北陸私鉄乗りつぶし(その1)

 北陸地方は東京からも関西からも遠く、これだけ旅行していてもあまり行く機会はない。 そんな中、2007年に18きっぷで北陸に行ったとき、 いくつかの私鉄に乗車した。
 今回は、2日間をかけてその時乗り残した私鉄を乗りつぶしに出かけた。 北陸地方は人口密度の割に私鉄の路線網が発達しており、 自治体も鉄道網の維持に積極的だという印象を受ける。 かつてはもっと多くの路線があったというが、今でも7社が健在であり今回はそのうち6社の路線を乗りつぶす。 それゆえ乗りつぶしも大変であり、ここ数年では稀に見る過酷な旅となった。

目次

2010/7/16

■ 東京7:00発〜越後湯沢8:11着 Maxとき303号

 通勤客に混じって、朝の東京駅にやってきた。 まずは上越新幹線「とき」で越後湯沢を目指す。 この日の新幹線は盛況で、大宮を出る頃にはほぼ満席となる。
 実はこの日はいろいろあって前日2時間ほどしか寝ておらず、 乗車してすぐに軽く食事をした以外の時間は睡眠に充てた。 そのため、大宮を出てから越後湯沢に着くまでの記憶は全くない。


独特の「顔つき」を持つE4系で東京を出発。

■ 越後湯沢8:20発〜金沢10:53着 はくたか2号

 越後湯沢に着き、在来線乗り場に停車している681系「はくたか」に乗り換える。 この日はJRカラーの車両での運転だった。こちらもなかなかの盛況で、 資料やノートパソコンに目を通すビジネスマンの姿が目立つ。
 越後湯沢を出ると、リゾートホテルや民宿の点在するのどかな風景が目に入る。 向こうの方には周囲には濃い緑の山々が見える。東京では見られない車窓に接し、少し目が覚めた。 六日町までは上越線をややゆっくりしたスピードで進む。
 六日町からほくほく線に入ると、トンネルの連続となる。 「トンネル内では携帯電話が通じません」とのアナウンスも入った。 列車はトンネルが連続する線路を時速160キロの高速で進む。 トンネルの切れ目になると、列車2両分ほどの短いホームがある。 列車が速いので集中して見ないと見落としてしまうほどだ。
 列車はほくほく線内を無停車で駆け抜け、直江津に着く。 直江津を過ぎると山の中から一転して海岸線を進むようになる。 トンネルの合間から時折、夏の日本海が見える。 冬とは打って変わってエメラルドグリーンの鮮やかな色をしている。
 糸魚川が近づいてくると、左手に真新しい高架橋が寄り添ってきた。 建設中の北陸新幹線である。この後高架橋は至るところで見られ、 北陸新幹線の完成が近づいてきていることを否応なく実感させられる。 次に北陸に行くときは新幹線に変わっているのかもしれない、と思いつつ高架橋を眺める。 その時、今乗っている在来線はどうなっているのだろうか。
 列車は糸魚川を通過する。キハ52を置き換えたという岡山色のキハ120が見えた。 また、名物だったレンガ造りの検車庫は無残に破壊され、レンガの破片が転がっているのが見えた。 しばらく走ると親不知の景勝地が見えてくる。 海岸線に強引に建設した北陸道の高架橋にあきれつつ進むと、 泊を通過する。ここから先は富山平野を進む。 黒部川、常願寺川といった北アルプスを源流とする大河を渡ると、まもなく富山に到着。 富山には今日の夜戻ってくるつもりだ。 富山で下車する客は多く、半分以上の席が空席となった。
 高岡に停車し、石動のあたりで再び新幹線の工事現場を通過すると、 倶利伽羅峠の山越えに掛かる。ここまでくると金沢はもうすぐなので、 降りる準備を始める。津幡を通過し、巨大な新幹線の高架橋としばらく併走すると、 ビルの並ぶ都会が見えてきた。列車は速度を下げ、 ポイントの並ぶ駅構内を恐る恐るといった速度で走り、金沢駅のホームに滑り込んだ。 東京からは4時間近くを要し、思ったよりも遠かった。 これが北陸新幹線だと2時間半で来られるようになるということで、やはり新幹線はすごいと思う。


