最終更新日:2021/1/1

JR北海道完乗:一日目―八戸延伸直後の東北新幹線で北上、三厩・江差へ

 就職を直前に控えた学生最後の春休み。この機会に一気に踏破路線を増やすべく、まずは北海道全線完乗に挑むことにした。 使用した切符は、2000年の冬にも利用した「ぐるり北海道きっぷ」。 東京から北斗星か新幹線を使用して北海道まで往復できる優れモノだ。
 北海道は3度目の訪問だが、以前訪問した際は乗り潰しなど考えておらず、北海道全域に未踏破路線が点在しており、 結局ほとんどの路線に乗車する羽目になった。広い北海道だけあって、完乗には切符の期限いっぱいの5日を要した。

目次

2003/3/1

大宮6:30発〜仙台8:06着 41B やまびこ41号 200(10)

 一日目は東北新幹線の新規開業区間である盛岡〜八戸と、 津軽海峡を挟んだ2つの盲腸線、津軽線と江差線に乗りつつ北海道に上陸する。
 そのためには「はやて1号」にのればその後の乗り継ぎがうまく行くのだが、 切符の購入が出発直前だったため、喫煙席しか確保できなかった。 土曜日の始発だけに仕方ないだろう。「土日きっぷ」が発売されて以来この列車は指定が取りにくくなった。
 しかも理不尽なことに、「はやて」には自由席がないため東京駅で禁煙自由席に並ぶことも出来ない。 満席時は立席特急券が発行されるようだが、それも枚数が限られているらしい。 いくら「ぐるり北海道きっぷ」で東北新幹線が利用可能とはいえ、 「はやて」に指定席券も何もなしに乗ると追い出されるかもしれない。 そんな訳で、喫煙席でも何でも指定席が確保できただけ良かったのかもしれない。
 ということで、喫煙席に乗らざるをえなくなったため、 少しでもその時間を少なくするため先行の「やまびこ」に仙台まで乗車することにした。 この列車はさすがに空いていた。この列車ははやてと違い、 宇都宮・郡山・福島に停車するが、それほど乗車は無く車内は落ち着いたままだった。 ゆったりとした状態で仙台着。


今や貴重になりつつある、原色の200系に乗って仙台に到着。


仙台駅では更新色の200系も目撃。

仙台8:38発〜八戸10:04着 3001B はやて1号 E2(10)

 仙台では待ち時間があったので、駅弁などを確保しつつ列車を待つ。 車内が煙たいことを覚悟したが、何とか座っていられた。東北新幹線八戸開業の直後とはいえ、 ほとんどの客が八戸まで乗りとおすのには驚いた。 みんな八戸で何するつもりなんだろう・・・朝から酔っ払った客がいてちょっと閉口する。
 東北新幹線の盛岡までは、福島県内を除いてほとんどといっていいほど起伏が無い。 そのため、峠越えがある東海道新幹線や上越新幹線に比べて車窓はつまらない。 盛岡〜八戸間は聞いていた通りトンネルだらけだった。駅の造りは長野新幹線に似ていて、掘割の中や地平にホームがあることが多く、 ほとんどの駅が高架上にある盛岡以北に比べてコストダウンを意識していることが分かる。 途中のいわて沼宮内駅は、ローカル線の無人駅しかないような寒村に突如として新幹線駅ができた感じで、 乗り換え客以外に利用者はいるのだろうかと思ってしまう。 開発はこれからなのかもしれないが、開発しようにも周りには平地はそれほどないように見える。 長野新幹線の安中榛名駅と共に、なぜできたのか謎な駅だ。



盛岡駅で編成前寄りに連結された「こまち」を切り離す。

八戸10:16発〜津軽今別11:57着 1001M スーパー白鳥1号 789(5)

