2021/3/19
東京〜大手町(1) ○丸ノ内線
朝9時、丸ノ内線の東京駅へとやってきた。コロナ前に比べると随分人が減った気はするが、それでも通勤客を中心に利用者は多い。 いよいよ、長い旅の始まりである。この日の乗車券であるが、先述の通り普通乗車券を使えば乗り継ぎ時間無制限になるのだが、 あえて乗り継ぎ時間制限のあるSuicaを使用することにした。普通乗車券だと記録が何も残らないのに対し、Suicaであれば乗車履歴を印字でき、 途中下車の履歴を確認することができる。普段あまり使わない(モバイルSuicaをメインで使っているので)ICカード式Suicaで改札を通過する。
丸ノ内線は古い路線のため大半の駅が浅いところに建設されており、東京駅も改札を入ってすぐホームにたどり着く。 程なく、茗荷谷行きの列車が入ってきた。茗荷谷の車庫に入庫する運用なのだろうが、ラッシュ時にしかお目にかかれない行先だ。 車両は近年投入され始めた2000系で、乗車するのは初めてだ。だが、東京から大手町まではわずか1分、 乗り心地を味わう間もなく下車しなければならない。
大手町駅は長らく行われていた改装工事が完了し、まるで大手町の有名企業の大会議室のような重厚な内装に変わった。 駅名看板も作り変えられたが、改装前から引き継がれたと思われる「サンケイ前」のレトロな看板は健在だ。 ちなみにこの看板、大手町でも丸ノ内線ホームにのみ掲げられてる。
駅南側の階段を上がると、改札がある。実は大手町の東京メトロ各線は改札内通路で繋がっている。 しかし、丸ノ内線と東西線を乗り換える場合、半蔵門線〜千代田線のホームを通り抜ける必要があり、 改札外で乗り換えるのに比べ大回りとなってしまう。そのため、改札外を通って乗り換えることが認められていて、 改札口にも「東西線乗り換え改札」と堂々と書かれている。ただし、丸ノ内線〜東西線以外の組み合わせでの乗り換えであっても、 改札外に出ることは認められている。おそらくチェックし切れないためだろう。
大手町(1)〜日本橋 ○東西線
改札を出て案内通りに進むと、「大手町ビル」という新しいビルに入る。小ぎれいな通路を、スーツを着た会社員がさっそうと通り抜けていく。 流石は天下の大手町だなと思う。
通路をしばらく進むと、これまた新しくなった東西線の改札が現れた。改札外乗り継ぎの場合、入場時はどの改札口を使っても構わない。出場時も ICカードならどこでもOKだが、普通乗車券の場合は黄色い専用改札機を通る必要がある。
ホームに降りると、またしてもすぐに列車がやっていた。やってきたのは05系で、東西線では比較的古い車両である。 同年代の車両が廃車となる中、この編成はワイドドア(通常より乗降口の幅が広い)で設計されていたことが幸いし、 リニューアル工事も施され、ラッシュの厳しい東西線で重宝されている。ラッシュと逆方向だからか、車内は混んでいない。 この電車もわずか1駅で下車する。
日本橋〜三越前(2) ○銀座線
日本橋では改札外乗り換えはせず、普通に銀座線に乗り換える。すぐにやってきた1000系車両にはパラリンピックのラッピングがなされていた。 これは1000系車両のほとんどに行われているのでは、と思うほど多く見られた。ここでも、わずか一駅で三越前で下車する。
三越前駅は改装の進む銀座線の駅の中では比較的古めかしい方だ。階段を上がると、改札口の上に半蔵門線への乗り換え案内がある。 この駅は乗り換えが遠いことで知られており、改札も一度出なければならない。
改札を出ると、目の前には長い通路が延々と続く。名前は同じ三越前駅でも、戦前にできた銀座線が三越の本館に面しているのに対し、 比較的新しい半蔵門線は三越の新館に面しており、その間はこの地下通路で結ばれている。
通路の途中に、三越の入り口がある。老舗百貨店らしく重厚な作りだ。 まだ開店までは30分以上あるが、すでに数人の客が開店を待っていた。
