東北地方乗りつぶし

 JR東日本のフリーきっぷに、「三連休パス」というのがある。 JR東日本管内の特急列車・普通列車に乗り放題という非常に便利な切符で、 乗りつぶしの際は大きな威力を発揮する。名前の通り、三連休の日にしか発行されないが、 多少無理をして日程を工面してでも利用する価値はある。
 そんな訳で、三連休パスを使って東北地方に残る未乗線区を乗りつぶすことにした。 無理をして日程をひねり出したため、三連休のうち最後の一日は東京にいなければならないが、 それでも十分に切符の元は取れそうだ。
 それよりも、日程の方が問題であった。残る未乗線区は東北各地に散らばるように存在するため、 いわゆる「落穂拾い」のような形で乗りつぶしをする羽目となった。 そのため、夜の12時近くまで列車に乗り続けるという、かなりの強行軍となった。

目次

2003/10/12

■ 東京6:04発〜仙台8:06着 41B やまびこ41号 200(10)

 自宅を5時前に出発し、朝の東京駅へとやってきた。 この後の行程を考えると、東京を6時4分に発車する「やまびこ」か、 6時56分発の「はやて」にどうしても乗る必要がある。 しかしこの日は3連休の初日で、「はやて」の指定席が取れなかった。そこで仕方なく「やまびこ」に乗るため、 眠い目をこすりながらここまでやってきたのだ。
 3連休の初日ではあるが、早朝とあって自由席は空いていた。 上野を発車して地上に出ると、街を高い高架橋の上から見下ろせる。 しばらく埼京線と併走すると、大宮に着く。上野、大宮からの乗車も大したことなく、 落ち着いた状態で北を目指す。
 10月に入りもうすっかり秋であるが、木々はまだ紅葉していない。 その代わり水田の稲は大分色が変わってきていて、収穫が近いことを思わせる。
 予定通り、8時過ぎに仙台に到着。土曜の朝とあって、構内には学生の姿が目立つ。 駅には人が多く活気があり、こうやって見ていると遠く宮城まで来た気がしない。 まだ首都圏にいるかのように錯覚してしまう。

■ 仙台8:51発〜前谷地9:42着 3921D 南三陸1号 キハ48(3)

 駅をしばらくうろついて時間をつぶした後、在来線ホームへ向かう。 まずは、仙台から小牛田・前谷地を経由して気仙沼線に直通する快速「南三陸」に乗る。 ホームには既に列車を待つ人が結構いた。部活の遠征なのか、中学生ぐらいの生徒の団体もいる。
 やがて、列車が入線してきた。このあたりでよく見られるキハ40の3両編成だ。 車内のクロスシートはキハ110のような2列+1列に改造されている。 最終的には結構な乗車率となり、仙台を発車する。
 列車は東北線内をノンストップで走り、小牛田まで一気に進む。 岩切を過ぎる頃には仙台近郊の住宅街も途切れ、田園地帯が広がる。 塩釜を出るとトンネルが多くなる。松島の手前では仙石線との併走も見られる。 松島からは再び田園地帯を進み、小牛田着。
 小牛田からは石巻線に入るが、相変わらず水田地帯を進む。 やがて列車は前谷地に着く。快速列車はここから気仙沼線に入るが、 今日はまず石巻線の乗りつぶしをやるので、前谷地で下車する。

■ 前谷地9:48発〜石巻10:11着 1633D キハ28(2)+40(1)

 前谷地は石巻線と気仙沼線が分岐する駅だが、水田の中にある小さな駅である。 先程の快速と連絡する形で、石巻行き普通列車が発車を待っていた。 余談だが、この普通列車はキハ58を編成内に連結している。 このキハ58はリクライニングシートを装備していて、主に快速南三陸の指定席として運用されている。 いわゆる「間合い運用」の形で、この石巻行きに回ってきたようだ。
 引き続き水田地帯を列車は走る。程なく石巻に着き、今度は女川行きに乗り換える。

