北海道完乗(その1)

 就職を直前に控えた学生最後の春休み。この機会に一気に踏破路線を増やすべく、まずは北海道全線完乗に挑むことにした。 使用した切符は、2000年の冬にも利用した「ぐるり北海道きっぷ」。 東京から北斗星か新幹線を使用して北海道まで往復できる優れモノだ。
 北海道は3度目の訪問だが、以前訪問した際は乗り潰しなど考えておらず、北海道全域に未踏破路線が点在しており、 結局ほとんどの路線に乗車する羽目になった。広い北海道だけあって、完乗には切符の期限いっぱいの5日を要した。

目次

2003/3/1

■ 大宮6:30発〜仙台8:06着 41B やまびこ41号 200(10)

 一日目は東北新幹線の新規開業区間である盛岡〜八戸と、 津軽海峡を挟んだ2つの盲腸線、津軽線と江差線に乗りつつ北海道に上陸する。
 そのためには「はやて1号」にのればその後の乗り継ぎがうまく行くのだが、 切符の購入が出発直前だったため、喫煙席しか確保できなかった。 土曜日の始発だけに仕方ないだろう。「土日きっぷ」が発売されて以来この列車は指定が取りにくくなった。
 しかも理不尽なことに、「はやて」には自由席がないため東京駅で禁煙自由席に並ぶことも出来ない。 満席時は立席特急券が発行されるようだが、それも枚数が限られているらしい。 いくら「ぐるり北海道きっぷ」で東北新幹線が利用可能とはいえ、 「はやて」に指定席券も何もなしに乗ると追い出されるかもしれない。 そんな訳で、喫煙席でも何でも指定席が確保できただけ良かったのかもしれない。
 ということで、喫煙席に乗らざるをえなくなったため、 少しでもその時間を少なくするため先行の「やまびこ」に仙台まで乗車することにした。 この列車はさすがに空いていた。この列車ははやてと違い、 宇都宮・郡山・福島に停車するが、それほど乗車は無く車内は落ち着いたままだった。 ゆったりとした状態で仙台着。


今や貴重になりつつある、原色の200系に乗って仙台に到着。

■ 仙台8:38発〜八戸10:04着 3001B はやて1号 E2(10)

 仙台では待ち時間があったので、駅弁などを確保しつつ列車を待つ。 車内が煙たいことを覚悟したが、何とか座っていられた。東北新幹線八戸開業の直後とはいえ、 ほとんどの客が八戸まで乗りとおすのには驚いた。 みんな八戸で何するつもりなんだろう・・・朝から酔っ払った客がいてちょっと閉口する。
 東北新幹線の盛岡までは、福島県内を除いてほとんどといっていいほど起伏が無い。 そのため、峠越えがある東海道新幹線や上越新幹線に比べて車窓はつまらない。 盛岡〜八戸間は聞いていた通りトンネルだらけだった。駅の造りは長野新幹線に似ていて、掘割の中や地平にホームがあることが多く、 ほとんどの駅が高架上にある盛岡以北に比べてコストダウンを意識していることが分かる。 途中のいわて沼宮内駅は、ローカル線の無人駅しかないような寒村に突如として新幹線駅ができた感じで、 乗り換え客以外に利用者はいるのだろうかと思ってしまう。 開発はこれからなのかもしれないが、開発しようにも周りには平地はそれほどないように見える。 長野新幹線の安中榛名駅と共に、なぜできたのか謎な駅だ。


盛岡駅で編成前寄りに連結された「こまち」を切り離す。

■ 八戸10:16発〜津軽今別11:57着 1001M スーパー白鳥1号 789(5)