三越前(2)〜水天宮前(3) ○半蔵門線
通路を歩き、ようやく半蔵門線に改札口に到着。かなり速足で歩いたが、3分ほど掛かった。 三越のイメージに合わせた重厚な作りだった銀座線の駅に比べ、こちらはごく普通の内装である。 それでも、駅名看板のある柱の上部にちょっとした装飾がなされているのが特徴的。
この駅のホームはかなり深いところにあり、改札口から長いエスカレーターを2本分下ってようやくホームにたどり着く。 程なく、東急田園都市線の5000系がやってきた。5000系は15年以上に渡って生産され続けているが、 この車両は初期のもので、壁や座席、床の色がブルー系で統一されているのが特徴である。 またしてもわずか1駅だけ乗車し、水天宮前で下車する。
水天宮前は東京シティエアターミナルの最寄り駅である。 かつては成田空港の玄関口的な存在で、ここで搭乗手続きや出国審査まで行われていたという。 しかし今はその機能はなくなり、リムジンバスのターミナルとしての機能のみが残っている。 そのエアターミナルとは反対側の改札に行くと、日比谷線や都営浅草線の人形町駅への乗り換え案内がある。 かつて両駅は近接してはいるものの乗り換え駅ではなかったが、近年乗換駅に指定された。 ただし連絡通路がないのは相変わらずなので、地上を歩いて乗り換えねばならない。
地上に出ると、駅名にもある通り安産の神様として有名な水天宮がある。 しばらく来ないうちに、下半分がビルのような造りの真新しい建物になっていた。
横断歩道を渡り、人形町界隈の通りを歩く。 この辺りは老舗の飲食店に加え、なぜか人形焼きの店が多い。都会的な三越前からわずか一駅で結構雰囲気が変わるものだ。
人形町(3)〜仲御徒町(4) ○日比谷線
地上を150mほど歩くと、日比谷線の入口にたどり着く。距離的には三越前の乗り換えとそれほど変わらないので、 地下通路が整備されていればそれほど乗り換えは苦にならないかもしれない。 ちなみに浅草線の人形町駅まではさらに150mほど歩く必要があり、かなり遠い。 地下への入口は人形町らしく、老舗飲食店の建物の真下にあった。
階段を降りると改札にたどり着く。日比谷線は古い路線なので、改札回りのスペースは狭く天井も低い。 ホームが対向式といって、上下線で分かれている駅が多いのも特徴だ。 この方式だとバリアフリー機器(エレベータなど)をホーム毎に整備しないといけないというデメリットがあるため、 比較的新しい路線では上下線を1つのホームに集約する島式となっているケースがほとんどだ。
やってきた13000系の列車に乗り、3駅先の仲御徒町まで向かう。これまで1駅刻みの細かい乗り換えばかりだったので、 ようやく距離を稼ぐことができる。13000系は最新に近い車両だけあって、ドア上には3面のディスプレイがずらり並び、 路線図や乗換案内が事細かに表示されるようになっていた。
下車した仲御徒町駅だが、ホームから階段で上に上がると、通路が右にカーブし、その先に何故か下り階段があった。
そこからさらに左折してしばらく進み、更に階段を上がるとようやく改札に出られた。詳しくは
構内図を見て頂きたいのだが、
何故そのような構造になっているのかはよく分からない。当日は気づかなかったが、構内図を見ると日比谷線構内だけで3つもトイレがあり、
プラットホームの下の地下3階に謎の改札口があるなど、見れば見るほど摩訶不思議な駅である。
仲御徒町では銀座線の上野広小路駅と改札外乗り換えが可能である。この2駅は200mほど離れており、
元々は乗換駅ではなかったが、この2駅を繋ぐように大江戸線の上野御徒町駅ができ、
JRの御徒町駅を含めた4線の乗換駅となっている。
