小ネタ集(2020年)

 これまでの鉄道乗車記録のうち、単独の旅行記にならなかった小規模のものをまとめる。 このページでは2020年分を紹介する。

目次

2020/1/6

 正月休みが終わった直後のこの日、この3月に運転を終了する「スーパービュー踊り子」に乗りに出かけた。 スーパービュー踊り子に使われる251系はJR発足直後に開発された車両で、 様々な需要に汎用化した国鉄型特急車両とは一線を画し、 伊豆への観光輸送に特化した車両である。全席をハイデッカーとし、子供向けの遊戯スペースや団体客向けのボックス席を設けるなど、 それまでにない斬新な車両だった。
 中でもグリーン車は全車2階建てで、展望席やビュッフェ (徐々に縮小し、末期は簡易な売店のみとなった)、グリーン客用のフリースペースが設けられるなど特に力が入れられていた。 最後の記念に、前から乗りたいと思っていた展望席に乗ってみることにした。

■ 横浜9:59発〜伊豆急下田12:11着 スーパービュー踊り子3号

 通勤ラッシュの終わった横浜駅へやってきた。 東海道線の下りホームで、新宿方面からやってくる「スーパービュー踊り子3号」を待つ。 湘南新宿ラインなど新宿方面から東海道線に乗り入れる列車の大半は、大崎から横須賀線の線路を進み、 戸塚駅で東海道線に転線するのだが、スーパービュー踊り子だけは例外的に横浜駅手前で東海道線に入る。 東海道線の上り線を横切りながら、ゆっくりと入線してきた。
 列車に乗り込もうとすると、入り口付近にアテンダントが立ち、 一人一人の切符の確認を実施する。(アテンダントの人数の限界があるため、列車全体の半分ほどのドアしか開かない) このような形態をとるのはJR東日本だけではこの列車だけである。 車内に入り、2階建ての上階にあるグリーン車の横を通り抜けて、展望席に向かう。 今回確保できたのは、一人掛けの前から3列目の席だった。 予約したのが直前だったのでさすがに最前列は無理だったが、それでも展望席が確保できたのは幸いだった。 着席してみると、3列目は思っていた以上に視点が高く、前面ガラスを分ける桟が視野に入るのが気になった。 もう運行終了になってしまったので今更だが、なるべく前の方の席を確保するのがいいだろう。
 着席してしばらくすると、アテンダントの方がドリンクの注文を取りに来た。 スーパービュー踊り子のグリーン車では、 航空機のごとくコーヒーやジュースなどソフトドリンクを自由に飲めるというサービスがあるのだ。 先ほど年々サービスが縮小していると書いたが、このドリンクサービスだけは廃止まで維持されていた。 この日はグリーン車が混雑していて、アテンダントさんは注文に応えるのに忙しそうだった。
 ドリンクを飲み終えたところで、階下のサロン室と売店を見てみる。 サロン室といっても通勤電車のロングシート状の椅子が並んでいるだけで、 売店も営業していないことから閑散としていた。 グリーン車の場合自分のシートの方が快適なので、なかなか階下に移動しようという気にはならないかもしれない。
 主要駅のはずの小田原を通過すると、列車は間もなく根府川の鉄橋に差し掛かる。 展望席から鉄橋を眺めるとなかなかスリリングである。熱海から伊東線・伊豆急行線に入ると、 伊東駅手前や伊豆稲取駅の少し先など、海を間近にみられるビュースポットがある。 2時間たっぷり車窓を楽しみ、伊豆急下田に到着。ここまで乗り通す客が意外に多いようだった。


横浜駅の東海道線ホームに入線した「スーパービュー踊り子」。


グリーン車の展望席の様子。3列目からだと前面ガラスの桟が眺望を遮るのが気になる。

■ 新下田〜寝姿山〜新下田 下田ロープウェイ

 下田からの帰りは、2時間後のスーパービュー踊り子で折り返そうと思う。 それまで時間があるので、下田の駅前すぐの所から出ている寝姿山ロープウェイに乗ってみることにした。 これに乗るのは初めてだったのだが、搬器は鮮やかな藍色で、内部も和風に改造されている。 こんなところでも「水戸岡改造」に出くわすとは思わなかった。
 5分ほどで山上へ。山上にはお堂があるほか、黒船の監視にも使ったという展望台があった。 ここからは太平洋と、その向こうの伊豆諸島を望むことができた。 戻ろうと山上の駅舎に向かうと、内部はきれいに改修されてカレーやパスタなどを出すレストランになっている。 少し気が動いたが、入店はせずにロープウェイで山を下りた。
 残りの時間で、下田の駅前を歩いて海の幸が食べられそうなレストランを探す。 駅前のチェーン店に入るのはしゃくなので駅の周りをうろついてみるが、 観光客はおろか地元の人もほとんど歩いておらず、店探しは難航した。 仕方なくスマホで海鮮の店を探し、何とか食事にありついた。


