小ネタ集(2017年)

 これまでの鉄道乗車記録のうち、単独の旅行記にならなかった小規模のものをまとめる。 このページでは2017年分を紹介する。

目次

2017/11/25

 近年、阪急電鉄は京都方面への観光輸送に力を入れていて、 観光列車「京とれいん」を通年で運行しているほか、 繁忙期には阪急各線から嵐山直通の臨時列車を走らせている。
 2017年の秋、所用で関西に出かけた。ちょうど紅葉シーズンであり、これまでなかなか機会がなく乗れていなかった嵐山行きの臨時列車と、 普段乗る機会のない阪神・京阪の各線に乗ってみた。

■ 阪神三宮〜尼崎〜梅田〜淡路

 まずは新幹線と神戸市営地下鉄で、朝の阪神三宮駅へ。 阪神や阪急各線に乗りまくるべく「阪急阪神1dayパス」を購入し、 久々の乗車となる阪神電車で梅田に向かう。 ちょうど、近鉄車の奈良行き快速急行が発車を待っていたので、これに乗り込む。 阪神線内で近鉄車に乗るのは、なんば線の開業直後以来だと思う。
 久々に見た車窓は、昔と大きく変わっていなかったが、やはり真新しいビルやマンションが増えたなと思う。 青木や鳴尾付近の高架化工事も着々と進んでいて、早晩芦屋市内以外の立体化が完了することになる。 また、途中すれ違う車両カラーのバリエーションの多さに気付いた。 阪神車だけでも、青銅車・5500系旧塗装・5500系更新色・5700系・赤胴車更新色・9000系・1000系とあり、 これに山陽車(5000系列・3000系)、近鉄車(シリーズ21・従来車)も加わり、カラーバリエーションは10種類を超える。 マルーン1色の阪急と比べて良く言えば賑やか、悪く言えばごった煮感がある。
 尼崎では、増結のためそろりそろりと入場して停車。ここで梅田行きの急行に乗り換える。 尼崎駅では急行・普通・快速急行が横並びに停車する。快速急行から急行に乗り換えるには、普通車の車内を通り抜けていく必要がある。 乗り換え時間はわずかなので、慣れていないと乗り遅れてしまいそうだ。
 梅田では時間が余ったので、高架化の様子を見に行くべく淡路に向かう。 駅自体はあまり変わっていなかったが、前後の区間は一部仮線に切り替わり、背の高い高架橋が立ち上がりつつあった。 淡路駅自体は従来の駅の横の敷地に建てるようで、広い空き地が確保されつつあった。 ついでに、2019年開業予定のおおさか東線の淡路駅の様子も見に行った。こちらはあらかた工事ができつつあり、間もなく開業できそうなほどだった。


大きな円をあしらった斬新なカラーリングの阪神5700系。

■ 淡路〜十三〜西宮北口〜桂〜河原町

 淡路から京都線、神戸線で西宮北口へ戻り、いよいよ嵐山行き直通特急に乗る。 とはいっても車両は神戸線でよく見かける7000系通勤電車で、ロングシートで延々京都まで向かうことになる。 車内は観光客もいるが、半分ぐらいは興味本位の鉄道マニアのような気がする。
 この電車は何故か神戸線内では快速急行と同じ停車駅が設定されているようで、途中塚口に停車した後、十三に着く。 十三では客扱いをした後、一旦駅南側の引き込み線に入る。 長いこと阪急電車に乗っているが、ここに入るのは初めてだ。 しばらく待機した後、宝塚線の線路を横切りつつ京都線のホームに入る。この時、宝塚線の電車を少し待たせていたようだ。 十三を発車すると、途中淡路に停車するのみで桂までノンストップで走る。 定期ダイヤで走る特急(茨木市・高槻市・長岡天神と停車駅が3つ多い)が目の前を先行しているので、スピードはあえて出さずに走っていたようだ。
 桂では、嵐山線ホームの1号線に停車する。その向かいには、世にも珍しい「C号線」というホームがあり (本来は留置線として使われていた線路を、附番そのままにホームとして使い始めたらしい)、 ここには嵐山から河原町に直通する臨時特急が停車している。これに乗って河原町に向かう。 こちらも車両は通勤型であった。 途中停車駅は烏丸のみで、程なく河原町へ。普段日中は使用しない2号線に到着した。