この日の「はくたか」は681系で運転。

■ 北鉄金沢11:00発〜内灘11:17着 北陸鉄道

 さて、ここからは早速北陸の私鉄乗りつぶしに入ろうと思う。 手始めは、金沢近辺に二路線を持つ北陸鉄道から始めることにする。 うち1つの浅野川線は金沢駅を発着するので、早速乗りつぶすことにする。
 改札を出て駅前広場へ抜け、地下広場に入ると北陸鉄道の改札がある。 ここで北陸鉄道の一日乗車券を買う。2つの路線両方に有効でお値段は1000円。 金箔風の柄が金沢らしい。
 改札を抜けると、元京王3000系が発車を待っていた。 が、松本や前橋で見たものとは違い、ドアが片開きだ。 どうやら3000系でもかなり初期の車両が種車であるらしい。 車内もあまり改装されておらず、かなり黄ばんだ箇所が目立つ。 冷房の効きも良くないようで、一瞬非冷房車かと思ったほどだが、 これは車内の温度にかなりばらつきがあるのが原因のようで、場所を選ぶと涼しかった。
 金沢を発車すると、地下線をしばらく進む。地上に出て、JRの線路をくぐるとすぐに最初の駅の七ツ屋に着く。 ホームは割と新しいコンクリート作りで、地方私鉄の駅という感じはしない。 この浅野川線はどの駅も割と近代的だった。 しばらく住宅街を進み、やがて三ツ屋に着く。ここは浅野川線唯一の交換可能な駅で、 列車交換をする。脇には川の土手があり、緑の芝生しか見えない。
 次の駅は大河端。この駅も土手沿いにあり、駅のロケーションをよく表した駅名だ。 このあたりからは車窓に田畑が目立つ。 蚊爪という変わった名前の駅を出ると、大野川を古びた鉄橋で渡る。 渡ったところに粟ヶ崎駅がある。川には船が係留されていて、海が近いことが分かる。
 やがて、列車は終点の内灘に到着する。所要わずか17分、あっという間に最初の路線を乗りつぶした。


元京王3000系の片開きドア車はここでしか見られない。

■ 内灘11:30発〜北鉄金沢11:47着 北陸鉄道

 内灘は金沢のベッドタウンといった様相の街で、駅前には真新しい住宅街が広がっている。 首都圏の私鉄の駅だといわれても信じてしまいそうだ。ただし、駅舎はレトロふうである。
 列車に接続するバスが発車していったのを見届けて、再び改札を入る。 暇なので列車の駅名案内を見てみると、既に廃止になった急行の停車駅案内が残っていた。 ただし、「急行」の文字はテープで隠されていた。
 金沢に戻り、地下広場から地上のロータリーに出て、タクシーに乗る。 北陸鉄道のもう一つの路線である石川線は、他の鉄道駅からは離れた野町駅が起点である。 野町へはバスが出ているが、今日は少しでも時間を節約したいのでタクシーで先を急ぐ。
 タクシーに乗り、今日は驚くほど暑いというような話を運転士としていると、 12時2分頃に野町に着く。次の列車は12時5分発なので、間に合いそうだ。


円弧を取り入れたデザインが印象的な内灘駅舎。

■ 野町12:05発〜鶴来12:34着 北陸鉄道

 野町駅は小さなバスターミナルを備えた古びた駅舎が建っている。 人の気配はあまりなく、プラットホームの裏手には団地があり、目の前に布団が干されている。 列車には10人弱が乗って発車を待っている。 車両は元東急の7000系で、こちらも内装は随分古びている。
 列車には、運転士のほかに若い女性のアテンダントが乗務していた。 このアテンダントは車内改札業務を行うほか、乗客のお年寄りと世間話をする光景も見られた。 ローカル線というと人を減らす方向の努力ばかりが行われているという印象があったので、 この光景は非常に新鮮だった。費用対効果の程は不明だが、いい方向に結果が出ればいいと思う。
 これから乗る石川線はかつて、今の終点の鶴来より先の加賀一の宮まで伸びていた。 実はこの石川線には1994年に一度乗車したことがある。その時は新西金沢から加賀一の宮まで乗車した。 そのときに撮影した加賀一の宮駅の写真が手元に残っている。 従って、野町と新西金沢の間が未乗なのだが、折角なので全区間を乗っておこうと思う。
 野町を発車した列車は、住宅街の裏手をゆっくりと進んでいく。 2駅進み、新西金沢に到着。JR西金沢駅との乗換駅で、ここから乗ってくる人も多い。 その後も、金沢市郊外の住宅地を進んでいく。額住宅前という駅で割と多くの客が下車した。 ここから先は、田畑も目立つようになる。
 乙丸、四十万、曽谷、日御子と、難解な駅名が連続する途中駅に丹念に停車しながら列車が進んでいく。 畑のど真ん中にある小柳あたりまでくると、山がだんだんと迫ってきていることに気付いた。 だいぶ山が近づいてきたところで、終点の鶴来に到着だ。