下田ロープウェイの搬器も「水戸岡仕様」。


寝姿山から下田市内を眺める。中央付近が伊豆急下田駅で、251系が停車している。

■ 伊豆急下田14:09発〜熱海15:32着 スーパービュー踊り子8号

 駅に戻り、上りのスーパービュー踊り子で戻る。 上りの場合最前部は普通席となるのだが、普通席にも展望席が設けられている。 幸い、この展望席も確保することができた。ただし前から3列目で、かつ熱海まで、という悪条件である。 おそらく、熱海から東京方面までこの席を予約している客がいるのだろう。
 車内に乗り込むと、幸い他の客はほとんどいなかった。 最前列の席は空いていたので、一瞬だけ座ってみる。やはり最前列の方が桟が気にならず、視野の広さも段違いだった。
 河津や伊豆高原で徐々に乗客が乗ってきて、伊東でほぼ満席になった。 グリーン車は鉄道ファンっぽい人が目立ったが、今度は子連れの観光客の姿が目立った。 やはり子連れでグリーン車というのは敷居が高いからだろうか。
 熱海でスーパービュー踊り子を見送る。この列車は2020年3月をもって引退し、 オールグリーン車の「サフィール踊り子」が後継となる。こちらもそのうち乗ってみたいと思う。 熱海からは普通列車と小田急ロマンスカーを乗り継いで帰宅した。


塗装の変わった「リゾート21」との並び。これが見られるのもあとわずか。


普通車展望席の構造は、グリーン車のものとほぼ同じ。

2020/6/10

 2020年春、世界を新型コロナウイルスが席巻した。日本国内でも緊急事態宣言が出され、 旅行どころか通勤通学すらもままならない状況となった。 5月下旬に緊急事態は解除されたが、その直後はまだまだ出歩く人も少なく、 いつもは混んでいる繁華街も電車も閑散としていた。
 そんな中、6月の平日に暇ができた。普段なら関西などちょっと遠くに足を延ばしているところだが、 今回はさすがにそんな気にはならず、ごく近場の横浜に出かけることにした。 横浜シーサイドラインの金沢八景駅が2019年に移転し、ほんの少しだけ路線が延びた (既存の駅の移転扱いなので乗りつぶし対象ではない)のだが乗車できていなかったので、 これを機に乗りに行くことにした。

■ 横浜〜金沢八景〜新杉田〜関内

 まずは横浜から京急に乗って金沢八景に向かう。ダイヤ上はクロスシートの2100系が来るはずだったが、 この日は運用の都合か、やってきたのはロングシートの600系。 ただし、最後部の運転台に面したクロスシートが空いていたので、ここに座ることにする。
 金沢八景で下車すると、駅の様子が一変していた。 かつては駅を出るには階下に降りる形だったのだが、改札口が駅の上に移されている。 改札を出ると、目の前にシーサイドラインの乗り場がある。 かつて、殺風景な通路を長々と歩いて乗り換えていた頃と比べるとずいぶん便利になったな、と思う。
 真新しい改札を通ってホームに向かうと、車両も新型になっていた。 前に乗ったのはもう10年近く前だと思うが、その頃はまだ一世代前の車両だった記憶がある。 一番前の車両に乗り込むと、先頭部の座席に座れるようになっていた。 シーサイドライナーは自動運転なので、本来運転台に当たる部分もは一般客に開放されているのだ。 予想外の「展望席」に恵まれる形になった。
 金沢八景を出て少し走ると、移転前の旧駅が見えてきた。 旧駅は複線の軌道の片側を暫定的に利用して作られていたので、この旧駅を過ぎるまでは線路が単線となっている。 間もなく旧駅が撤去され、全面的に複線化されるのだろう。
 ここを過ぎると、線路は海沿いに出る。海の向こうには八景島シーパラダイスが見えるが、 海岸線に沿って迂回する形で軌道が敷かれているので、実際にたどり着くまで意外と時間がかかる。 八景島を過ぎると、海沿いの工場や倉庫地帯を進む。 この辺りは道路の幅も広く、新交通システムらしい大味な展望が続く。 並木中央から先は首都高湾岸線と並走する。このあたりからは住宅も増え、車内の客も増えてきた。 程なく新杉田に到着。ここで根岸線に乗り換える。
 帰りは少し時間があったので、関内で下車して周辺を散策してみた。 駅前の横浜スタジアムはここ数年続いていた改修が終わり、 新しいグッズショップができるなど見違えるようになっていたが、 この時期はまだプロ野球開催の見込みが立っておらず、周囲には空しく柵がめぐらされていた。
 さらに中華街の方まで歩いてみたが、こちらは半分近くの店が閉まっていて、 普段の賑わいが嘘のような閑散ぶりだった。この頃は「新型コロナウイルス=中国発祥」のイメージが根強く、 その悪影響があったのかもしれない。


真新しいシーサイドライン金沢八景駅の改札口。


シーサイドラインにも「展望席」があり、眺めはよい。沿線には倉庫や工場が立ち並ぶ。


しばらく来ないうちに、車両はすっかり新しくなっていた。