 八戸からはJR北海道が新幹線延伸を期に投入した新車に乗る。「はやて」には山ほど客がいたが、こちらに乗ってくる客は少ないようだ。 「はやて」の大量の客が八戸からどうするのか、ますます謎。
 「白鳥」用の車両は、通路の自動ドア横に北海道の地図が描かれるなどなかなか凝っておりいい感じ。 従来の「はつかり」に使用されていた485系3000番台も悪くない車両だったが、やっぱり新車はいい。 この列車で東京から函館に向かう客が少しでも増えることを願う。
 列車は時々青森湾沿いを走りつつ、一時間ほどで青森に着いた。ここで乗客が大きく入れ替わる。 列車は青森でスイッチバックし、単線の津軽線に入るとスピードがぐっと落ちた。 ここを改良すればもう少し速く走れる気がするんだが。 しばらく走り蟹田着。津軽線の蟹田(正確には中小国)以北が未乗なので、 ここで乗り換えてもいいのだが、この列車は珍しく津軽今別駅に止まる。 折角なので津軽今別まで乗車することにした。
 蟹田からしばらく進むと、列車は旧来の津軽線から、青函トンネル開通時にできた新線の津軽海峡線に入る。 すると列車はぐっとスピードを上げ、いくつかのトンネルを抜けながらあっという間に津軽今別に着いた。


八戸駅では、新幹線八戸延伸に伴って誕生した「いわて銀河鉄道」の車両を見かけた。


特急スーパー白鳥に使用される789系車両。先頭部の形は、同じJR北海道のキハ281系などに似ている。

津軽二股12:19発〜三厩12:35着 331D キハ48(2)

 海峡線・津軽今別と津軽線・津軽二股は、路線図上では全く別の駅に見えるが、 実は同じ駅にしか見えないほど近接している。 おそらく同じ駅とみなすとMARS等の料金計算プログラムの書き換えが面倒なので別の駅と見なしているのだろう。 海峡線の開通が国鉄時代ではなくJR6社の分割後だったことも影響しているかもしれない。
 しかし、津軽線の末端区間は、いつ倒れてもおかしくないほどのか細いローカル線なので特に影響はないのだろう。
 少し待ち時間があったので、津軽二股駅に併設された道の駅で時間をつぶしたが、 肝心の道に車がほとんど走っておらず、列車も少ないため何だか折角の施設を持て余しているようだ。 この辺りは3月だというのに結構な雪が積もっている。 この先北海道に入ると寒さに耐えられるかちょっと心配だ。
 津軽線の列車はわずか1両の気動車だった。列車は人気のない森の中を走り、 いくつかの無人駅に停車しながら進む。しばらくすると、線路は海岸に出た。 海岸には集落が広がっているが、ここが終点の三厩の集落であった。


津軽今別(海峡線)の駅名標。隣駅は「中小国」となっているが、海峡線の列車は中小国には停車しない。


津軽二股(津軽線)の駅名標は、なぜか味のあるフォントになっている。


津軽二股駅から津軽今別駅を望む。こんな所に本当に新幹線の駅を作るんだろうか・・・

三厩12:53発〜蟹田13:34着 336D キハ48(2)

 三厩は「最果ての地」という言葉が似合う所と聞いていたが、 周辺にはそこそこの集落もあり、秘境と言うほどの所ではなかった。 しかし、終着駅としては寂しい駅であることは事実だ。
 時間もそれほどなかったので、駅の外には出ず、今乗ってきた列車で折り返す。 それにしても、車内は地元の人より鉄道ファンの姿が目立つ。
 津軽二股を過ぎると割と険しい峠越えとなり、気動車は低速であえぎながら 坂を登っていく。この区間、海峡線だとトンネルで峠を抜けてしまうので、津軽線の半分ほどの所要時間で走り抜けてしまう。
 峠を抜けると、海峡線と津軽線の分岐点である新中小国信号所を通過する。両線の路線図上の分岐駅は中小国となっているが、 実際は中小国の北方にある新中小国信号所が分岐点となっている。単なる分岐点ではなく、列車の行き違いなどもできるようだ。 「JR東日本・JR北海道分界点」の標識も見えた。
 さらにしばらく走り、蟹田着。


木製のパネルを貼り付けた出入口がオシャレな三厩駅。


三厩駅にて。駅名標の後ろには集落が見える。


本州最果ての駅で発車を待つキハ40。


こちらは反対側の先頭部。ワンマン対応車は赤色の部分の面積が多い。

蟹田13:46発〜木古内14:39着 1007M スーパー白鳥7号 789(5)