石川線は元東急7000系の先頭車化改造車で運転される。


かつての終点・加賀一の宮の駅舎。1994年撮影。

■ 鶴来12:37発〜新西金沢13:01着 北陸鉄道

 鶴来駅は、開業時に建てられたと思しき古い駅舎が健在だ。 改札を出て、しばし駅舎を眺める。 が、折り返しの列車までの時間は3分しかないので、慌てて写真を撮って駅に戻る。
 折り返しの列車に乗り込むと、アテンダントの女性に話しかけられた。 折り返し乗車をしたのがばれると、(別に不正乗車ではないものの)何とも恥ずかしいしお互い気まずいなと思ったが、 アテンダントの人は行きとは別人だったようで、どうやらばれずに済んだ。
 行きと同じく、20人弱の客を乗せて新西金沢に到着。ここでJR線に乗り換える。


社章をあしらった和風の駅舎を持つ鶴来駅。

■ 西金沢13:07発〜芦原温泉14:04着

 西金沢駅は、新幹線の工事の影響か改装工事が行われている。 駅の周囲は民家があるだけで店舗はほとんどないが、ホームで列車を待つ客は割と多い。 なお、今回の旅行では「北陸フリーきっぷ」を利用しており、北陸地方のJR線は特急自由席を含めて乗り放題だ。
 やってきた列車は、この3月から金沢地区でも走り始めた521系だ。 北陸地区の普通列車はどれも老朽化が進んでいて、ぴかぴかの521系は随分近代的に写るが、 これまで3両編成が中心だったところを2連に減らされたため座席数が減少し、 地元からの評判は必ずしもよくないようだ。現に、乗り込んだ列車も座席はかなり埋まっていた。 何とか通路側の席に座れたが。
 西金沢を発車すると、線路に並行して新幹線の高架橋工事が行われているのが見える。 しばらく走ると、かなり広い敷地を重機が掘り返しているのが見えた。 白山車両基地の工事らしい。つまり、金沢からここまでの高架橋は当面の間営業運転には使われないことになる。
 途中の松任、小松で下車があるが乗車も多く、車内の客はあまり減らなかった。 松任駅の側線には、大糸線での運用を終えたキハ52が3両連結されて留置されていた。 加賀温泉を過ぎ、福井県との県境あたりまでくるとようやく車内も落ち着いてくる。 福井県に入ってすぐの芦原温泉で下車する。

■ あわら湯のまち14:20発〜三国港14:28着 えちぜん鉄道

 芦原温泉駅から、またしてもタクシーに乗り込む。 雑木林や田んぼの中の道を進み、10分ほどでえちぜん鉄道のあわら湯のまち駅に着いた。 駅前にはそこそこ大きな温泉旅館もいくつか見える。
 えちぜん鉄道は、福井から三国港と勝山に路線を伸ばす私鉄で、 かつては京都の路面電車である京福電鉄が運営していた。 数年前に立て続けに衝突事故を起こし、しばらくの休業期間を経て現在は三セクのえちぜん鉄道に転換された。 どちらの路線も終点は他の鉄道と繋がっていないが、三国港の方はJRの芦原温泉駅に割と近いため、 今回はタクシーを使って途中駅のあわら湯のまち駅にアクセスすることにした。
 改札口で三国港までの切符を買い、ホームで列車を待つ。 程なく、1両編成のカラフルな列車が入線してきた。 車内は割ときれいで、クロスシートとなっている。この車両は愛知環状鉄道より譲受したもので、 現在えちぜん鉄道の主力となっている。
 この列車には、先程の北陸鉄道と同じく若い女性のアテンダントが乗務していた。 田んぼの間を少しばかり走り、三国駅に到着。ここは三国市街の中心で、 東尋坊に向かう観光客が下車していった。残る乗客は3人ほどとなった。
 三国を出て、レンガ積みの見事なトンネルをくぐって終点の三国港に着いた。 駅名の示すとおり、駅前には漁港が広がる静かな駅だ。 駅舎は最近建てられたもののようだが、木造のレトロ調となっている。