■ 石巻10:17発〜女川10:45着 633D キハ48(2)

 石巻線は、2001年に一度乗車したことがあるものの、石巻から女川までの間が未乗となっているので、 その区間をまずは乗りつぶす。この区間、17kmと短いのだが列車本数が少なく、 この列車を逃すと2時間待ちとなってしまいこの後の行程に支障をきたす。 そのため、随分早起きを強いられた。
 石巻は仙石線と石巻線が乗り入れる駅である。ただし前者は東北では異色の直流電化、 後者は非電化なので、両者を直通する列車はない。 仙台から石巻までは仙石線経由でもよかったのだが、所要時間は石巻線経由とほぼ互角だったので、 今回は石巻線経由とした。
 石巻を発車した列車は、これまでと一転してトンネルに入る。 トンネルを抜けると、千石浦という湾に沿って進む。ここは海沿いぎりぎりを進むため、眺めがよい。 しばらく海沿いの風景を楽しんでいると、列車は再びトンネルに入る。 トンネルを抜けると、終点の女川に到着した。
 女川は漁港の街、あるいは原発の街として知られているが、 特に予備知識も仕入れてこなかったので、駅周囲をうろうろするのみで終わってしまった。 ホームに戻ろうとすると、駅舎とホームの間の階段にチリ地震の際の津波の潮位を表す線が引かれているのに気付いた。 石巻線にも相当の被害が出たのだろうと想像する。


仙石線はかつて103系の天下だった。独特の派手な塗装が特徴。


女川駅の駅名標。仙台支社管内で見られる青色ベースのもの。

■ 女川11:30発〜前谷地12:24着 1634D キハ48(2)

■ 前谷地12:29発〜気仙沼14:19着 2941D キハ48(2)

 女川から前谷地に戻り、今度は気仙沼線に乗る。 気仙沼線は乗車済だが、未乗である大船渡線に乗るには気仙沼を目指す必要があるのだ。
 やってきた列車はまたしてもキハ40だった。前谷地を出てしばらくは田園地帯を進む。 北上川に沿って進み、やがて柳津に到着する。 気仙沼線は割と新しい路線で、最後に開通した柳津〜本吉間が開通したのは昭和52年、 分割民営化のわずか10年前である。当時既に国鉄の財政は火の車で、 気仙沼線も辛うじて開通にこぎつけたという。
 柳津から、その新規開業区間を進む。新線ならではの長いトンネルを越えると、太平洋岸のリアス式海岸に出る。 海沿いをしばらく進むと、志津川に到着する。このあたりでは割と大きな集落があり、立派な駅前広場もある。
 新しく開業した区間だけあって、志津川から先はトンネルが非常に多い。 リアス式海岸沿いに形成された漁港では線路がトンネルから姿を現し、そこには駅がある、というパターンが続く。 そんなトンネル地帯を抜けると、本吉に到着。
 本吉から先は割と古くに作られた区間なので、トンネルは減る。 しかし、列車は海岸からやや高いところを走っていて、しかも海岸との間には森があるため、 海はあまりよく見えない。気仙沼港に程近い南気仙沼を抜けると、 線路はUの字のような妙なカーブを描いて、終点の気仙沼に到着する。 気仙沼駅は海から遠く離れているので、港町の玄関口という感がしない。

■ 気仙沼14:44発〜一ノ関15:55着 3336D 快速スーパードラゴン キハ100(2)

