に向かい、
栄の近くにあるビジネスホテルに泊まった。
リニモの車内。万博会場からはすごい混雑に。
2006/8/18
■ 久屋大通〜大曽根 名古屋市営地下鉄
■ 大曽根〜小幡緑地〜大曽根 名古屋ガイドウェイバス
■ 大曽根〜名古屋
翌朝、ホテルを出て地下鉄で大曽根へと向かう。
今日はまず、名古屋ガイドウェイバスに乗ろうと思う。
名古屋ガイドウェイバスは、大曽根から小幡緑地までの間に設けられたバス専用軌道である。
走る車両はどこをどう見てもバスであるが、れっきとした「鉄道」である。
ジャンルとしては、ゆりかもめ等と同じ新交通システムに分類されるようだ。
乗り場に上がって軌道の様子を見てみると、確かに新交通システムに似ている。
ただし、「ホーム」が通常の新交通システムと違って軌道と同じ高さにある。
早速、やってきたバスに乗り込む。運転席の様子を見ていると、
ハンドルは運転士が触ることなく勝手に動いている。運転士はアクセルとブレーキの操作のみを行っているようだ。
軌道は高架上を進むので、街の様子がよく見える。
途中、ナゴヤドームの近くも通るので、ドームが間近に見えた。
大曽根から10分ちょっとで、小幡緑地に着く。
小幡緑地は専用軌道の終点ではあるが、ほとんどのバスは小幡緑地から先、高蔵寺などを目指す。
小幡緑地から先は普通の路線バスとして運転する。
小幡緑地の駅の外れには、専用軌道の駅から一般道路にアプローチするためのスロープがあった。
小幡緑地からの折り返しに乗ったバスは、朝の通勤時間帯とあって混んでいた。
大曽根に戻り、これまた混雑している中央本線で名古屋に向かう。
軌道はまるで新交通システムのよう。
専用軌道乗り入れ対応のバス型車両で運転される。
■ 名古屋8:40発〜金城ふ頭9:04着 あおなみ線
■ 金城ふ頭9:11発〜名古屋9:35着 あおなみ線
名古屋からは、あおなみ線に乗る。あおなみ線は正式名称を「名古屋臨海高速鉄道西名古屋港線」という。
純粋な新線ではなく、西名古屋港線という貨物線を改良した路線である。
そのため、旅客列車専用ではなく貨物列車も通過する。
ちなみに、よく似た名前を持つ東京のりんかい線も、その一部は建設途中の貨物線を改良したものである。
あおなみ線の名古屋駅は、東海道新幹線ホームの脇にある。ただし、駅中心部からはやや南にずれており、
乗り換えの際はやや歩かされた。ホームに上がると既に列車が停車している。
真新しいステンレス製の車両だ。ホームにはホームドアも設置されており、まるで地下鉄線のようだ。
ラッシュの逆向きということで閑散とした列車に乗り、名古屋を発車する。
最初の停車駅は「ささじまライブ」という駅で、愛知万博のサテライト会場があるらしい。
まだ時間が早いせいか、ここで降りる人はあまりいない。その後しばらくは、関西線や近鉄線と併走する。
名古屋機関区を過ぎると関西線と別れ、南へ進む。荒子から南荒子にかけては、
広大な貨物ターミナルの脇を通過する。周囲は団地やスーパーなどが目立つ、ごく普通の住宅街である。
そんな光景が稲長あたりまで続く。
野跡を過ぎると、巨大な倉庫や空き地などが目立ってきて、臨港地帯の風景に変わってきた。
やがて目の前には、伊勢湾岸道の巨大な橋が見えてきた。
その橋の下をくぐると、終点の金城ふ頭に到着した。
この時間にここまでやってくる人はめったにいないらしく、乗降客は自分以外ほぼゼロだった。
時間があるので改札の外に出てみる。駅前には洋風の結婚式場があるぐらいで、
他には何もない。少し離れたところに展示場があるらしいので、
そこでイベントか何かがあるときは賑わうのだろう。
再び駅に戻り、乗ってきた列車で名古屋に戻る。
ブラックフェースとつるんとした側面が特徴のあおなみ線の車両。
■ 近鉄名古屋9:41発〜桑名10:01着 近鉄名古屋線
先に述べたとおり、あおなみ線はJR名古屋駅構内の外れにあるため、
近鉄名古屋駅への乗り換えには非常に時間がかかる。名古屋駅構内を大急ぎで歩いて、
何とか41分発の電車に間に合った。
近鉄名古屋線の急行に乗り、桑名へ向かう。
桑名の駅前には長島スパーランドに向かうバスが待機していて、結構な数の若者が乗車していた。
■ 西桑名10:11〜阿下喜11:07着 三岐鉄道
近鉄桑名駅から少し離れたところに、三岐鉄道北勢線の西桑名駅がある。
以前、北勢線が近鉄に所属していた頃は、同じ会社なのに駅の位置も名前も違うということで、
まるで別の会社のようだといわれていたが、今や本当に別の会社になった。