 八戸からはJR北海道が新幹線延伸を期に投入した新車に乗る。「はやて」には山ほど客がいたが、こちらに乗ってくる客は少ないようだ。 「はやて」の大量の客が八戸からどうするのか、ますます謎。
 「白鳥」用の車両は、通路の自動ドア横に北海道の地図が描かれるなどなかなか凝っておりいい感じ。 従来の「はつかり」に使用されていた485系3000番台も悪くない車両だったが、やっぱり新車はいい。 この列車で東京から函館に向かう客が少しでも増えることを願う。
 列車は時々青森湾沿いを走りつつ、一時間ほどで青森に着いた。ここで乗客が大きく入れ替わる。 列車は青森でスイッチバックし、単線の津軽線に入るとスピードがぐっと落ちた。 ここを改良すればもう少し速く走れる気がするんだが。 しばらく走り蟹田着。津軽線の蟹田(正確には中小国)以北が未乗なので、 ここで乗り換えてもいいのだが、この列車は珍しく津軽今別駅に止まる。 折角なので津軽今別まで乗車することにした。
 蟹田からしばらく進むと、列車は旧来の津軽線から、青函トンネル開通時にできた新線の津軽海峡線に入る。 すると列車はぐっとスピードを上げ、いくつかのトンネルを抜けながらあっという間に津軽今別に着いた。


特急スーパー白鳥に使用される789系車両。 先頭部の形は、同じJR北海道のキハ281系などに似ている。

■ 津軽二股12:19発〜三厩12:35着 331D キハ48(2)

 海峡線・津軽今別と津軽線・津軽二股は、路線図上では全く別の駅に見えるが、 実は同じ駅にしか見えないほど近接している。 おそらく同じ駅とみなすとMARS等の料金計算プログラムの書き換えが面倒なので別の駅と見なしているのだろう。 海峡線の開通が国鉄時代ではなくJR6社の分割後だったことも影響しているかもしれない。
 しかし、津軽線の末端区間は、いつ倒れてもおかしくないほどのか細いローカル線なので特に影響はないのだろう。
 少し待ち時間があったので、津軽二股駅に併設された道の駅で時間をつぶしたが、 肝心の道に車がほとんど走っておらず、列車も少ないため何だか折角の施設を持て余しているようだ。 この辺りは3月だというのに結構な雪が積もっている。 この先北海道に入ると寒さに耐えられるかちょっと心配だ。
 津軽線の列車はわずか1両の気動車だった。列車は人気のない森の中を走り、 いくつかの無人駅に停車しながら進む。しばらくすると、線路は海岸に出た。 海岸には集落が広がっているが、ここが終点の三厩の集落であった。


津軽二股駅(津軽線)から津軽今別駅(海峡線)を望む。 こんな所に本当に新幹線の駅を作るんだろうか・・・


木製のパネルを貼り付けた出入口がオシャレな三厩駅。

■ 三厩12:53発〜蟹田13:34着 336D キハ48(2)

 三厩は「最果ての地」という言葉が似合う所と聞いていたが、 周辺にはそこそこの集落もあり、秘境と言うほどの所ではなかった。 しかし、終着駅としては寂しい駅であることは事実だ。
 時間もそれほどなかったので、駅の外には出ず、今乗ってきた列車で折り返す。 それにしても、車内は地元の人より鉄道ファンの姿が目立つ。
 津軽二股を過ぎると割と険しい峠越えとなり、気動車は低速であえぎながら 坂を登っていく。この区間、海峡線だとトンネルで峠を抜けてしまうので、津軽線の半分ほどの所要時間で走り抜けてしまう。
 峠を抜けると、海峡線と津軽線の分岐点である新中小国信号所を通過する。両線の路線図上の分岐駅は中小国となっているが、 実際は中小国の北方にある新中小国信号所が分岐点となっている。単なる分岐点ではなく、列車の行き違いなどもできるようだ。 「JR東日本・JR北海道分界点」の標識も見えた。
 さらにしばらく走り、蟹田着。


三厩駅にて。駅名標の後ろには集落が見える。


本州最果ての駅で発車を待つキハ40。

■ 蟹田13:46発〜木古内14:39着 1007M スーパー白鳥7号 789(5)

 蟹田は元はローカル線の1中間駅だったのが、青函トンネル開通で幹線の駅に昇格したため、 駅構内はやや手狭で、ホームも幅が細い。 しかし、多くの特急が止まるほか、JR東日本とJR北海道の乗務員交代が行われるなど、列車運転上重要な駅である。
 蟹田からは再びスーパー白鳥に乗車。青函トンネルには最深部を表す青色の電灯があるが、 それを確かめるぐらいしかトンネル内ではすることがない。 長い長いトンネルを抜けていよいよ北海道に上陸した。