 気仙沼からは大船渡線に乗る。大船渡線はここ気仙沼から一ノ関までの間のみが未乗車である。 この区間は線路が妙に屈曲しており、大船渡線の愛称である「ドラゴンレール」の由来となっている。 ちなみに、レールが捻じ曲げられたのは沿線の有力者による「我田引鉄」の結果だそうだ。
 気仙沼を発車し、北上平野との間にある山脈を越えるべく、ぐんぐんと坂を登っていく。 新型のキハ100の加速は心地よく、主要駅以外通過の快速列車であることも相まって、 列車はどんどん進んでいく。
 やがて列車は千厩に着く。この駅からは結構な数の乗客があった。 気仙沼を出た時点で既に席は半分以上埋まっていたのだが、 途中駅からの乗客は多く、最後は立ち客が多数出るほどになった。 盛況なのはいいことだが、少し列車のキャパが小さすぎる気もする。
 千厩を出ると列車は北へ、摺沢を出ると西へと目まぐるしく方向を変える。 この日は日差しがあまりなかったので、方向がころころ変わっていることは実感できなかった。 猊鼻渓からは、川下りを楽しんだと思われる観光客も乗ってきた。
 北上川を渡り、山の間をうねうね進むと、やがて列車は一ノ関に到着する。

■ 一ノ関16:01発〜北上16:22着 55B Maxやまびこ55号 E4(8)

 一ノ関からは2駅だけ新幹線に乗り、北上に向かう。 3連休パスだと特急料金を気にせず新幹線に乗れるのでありがたい。
 北上では時間が余ったので、駅前を歩いてみる。 駅前には観光案内所の入ったショッピングビルがあったのだが、 歩いてみると見事にがらがらであった。 近年、地方都市で顕著にみられる「駅前の空洞化」という言葉が頭をよぎった。

■ 北上17:04発〜横手18:23着 737D キハ100(2)

 北上から、奥羽山脈を横断して奥羽本線の横手に向かう北上線に乗る。 この線は数ある東北地方の東西横断路線の中でも割と地味だが、 標準軌になってしまった田沢湖線に代わる貨物や夜行列車の通り道となったり、 田沢湖線の標準軌化工事中は「秋田リレー号」という特急が走ったりと、 それなりに重要な役割を持つ路線である。
 北上線の列車は大船渡線と共通のキハ100で運行されるが、 車体には「ドラゴンレール」のロゴが入り、北上線の列車としてはやや違和感がある。 北上を発車し、和賀川に沿って列車は進む。 横川目あたりで平地が尽き、山の中を進む。
 ここから景色がよくなるはずなのだが、秋の日の入りは早く、日が暮れてきてしまった。 和賀仙人という妙な名前の駅を過ぎると、ダムによってできた錦秋湖に沿って走るのだが、 全く見えないまま進む。ほっとゆだ、ゆだ高原と進み、特にトンネルなどもないままあっさり峠を越えると、 あとは横手に向けて坂を下っていく。
 18時23分、すっかり日の暮れた横手に到着。 主要駅にしては駅舎は古めかしく、内部はがらんとしている。 待合室のベンチに座り、テレビを眺めながら次の列車を待つ。


横手に着く頃には、もう空は真っ暗だった。

■ 横手18:44発〜大曲19:04着 2453M 701(2)

■ 大曲19:23発〜秋田19:55着 3021M こまち21号 E3(6)

 横手から、秋田行きの701系普通列車に乗る。時間が時間だけに列車は空いていた。 闇夜の中をひた走ること20分で大曲に着く。
 大曲でしばらく待ち、「こまち」に乗車する。 こちらも遅い時間、しかも終点間近とあって空いている。 途中で先程の普通列車を追い抜き、秋田に到着した。
 秋田市は駅と旧市街地がかなり離れており、駅前は案外寂しく、ホテルも多くない。 この日の宿も、値段等を勘案して駅から少し離れた所にあるホテルを予約した。 駅から10分ちょっと歩き、ホテルに到着。荷物を置いて休憩する。

■ 秋田21:32発〜男鹿22:28着 1151D キハ40(2)

■ 男鹿22:44発〜秋田23:40着 1152D キハ40(1)

