最終更新日:2021/3/8

初夏の筑波登山旅―上野東京ライン&新旧の筑波アクセスルートをたどる

 ゴールデンウィークの連休の狭間のこの日、筑波山へと出かけた。 と言っても登山に出かけた訳ではなく、久々につくばエクスプレスに乗ってみたかったのと、 筑波山に登るケーブルカーとロープウェーに乗ろうと思ったからである。 交通機関を使って楽に山に登ろうという魂胆だったが、途中予想外に激しい上り坂があり、体力を消耗してしまった。
 筑波に出かける少し前の3月15日、上野東京ラインが開業し、茨城方面から東京駅へのアクセスがとても便利になった。 開業翌日に早速に乗りに行ったので、その時の様子も併せて紹介する。

目次

2015/3/15

東京〜上野〜東京

 上野東京ラインは、東京〜秋葉原間の東北新幹線の高架上に更に高架橋を建て、 東海道線と宇都宮・高崎・常磐線の直通運転を可能とした路線である(秋葉原〜上野間は既存の留置線を活用)。 開業に沸く東京駅にやってくると、常磐線特急の「ひたち」が乗り入れてくるシーンに出くわし、早くも変化を実感する。
 東海道線からやってきた列車に乗り、上野へ向かう。東京駅を出て、首都高の下をくぐると急な勾配を登る。 神田駅付近はかなり高いところを通過するが、防音壁が立っていて車窓はあまり見えない。 阪神なんば線の西九条あたりの高架線もそうだったなと思い出す。 秋葉原手前で急勾配を下り、御徒町付近に来ると列車は減速する。 上野駅南側の配線がかなり複雑で、どの列車も減速を強いられるようだ。
 上野でいったん下車し、今度は常磐線から直通のE531系に乗る。 個人的に常磐線方面に行く機会は少なく、これまであまり目にすることもない車両だったが、 今後は東京駅や品川駅で目にする機会も増えそうだ。


東京駅に停車するE657系。


常磐線のE531系にも「上野東京ライン」の表示が。


上野東京ライン開業に合わせて、これまで見られなかったE231系とE233系の併結が行われるようになった。

2015/5/1

北千住10:41発〜つくば11:15着 つくばエクスプレス

つくばセンター11:30発〜筑波山神社入口12:06着 関鉄バス

 北千住からはまず、久々となるつくばエクスプレスに乗る。つくばエクスプレスには何度か乗ってはいるが、 つくばから都内までを乗り通したのは開業直後の1回のみで、実に10年前だ。
 北千住からは快速に乗る。この快速は途中わずか3駅停車でつくばまで行ってしまう速達列車だ。 速度もなかなかのもので、北千住を出るとすぐに地下区間を豪快に飛ばしていく。 また、中間の2両はクロスシートを装備しており、長距離客にも対応している。 クロスシートの袖部分には机が収納されているのも目新しい。 南流山、流山おおたかの森と過ぎるうちにだんだん家が少なくなり、守谷を過ぎて利根川を渡ると一面が田園地帯となる。 いかにも人工的な施設群が見えてくると研究学園駅となり、そこを過ぎると程なく終点のつくばに着く。
 つくばからはバスに乗り換え、筑波山に向かう。このバスは途中ほとんど無停車で筑波山に向かうバスで、 車内には数人の観光客風の人が乗った。 バスは筑波大学のキャンパスなどを脇に見ながら、まっすぐな道をひたすら北上し、筑波山の麓に向かう。 やがて、バスは筑波山麓の曲がりくねった道を進むようになる。勾配も急になってきた。 山道を5分ほど進んだところで、筑波山神社入口バス停に着いた。

