鶴見線と「はまみらい号」―神奈川の貨物線を巡る

 2010年の鉄道乗車記録のうち、単独の旅行記にならなかった小規模のものをまとめる。 臨時列車「はまみらい号」と、鶴見線に乗車した際の記録を紹介する。

目次

2010/9/20

 9月18日〜20日に立川〜横須賀間の臨時快速「はまみらい号」が運転された。 この列車、珍しい経路を通るせいかなかなか人気が高かったようで、指定席を取るのはなかなか大変だった。 乗車当日になってようやく立川行きの指定席券が取れたので、桜木町から乗車してみることにした。

桜木町17:02発〜武蔵小杉17:55着 はまみらい号

 桜木町駅に、485系ジョイフルトレイン「彩」が入線してきた。 もともとは長野地区に所属する車両だが、今日は遠路はるばる出張してきたようだ。 その後の車内放送によると、今回は長野デスティネーションキャンペーンをアピールするために神奈川まで足を伸ばしてきたとのこと。 この列車を企画したのも長野支社であるようで、車内では長野の観光パンフレットなども配布された。
 桜木町を出た列車は、すぐに根岸線から分かれて高島貨物線に入る。私はこの線を通る列車に乗るのは2度目なのだが、 普段はなかなか乗る機会のない路線だ。殺風景な工場街を抜け、東海道線と合流して鶴見に到着し、しばし停車。 鶴見からは東海道貨物線に入り、川崎の手前で右にカーブし、南武支線と合流して浜川崎に向かう。 浜川崎駅を過ぎたところにある貨物側線で停車。ここで折り返しとなる。
 貨物側線で実に15分も停車するというので、車内を見て回る。 私の乗っている1号車は、座席が3列に並ぶ一般的なグリーン車なのだが、 他の車両は大半が「リゾートしらかみ」などでみられる半個室のボックス席になっていて、 家族連れなどで賑わっていた。どうやらこのボックス席はツアー客向けに売られているようだ。 中にはマッサージチェアを置いた区画もあった。
 あとは南武支線経由で南武線に入る。 南武線には普段各駅停車しか走らないので(ただし、2011年から快速が走るようになった)、 途中駅を通過しながら走るというのはある意味新鮮ではあった。しばらく南武線を走り、武蔵溝ノ口で下車した。
 ちなみに車内のチラシを見て知ったのだが、 列車名の「はまみらい」というのはバラの品種の一種であるようだ。 「みなとみらい」にちなんで適当に名づけた列車名かと思いきや、そうでもないらしい。


独特の厳ついフェイスを持つジョイフルトレイン「彩」。 中央には液晶ディスプレイが埋め込まれ、列車名が表示されている。

2010/10/17

 この日は、近場にありながらあまり乗車の機会がなかった鶴見線に乗りに出かけた。 鶴見線に乗るのは2002年以来で、 このときは夜間であったこともあり、ろくに車窓も見ないままであった。
 なお、2010年は鶴見線開業80周年記念ということで、鶴見線の一日乗車券が販売されたり、 クイズラリーが行われたり、全線を走破する臨時列車が運転されるなど数々のイベントがあった。 このことは鶴見駅に来て初めて知ったのだが、一日乗車券を片手に久々の鶴見線めぐりに出かけた。

鶴見15:00発〜国道15:02着

国道15:22発〜海芝浦15:31着

 鶴見駅で京浜東北線から鶴見線乗り場に行くには、中間改札を通らねばならない。 これは鶴見線の大半の駅が無人だからである。こんな都会に無人駅がある例はあまり多くない。 こんなローカル感も、鶴見線の人気の秘訣なのかもしれない。
 鶴見線ホームには、浜川崎行きの列車が停車している。 本当は終着駅である海芝浦や扇町まで行きたいのだが、 ひとまず乗車する。鶴見を出ると、列車は左にカーブして東海道線を豪快に跨ぐ。 カーブが終わって少し進んだ所にあるのが国道駅である。まずはここで下車する。
 国道駅は高架駅なのだが、この高架が造られたのは戦前のことであり、 高架下には建設時そのままの風景が残されている。 薄暗く場末の感が漂う高架下を歩いていると、昭和にタイムスリップしたかのようだ。
 しばらく待って、次の海芝浦行きに乗車する。 鶴見小野を過ぎると住宅街が尽き、周囲は大きな工場の敷地ばかりとなる。 浅野で本線と分かれ、海芝浦へ向かう支線へと進む。 浅野を出ると、左手には運河が見える。新芝浦駅を出ても列車はただひたすら運河の淵を進む。 最後は右手に大きくカーブし、終点の海芝浦に到着した。 幅2メートルほどの狭いホームの柵の向こうは東京湾だ。
 海芝浦は駅前が東芝の敷地で、関係者以外は駅から出られないことで有名だ。 ただ、最近になって改札の脇に小さな公園が作られ、そこに行くことはできる。 公園からは首都高の鶴見つばさ橋を眺めることができた。
 この日は休日だからか、20人以上の人が海芝浦で下車した。 鉄道ファンには、ホームから手軽に海を眺められる面白い駅として定着しているようだ。 また、クイズラリーに参加する人の姿も多く見られた。


205系改造車で、鶴見線の旅に出発。


海芝浦駅は、ホームのすぐ前が東京湾。

海芝浦15:45発〜浅野15:49着

浅野16:07発〜扇町16:17着

 海芝浦から浅野に戻り、扇町行きの列車を待つ。 周囲は工場ばかりで殺風景な駅なのだが、 この駅には猫が何匹か住み着いていて、乗客にも慣れているようだった。
 やってきた扇町行きの列車に乗り、引き続き工場地帯を進む。 ただ、安善の駅前には住宅街が広がっているようで、住民と思われる人が何人か降りていった。 武蔵白石で大川支線と分かれ、南武支線と接する浜川崎を過ぎると、 左手にヤードが現れる。この前乗った「はまみらい」号が折り返しに使用したヤードである。 どこかの工場に入る引込み線と分かれた所にあるのが昭和駅で、 あとは再び現れたヤードの脇をのろのろと進み、終点の扇町駅に到着。
 扇町駅は無人駅だが、貨物扱いのための社員はいるという貨物が主役の駅である。 駅舎もブロック積みでそっけないが、駅の入り口には小じゃれたアーチがあって、 その上では花が咲いていた。
 そのまま折り返そうかどうしようかと駅前を歩いていると、 駅のすぐ近くの道路上に川崎に向かうバス乗り場を見つけた。 意外にもバスはかなりの頻度で出ており、しかも先程購入した一日乗車券でこのバスにも乗れるらしい。 そこでこのバスに乗って川崎駅に戻った。


鶴見線の終点・扇町駅。駅前のアーチが目に入る。