 しかし、この日の旅はまだ終わらない。 これから、秋田県唯一の盲腸線である男鹿線を乗りつぶす。 本当は日の出ているうちに行きたかったのだが、後々の行程を考えると今日のうちに行っておかざるを得ず、 しぶしぶこの時間帯に組み込むことにした。
 駅までの道をとぼとぼと歩き、秋田駅に戻る。 この道をあと2回歩かねばならないのかと思うと、ややうんざりする。 駅直結のホテルメトロポリタンを見ると、少々高くてもここにしておけばよかったと後悔する。
 秋田から、緑色の帯を巻いたキハ40に乗る。男鹿線の専用車両である。 秋田を発車し、まずは奥羽本線を走る。地方だけに駅間は長く、 わずか3駅先の追分まで随分時間がかかった。 追分からはいよいよ男鹿線に入るが、しばらく奥羽本線と併走した後に分かれていく。 しかし、周囲は真っ暗でそんな様子はよく分からない。
 列車は男鹿半島の南岸をのんびりと走る。海岸はやや遠く、海は見えないようだ。 途中駅で少しずつ客を降ろし、終点の男鹿に着く頃には車内はがらがらになった。 秋田から1時間ほどで男鹿に到着する。
 折り返しとなる最終列車まで時間があるので、駅の外に出てみる。 しかし駅は無人で、わずかな下車客もいなくなってしまい、人の気配は全くない。 駅の周囲も真っ暗で、とても駅周囲をぶらつこうという気にはならなかった。
 私以外無人の最終列車で、男鹿を後にする。秋田に戻ると、もう日付が変わろうとしていた。


男鹿駅の駅名標と、男鹿線の気動車。

2003/10/13

■ 秋田7:02発〜盛岡8:37着 3006M こまち6号 E3(6)

 翌朝、秋田新幹線に乗って秋田を後にする。 秋田新幹線はそれ自体が1つの路線だと思われがちだが、 実際は田沢湖線と奥羽本線という2つの路線から成り立っている。 両者が交わる大曲では全列車がスイッチバックするため、 秋田駅を発車する時点では全ての座席が逆向きにセットされている。
 なお、三連休パスでは4回分の指定席券を無料で取得することができる。 今回は行きのやまびこ号と、これから乗る秋田新幹線の往復分を取っておいた。 混むのではないかと思ってのことだが、列車は空席が目立ち、 好きな座席に座っても何も言われなさそうなほどだった。 余談ながら、秋田新幹線は全席指定であるが、 盛岡〜秋田間に限っては三連休パスを持っていれば指定席券なし(立席)で利用できる。 もちろん、席が空いていれば座っても問題ない。
 秋田を発車し、水田の中を進む。大張野あたりからはちょっとした山越えになり、 トンネルが続く。この辺は、「電車でGO」という運転シュミレーションゲームで何度も「運転」したので、 実際に風景を見てみると興味深いものがある。
 やがて列車は大曲に着き、進行方向が変わる。 しばらくは水田地帯を進むが、角館に停車してしばらくすると列車は山の中を進む。 やがて、田沢湖に到着。駅から湖は見えないが、駅から3km程の所に湖はあるようだ。
 田沢湖を出ると、列車は険しい渓谷沿いに進む。 カーブが増え、スピードも出なくなった。新幹線車両が通るとはおおよそ思えないような所である。 それにしても、この区間で見えた紅葉は見事であった。 紅葉というものは見頃の時期が短く、しかも天気がよくないときれいには見えない。 この日はその両方の条件を満たしていたのだろう。 これまで何度も紅葉シーズンに列車に乗ったが、この日を上回る紅葉にはいまだに出会えていない。
 列車は長いトンネルで峠を越え、引き続き渓流を下っていく。 赤渕を過ぎると、ようやく平地に戻ってきた。 あとは田畑に広がる平地を走り、目の前に東北新幹線の高架橋が見えてくると列車はスピードを落とす。 駅構内では歩くようなスピードに減速し、八戸から来た「はやて」と連結。 列車は一路東京へと向かうが、今日はここで折り返す。

■ 盛岡9:25発〜大曲10:24着 3001M こまち1号 E3(6)