三国港駅の駅舎はレトロ風だが、建物自体は新しい。

■ 三国港14:39発〜福井口15:25着 えちぜん鉄道

 しばし駅の周りを見て歩いた後、乗ってきた列車に戻る。 列車には当然先程のアテンダントの女性が待っていた。なんとも恥ずかしい瞬間だ。 席に着くと乗車券を作ってもらい、先程のトンネルについて案内を受けた。
 先程通ったあわら湯のまちを過ぎ、列車は延々と田んぼの中を進む。 途中の駅はどれもそれなりに年季が入っているが、駅名標だけが真新しい。 車窓も変わらず、駅の構造はどれも似たような感じで、同じところを延々とループしているかのような錯覚に陥る。 乗客は10人弱の状態が続く。
 やがて、九頭竜川の土手の上にある中角を過ぎ、九頭竜川を渡ると一気に住宅が増えてきた。 途中駅から乗り込んでくる客もどんどん増えてきた。 車内では、アテンダントの女性が乗客のお婆さんと世間話をしたり、 小学生と会話したりしていた。乗客増加にどの程度効果があるか不明だが、 無味乾燥な地方私鉄の車内に彩を添えているのは確かだ。
 大きな駅ビルの下にある福大前西福井駅、そして福井鉄道との乗換駅である田原町駅を過ぎ、 を過ぎ、やがて車庫のある福井口駅に到着。 ここが勝山線との分岐駅であるため、乗り換える。


ストライプの入った派手な塗装のえちぜん鉄道車両。

■ 福井口15:30発〜勝山16:19着 えちぜん鉄道

 福井口駅は古い駅舎に汲み取り式便所、そして構内踏切が残る古めかしい駅だ。 おまけにホームの幅は非常に狭く、両側が線路に挟まれたホームでも幅は1mほどしかない。 駅の裏には、JRの真新しい高架橋が見える。
 やがて、勝山行きの列車がやってきた。先程と同じ車両だったが、 今度の列車にはアテンダントは乗務していなかった。 福井口を出ると、線路は複線となるが、次の越前開発で複線区間は早くも終了となる。 一体何のための複線なんだろうか。
 沿線はしばらく住宅地が続くが、程なく田畑が目立つのどかな車窓となる。 松岡を過ぎると、九頭竜川と川に張り出した山との間の狭いスペースを走るため、カーブが増えてくる。 九頭竜川の川面をはるかに見下ろす箇所もあった。
 やがて、列車は永平寺口に着く。ここでは永平寺に行くバスに乗り換えることができるが、 かつては永平寺まで線路が延びていた。実は1994年に、福井から永平寺まで列車に乗ったことがある。 このとき撮影した永平寺駅舎の写真も手元に残っている。
 右手に永平寺線の廃線後が分かれていくのを確認しつつ、永平寺口を発車する。 その後は九頭竜川沿いの田園地帯を進む。 このあたりで、途中駅で降り損ねたという中年女性が運転士に何やら相談していた。 永平寺口で上り列車と交換した直後だったので、 次に列車交換する駅までこの列車に乗っていくほうがいいという旨のことを(多分) 一生懸命説明していたのだが、女性は目的地からどんどん離れていくのが不安らしく、 結局どこかの駅で降りてしまった。鉄道ファンでない人が単線区間でのダイヤの組み方を理解するのは難しいようだ。
 どんどん進むにつれ、沿線は豪雪地帯になってくるようで、ポイント部分には屋根が掛けられるようになる。 この屋根のようなものは以前福井鉄道でも見かけた。発坂から先はトンネルも現れ、 ちょっとした山岳路線のようになってきた。 一部の普通列車も通過する比島を過ぎ、終点の勝山に到着した。


2階建ての立派な和風建築である勝山駅舎。


在りし日の永平寺駅舎。1994年撮影。

■ 勝山16:49発〜福井17:43着 えちぜん鉄道

 勝山では下り列車の到着と同時に上り列車が発車するダイヤが組まれていて、 30分ほども時間が余ってしまった。周囲を散策してみるが、勝山の市街地は九頭竜川の対岸にあるらしく、 駅前には開いているかも分からないような店しかない。駅前の道路は何故かトラックがばんばん通過している。
 仕方ないので駅舎に戻り、テレビを見たりして時間をつぶす。 古い駅舎の中にはちょっとした鉄道博物館のようなものがあり、 古い乗車券や駅名案内、パンフレットなどが展示されていた。
 タクシーで乗り付けてきたビジネス客などと共に、勝山を後にする。 福井口まで戻り、最後は北陸本線の高架橋と併走しつつ福井に戻った。 福井駅は高架化工事の最中で、駅舎は仮普請のようだった。 これでえちぜん鉄道の乗りつぶしが完了した。