■ 木古内15:05発〜江差16:11着 4174D キハ40(1)

 江差線は津軽線同様、末端部は完全なローカル線と化している。 そのローカル線区間である木古内〜江差間から北海道乗りつぶしを始めることとした。
 車両は津軽線と同じく、キハ40の1両編成である。ただ津軽線とは違い、車両が北海道仕様で窓が小さく二重になっている。 津軽線と江差線では気候はほとんど変わらないような気がするのだが。
 車窓は、津軽線と同様森の中を進む。途中小さな峠越えがあるのも似ている。 終点江差に近づくと、日本海の美しい大海原が見えた。既に日が傾き始め、海はオレンジ色に輝いていた。


北海道カラーが目立つキハ40。小型の側面窓やデッキなど、 北海道に特化した仕様となっている。

■ 江差16:19発〜木古内17:24着 4177D キハ40(1)

 江差の町は、日本海に面した小さな漁港といった風情の町だった。 しかし、ここでも今来た電車であわただしく折り返す。 何せこの区間は一日6往復しか列車が走っていないのやむをえない。木古内に着く頃には大分暗くなっていた。


列車本数の少なさの割には立派な江差駅。

■ 木古内18:38発〜函館19:23着 1015M 白鳥15号 485(6)

 木古内では乗り継ぐが悪く1時間強の待ち時間が出来てしまった。 駅前をうろつこうにも何もない上、寒い。仕方ないので待合室でぼんやり座る。
ここの駅の待合室には、小さな駅にもかかわらずキオスクや自動販売機もあった。 それでもかなり暇なので、ホームに下りてみる。
 この駅のホームも蟹田同様かなり狭い。駅構内には長大な貨物列車が止まっている。 そういえば海峡線内でも貨物列車の姿が多く見られた。 海峡線は旅客輸送より貨物輸送の需要の方が大きいのが現状のようだ。
 そうこうしているうちに、ようやく列車が到着。 今度の列車は新型ではなく、JR東日本所属の485系だった。さすがにこの時間になると車外は真っ暗だった。


白鳥15号は、485系の「スーパーリニューアル」車両で運行。 改造によりほとんど原形をとどめていない。

■ 函館19:44発〜東室蘭21:39着 5021D スーパー北斗21号 キハ281(?)

 まだ夕食を取っていなかったので、函館で駅弁を探す。が、見当たらない。 仕方ないのでスーパー北斗に乗車後、車内の車販準備室に行き、弁当を入手する。 車内販売が回ってくるまで待っていては弁当が無くなる恐れがあると思ってわざわざこんなことをしたのだが、 同じような行動を取っている人が多かった。
 購入したのは「つぶ貝弁当」で、ご飯の上につぶ貝が大量に盛られていた。 最初は物珍しくておいしく食べていたが、途中からいささか飽きてきてしまった。 しかも、キハ283は振り子型車両であるため、 どうやら酔ってしまったようで気持ち悪くなり、食べ残してしまった。(食べ残しは宿で食べました。)

■ 東室蘭22:01発〜室蘭22:13着 1438M 781(4)

 東室蘭からは室蘭線の未乗区間である東室蘭〜室蘭間の枝線に乗車する。 この列車は東室蘭までは特急すずらんとして走るが、東室蘭からは普通列車としての運転である。 日曜のこの時間なので乗客はさすがに少ない。
 室蘭駅はかつて石炭の積み出しなどで賑わったが、 1面2線の小さな駅に改装され、広かったであろう構内も再開発が進んでいるようだ。 既に10時を回っており、駅前は閑散としている。 この日は駅近くのホテルに泊まる。

2003/3/2

■ 室蘭6:51発〜苫小牧7:43着 1431M〜1031M すずらん1号 781(4)