仲御徒町から上野広小路までは大江戸線の地下通路を通じて乗り換えが可能だが、せっかくなので地上を歩いてみる。 少し歩くとJRの御徒町駅があり、その先にはアメ横がある。各地で続々と再開発が進む東京都心部にあって、 昔ながらの姿が残る貴重なエリアになりつつある。時節柄、「マスク着用」などの看板がそこかしこに見られた。
更に進み、松坂屋などがある大通りに出ると、北側に上野公園の緑が見えた。 上野駅から上野公園に出るのは若干面倒なので、上野広小路から少し足を延ばして立ち寄ることにする。 公園入口の桜はすでに開花しており、提灯が建てられるなど花見シーズンに向けた準備が着々と進められていた。
その奥の桜並木に進むと、こちらはまだほとんど開花していない状況だった。 感染防止のため、シートを敷いて宴会ができそうなスペースは軒並み封鎖され、一方通行の看板が立つなど物々しい雰囲気であった。
上野広小路(4)〜上野(5) ○銀座線
公園を出て、大通りを南下して上野広小路駅に戻る。この駅は短い階段を降りるとすぐに改札があり、 その先は階段も何もなくプラットフォームとなっている。線路の浅い銀座線などは一部でこのような駅構造が見られる。
やってきた浅草駅の列車に乗り込む。終点の浅草駅は、ホームによって都営浅草線との乗り換え通路があったりなかったりするので、 各列車は「浅草駅1番線着」というような表記を行先表示に出している。上野広小路から上野までは1kmもないはずで、 あっという間に下車する。オリンピック・パラリンピックのラッピングは、今は全編成にまで波及しているのかな?
上野駅は近年改装されたようで、内装や柱が重厚かつモダンなものに変わっていた。ここでも日比谷線との改札外乗り換えがあるので、下車する。 乗り換え距離は140mと、これまでに比べるとやや短い。
こちらが乗り換え通路。建設時期が古いせいか妙に天井が低いが、距離はそれほど長くない。 この程度なら構内乗り換え通路を設けることも可能だったのでは?という気がした。 また、これ以外にももう1本乗り換え通路があるようだ。上野駅は普段なかなか来る機会がなく、駅の構造をあまり把握できていない。
上野(5)〜北千住 ○日比谷線
通路を通り抜け、日比谷線の改札口へ。銀座線と同じく、日比谷線の駅も最近リニューアルされたようで、 改札口付近も様々な装飾がなされている。ちなみにこの時点で既に10時を回っており、移動時間は1時間を超えていた。 東京駅からここ上野まで、最短だと10分も掛からないところを随分大回りしたことになる。
ホームに降りると、柱に独特の装飾がなされていて、まるで樹林のようだ。 少し待つと北千住行の電車がやってきた。車両は東武の70000系だった。 この上野からは北千住まで、比較的長距離の乗車となる。電車は三ノ輪を出ると急勾配で地上に上がり、 隅田川貨物駅に向かう貨物線をまたいで南千住に着く。ここは日比谷線の車庫があり、駅を出てすぐに車庫への線路が分岐していく。 南千住から北千住までは常磐線、つくばエクスプレスと並行して走る。 まるで阪急梅田付近の三複線のようだが、三社の路線が長い距離を並行して走るというのは結構珍しいのではないだろうか。
そういえば、この時乗車した車両は70090型という珍しい車両だった。 この車両は日中はごく普通の地下鉄車両として走るのだが、ラッシュ時はロングシートがクロスシートに転じ、 「THライナー」という有料のライナーとして東武線の久喜まで走る。 同型の一般車両が7人掛けのロングシートなのに対し、この車両の座席はクロスシートにできるよう偶数の6人掛けとなっているほか、 シートの背面も高さがあって、普通のロングシートよりちょっぴり座り心地が良くなっている。
地下鉄区間の終わりとなる北千住で下車する。よく見ると車体には、70090型独特のロゴが貼り付けられていた。 北千住は日比谷線、千代田線、常磐線、東武線が同じ構内を共有する大規模な駅である。 日比谷線のホームから、次に乗る千代田線のホームまでは地下通路を長々と歩く必要がある。
