最終更新日:2021/4/4

近くにも旅はある(第2回)―2020年東京の鉄道ニュースポットを巡る

 2020年5月に新型コロナ緊急事態宣言が解け、少し世情は落ち着きを取り戻したものの、 7月から8月に入ると再びコロナ感染者が増えてきてしまった。 帰省や他県への旅行を控えるよう要請が出される中、「近くにも旅はある」ということで、 今回は緊急事態以来ご無沙汰していた東京都心の路線に乗りに出かけた。 この頃都内のJR各線は2020年(に行われる予定だった)東京五輪に向け各地で改修の真っ最中で、 その様子を見に行くのが目的だ。この他、都内各駅の「駅スタンプ」のリニューアルを記念したスタンプラリーも行われており、 これもついでにやってみることにした。

目次

2020/8/6

品川〜高輪ゲートウェイ〜新橋

 通勤ラッシュが落ち着いた時間帯を見計らって、品川駅へとやってきた。5月末に緊急事態宣言が解除されたものの、 再び感染者数が増加し警戒感が強まっているためか、以前より心持ち人手が少ないようにも感じられる。 まずは品川駅のスタンプを回収した後、山手線で高輪ゲートウェイ駅へ向かう。 品川駅より北の線路は位置が変更されやや東寄りのルートとなった。新しい線路の上をしばらく走ると、真新しい高輪ゲートウェイ駅に着く。 まだできてすぐの駅であり、駅周辺は車両基地の縮小で捻出した更地しかないためか、乗り降りする人の数は少ない。
 コンコースへ上がってみると、テレビでも報じられた無人の売店があった。 また日立製作所のロボットや、自然言語で質問を受け付けてくれるモニター装置もあった。既に一部の駅のショップは開店してているが、 半分ほどは覆いに囲われていて使われていないようだった。本格稼働するのはまだまだこれからのようだ。
 駅前に出てみると未開拓の更地にテントのようなものがいくつか立っている。 どうやらオリンピックに向けたイベントのようなものが開催されるようで、「当日でも入れます」というような掛け声もかかっていた。 しかし、感染状況が少し悪化している今、なかなか集客に苦労しているようだった。


通勤地獄の象徴(?)としてよくテレビで取り上げられる品川駅の通路だが、この日は人は少なめ。


高輪ゲートウェイ北方で京浜東北線と山手線がクロスするが、その高架橋も作り直された。



駅構内には自動案内用の設備が並ぶ。


周囲の再開発が終わるまで、駅構内の半分は封鎖されるようだ。


駅前の開発はこれからで、今は仮設のテントが並ぶ。

新橋〜東京

 高輪ゲートウェイ駅を後にし、新橋駅へ向かう。 新橋駅の地上部には南北に2つ改札口があるが、これまでそれぞれの改札口は独立して設けられていた。 近年駅を大幅に改造して、駅の南側と北側の改札口をつなぐようなコンコースが作られた。 今はまだ店などはあまりないが、スペースそのものは広く、将来的にはかなりの数の店がオープンするのだろう。
 スタンプ押印のため新橋、有楽町、東京とめぐる。東京駅はかつて使われていなかった駅北側の地下が大きく改修され、さらに新しい地下ショッピング街が生まれた。 青森や新潟から新幹線で運んだ鮮魚を提供する回転寿司屋もできていて、新名所としてテレビでも取り上げられていた。 これで東京駅の地下のエキナカ店舗が倍ぐらいに広がったような形となった。


新橋駅の構内。南北の改札を結ぶ通路ができつつあった。


気付けば山手線の車両もE235系ばかりに。


以前と変化のない東京駅。やはり観光客は少なめ。


新たにできたエキナカ施設には、このような巨大ディスプレイも設けられ、時間などが表示される。(写真は11月に撮影)

東京〜御茶ノ水〜上野

 東京駅を出て神田、御茶ノ水と巡り、スタンプを集める。 御茶ノ水駅は駅の真上に人工地盤を設け、改札口やエスカレーターを整備する工事が進められていた。 この工事がだいぶ完成してきており、今まで階段にしか上下できなかったのが、エスカレーターを使ってホームからコンコースへと上がることができるようになった。 まだ切り替えから間もないらしく、廃止になった階段の跡が生々しく残っていたりもする。コンコース部分はまだまだ工事中のようで殺風景な光景が目立った。 御茶ノ水からは中央線各駅停車に乗り秋葉原へ向かう。やってきた車両はE231系500番台で、もともと山手線で使われていた車両がコンバートされてきたものだ。 つい最近コンバートが始まったと思っていたら、今やこの車両がすっかり幅を利かせている。秋葉原、御徒町で押印した後、上野と向かう。


御茶ノ水駅のホームには、古い階段を撤去した跡がまだ残る。


御茶ノ水駅のコンコース。まだまだ工事中のよう。


中央・総武線も気付けばE231系500番台の天下に。

上野〜虎ノ門ヒルズ

 上野駅は公園口のところが大幅に改修され、ちょっとしたショッピングモールが完成していた。 暑くて上野公園を散策しようという気には到底ならなかったので、駅構内に戻り日比谷線の乗り場まで延々と歩く。 クーラーの効いた日比谷線の電車にしばらく座り、今度はつい先日新駅として開業した虎ノ門ヒルズ駅で下車した。 ここもまだまだ工事中のようで、内装は殺風景なものだった。せっかくなので虎ノ門ヒルズの方へ出てみる。 するとこれが狭くて長い通路だった。若干不安になりながら細い通路を歩いて行くと、ようやく虎ノ門ヒルズの下のショッピング街に辿り着いた。 並んでいる店は六本木ヒルズなど既存の再開発ビルとほぼ同じなので軽く観察だけして、再び狭く長い通路を歩いて駅へと戻る。


