ぐるり北海道フリーきっぷの旅

 「ぐるり北海道フリーきっぷ」とは、北海道内の特急が乗り放題のフリーきっぷと、 北海道往復分の乗車券・B寝台券がセットになって35000円程という格安きっぷだ。 この商品、今では定番化されているが、かつては1年単位で発売開始と発売終了を繰り返していた。 ちょうど2000年の頭ぐらいに一旦発売終了となり、その後札幌雪祭りの終わる2月中旬から再び発売されるようになった。
 この切符をぜひ使いたいと前々から思っていたので、発売されているうちにと思い、利用することにした。 この時は完乗は意識しておらず、各地での観光時間をたっぷり取った行程とした。

目次

2000/2/24

東京12:04発〜盛岡14:38着 3013B やまびこ13号 E2(8)

 12時過ぎの新幹線で東京を出発する。「ぐるり」ではB寝台だけでなく、 東北新幹線も利用可能なので、こういった行程も可能だ。 出発時間が12時と遅いのは、函館行きの「はつかり」の本数が少ないこともあるが、 きっぷを手配したのが前日であり朝早い新幹線が取れなかったのが大きな原因だ。 しかも取れた指定席は喫煙車のもので、実際は東京駅で開いていた禁煙車の自由席に座った。 そして、この先の行程も実は新幹線の中で考えていたりする。 しかも前の日バイト先の飲み会があり、旅行の荷物の準備も当日の朝だった。
 そんなドタバタの出発だったが、函館まで7時間は列車に乗りっぱなしなので、 のんびり過ごす。ちなみにE2系に乗ったのはこのときが初めてで、座席の色が3パターンある華やかな室内が印象的だった。
 東京から2時間半、大宮からは2時間で盛岡に着いた。これから札幌までの行程を考えると短いものだ。

盛岡14:48発〜函館19:13着 1013M はつかり13号 485(6)

 盛岡からは「はつかり」で函館を目指す。車両は485系3000番台。 車内・車外共に種車の面影を残さないぐらい徹底的にリニューアルされており、 新車のようだ。トイレユニットまで入れ替えられているのには驚いた。ただ、走行音だけは国鉄型特急そのものだ。
 盛岡を出た列車は、東北本線でも最も山深い沼宮内のあたりを通る。 あたりは一面の銀世界だ。ここからさらに北上するのかと思うと、 寒さに耐えられるか少し不安になる。
 八戸、三沢を過ぎ、列車は陸奥湾に沿って走る。 これまで列車は制限速度一杯の高速で走ってきたが、ここで列車の速度が急に落ちた。 車内放送によると、吹雪のため前方の信号機の灯火が見えず、安全な速度で運転しているという。 確かに外は今まで見たことがないぐらい吹雪いている。もっとも、北国ではこれぐらいの吹雪は日常茶飯事なのかもしれない。
 しばらく走ると徐行は解除され、まもなく青森に着いた。青森では一気に乗客が減り、車内はがらがらになってしまった。 せっかく莫大な工費を掛けて完成した青函トンネルだが、利用が少ないというのは残念なことだ。
 列車は遅れを回復すべく、青森での停車時間を潰してすぐに発車した。列車は夕暮れの中津軽線に入る。 津軽線は元は貧弱なローカル線で、全線単線だ。青函トンネル開業に合わせ待避線を増やしたりして輸送力増強を図ったものの、 カーブやポイントが多く列車は車体を大きく揺らしながら低速で通過する。
 中小国を過ぎ、しばらく走ると青函トンネルに入るが、 周りが暗いためよく分からなかった。快速「海峡」用の客車には、 青函トンネルのどのあたりを列車が通過中か示す電光掲示板があったが、この特急にはない。
 やがて青函トンネルを抜け、いよいよ北海道上陸。ただし北海道側でも元ローカル線の江差線を通らねばならず、 函館まではかなりの時間を要した。
 東京から7時間を掛け、ようやく函館に着いた。 が、地方都市はどこの店も店じまいが早く、 夕食を摂ろうにも店がない。結局、駅前の丼ものの店に入った。
 何とか食事を済ませたものの、この寒い中町をぶらつく気もせず、 次の列車までは結局駅の待合室で時間を潰した。この待合室、明らかに列車を待っていなさそうな者がたむろしている上、 駅舎は昭和を感じさせる時代遅れな代物だ。 こんな所で無為に時間を潰していると、何ともわびしい気分になる。もっとも、この駅舎は既に建て替えられてしまい、 ここで列車待ちをしたのも今となっては懐かしい。

函館23:30発〜札幌6:30着 6981D 快速ミッドナイト キハ27(3)

 ようやく列車の改札が始まり、今は無き快速ミッドナイトの座席車に乗り込む。 18きっぷシーズンでもなく、観光の閑散期ということもあり空いていた。札幌までは7時間の道のりだが、割とよく眠った。

2000/2/25

札幌7:05?発〜釧路10:51?着 4001D スーパーおおぞら1号 キハ283(?)