 蟹田は元はローカル線の1中間駅だったのが、青函トンネル開通で幹線の駅に昇格したため、 駅構内はやや手狭で、ホームも幅が細い。 しかし、多くの特急が止まるほか、JR東日本とJR北海道の乗務員交代が行われるなど、列車運転上重要な駅である。
 蟹田からは再びスーパー白鳥に乗車。青函トンネルには最深部を表す青色の電灯があるが、 それを確かめるぐらいしかトンネル内ではすることがない。 長い長いトンネルを抜けていよいよ北海道に上陸した。

木古内15:05発〜江差16:11着 4174D キハ40(1)

 江差線は津軽線同様、末端部は完全なローカル線と化している。 そのローカル線区間である木古内〜江差間から北海道乗りつぶしを始めることとした。
 車両は津軽線と同じく、キハ40の1両編成である。ただ津軽線とは違い、車両が北海道仕様で窓が小さく二重になっている。 津軽線と江差線では気候はほとんど変わらないような気がするのだが。
 車窓は、津軽線と同様森の中を進む。途中小さな峠越えがあるのも似ている。 終点江差に近づくと、日本海の美しい大海原が見えた。既に日が傾き始め、海はオレンジ色に輝いていた。


北海道カラーが目立つキハ40。小型の側面窓やデッキなど、北海道に特化した仕様となっている。

江差16:19発〜木古内17:24着 4177D キハ40(1)

 江差の町は、日本海に面した小さな漁港といった風情の町だった。 しかし、ここでも今来た電車であわただしく折り返す。 何せこの区間は一日6往復しか列車が走っていないのやむをえない。木古内に着く頃には大分暗くなっていた。


列車本数の少なさの割には立派な江差駅。

木古内18:38発〜函館19:23着 1015M 白鳥15号 485(6)

 木古内では乗り継ぐが悪く1時間強の待ち時間が出来てしまった。 駅前をうろつこうにも何もない上、寒い。仕方ないので待合室でぼんやり座る。
ここの駅の待合室には、小さな駅にもかかわらずキオスクや自動販売機もあった。 それでもかなり暇なので、ホームに下りてみる。
 この駅のホームも蟹田同様かなり狭い。駅構内には長大な貨物列車が止まっている。 そういえば海峡線内でも貨物列車の姿が多く見られた。 海峡線は旅客輸送より貨物輸送の需要の方が大きいのが現状のようだ。
 そうこうしているうちに、ようやく列車が到着。 今度の列車は新型ではなく、JR東日本所属の485系だった。さすがにこの時間になると車外は真っ暗だった。


白鳥15号は、485系の「スーパーリニューアル」車両で運行。改造によりほとんど原形をとどめていない。

函館19:44発〜東室蘭21:39着 5021D スーパー北斗21号 キハ281(?)

 まだ夕食を取っていなかったので、函館で駅弁を探す。が、見当たらない。 仕方ないのでスーパー北斗に乗車後、車内の車販準備室に行き、弁当を入手する。 車内販売が回ってくるまで待っていては弁当が無くなる恐れがあると思ってわざわざこんなことをしたのだが、 同じような行動を取っている人が多かった。
 購入したのは「つぶ貝弁当」で、ご飯の上につぶ貝が大量に盛られていた。 最初は物珍しくておいしく食べていたが、途中からいささか飽きてきてしまった。 しかも、キハ283は振り子型車両であるため、 どうやら酔ってしまったようで気持ち悪くなり、食べ残してしまった。(食べ残しは宿で食べました。)

東室蘭22:01発〜室蘭22:13着 1438M 781(4)

 東室蘭からは室蘭線の未乗区間である東室蘭〜室蘭間の枝線に乗車する。 この列車は東室蘭までは特急すずらんとして走るが、東室蘭からは普通列車としての運転である。 日曜のこの時間なので乗客はさすがに少ない。
 室蘭駅はかつて石炭の積み出しなどで賑わったが、 1面2線の小さな駅に改装され、広かったであろう構内も再開発が進んでいるようだ。 既に10時を回っており、駅前は閑散としている。 この日は駅近くのホテルに泊まる。