商業施設ができ、真新しくなった上野駅の公園口。


虎ノ門ヒルズ駅にはまだ構内通路ができておらず、中目黒方面の改札から反対の改札へは地上を歩かないと行けない。


虎ノ門ヒルズ駅は天井や内装も仮設の感が強い。

虎ノ門ヒルズ〜恵比寿〜渋谷

 再び日比谷線に乗り恵比寿までのんびりと座る。恵比寿で埼京線の電車に乗り換え、一駅で渋谷に着く。渋谷もこの一年で劇的に変化をした。 緊急事態宣言中の5月には埼京線のホームを恵比寿寄りから山手線とほぼ同じ位置に動かす大工事が行われた。 おかげで乗り継ぎは非常に楽になった。ただし山手線側の方もホームの改修がまだこれからなので、 まだまだ仮設の部分が多く落ち着かない感じがする。
 駅の外に出てみると東急系の巨大なビルが新たにいくつも出来ており、 もはやどこにいるのかわからなくなるほどだった。それらのビルの中をぐるぐると回っていると銀座線のプラットフォームにたどり着いた。 銀座線も2020年の正月に数日をかけて、東側の渋谷ヒカリエ寄りにホームが移った。まるで人間の肋骨の中にホームがあるかのような不思議な形状の駅である。 新しくなった一方で、古いホームの方も一部が通路として利用されていたり、西側にある引き込み線への線路はまだかろうじて生き残っているので、 元々の線路も完全には無くなっている状態ではなさそうだった。 これから東急百貨店が閉店となり取り壊しが始まるであろうことから、またますます様子が変わっていくのだろう。


埼京線渋谷駅ホームは北へ大移動し、便利になった。左手に見えるのは山手線のホーム。


古いホームは閉鎖され、一部は新南口への通路になっている。


渋谷の駅構内には、このような仮設通路も一部散見される。


こちらも今年新しくなった銀座線渋谷駅。


銀座線のかつての降車ホームは通路に転用されていた。右は渋谷駅奥の留置線へ延びる線路。

渋谷〜原宿〜新宿

 渋谷から山手線に一駅乗り、原宿へ向かう。原宿駅はもともと1面2線の駅だったが、 ホームが非常に狭く急増する観光客に対応できなくなってきている状況だった。 そこで明治神宮寄りにある初詣専用の臨時ホームを通常時も使うこととし、合わせて古くて手狭になった旧駅舎も建て替えることとなった。 その新しいホームに降り立つと、壁には御影石のような立派な石が貼られ明治神宮を少し意識したような内装になっている。 真新しいエスカレーターで上へと登ると線路の上には真新しいコンコースがあった。従来の狭苦しい駅構内からはずいぶん変化したものだ。 改札を抜けコンコースから地上へと降りると、もはや使われなくなった古い原宿駅舎がポツンと残されているのが見えた。 今後は解体されてしまうらしい。
 次は新宿駅へと向かう。新宿駅も中央の地下通路が大幅に拡張され、駅構内であった通路が外部に開放されることになった。 そのため改札の位置や、ホームから地下に降りる階段の位置を大幅に変えるなど、かなり大規模な工事が行われていた。 新宿には久々にやってきたが、その変わりようには驚かされた。また、歌舞伎町でコロナクラスター発生が騒がれていた頃だったためか、歩いている人の数は心もち少ないように見えた。 その新しい通路を歩き、前からある新宿駅東口のみどりの窓口前にスタンプがあったので押印する。


混雑緩和のため、新たに設置された原宿駅外回りホーム。


駅舎も原宿らしい近代的なものに変わった。


新宿駅の地下通路は大幅に拡幅され、入場券なしで通れる自由通路になった。


新たに設置された西改札口。前に比べるとややこじんまりしている。

新宿〜千駄ヶ谷〜飯田橋

 新宿から今度は中央線各駅停車に乗り、千駄ヶ谷へと向かう。千駄ヶ谷は国立競技場の最寄り駅で、 こちらも普段はあまり使われることのなかった新宿方面行きの臨時ホームを常に使うように改修された。 これでオリンピックを万全の体制で迎えるはずだったのだが、今のところはほぼ無用の長物になっているのは皮肉である。 さらに乗車し市ヶ谷駅へ向かう。ここはスタンプラリーの最終チェックポイントで、景品となる花札をもらった。 また、今後使う予定はないものの、東京近郊全駅分の押印スペースが収録されたスタンプ帳を入手した。
 そこからさらに一駅乗り、飯田橋へ向かう。飯田橋駅の東半分は急なカーブにホームが設けられており、安全性に問題があることから、 駅全体を西寄りに動かす工事が行われ、これがつい先日完成した。西側の新しいホームは元々留置線だったスペースを用いて作られたが、その幅は案外広かった。 一方東側は途中からホームに柵が設けられ、東口改札への通路としてのみ使われるように改められた。 飯田橋駅の東口は元々乗り降り客が結構多いので、この通路を歩く人の数も多かった。 最後におまけで四ツ谷駅のスタンプを集め、スタンプラリーを終了した。


原宿と同じくホームが2面化された千駄ヶ谷駅。


西側に延伸された飯田橋駅のホーム。


カーブの大きい東側のホームには柵が設置され、通路に転用された。

集めたスタンプの画像はこちらの通り。