 この日宿泊したホテルは、室蘭の駅から徒歩5分ほどの場所にあるのだが、 ホテルへの往復のどちらも途中通行人にほとんど会うことがなかった。 そういえば、ホテルでも他の宿泊客を全く見かけなかった。何だかとても寂しい印象のする、そんな室蘭の町だった。
 室蘭からは、再び特急すずらんに乗車する。昨日同様、東室蘭までは普通列車である。 北海道の海岸は概して自然が残っているのだが、 室蘭から苫小牧にかけての海岸は開発が進んでしまっているせいか非常に荒涼とした印象を受ける。
 大都市札幌に向かう列車だけあって、駅に停車するたびに乗客が乗り込んでくる。 苫小牧で下車したが、駅のホームにはずらりと乗客が並んでいた。


北海道固有の特急電車、781系で2日目の旅が始まった。

■ 苫小牧8:01発〜様似11:25着 2225D キハ40(1)

 苫小牧駅で駅弁「サーモン寿司」を買い、日高本線の気動車に乗り込む。日高本線の車両は専用の塗色になっていた。 この路線には以前キハ130という軽快気動車が投入されたが、10年程で廃車となってしまい、 今は先輩格のキハ40シリーズの車両で運転されている。
 列車は1ボックスを1人で占められる程度の乗り具合で発車。苫小牧からは延々と室蘭本線に併走する。 いつ離れるのか思い始めた頃にようやく室蘭本線から離れ、勇払着。ここから鵡川までは駅間も長く、寂しい所を通る。
 鵡川を過ぎると、太平洋が見え始める。太平洋とはいっても東京あたりとは違い暗く冷たい色である。 また、陸側には牧場が見え始め、所々に馬も見える。馬は外にずっといて寒くないのだろうか??
 鵡川から1時間で日高本線の拠点駅である静内に到着。 時間があるので駅舎に行ってみる。列車の本数は少ないものの駅そばなどもある立派な駅舎だ。 列車に戻ると、反対側のホームにキハ160が入線してきた。 事故廃車になったキハ130の代替として導入された、1両1形式の珍車である。
 静内からは、海を外れ丘陵の中を走り始める。海沿いは地形が険しすぎて線路が引けないのだろう。 日高支庁のある浦河を過ぎ、3時間以上かけてようやく様似着。
 様似からは、襟裳岬を超え道東の広尾までのバスが出ている。広尾で乗り継いで帯広に出るプランも考えたが、 冬場は強風で襟裳岬の道路が通行止めになることがあるそうなので、おとなしく引き返すことにした。


日高本線の車窓。海側には荒涼とした太平洋が広がり、山側には牧場が広がる。


終着駅にしては明るい印象の様似駅舎。

■ 様似12:08発〜苫小牧15:21着 2232D キハ40(1)

 ということで、今乗ってきた車両に再び乗る。昼間ではあるが小雪が降っており、空は暗い。どこの駅か忘れたが、 駅前に結構立派なリゾートホテルが建っており、客と思われる若い女性2人が列車に乗ってきた。 この列車を観光で利用しているのはこの人たちだけのようだった。
 15時21分、苫小牧着。7時間も乗りっぱなしだったが、ほとんど退屈はしなかった。冬なので太平洋の色は暗かったが、 夏場に乗れば明るい太平洋が見られ印象が変わるかもしれない。
 全然食事をしていなかったので、苫小牧の駅前のダイエーに入っているラーメン屋で味噌ラーメンを食べる。 濃厚で結構美味しかった。


日高本線の車両。左側は日高本線カラーのキハ40、右側はJRで唯一の存在のキハ160。

■ 苫小牧17:11発〜追分17:48着 1473D キハ40(2)

 苫小牧からは室蘭本線で追分に行く。本線を名乗っているが、石炭輸送という使命を失いローカル線に転落している。 この線区は最後までSLが走っていたことで知られているが、逆に言えばそれだけ近代化が遅れていたということだろう。
 そのような事情から、ローカル線ではあるが複線となっていて、 普通のローカル線のように交換駅手前で減速したりすることはない。
 追分駅は、運転の拠点で結構立派な駅舎ではあるが駅員はいなかった。 周りに人家は少なく、駅舎で1人きりで次の列車を待った。

■ 追分18:14発〜夕張19:17着 2641D キハ40(1)