 盛岡でしばらく待ち、東京を朝一番に出た「こまち」に乗って大曲まで折り返す。 こちらも混雑はそれほどでもなく、空席も多数あった。 再び紅葉を楽しみつつ、大曲に戻る。

■ 大曲10:26発〜新庄11:52着 3436M 701(2)

 大曲からは奥羽本線を南下し、新庄に向かう。 この区間に乗れば奥羽本線は全て乗りつぶしたことになる。 なお、新庄までの区間は山形新幹線と秋田新幹線の狭間に位置しているためか、 普通列車しか走っていない。
 大曲に着くと、701系2連の普通列車が入ってきた。 幸いそんなに混んでおらず、あっさり座れた。 昨日通った横手を過ぎ、湯沢を過ぎると周囲に山が迫ってきて、雄物川に沿って進む。 横堀、院内を過ぎると周囲は無人地帯となり、 山の中の線路を列車は軽快に進んでいく。ロングシートということで評判のよくない701系だが、 走行性能は素晴らしく、上り勾配をものともせず進んでいく。
 秋田・山形の県境を過ぎ、最初の駅である及位に停車。 周囲に人家はほとんど無く、寂しい駅だ。その後も山中を延々と進み、 真室川まで来るとようやく周囲に人家が現れるようになった。 やがて列車は新庄に到着。ここから先の奥羽本線は標準軌となるので、 秋田方面からの列車はすべて新庄が終点となる。

■ 新庄12:15発〜余目13:00着 159D キハ110(2)

■ 余目13:00発〜新庄13:45着 156D キハ110(2)

 新庄からは、日本海側の余目に延びる陸羽西線に乗る。 ただし、この後山形の方に抜ける予定なので、ここ新庄に再度戻ってこなければならない。 単純往復という行程はできれば避けたいのだが、やむを得ない。
 キハ110の酒田行きに乗り、新庄を発車する。 しばらく田園地帯を進んだ後、最上川沿いを列車は走る。 川沿いには平地はなく、川幅の広い最上川をじっくり眺めることができる。 観光用の川下り船の姿も見える。
 古口から清川までの区間で最上川と寄り添って走った後、 再び水田地帯を進み、やがて余目に着く。陸羽西線は陸羽東線と違って短く、 45分ほどで到着してしまった。
 余目駅が見えてくると、すぐに乗換えができるようドアの前に立って到着を待つ。 余目では、この列車の到着と新庄行きの発車が同時刻なのだ。 両列車の発着するホームが異なる場合、間に合わない可能性が高い。 もし乗り遅れてしまった場合、鶴岡に出て山形行きのバスに乗り、 途中の左沢に抜けるというプランも考えていたが、左沢のバス停が駅から遠く、 歩くのが面倒なのでできれば避けたい。
 だが実際着いてみると、新庄行きは向かいのホームで発車を待っており、 楽々乗り換えることができた。これに乗って新庄に戻る。

■ 新庄14:19発〜山形15:03着 8190M つばさ190号 400(7)

 新庄からは「つばさ」に乗って山形に向かう。 とにかく混雑することで知られる「つばさ」だが、新庄を発車する時点での混雑はそれほどでもなく、 自由席に座ることができた。
 新庄を発車すると、しばらく林の中を進む。最初の停車駅である大石田を過ぎると平地が広がり始め、 村山からは山形盆地を進む。 羽前千歳で仙山線と、北山形で左沢線と合流し、山形城址の脇を通って、山形に到着する。

■ 山形15:31発〜左沢16:12着 339D キハ101(4)

■ 左沢16:19発〜山形17:04着 344D キハ101(4)