宮脇12:20発〜筑波山頂12:28着 筑波観光鉄道

女体山13:20発〜つつじが丘13:26着 筑波観光鉄道

 筑波山神社入口バス停からは徒歩でケーブルカーの乗り場へ向かったが、これが想像以上に大変だった。 まず、バス停から神社までが結構遠く登り坂だった上、神社の入り口から拝殿まで急な石段を登らねばならなかった。 極めつけは拝殿から乗り場までの道で、足がつるかと思うぐらい急な坂と階段だった。 ケーブルカーの発車時刻が迫っており大急ぎで登ったため、大いに汗をかいた。
 ふらふらの状態で乗車券を買い、さらに駅の2階に登って、ようやくケーブルカーに乗る。車両は割と年季の入った、飾り気のないものだった。 程なく、宮脇を発車。発車した時点で既に標高はなかなかのもののはずだが、ケーブルカーは更に高みへと登っていく。 途中、ケーブルカーには珍しいトンネルがあったが(あとは京阪の男山ケーブルぐらいか?)、他は珍しい点はない。 程なく、終点の山頂に到着。ここからの眺めはさすがによく、霞ケ浦などもよく見えた。しばらく展望台から景色を眺める。
 この日は平日ながら、ハイキングシーズンだからかいろんな学校の生徒で山頂はごった返している。 筑波山上へは、ケーブルカーの他にロープウェイが伸びている。変化をつけるため帰りはロープウェイに乗ることにするが、 その乗り場までは少し歩く必要がある。 これが結構本格的な登山道で、またしても体力を消耗した。この日は5月初めにしては暑く、登山道を歩くと汗が噴き出してくる。 大量の中高生とすれ違いながら山道を進み、最後は階段を駆け下りてロープウェイ乗り場に到着。 駅前の広場で昼食を食べつつ小休止の後、ロープウェイで下山する。


ケーブルカーの宮脇駅。ここまで来た時点でもう疲労困憊だった。


割と年季の入ったケーブルカー。目立った車体装飾もなし。


ケーブルカーの筑波山頂駅付近からの眺め。広い関東平野を一望できる。

つつじが丘14:00発〜沼田14:16着 関鉄バス

筑波山口14:30発〜土浦駅15:20着 関鉄バス

土浦15:25発〜東京16:23着 ときわ80号

 ロープウェイを降りたところにあるつつじが丘というバス停から、先程乗ったのと同じバスに乗る。 山道を降り切ったところに、沼田というバス停がある。このバス唯一の途中停留所で、ぱっと見だと何で停車するのかわからないような場所だが、 私はここでバスを降りた。
 バス停を降りて1分ほど歩くと、「筑波山口」という看板を掲げたバスターミナルがある。ここからは土浦行きのバスなどが出ているのだが、 細長い上屋など、いかにも鉄道駅らしい施設が残っている。ここは、1987年まで存在した筑波鉄道の終点の跡である。 筑波鉄道は、土浦駅からこの筑波山口(旧駅名は「筑波」)を経て水戸線の岩瀬まで走っていた鉄道である。 その名残として、今でも筑波山口から土浦へのバスが出ている。ちなみに、廃線跡のほとんどはサイクリングロードとして残っているようだ。
 少し時間があるので、かつての筑波鉄道に思いをはせながら旧駅の正面の道を眺めてみる。 駅前通りにはかつて商店だっただろう建物が並び、奥には鳥居がそびえている。往時は筑波山への門残町として栄えたのだろうか。
 バスターミナルから土浦行きのバスに乗る。最初のうちはほとんど客もなく田舎道を快走していたが、土浦駅に近づくにつれ、 大学生風の若者が次々に乗車してきた。近くにキャンパスでもあるのだろうか。 土浦での特急との乗り継ぎ時間はあまりなく、最後の方は冷や冷やしたが、どうにか特急の発車数分前に駅に着いた。 慌てて改札口に走ると、特急列車は10分近くも遅れていた。
 土浦からは、遅れてきた特急「ときわ」に乗る。そういえばE657系に乗るのは初めてだが、座席は快適でなかなか乗り心地は良かった。 座席の上に、東海道線などの普通列車のグリーン車のようなLEDランプがついているのが目新しい。 この3月から「ひたち」「ときわ」では自由席が廃止となり、代わりに「座席未指定券」というのが発売される。 頭上のLEDに指定席の発券状況が表示されるので、未指定券を持つ客はそれを見て空いている席に座ることになる。 その他、車内で特急券を買うと通常より高く、えきねっとチケットレスサービスを利用すると安くなったりもする。 普通列車グリーン車と小田急ロマンスカーの制度を組み合わせたような形だが、導入当初ということで乗客も混乱しているのか、 駅や車内には案内係が多数配置されていた。
 上野からは上野東京ライン乗り入れて、東京駅へ。やはり常磐線方面から直接東京駅に出られるのは便利だ。


ケーブルカーと同じく赤い車体のロープウェイの搬器。


鉄道駅の痕跡が残る筑波山口バス停。


かつてのプラットホームにはベンチが設けられ、公園のようになっていた。


筑波山への玄関口だった時代の風情が残る駅前通り。