神戸線から嵐山への直通特急は通勤型での運転。


河原町から嵐山への直通特急には「おぐら」の愛称が付く。

■ 祇園四条〜京橋〜梅田〜王子公園

 河原町から地上に出て、鴨川にかかる四条大橋を渡ると、京阪の祇園四条駅に着く。 ここから、京阪特急のプレミアムカーに乗ってみようと思う。 プレミアムカーは、京阪特急の3000系の1両を改造して、在来線特急のグリーン車並みのシートを取り付け、指定席として販売するものである。 3000系は元々オールクロスシートで、2階建て車両を備えるなど料金不要列車としてはかなり豪華な内装として知られているが、 それでもプレミアムカーの需要はあるのだろうか。
 ホームに向かう途中、駅構内のコンビニに古めかしい駅弁が売られていた。 かつてJR京都駅で駅弁を販売していた業者のもので、わずか1種類の幕の内が売られているだけだったが、 JR撤退後も京阪の売店で生き延びていたようで驚いた。早速購入し、車内で賞味しようと思う。
 プレミアムカーの指定席券は駅窓口でも販売されているが、スマホを使ってオンラインで購入するのが一番手っ取り早い。 プラットホームで列車を待つ間にスマホを操作し、指定券を購入して列車を待つ。
 やがて、出町柳方面から列車がやってきた。 車両は完全な新造車ではなく、元々2ドアだったものを1ドアに改造しているので、一部窓配置が不均等な部分がある。 車内は1列+2列の座席配置になっており、一人掛けのシートに座る。 座席は幅、シートピッチともに広く、1時間弱の乗車ならば十分すぎるほど立派だ。
 しばらく走ると地上に出て、丹波橋・中書島と停車しつつ淀川水系の川をいくつも超える。 このあたりに淀の京都競馬場があるが、場内に巨大な遊具がいくつもあり、子供が遊んでいた。 観客誘致のため、最近はどこの競馬場にもこのような無料の遊具が設置されているらしい。
 樟葉・枚方市と停車して、車内は6割方埋まった。大阪方面に買い物に行くのに便利な時間帯のためか、まずまずの乗車率である。 このくらいコンスタントに乗車率が稼げれば、成功と言えるのではないだろうか。 京阪は阪急やJRに比べて大阪方のターミナルが若干不便(梅田や新大阪といった大きなターミナルを通らない)であり、 地元客の需要をどれくらい拾えるかが肝になるだろうか。
 京橋で下車し、環状線と阪急神戸線を乗り継いで次は王子公園駅へと向かう。


他の車両と区別するため、プレミアムカーは赤地に金帯をあしらった塗装となっている。


元々ドアがあった個所は窓配置が不規則になっている。

■ 阪急王子公園南〜摩耶ケーブル下〜(摩耶ケーブル往復)〜新神戸

■ 三ノ宮〜横浜 サンライズ瀬戸

 この日の最後は、身近な阪神間にありながらこれまで乗ったことがなかった摩耶ケーブルに乗ってみる。 まずは王子公園からバスに乗り、ケーブルの乗り場である「摩耶ケーブル下」に向かう。 バス停でしばらく待ち、遅れてきたバスに乗る。コミュニティバスのような小型の車両だった。
 バスはしばらく東に進むと北上し、王子公園駅の東にある踏切で線路を渡る。 通る道は普通の路地で、小型バスでないとまず通れないような道だ。 住宅街をどんどん北上するにつれて、坂が急になってきた。 最後の方は、こんな道をバスが登れるのだろうか、というほどの傾斜になった。 バスが遅れており、乗ろうとしていたケーブルに間に合うか心配だったが、どうにか乗り継ぐことができた。
 慌てて切符を買い、レトロなケーブルカーに乗り込む。折しも紅葉シーズンだが、車内は空いていた。 ケーブルは紅葉のトンネルの中を進み、程なく終点の「虹の駅」に到着。 駅前は展望台になっていて、神戸市内を一望できる。 しかし、ここは単なる乗り継ぎ地点であるようで、観光施設のようなものは特にない。 ほとんどの客はここでケーブルカーに乗り継いで、更に上の六甲山頂方面へ向かうようだ。 しかし私は時間がないので、ここで地上に折り返す。
 摩耶ケーブル下に戻り、徒歩で坂を下ると、山麓線という幹線道路に出る。 ここには新神戸に向かうバスが走っているので、これに乗って新神戸へと戻った。
 所用を終え、東京への戻りは2013年以来4年ぶりに「サンライズ」を利用した。 今回も滋賀県内を走行中に寝てしまい、目が覚めるともう相模川を越えていた。


山麓の住宅街に静かに佇む摩耶ケーブル駅。


車体はクラシカルながら、ポップな色調のケーブルカー。


古めかしい佇まいを残す「虹の駅」。

2017/12/22

 暮れも差し迫った12月のある日、急遽「リゾートしらかみ」に乗りに行くことになった。 「急遽」というのは変な話だが、これには訳がある。 この日の少し前、以前から使用しているビューカードのポイントをびゅう商品券 (国内のほとんどの大手小売店で使える金券:使用期限なし) に換えようとしたところ、誤ってびゅうプラザの金券に変換してしまった。 この金券、びゅうプラザの旅行商品にしか使用できず、しかも翌年3月末という使用期限まである使いづらい代物だった。
 一時は途方に暮れたが、結局いつか再訪しようと思っていた五能線に乗りに行くことにし、 東京から盛岡を往復する日帰りパック(新幹線往復に盛岡駅前の冷麺店での食事クーポンが付いたもの)を購入した。 冷麺は時間の都合で食べられず、 盛岡(正確には好摩)から花輪線・五能線・新幹線経由で盛岡まで戻ってくる乗車券と新青森〜盛岡間の特急券は別途購入したため、 交通費もトータルでは大して安くはならなかった。