 山形からは、いよいよ東北地方最後の未乗路線となった左沢線に乗る。 左沢線は山形から西へ延びる盲腸線で、沿線に観光地もなく地域輸送に徹する地味な路線である。 また、工事のため一部区間が何年間かバス代行となっていた時期もあり、乗りに来るのが遅れてしまった。
 車両はJR東日本で多く見られるキハ100だが、塗装は水色をベースとした独自のものとなっている。 地域輸送主体の路線で距離も短いため、車内はロングシートとなっている。
 最後尾の車両に座って発車を待っていると、若い車掌と主婦っぽい女性が世間話をしていた。 さすがはローカル線、のどかな光景だなと思いつつ聞いていたのだが、 話の内容は案外濃く、教育や政治といった問題にまで話題が及んでいた。
 山形を発車し、しばらくは標準軌の山形新幹線と並んで走る。 北山形で山形新幹線・仙山線と分岐して西へと向かう。 田畑と住宅が入り混じる平坦な土地を進み、やがて列車は寒河江に着く。 この駅の改良工事のため、左沢線の末端部は半年ほどバス代行となっていたのだが、 大規模な工事をしたばかりとあって駅舎は驚くほど立派であった。
 寒河江を出ても、引き続き列車は平地を進む。 左沢線には「フルーツライン」という愛称がついているが、 その名の通り沿線には果樹園も見られる。
 周囲に少し山が迫ってくると、終点の左沢に到着する。 一面一線の小規模な駅で、裏手には果樹園が広がるのどかな終着駅だった。


なかなかの難読駅でもある左沢駅の駅名標。

■ 山形17:30発〜福島18:44着 124M つばさ124号 400(7)

 左沢線を乗りつぶし、無事東北地方の全路線を完乗した。 あとは東京まで帰るのみである。
 だが、ここからが大変であった。ちょうどよい時間の「つばさ」の指定席券は満席のため取れず、 仕方なく自由席に並んでみたら、新庄始発の「つばさ」は大混雑で座るどころではなかった。 デッキで立っているのもしんどいので、洗面所の手洗い場に腰掛けることにした。
 洗面所のすぐ脇は車内販売の基地となっていて、販売員のお姉さんが車掌に車内の混雑状況を聞いていた。 自由席はワゴンが入れる状況ではないようで、お姉さんは指定席を回るしかないとぼやいていた。 米沢でさらに乗客を乗せ、車窓もろくに見られないまま板谷峠を越える。 先程の「こまち」同様、ゆっくりと福島駅に進入して「やまびこ」と併結する。

■ 福島18:56発〜東京20:56着 2164B Maxやまびこ164号 E4(8)

 福島で下車し、編成の前方へと走る。 連結相手の「やまびこ」は仙台始発であるため、自由席が空いていることが多いのだ。 同じことを考えている人は多く、私の後ろにも「やまびこ」自由席狙いの客が何人かついてきた。 この光景は福島駅で頻繁に見られるらしく、 鉄道ファンの間では「福島ダッシュ」という通称まで付いている。
 しかし、「やまびこ」の自由席は全て埋まっていた。 仕方ないので、次の「やまびこ」を待つ。次の列車も混んではいたが、 3列席の真ん中に辛うじて空席を見つけ、座ることができた。 次の郡山からも多くの客が乗ってきて、自由席は通路にまで立ち客が出るほどの混雑となる。 さすがは3連休とあって、東北地方に出かけた観光客が相当数いたのだろう。 「土日きっぷ」や「三連休パス」を持っている客も多いに違いない。
 疲れて眠っていると、もう列車は大宮の近くまで来ていた。 今回もなかなかの強行軍だったが、これで広い広いJR東日本エリアの未乗線区はほとんどなくなった。

JR線乗りつぶし状況

新規乗車キロ数

路線名乗車区間キロ数
石巻線石巻〜女川17.0
大船渡線一ノ関〜気仙沼62.0
北上線北上〜横手61.1
男鹿線追分〜男鹿26.6
田沢湖線盛岡〜大曲75.6
奥羽本線新庄〜秋田150.1
陸羽西線新庄〜余目43.0
左沢線北山形〜左沢24.3
合計459.7

累積乗車キロ数

 総キロ数走破キロ数走破率総路線数走破路線数路線走破率
旅行前19860.917143.686.32%17113981.29%
旅行後19860.917603.388.63%17114785.96%