古びた西桑名の駅で切符を買い、改札を通る。
すると、ホームには黄色い列車が停まっていた。近鉄時代は近鉄の車体カラーに準じたえんじ色だったが、
三岐鉄道に移管後は三岐線に準じた黄色に塗り直された。
北勢線は、今や日本で数少ないナローゲージ(軌間762mm)の路線である。
列車の正面に回ってみると、車体幅が狭いのに驚かされる。
ホームの下の線路の幅も狭い。遊園地の遊戯用の汽車のようだ。こんな狭い線路で大丈夫なのかなと思う。
車内に入ると、まとわりつくような蒸し暑さである。北勢線の車両は車体の小ささから冷房が載せられず、
今時珍しい非冷房車なのだ。これから小一時間、蒸し暑さに耐えなければならない。
車体幅の狭さにも驚いた。車内のロングシートに座って足を伸ばすと、前の人の足に触れてしまいそうだ。
西桑名を発車した列車は、住宅街の中を走る。スピードはさほどでもないが、揺れがものすごい。
さすがはナローゲージだけあって、走行中の車両が安定しないのだろう。
スピードが遅いせいで窓から入ってくる風も勢いが弱く、暑い。
そんな旧態依然とした北勢線だが、三岐鉄道に経営が移ったことをきっかけに改革が進んでいる。
一つは駅の統廃合や整理で、駅間の短い駅を統合することで合理化を図るという。
また、駅前に大きな駐車場を整備することで自動車との乗り継ぎを円滑化する取り組みもしている。
途中の星川はその過程でできた駅で、真新しい駅舎と広い駐車場を備えていた。
しばらく走ると、列車は東員に到着する。この駅もごく最近できたようで、
ホームが真新しい。北勢線の車両基地がある駅でもある。
この駅では臨時に車両交換を行うということで、別の列車に乗り換える。最初に乗っていたのは3両編成だったが、
4両編成に変わった。
東員を出ると、程なく廃止された駅の跡が見える。
ここはかつての北大社駅で、かつては車両基地を備えた北勢線の中枢として機能していた。今は車両基地だけが残っている。
東員あたりから、車窓が田園風景に変わる。途中にはナローゲージらしい急なカーブもいくつかある。
ただし、三岐鉄道では高速化にも取り組んでいて、急なカーブは減る傾向にあるようだ。
車内から見ていると、至るところで線路工事が行われていた。
田園地帯を揺られながら進み、西桑名から1時間ほどで終点の阿下喜に着いた。
阿下喜は行き止まりなので、路線図だけを見るとそのまま西桑名に折り返すしかないように見える。
しかし、実際は三岐線の伊勢治田駅に近く、十分歩ける距離にある。
阿下喜駅にはタクシーも待機していたが、距離的に見て15分もあれば着くだろうと思い、歩くことにした。
炎天下の中、調べてきた道を歩く。だが、およそ半分の距離を歩いたところで、
西藤原行きの発車時刻まで残り時間は半分を切っていた。
このままではまずいと思い、小走りで先を急ぐ。滝のように汗が出てくる。
残り時間2分というところで、何とか伊勢治田駅にたどり着いた。
三岐鉄道北勢線の車両。車体と線路幅の細さに驚かされる。
北勢線の終点、阿下喜駅。
■ 伊勢治田11:22〜西藤原11:36着 三岐鉄道
■ 西藤原11:45発〜近鉄富田12:21着 三岐鉄道
伊勢治田駅は、貨物側線を何本も備えた大きな駅であった。
一人だけいた駅員さんに「乗るの?」と聞かれ、乗る旨を伝えると、
もう時間がないので降りる駅で運賃を払ってくれとのこと。
やってきた列車は元西武の車両で、座席など至るところに西武の車両らしい特徴が見られる。
今度の列車は冷房がついており、ありがたい。
伊勢治田の次の東藤原は、駅近くに巨大なセメント工場があり、構内には貨車が何両も留置されている。
この三岐線は、私鉄では珍しく今も貨物輸送が盛んである。
貨物牽引用の電気機関車も多数所有している。
また、中部国際空港の建設時には、埋め立て用の土砂の輸送も行ったという。
伊勢治田から3駅で、三岐線の終点の西藤原に到着する。
駅前には鉄道公園があり古い車両が展示されているというが、時間がなくて見ることはできなかった。
駅の窓口で硬券の乗車券を買い、折り返しの列車に乗り込む。
最初は鈴鹿山脈の山すそを進むためカーブが多かったが、
途中からは平地を進むため線路も直線的になった。
そのため、先程の北勢線に比べ随分スピードが出る。
風景が田園から住宅地に転ずると、程なく近鉄富田に着く。
西武鉄道時代同様、黄色いカラーリングの三岐線車両。
■ 近鉄富田12:24発〜近鉄四日市12:32着 近鉄名古屋線