 札幌では約30分の乗り継ぎ時間で、スーパーおおぞらに乗る。駅コンコースの駅弁屋で弁当を買い、寒いので早々に列車に乗り込んだ。 指定席は比較的空いていた。
 ところが、発車時間を過ぎても列車は発車しない。どうやら、大雪のため駅構内のポイントが動かなくなり、 ダイヤが乱れているらしい。東京や大阪ならともかく、札幌のような北国でポイント不転換とはにわかに信じがたいが、 後でニュースを見た所この日は札幌でも記録的な大雪だったらしい。待てども待てども発車しないし、 そもそもポイントが動かないので駅に列車も入ってこない。 仕方ないので駅構内のミスドで時間を過ごす。店には私と同じく札幌で足止めを食らっている通勤・通学客が多くいる。
 やがて、ようやく運転を再開したということで列車に戻る。駅に入ってくる列車は軒並み首都圏並みの超満員で、 デッキつきの711系や721系はデッキのドアが閉まらないほどぎっしり人が乗っている。
 結局列車は2時間ほど遅れて発車。 一本後の「スーパーおおぞら3号」のスジで走るようだ。南千歳ではおおぞら1号・3号やとかち1号の客が自由席に殺到し、 自由席は相当混雑したようだ。
 南千歳からは石勝線に入る。石勝線の沿線はほとんど人家がなく、真っ白な森林とトンネルばかりが続く。 列車はおおぞら3号のスジで走っているためか、本来通過する新夕張などに臨時停車しながら進んでいく。
 列車は山を登りつめ、狩勝トンネルを抜けて十勝の国に入る。ここから一気に山を下って新得へ下り、帯広に到着。 ここで一気に客が減った。帯広からもかなりの高速で釧路を目指すが、遅れは縮まらず2時間を少し越えそうだ。 そこで車内放送が入り、遅れが2時間を越えるので特急料金を払い戻す旨の放送が入った。 すると前に座っていたおばさん二人が、車掌に特急料金を返してほしいと言い出した。 駅の窓口が混むからとか何とか言っていたが、車掌は釣銭用の最低限の現金しか持っていないはずで、 乗客全員分の料金を払い戻すことは不可能だ。車掌もかなり困惑していたようだが、 皆さんも車掌にあまり無茶を言うのは止めましょう。
 やがて列車は2時間と少しの遅れをもって釧路に到着。普通なら特急料金が帰ってきて嬉しいところだが、今回は乗り放題の切符のため、 当然ながら一銭も戻ってこなかった。
 この日の午後は釧路市内を観光。フィッシャーマンズワーフMOOなどを見学した。

2000/2/26

釧路5:59発〜知床斜里8:33着 4726D キハ54(1)

 翌朝、釧網本線の始発列車で網走へ向かう。早朝ということで列車は空いていた。釧路を出ると列車は釧路湿原の東端を走る。 列車からは間近に釧路湿原が見えるが、雪で真っ白なためただの白い空き地にしか見えない。雪景色は最初のうちは美しいが、 目が慣れてくると画一的な風景に見えてしまうのが難点だ。
 列車は摩周・川湯温泉など観光地を通るが時間帯のためか乗降客は少ない。 やがて峠を越え、太平洋側からオホーツク海側に入り知床斜里に到着。 ここで一旦下車し、後から発車する観光列車「ノロッコ号」に乗り換える。

知床斜里8:55発〜網走10:00着 9746 流氷ノロッコ2号

 知床斜里から釧網本線はオホーツク海に沿って走る。この時期のオホーツク海といえばもちろん流氷で、 流氷を見るために真冬ながら観光客も多くやってくる。そんな観光客のため、 流氷を列車から眺められる「流氷ノロッコ」という観光列車が知床斜里〜網走間で運転されている。 ノロッコとは「のろい」と「トロッコ」の合成語で、列車の速度が遅く車窓をじっくり眺められることが売りとなっている。 トロッコなので窓はないが、流石にこの時期は寒いのでアクリル板で覆い防寒をしている。
 朝早いし空いていると思っていたが、観光バスが数台乗りつけ、列車は結構盛況だった。車内にはダルマストーブがあり、 スルメなどを買えば焼くこともできる。
 流氷は初めて見たが、平らな雪原がどこまでも続いているように見えた。 上を歩いてアムール川までたどり着けるのではないかという気もした。

網走14:17発〜旭川17:55着 9004D オホーツク流氷号 キハ183(5)