 次の列車は千歳始発の夕張行き。 この線も昔は石炭輸送で賑わったというが、新夕張より先は一日9本しか走らないローカル線だ。 途中駅ではほとんど乗り降りがないまま、新夕張着。
 新夕張からはますます山深くなっているようだが、夕闇で回りは何も見えない。 19時17分、夕張着。夕張駅はローカル線の終着にしては立派で、 スキー客用のホテルの横に併設されていた。しかし、この列車でスキー場に行く人はいないようだった。


リゾート開発に伴って建てられた夕張駅舎。

■ 夕張19:25発〜追分20:20着 2642D キハ40(1)

 夕張からの折り返し列車に乗ったのは、自分と同じく乗りつぶしが目当てと思われる鉄道ファンらしき若者と、 あとは数えるほどしかおらず寂しい。ちなみに、この鉄道ファンにはこの後何度も会うことになる。
 その鉄道ファンは、帯広方面に向かうためか新夕張で降りていった。


リゾートホテルの横に、ローカル列車がぽつんと佇む。

■ 追分20:26発〜岩見沢21:11着 1475D キハ40(2)

 追分からは、室蘭本線の残りの部分に乗る。先程乗った区間に比べ若干山っぽくなってくるが、 取り立てて面白い所を通るわけでもないし、 そもそも外が見えない。追分からしばらくは複線だったが、いつの間にか単線になったようだというぐらいしか分からなかった。 そうこうしている間に岩見沢着。

■ 岩見沢21:25発〜札幌21:50着 3034D スーパー宗谷4号 キハ261(4)

 岩見沢は札幌の都市圏内なので、人も多くにぎやかだ。 苫小牧以来人の少ない寂しい列車に乗り続けてきたので何だかほっとする。 岩見沢からは「スーパー宗谷」用の新型気動車に乗り札幌へ向かう。車内はそれほど混んでいなかった。 新車の乗り心地を味わう間もなく25分で札幌に到着する。
 ちなみにこの列車、旭川〜札幌間を電車特急の「スーパーホワイトアロー」と同じ1時間20分で走破する。 (ただし、スーパー宗谷の方が停車駅は2つ少ない)一方、国鉄型の781系「ライラック」は1時間30分、 キハ183の特急「オホーツク」だと1時間31分も掛かる。JR北海道のスピードにかける意気込みはなかなかのものだ。


711系の先頭部もすっかり雪まみれ。

■ 札幌22:13発〜稚内6:00着 3043D 利尻 キハ183(?)

 夜の10時近いとはいえ、札幌駅は賑やかだ。夕食をどうしようかと思っていたが、 こんな時間にもかかわらず駅弁屋が営業していて、しかもほぼ全種類の駅弁を売っていた。 夜行列車の客を中心にそれだけ需要があるのだろう。早速鮭めしを購入。
 「ぐるり北海道」では特急自由席しか乗り放題でないのだが、「利尻」の指定席は所定2両で、混んでいないか不安だった。 しかしこの日は結構増結されていたようで、札幌からの帰宅客を降ろすとかなり空いてきた。 そこで、前の席を転換して足を伸ばすことができた。 途中からしっかり滅灯されたこともあり、ぐっすり寝てしまい起きたらもう稚内だった。


冬の北海道を一晩走った特急「利尻」。先頭部は真っ白に。

2003/3/3

■ 稚内7:37発〜幌延8:31着 3032D スーパー宗谷2号 キハ261(4)

 眠い目をこすりながら稚内のホームに降り立つ。が、あまりの寒さに一気に目が覚めた。 あたりは小雪が舞い、まだ空は薄暗い。
 次の列車までしばらく時間があるので、駅前でも散策しようかと駅舎から出てみたが、寒くて駅舎の写真を撮るのが精一杯だった。 ここは旭川からでも260km離れた最北の地である。
 今日はまず幌延まで行き、8時49分発のバスに乗ることにしている。そのためには稚内から始発の普通列車に乗ってもよいが、 その後の特急スーパー宗谷でも間に合う。折角特急乗り放題の切符を持っているし、 何も無さそうな幌延で長時間過ごすよりは稚内に少しでも長くいたほうがいいと思い、特急に乗ることにした。 とはいっても、稚内では先述のように外にも出られず、 駅の待合室でぼんやりしていただけだった。
 8時31分、稚内発。南稚内を出ると市街地を抜け出し、あたりは無人の荒野になる。木は生えておらず、笹が茂っている。 起伏の激しい丘陵を、特急列車は豪快に駆け抜けていく。北海道らしい車窓だ。 次は、夜行ではなく昼間の列車で車窓を楽しみながら宗谷本線を走破したいと思う。 温泉で有名な豊富を通って、幌延着。