北千住〜新御茶ノ水(6) ○千代田線
北千住からは千代田線に乗り、一気に都心部の新御茶ノ水まで戻る。すぐにやってきた16000系に乗る。 東京メトロの最近の車両はどれもそうだが、車両の貫通扉とその周りが全面ガラス製となっており、 空いていれば編成の前の方まで見渡せるのが特徴だ。そのため、編成のどのあたりが空いているかを観察しつつ、移動することができる。 このコロナ禍の中では案外重宝する機能かもしれない。
6駅、15分近くの乗車で新御茶ノ水に到着。 この駅のホームの壁の装飾は結構凝っていて、なんと1月から12月までのカレンダーになっている。 数字の上の赤い印は日曜日を表していて、毎年位置が更新されているようだ。
新御茶ノ水駅は丸ノ内線との改札外乗り換えが可能なのだが、ややこしいことに乗り換え先の駅は御茶ノ水駅ではなく隣の淡路町駅である。 というのも、御茶ノ水駅の南方では都営新宿線の小川町駅と乗り換えが可能であり、小川町駅は淡路町駅とも乗り換えできるため、 結果として新御茶ノ水と淡路町も乗換駅扱いとなっている。しかし、乗り換えのためには新宿線ホーム上の地下通路を延々と歩かねばならず、かなり距離がある。 なお、新御茶ノ水と丸ノ内線御茶ノ水も、JR御茶ノ水駅を間に挟む形でかなり離れていて、しかも一度地上に出なければならない。
新御茶ノ水駅は南北にやたらと細長く、ホームから改札まで結構長い通路を歩く。 その先新宿線の改札までの間の距離も長く、100mほどの地下道を歩いてようやくたどり着く。
地下道歩きにも飽きたので、一度地上に出てみた。小川町とか淡路町といった界隈は全く土地勘がなく、 どんな所か想像もつかなかったのだが、ごく普通のオフィス街という風情だった。 地上をてくてくと歩き、丸ノ内線の淡路町の入口にようやく着いた。
淡路町(6)〜池袋(7) ○丸ノ内線
地下に降りると、改札の目の前にホームがあった。トンネルの浅い銀座線や丸ノ内線ではよくある構造だが、 改札からホームが近い半面、地上の入口を間違えると反対側のホームに降りてきてしまう恐れもある。 その場合、改札内に上下線を繋ぐ地下道があるので、それを使って反対側に行く必要がある。
淡路町は最初の乗り換えをした大手町からわずか1駅先にある。1駅進むのにこれだけの大回りをしてきたわけで、
何と無駄な乗り継ぎをしてきたのか、と思う。やってきた池袋行きは旧型の02系だった。
そんなに古い車両ではないと思っていたが、改めて乗ってみると天井のクーラー下の屋根が低いなど、
最新車両と比べると快適性の面ではやや見劣りがする。
淡路町から6駅分もの「大移動」で池袋に向かう。丸ノ内線北部は都心の地下鉄にしては珍しく地上区間が多く、
まず淡路町〜御茶ノ水間では神田川を渡るところで一瞬地上に出る。また、後楽園から茗荷谷の間は結構長く地上を走る。
後楽園のラクーアや茗荷谷の車両基地を久々に眺めつつ、池袋に到着する。
池袋は丸ノ内線と副都心線は改札内でつながっているが、有楽町線への乗り継ぎは改札外を通る必要がある。 改札を出ると、時間帯関係なく人通りの多い池袋の地下通路に出た。
池袋は駅の東西のデパートなど数多くの商業施設があるが、全部回っているときりがないため、 東武百貨店の南のメトロポリタンプラザの方に来てみた。 ここは池袋の商業施設の中でも比較的築年数が新しく、ガラス張りの大屋根や大胆な吹き抜けが特徴的だ。
そのメトロポリタンプラザの1階に、東武東上線の乗り場があった。
東上線の乗り場というと、山手線や地下鉄から乗り換える時に使う地下の改札しか知らなかったので、
こんなヨーロッパの鉄道のような頭端式の改札があるとは意外だった。
ちなみにこの時点で開始から2時間を経過。しかしまだまだ先は長い…
長くなりすぎたので、続きは後編をご覧いただきたい。