 網走で網走監獄や流氷博物館を見学し、札幌行きの特急に乗り込む。この列車は定期列車ではなく、 流氷シーズンに運転される「オホーツク流氷号」で、ノースレインボーエクスプレスというジョイフルトレインで運転される。 この列車は展望を重視しハイデッカー構造となっていて、座席の上までガラス窓が伸びている。レインボーという名の通り、 5両編成の車両はそれぞれ異なる色の帯が塗られている。ちなみに、ジョイフルトレインは余剰車から改造されることが多いが、 このノースレインボーエクスプレスは完全な新造車だそうだ。
 網走を出た列車は1時間ほどで北見に到着。北見駅のあたりは地方でありながら地下化されており驚いた。 雪害を防ぐ意味もあるのだろうか。常紋峠を越え、遠軽で列車の方向が変わる。 ここからは石北峠の難所に差し掛かる。列車は無人の渓谷をひたすら遡っていく。 勾配はかなり急なのか、比較的高出力のキハ183も低速でしか登れない。 高速でガンガン飛ばす石勝線の狩勝峠越えとは違い、何だか悲壮感のようなものが感じられる。 比較的最近作られた石勝線に比べ、こちらは古い路線のためトンネルが少なく景色がいい。
 途中、中越・天幕など一日1本しか列車が停まらない駅(今は廃止)を通過するが、人家は全くと言っていいほど無く、 一日1本という本数にも納得してしまった。
 サミットのトンネルを抜けると、列車はやれやれという感じで坂を下っていく。
 列車はやがて上川に到着。久々の待ちで何だかほっとする。上川から1時間弱で旭川に到着した。この日は旭川に宿泊。

2000/2/27

旭川9:01発〜上川9:41着 オホーツク1号 キハ183(4)

上川12:30発〜旭川13:09着 オホーツク4号 キハ183(4)

 翌日は、「オホーツク」で上川に行き、上川から30分ほどバスに乗り層雲峡に行った。北海道のバスはどこもそうなのだが、 周りに人家の全く無い所にもバス停があり、律儀に車内で停留所の名前を放送している所が凄い。上川から層雲峡まで、 家は全くと言っていいほど無かった。
 層雲峡では雪祭りが行われており、氷の館や彫刻が多数飾られていた。1時間ほど滞在し旭川に戻る。

旭川〜札幌 スーパーホワイトアロー 785(4)

 旭川で昼食後、スーパーホワイトアローで札幌へ。札幌では駅から大通公園を通りススキノまで歩く。

2000/2/28

札幌15:16発〜函館18:29着 5016D スーパー北斗16号 キハ281(?)

 昼過ぎまで札幌に滞在し、帰路につく。札幌から北斗星に乗ってしまってもよいのだが、 翌日朝に用があったためスーパー北斗で先を急ぎ、 青森から「はくつる」に乗ることにした。札幌出発時はまだ明るかったが、海がよく見える森の辺りではもう真っ暗だったのが残念だ。

函館18:32発〜青森21:01着 海峡12号 3132レ 14(5)

 同じく、真っ暗なため何も見えず。しかもガラガラで寂しかった。青函トンネルも慣れるとただの長いトンネルとしか感じられない。

青森21:05発〜上野6:39着 12レ はくつる 24(10)

 青森からは「はくつる」で東京へ戻る。5日間の長い旅行だったが、それほど列車に乗り通しでもなかったせいか、 あっという間に感じられたのだった。


この旅で使用したの指定席券。スーパーおおぞらの指定席券(左下)には「事故 払戻し要す」のスタンプを押してもらったが、 払戻しは受けていない。(画像は一部加工しています)

乗車記録

今回の乗車キロ数

路線名乗車区間キロ数
東北新幹線東京〜盛岡535.3
石勝線南千歳〜新得132.4
根室本線新得〜東釧路175.0
釧網本線網走〜東釧路166.2
石北本線新旭川〜網走234.0
宗谷本線旭川〜新旭川3.7
函館本線白石〜旭川131.0
東北本線仙台〜盛岡、八戸〜青森279.5
合計1657.1

以下は、上記以外に2000年中に乗りつぶした路線。

路線名乗車区間キロ数
京葉線海浜幕張〜蘇我11.3
千歳線南千歳〜新千歳空港2.6
外房線蘇我〜大網19.1
東金線成東〜大網13.8
相模線橋本〜茅ヶ崎33.3
横須賀線大船〜久里浜23.9
根岸線桜木町〜大船20.1
成田線我孫子〜成田32.9
仙石線あおば通〜仙台0.5
合計157.5

乗りつぶし状況

 総キロ数走破キロ数走破率総路線数走破路線数路線走破率
旅行前19860.96085.330.64%1712615.20%
旅行後19860.97899.939.78%1713419.88%