稚内駅舎の全景。寒くてこの写真を撮るのが精一杯でした。


「スーパー宗谷」号で3日目の旅を開始。

■ 幌延8:49発〜留萌12:03着 沿岸バス

 幌延は小さい駅ながらも有人駅で、沿岸バスのきっぷ売り場もあった。 北海道ではこういう小さな駅でも冷たい外気が入らないよう工夫され、 しっかり暖房も効いていて有難い。
 ここからは、3時間バスに乗り続け、留萌本線の留萌まで一気に抜けてしまう。 こうすることで、宗谷本線で旭川を回るより1本早い列車で増毛にたどり着くことができる。 とはいえ、今考えるとそのままスーパー宗谷に乗り、宗谷本線の車窓を楽しむのもよかったかなという気もする。 乗車するバスは豊富始発で、乗ってきた特急からは豊富でも乗り継ぎが可能だったが、 バス代を節約するため幌延で乗り継ぐことにした。
 バスは定刻に到着したので、早速乗り込む。乗客はわずか2,3人しかいない。バスの中には乗客へのサービスのためか、 それとも運転手の居眠り防止のためか、AMラジオがずっと大音量で流れている。鉄道ファンの方はお気づきと思うが、 このバス路線は廃止となった旧羽幌線とほぼ同じルートを通る。 つまり、このバス路線は羽幌線の代替バスという意味合いも持っている。
 バスは幌延の町を抜けると、何もない平原を走る。 天塩川を渡ってさらに進むと、今度はまばらに家があるだけの寂しい海岸を延々と走り出す。 時折バス停があるのだが、周りに集落がないところにもバス停があったりする。幌延を出て以来、乗ってくる人はは全くいない。 最初のうちは海に見とれていたが、ふと山側を見ると海と平行に土塁のようなものが続いている。羽幌線の廃線跡に間違いない。 廃線跡はほとんど手を加えられることなく、バスが走る国道とつかず離れずの状態で続いている。
 バスは沿線最大の町である羽幌に着く。バスはまず「本社ターミナル」というバス停で停車した。 その名の通り、沿岸バスの運転の拠点になっており、立派な本社ビル(?)も建っている。 ここでは今までの静寂がうそのように一気に乗客が増えた。 バスは街中の細い道を少し走り、今度は「羽幌ターミナル」というバス停に停車。ここは羽幌線の旧羽幌駅の跡地だそうだ。 ここでも結構な数の客が乗ってきた。ここからバスは苫前・古丹別などの町を通って留萌まで行くが、 夜行明けだからかこの辺で急に眠くなり、ぐっすりと眠ってしまった。
 目が覚めると、留萌の街中に入っていた。しばらくするとバスは「留萌十字街」という停留所に停まった。 運転士さんに聞くと、降りるはずだった「留萌駅前」のバス停は既に通り過ぎてしまったとのことだったので、 あわてて飛び降りる。しかも、幌延で乗車する際に整理券をとり忘れてしまい、運転士さんからお叱りを受けてしまった。 幌延で運転士の交代があったのがまずかったか。
 慌てて降りてはみたものの、今どこにいるのかさっぱり分からない。留萌では30分近く余裕があるので大丈夫とは思うが、 早く駅に行かないと列車が発車してしまう。周りはそこそこ賑やかなので、街から大きく外れたということは無さそうだ。 バス停の目の前の店の人に聞くと、駅までは歩いて数分とのこと。 留萌駅に着くと、丁度列車が発車していくところでかなり焦ったが、 12時15分発の深川行きが出て行ったところだった。