■ 東京〜盛岡〜大館

 一年で最も日の短いこの時期、朝6時過ぎの東京駅はもちろん真っ暗である。 ここから朝一番の「はやぶさ」に乗って、盛岡へ向かう。ホームで毎度おなじみのはやぶさ・こまちの切り離しを眺めた後、 いわて銀河鉄道の乗り場へ。ここから、2009年に乗り損ねた花輪線に乗る。 花輪線に乗るのは実に2002年以来だ。その時はまだキハ58が活躍していたし、 盛岡〜好摩間もまだJRから分離されていなかった。
 停車しているキハ110の2両編成に乗り込むと、車内は案外若い客が多い。 盛岡を発車すると、地方の幹線としては珍しく頻繁に停車する。 3セクに移行後、途中駅を増やしたからのようで、若者が次々に下車していく。 好摩に着くころには、車内の客は1両あたり5、6人にまで減った。
 好摩を出てJR花輪線に入ると、列車は西に進路を変え、雪原の中を進む。 大更、平館、松尾八幡平を過ぎると、高原地帯に入る。 植生も変わってきて、白樺の木が目につくようになってくる。 また、積もっている雪も増えてきた。小屋の畑などは駅名標が雪に半分埋もれている。
 高原地帯を過ぎ、列車は荒屋新町に到着。病院通いだろうか、お年寄りが何人か乗ってきた。 ところが、この駅で行き違うはずの列車が倒木にぶつかったとかで、遅れているらしい。 結局30分ぐらい待たされただろうか。この後の乗り継ぎは余裕があるので特に問題なかったが。
 その後は再び険しい山の中を進み、ようやく平野にたどり着くと鹿角花輪に到着する。 ここからは米代川に沿って淡々と進む。珍しいスイッチバック式の途中駅である十和田南を過ぎ、終点の大舘に到着。 列車は盛岡を出てすぐ以外は空いており、ただでさえ列車本数の少なくなった花輪線の先行きに不安を感じてしまった。


盛岡駅名物のはやぶさ・こまち切り離しには多くのギャラリーが集まる。


安比高原付近では白樺が目につく。


駅名標が半分雪に埋もれた小屋の畑駅。


大館に到着したキハ110。

■ 大館〜東能代〜(リゾートしらかみ)〜新青森〜東京

 大館駅では時間が余った。そこで、大館の有名な駅弁「鶏めし」の製造元である花善の本店が駅前にあるので、行ってみる。 2階はちょっとしたギャラリーになっていて、駅弁にちなんだ展示がいくつかあるほか、ガラス越しに製造場を眺めることができる。 1階はレストランになっていて、できたての鶏めしを膳に盛った定食を頂くことができた。
 大館からは奥羽本線に少しだけ乗って、海沿いの東能代に向かう。 やってきた車両は、東北本線の特急「はつかり」「つがる」から奥羽本線に転じたE751系だった。 これに久々に乗車し、引き続き米代川沿いに下って東能代へ。
 東能代でも30分弱待ち時間があるが、ここは能代の市街から離れていて、駅前には商業施設も何もない。 小さな駅売店を眺めて時間をつぶし、ようやくやってきた「リゾートしらかみ」に乗り込む。 列車はシーズンオフだからか空いていた。東能代で進行方向が変わるので、周辺の座席を自分で方向転換した。
 リゾートしらかみはJR東日本では古株の観光列車で、根強い需要があるためか近年では新車も導入されている。 その1つが今回乗車したHB-E300系「青池」編成で、ハイブリッドエンジンを使用しているため走行音も静かである。 近年になって、さらに新しい車両が導入され、こちらには複数種類の地酒を楽しめるバーもあるらしい。 リゾートしらかみといえば、津軽三味線演奏など車内イベントも充実していることで知られているが、 今回は遅い便だったためイベントは特になかった。
 そこで、今回はあきた白神駅で積み込まれる「晩酌セット」という弁当を予約しておいた。 これは、日本酒(いわゆるカップ酒)とハタハタ、いぶりがっこなど地元の食材を使った料理がセットになったもので、 入手には事前の電話予約が必須である。日本酒で少しいい気分になりながら車窓を眺める。 詳細は2009年の旅行記に記したので割愛するが、 今回は深浦到着時にはだいぶ暗くなり、千畳敷あたりでは完全に真っ暗になってしまった。
 真っ暗な中をひたすら走り、五能線の終点の川部に到着。ここから列車は奥羽本線をいったん南下して弘前に停車後、 折り返して青森まで北上するという変わった経路をとる。 弘前からは、わざわざ指定席券を購入して通勤ライナー代わりに利用する地元客もいるようだった。
 新青森からは、最終の「はやぶさ」で東京に戻る。東京に着くと23時を回っており、さすがに疲労を覚えた。


大館で食べた鶏めし定食。名物の鶏めしを温かい状態で頂ける。


かつての東北特急・E751系は現在奥羽本線を走る。


ハイブリッド車で運転されるリゾートしらかみ。


五能線の車窓には荒涼とした日本海が延々と続く。


深浦駅に停車するリゾートしらかみ・青池。この時点でかなり空が暗くなっている。