■ 市役所前17:57発〜田原町18:01着 福井鉄道

 JR福井駅にやってくるのは、2007年以来3年ぶりだ。 その2007年に乗車しながらも、一部区間を乗り残した福井鉄道にこれから乗る。 福井鉄道の福井駅付近は複雑な線形となっていて、武生方面から田原町駅に至る本線から、 福井駅に向かう短い枝線が市役所前を起点として延びている。 昼間の列車は全てこの枝線に乗り入れるが、 夕方は田原町から武生方面への列車しか乗り入れない。 今から乗るのは市役所前〜田原町間なので、市役所前までは歩いて向かうしかない。 とはいっても、福井駅から市役所前まではさほど遠くないので、10分も掛からずに歩ける。
 市役所前電停でしばらく待ち、やってきた田原町行きに乗る。 名鉄から譲渡された路面電車タイプの小さな車両だが、乗客はさほど多くない。 列車は太い道路の中央をまっすぐに走る。 線路敷は自動車進入禁止となっているようで、 渋滞気味の道路を列車はすいすい進む。わずか2駅4分で田原町に到着だ。


福井鉄道の列車の多くは路面電車タイプの車両で運転される。

■ 田原町18:15発〜福井駅前18:24着 福井鉄道

 田原町駅は福井鉄道とえちぜん鉄道の共同使用駅だが、 いつの時代かと思うような古めかしい駅だった。ホームの屋根や梁はこげ茶色の木製で、 派手な塗装の電車とは全くマッチしていない。
 乗ってきた列車で福井駅前に折り返す。駅前といってもJRの駅とはやや離れており、 商店街を少し歩かないとならない。


年季の入った屋根が残る田原町。

■ 福井18:30発〜金沢19:13着 サンダーバード31号

 これで無事福井県内の全私鉄を乗りつぶしたので、今日の宿泊地の富山へ向かう。 ぎりぎり18時30分発のサンダーバードに乗れるな、と思ってJRの駅へ急ぐと、 サンダーバードは湖西線内の落雷の影響で25分も遅延しているらしい。 25分も何をしようかと思ったが、朝から分刻みの乗継ぎが続いたせいでできなかった雑用をいろいろ済ましていると、 あっという間に過ぎてしまった。
 やってきたサンダーバードは福井駅で降りる客も多かったためか空いており、 難なく窓側の席に座れた。このまま富山に向かってもいいのだが、 北陸の中心地である金沢を無視して通り過ぎるのもどうかと思ったので、下車してみる。 やはり金沢は駅前にもビルが多く、富山や福井とは都市としての格が違うなと感じる。 そんなビルの1つに入り、夕食。

■ 金沢20:23発〜富山20:50着 サンダーバード35号

 食事を終えると駅に戻り、再びサンダーバードに乗る。 この列車も7分ほど遅れが出ていた。車内は金沢から富山方面に向かう帰宅客で混んでいて、 通路側の席に座るのがやっとだった。そういえば金沢から富山までは特急でわずか27分であり、 十分通勤圏内といえる距離だ。

■ 富山駅前21:30発〜地鉄ビル前21:46着 富山地方鉄道

 新幹線工事の影響で仮駅舎となっている富山に到着すると、駅前のホテルにチェックインする。 が、今日の行程はこれでは終わらない。これから、富山市内を走る路面電車の一つである富山都心線に乗ろうと思う。 富山都心線は、路面電車には珍しくごく最近開業した路線で、文字通り富山市の中心部をぐるりと一周する路線だ。 ただし、全てが新線というわけではなく、環状線の半分ほどの区間は既存の路線である。
 都心線の列車は、黒い塗装の専用の低床車が充当されている。 これに乗って富山駅前を出発する。しばらくは既存の線路を走り、県庁や城跡の石垣の脇を通る。 実は、富山が城下町であることをこのとき初めて知った。 丸の内電停を過ぎると、既存の線路から分かれて単線の新線を進む。 国際展示場前、大手モールと新しい駅を通り過ぎる。 このあたりは総曲輪と呼ばれる富山市の中心街で、大きなビルや商店が目立つ。
 再び既存の線路に戻り、富山駅前方面に進む。 環状線を一周してしまうのはまずいかなあと思い、富山駅前の1つ手前の地鉄ビル前で下車した。


近代的な内装の富山都心線車両。