■ 近鉄四日市〜四日市 三重交通
富田には近鉄とJR関西本線の駅がやや離れて立地している。
以前は三岐線は近鉄・旧国鉄両方の富田駅に乗り入れていたが、
当時の国鉄関西線は非常に本数が少なく不便だったため、いつしか近鉄富田にのみ乗り入れるようになった。
さて、この後は伊勢鉄道に乗るので、当社はJR富田駅まで歩くつもりだった。
しかし、先程の「マラソン」のせいで疲れており、暑い中を歩きたくない。
そこに、近鉄の普通電車がやってきた。面倒なのでこれに乗ってしまうことにする。
近鉄四日市は立派な高架駅で、デパートやバスターミナルがあり賑わっている。
バスターミナルに行くと、程なくJR四日市駅行きのバスが来たのでこれに乗る。
四日市市街の目抜き通りを走り、5分ほどでJR四日市駅に着いた。
JR四日市駅は、大都市の駅らしく2階建ての立派な駅舎を備えている。
しかし駅に人影は少なく、大きな駅舎を持て余しているかに見える。
立派な駅舎を持つJR四日市駅だが、人の気配は少ない。
■ 四日市12:58発〜津13:17着 伊勢鉄道
四日市からは伊勢鉄道で津に向かう。
伊勢鉄道は旧国鉄伊勢線で、特急「南紀」などが走る重要路線であるにもかかわらず、
国鉄再建時の理不尽な廃線基準により廃止対象となり、第三セクターに転換されてしまった。
そんな伊勢鉄道であるが、確かに今も「南紀」や快速「みえ」が通過するものの、
普通列車は普通列車が1時間に1本行き来するのみで、その普通列車も単行の気動車である。
普通列車だけを見ると、他の3セク線とあまりレベルは変わらない。
ちなみに、このあたりのJR線に乗るのは初めてではないが、
亀山を回ったり近鉄で大阪方面に抜けたりしてしまったため、伊勢鉄道は初乗車である。
四日市から快速「みえ」に乗る。快速は津までノンストップである。
18きっぷでは伊勢鉄道に乗車できないので、車内で精算した。
四日市から2つ目の河原田で関西本線から分岐し、伊勢鉄道に入る。
車窓は田んぼや雑木林が目立ち、途中の駅も小さい。
それでも通過列車の本数はそこそこ多いため、かなりの区間が複線化されていた。
四日市から20分で津に着く。
伊勢鉄道のローカル列車は単行気動車で運転。
■ 津13:30発〜津新港13:40着 三重交通
■ 津新港14:00発〜セントレア14:40着 津エアポートライン
津からは、高速船で伊勢湾を一跨ぎして一気に中部国際空港に向かおうと思う。
津駅前から港まで連絡バスが出ているので、これに乗る。
高速船乗り場は最近整備されたと思われ、真新しかった。
20分ほど待つと、出航の時刻となった。船内は空いており、夏休みにしてはかなり寂しい乗船率だった。
まだ開港したばかりということで、路線が十分に認識されていないのだろうか。
それとも、そもそもこの程度の需要しかないということか。それはおいおい分かるだろう。
出航すると、船は結構揺れた。窓には水しぶきがザブザブと掛かる。
ひたすら海原を進むこと40分、中部国際空港に到着した。
高速船で伊勢湾をひとまたぎし、セントレアへ。
■ 中部国際空港15:58発〜豊橋17:26着 名古屋鉄道
中部国際空港はつい最近開港したばかりということもあって、
空港内にはただ空港を見物しにきたという人も結構いるようだった。
自分もその一員だが、もともと空港という場所はけっこう好きなので色々見て回る。
一通り見た感想としては、思ったより色んな施設が簡素だなと感じた。
成田や羽田、関空といった巨大空港に見慣れるとどうしてもそう感じてしまう。
さて、中部国際空港からは豊橋行きの特急に乗車する。
車両は名鉄自慢のパノラマSuperで、展望席の最前列を確保できた。
列車に乗り込むと、横には旅行帰りと思われる家族連れが座った。
豊橋行き特急は、一旦金山まで常滑線を北上した後、
金山からは方向転換して豊橋を目指すというユニークな経路をとる。
そのため、金山までは後面展望、金山からは前面展望を楽しむこととなった。
展望車から見る車窓はやはり迫力があり、1時間半という長い乗車時間であったが飽きることがなかった。
中部国際空港駅で、空港連絡特急が発車を待つ。
■ 豊橋17:38発〜浜松18:09着 188F
■ 浜松18:10発〜静岡19:19着 820M
■ 静岡19:35発〜藤沢21:54着 338M
豊橋からは、例によって普通列車を乗り継いで東京を目指す。 静岡からは373系使用の普通列車に乗るのももはやお約束である。 藤沢で小田急に乗り換え、帰宅した。