■ 留萌12:30発〜増毛12:55着 キハ54(1) 5921D

 留萌から一旦留萌本線の終点増毛に向かう。車両はキハ54の単行。北海道のローカル線ではおなじみの車両だ。 列車は今まで乗ってきたバスと同様、日本海沿いに進む。ただ、今までに比べ山が険しくなった気がする。
 終点の増毛に到着。小さな駅舎と片面ホームがあるだけの、思ったより寂しい終着駅だ。 ちなみに、増毛という駅名は鉄道ファンの間では結構有名だが、植毛や育毛剤のCMで使われたことはないようだ。


北海道の末端線区でよく見かけるキハ54。 留萌本線も守備範囲だ。

■ 増毛13:04発〜深川14:28着 キハ54(1) 4928D

 ホームで一通り写真を撮り、今来た列車で折り返す。増毛を出ると、深川へ向けて低い分水嶺を超えにかかる。 それほど大した峠越えでもないので、車窓も今までのような雄大なものではない。
 途中、恵比島という無人駅に停まる。ここは映画やテレビのロケ地となったところで、昔の駅舎が再現されている。 しかし、真冬のこの時期に観光客の姿はなかった。さらに走ると、今日の夜乗車する石勝線のかつての終着駅であった 石狩沼田に着く。このあたりは完全に石狩平野の中という感じだ。
 終点の深川は、割と年季の入った駅舎だった。改札の前には、名物の「ウロコダンゴ」を売るカウンターがあったが、 オフシーズンだからか誰もいなかった。


渋い佇まいの増毛駅。

■ 深川14:40発〜旭川15:00着 2009M ライラック9号 781(4)

 深川から旭川まで、わずか20分間だが特急に乗る。 この区間は普通列車より特急列車の方が圧倒的に本数が多いため、必然的に特急に乗ることになる。 札幌から深川までの区間は、広い石狩平野を走る函館本線だが、この区間は「神居古譚」とよばれる山越えとなる。 長いトンネルで難所を抜けると、もう旭川だった。
 旭川では1時間半の待ち時間があるので町に出てみる。 旭川の駅前には、買物公園という歩行者専用の大通りがあり、多くの人で賑わっている。 こんな大きな街を歩くのは今回の旅行では初めてだ。寒さで道が凍結しており、歩きにくい。 凍結した道でも滑らないスパイクつきの靴が欲しくなる。ラーメン屋で遅い昼食をとるなどした後、次の列車に乗り込む。

■ 旭川16:30発〜富良野17:39着 735D キハ150(2)

 旭川駅の富良野線ホームは、函館本線や石北本線などのホームから離れた場所にあり、 長くて薄暗い地下道を延々と歩かねばならない。 これらのホームの間には車両の留置線が挟まっている。富良野線ホームに後ろには川が流れていて、河原は森になっている。 駅正面側の賑やかさとは対照的だ。
 学校帰りの生徒を沢山乗せ、2両編成の列車は旭川を発車する。 旭川を出た列車は旭川の市外をしばらく走る。このあたりは駅の数も多い。 やがて街を抜け田園地帯に出るが、地形は平凡で、この時期は真っ白な雪原がただただ広がっている。 やがて富良野と並ぶ観光地の美瑛に到着。しかし、車窓からみるとごくごく普通の街にしか見えない。
 美瑛で多くの生徒を降ろし、さらに南へと進む。美瑛からは若干地形が険しくなるものの、白い雪原が相変わらず続く。 ただ、駅の間隔はだいぶ長くなり北海道らしくなってきた。上富良野からは富良野盆地をひたすらまっすぐに進む。 沿線にはラベンダーで有名なファーム富田もあるが、当然今は雪に埋まっており何も分からなかった。
 富良野駅は茶色をベースにした山間らしい駅だが、時期が時期だけに観光向けの施設などはあまり見られなかった。


観光路線の富良野線には新型のキハ150が投入されている。

■ 富良野17:55発〜滝川18:58着 2436D キハ40(1)

