最終更新日:2021/3/7

近くにも旅はある(第1回)―横浜シーサイドラインの前面展望を楽しむ

 2020年春、世界を新型コロナウイルスが席巻した。日本国内でも緊急事態宣言が出され、 旅行どころか通勤通学すらもままならない状況となった。 5月下旬に緊急事態は解除されたが、その直後はまだまだ出歩く人も少なく、 いつもは混んでいる繁華街も電車も閑散としていた。
 そんな中、6月の平日に暇ができた。普段なら関西などちょっと遠くに足を延ばしているところだが、 今回はさすがにそんな気にはならず、ごく近場の横浜に出かけることにした。 横浜シーサイドラインの金沢八景駅が2019年に移転し、ほんの少しだけ路線が延びた (既存の駅の移転扱いなので乗りつぶし対象ではない)のだが乗車できていなかったので、 これを機に乗りに行くことにした。

目次

2020/6/10

横浜〜金沢八景〜新杉田

 まずは横浜から京急に乗って金沢八景に向かう。ダイヤ上はクロスシートの2100系が来るはずだったが、 この日は運用の都合か、やってきたのはロングシートの600系。 ただし、最後部の運転台に面したクロスシートが空いていたので、ここに座ることにする。
 金沢八景で下車すると、駅の様子が一変していた。 かつては駅を出るには階下に降りる形だったのだが、改札口が駅の上に移されている。 改札を出ると、目の前にシーサイドラインの乗り場がある。 かつて、殺風景な通路を長々と歩いて乗り換えていた頃と比べるとずいぶん便利になったな、と思う。
 真新しい改札を通ってホームに向かうと、車両も新型になっていた。 前に乗ったのはもう10年近く前だと思うが、その頃はまだ一世代前の車両だった記憶がある。 一番前の車両に乗り込むと、先頭部の座席に座れるようになっていた。 シーサイドライナーは自動運転なので、本来運転台に当たる部分もは一般客に開放されているのだ。 予想外の「展望席」に恵まれる形になった。
 金沢八景を出て少し走ると、移転前の旧駅が見えてきた。 旧駅は複線の軌道の片側を暫定的に利用して作られていたので、この旧駅を過ぎるまでは線路が単線となっている。 間もなく旧駅が撤去され、全面的に複線化されるのだろう。
 ここを過ぎると、線路は海沿いに出る。海の向こうには八景島シーパラダイスが見えるが、 海岸線に沿って迂回する形で軌道が敷かれているので、実際にたどり着くまで意外と時間がかかる。 八景島を過ぎると、海沿いの工場や倉庫地帯を進む。 この辺りは道路の幅も広く、新交通システムらしい大味な展望が続く。 並木中央から先は首都高湾岸線と並走する。このあたりからは住宅も増え、車内の客も増えてきた。 程なく新杉田に到着。


真新しいシーサイドライン金沢八景駅の改札口。


金沢八景駅の移動に伴い駅前は再開発がなされたらしく、周りの建物は新しい。


シーサイドラインにも「展望席」があり、眺めはよい。沿線には倉庫や工場が立ち並ぶ。


しばらく来ないうちに、車両はすっかり新しくなっていた。

新杉田〜関内

 新杉田駅で乗ってきた車両を眺めた後、根岸線に乗り換える。 帰りは少し時間があったので、関内で下車して周辺を散策してみた。 駅前の横浜スタジアムはここ数年続いていた改修が終わり、 新しいグッズショップができるなど見違えるようになっていたが、 この時期はまだプロ野球開催の見込みが立っておらず、周囲には空しく柵がめぐらされていた。
 スタジアム周辺の公園をぶらぶらした後、 さらに中華街の方まで歩いてみたが、こちらは半分近くの店が閉まっていて、 普段の賑わいが嘘のような閑散ぶりだった。この頃は「新型コロナウイルス=中国発祥」のイメージが根強く、 その悪影響があったのかもしれない。


乗車してきた車両は、他の車両と前面の塗装が異なるようだ。


横浜スタジアムの裏手には、横浜の中心部と思えないような和風庭園がある。(写真は11月に撮影)