 富良野からは根室本線で滝川に向かう。初めて乗車する区間だが 、日暮れの早い北海道ではもう大分暗くなってしまい景色は見えない。 ただ、この区間には翌日の朝再び乗るのでまあ問題は無いだろう。富良野から一時間ほどで滝川に到着した。
 滝川の駅に到着すると、猛ダッシュで改札を抜ける。 実はこの後、滝川駅からおよそ3kmに位置にある新十津川駅を19時21分に出る列車に乗ろうとしている。 つまり20分で3kmを移動しなければならない。 この区間にはバスもあるようだが、当然バスでは間に合わないのでタクシーで移動することにしていた。 最悪間に合わなければ、この後の日程を組み替えて明日の夜に乗車するつもりだが、 なるべくなら今日のうちに乗ってしまいたい。
 そう思いながら駅前に行くと、運よくタクシーが客待ちをしていた。 結局滝川駅を出てから10分ちょっとで新十津川に着いた。 それにしても、新十津川の駅は人気の無い住宅街の裏手のような所にあり、 一瞬タクシーの運転手が道に迷っているのかと思ってしまったほどだ。 新十津川の駅前には商店もなく、駅前という雰囲気は全くといっていいほどしない。

■ 新十津川19:21発〜石狩当別20:53着 5434D キハ40(1)

 駅に着くと、既に列車は到着していた。乗車しているのはわずか数人で、鉄道ファンばかりと見受けられた。 その中に、昨日石勝線で見かけた鉄道ファン氏がいるではないか。 彼はどうやら札幌方面から乗車してきて、これから折り返すようだ。 それにしても昨日から客の少ない線区でばかり出会うものだ。
 これから乗る札沼線は、石狩川を挟んで函館本線と平行に走っている。 札幌から石狩当別のあたりまではベッドタウンとして栄えているが、それより北はもともと沿線の人口が少ない上、 平行して函館本線があるので、特に浦臼より北は一日3本しか列車が無く、 ほぼ交通機関としての役目を終えているといっていい状況だ。 もともと札沼線は新十津川から留萌本線の石狩沼田まで延びていたが、既に廃止されている。
 そんな状況で、列車の乗客は終点の石狩当別までずっと少ないままだった。 学校帰りに生徒が数人乗ってきたぐらいだっただろうか。 途中の駅も寂れた棒線駅ばかりで、例外は立派な駅舎の建つ浦臼駅と、交換施設のある石狩月形駅ぐらいだった。


夕闇の中、住宅街にぽつんとたたずむ新十津川駅。

■ 石狩当別21:03発〜札幌21:46着 632D キハ143(3)

 石狩当別駅は、大都市郊外の小奇麗な駅といったたたずまいで、立派な橋上駅舎が整備されている。 ここまで乗ってきた札沼線のローカル区間とは別の路線のようだ。 列車も3連と長い。これより先は「学園都市線」という今風の愛称がつけられている。
 発車してしばらく走ると、真っ暗だった車窓も次第に明るくなり、 しばらく走ると駅前に店などが目立つ典型的な郊外駅になってきた。 桑園で函館本線と合流し、まもなく通勤客で賑わう札幌に到着した。


キハ140系列は、50系客車を改造したという珍車。学園都市線で運用されている。

 この日は夜行に乗るか札幌に宿泊するか決めかねていたので、宿を取っていなかった。 車内で持っていた北海道時刻表を見ると、 「11時以降チェックインの方は割引」という宿がススキノと中島公園の真ん中辺りにあるので、 そこに電話して予約を取った。 時間があるので札幌からススキノまで歩いてみる。 札幌駅と大通公園の間は一部外を歩かねばならないが、その他は地下通路が整備されており、 寒い中を歩かなくて済む。それにしても、夜遅いというのに地下通路は人が多い。
 やがてススキノに到着。場所が場所だけにものすごい人だ。 この一日、人の少ない所ばかり通ってきたので人混みに入ると何だかほっとする。 都会に慣れきってしまっているせいだろうか。
 折角なのでススキノで夕食を、と思い歩いたが、沿道にあるのは飲み屋ばかりでいい店が無く、 随分早くホテルの近くまで来てしまった。チェックイン時間の11時まで30分もある。 外で待つのも寒いし、仕方ないので地下鉄の中島公園駅に行き、券売機の前で寒さをしのぐ。 ところが、改札にはいいムードのカップルがいて、とても気まずい思いで待つ羽目になったのだった。


看板の明かりがまぶしいススキノ。さっきまでいた新十津川とは別世界だ。