日本縦断 夏列車の旅(その3)

目次

2009/8/4

 北東北から帰って数日、今度は普通列車を乗り継いで長野へと向かった。 久々に篠ノ井線に乗って姥捨の車窓を見たいというのもあったが、 長野電鉄に乗るのが大きな目的である。 長野電鉄は、地方都市にしてはかなりの規模を誇る私鉄で、 最近では東急田園都市線の8500系や、小田急の10000形ロマンスカーを投入して近代化を図っている。 山国の信州を走る路線だけあって急勾配もあり、前から乗ってみたいと思っていた。
 あとは、信州まで行けば少しは夏の暑さから逃れられるのではないかという期待もあったが、 行ってみると暑さは首都圏と変わらず、むしろ非冷房車にぶち当たって余計に暑い目にあうのだった。

■ 八王子6:29発〜松本10:18着

 早朝の八王子駅は、早くも朝のラッシュが始まりつつあった。 そんな中、八王子始発の普通列車松本行に乗る。 この列車にはもう何度も乗っているので、もはや詳細な旅行記は書かないが、 何度乗っても車窓に飽きることはない。
 ちなみにこの日は、高尾から甲府までの間はかなりの混雑が見られた。 これまでは休日に乗ることが多かったので、ラッシュに巻き込まれたことが無かったのだ。 もっとも、ラッシュといっても首都圏に比べれば数段ゆるいものだが。 甲府を出ると車内は空き、ボックスシートでゆったりと身体を伸ばしながら進む。 この日は八ヶ岳は何とか見えたものの、南アルプスの山々は雲がかかって見えなかった。
 小淵沢、上諏訪、塩尻と過ぎ、定刻に松本にたどり着いた。 6月、特急「あずさ」のダイヤ乱れに巻き込まれて以来だの訪問である。

■ 松本10:35発〜長野11:46着

 松本からは長野行き普通列車に乗る。 今度の列車は115系3連と編成が短く、ほとんどの席が埋まるほど列車は混んでいる。 自分のボックスには、女子大生のグループが座った。
 朝から何も食べていないので、松本駅で買った弁当をさっそく食べる。 買ったのは「櫓膳」という幕の内である。 ごく普通の幕の内だが、野沢菜が地味に「信州」を主張している。
 松本を出てしばらくすると、川の土手の横を走る。 特急「あずさ」の名前の由来にもなった梓川である。 しばらく川沿いを進み、明科に到着する。ここから先は単線となり、 駅を出てすぐに長いトンネルに入る。
 トンネルを抜けると西条に到着。ここから先は割と開けた盆地を進む。 同じボックスに座った女子大生は賑やかにしゃべっている。 よくそんなに話すことがあるなあ、と思うほどだ。
 盆地の外縁にある冠着を過ぎると、列車は再び長いトンネルに入る。 トンネルを抜けると、窓外に善光寺平のパノラマが広がる。 有名な日本三大車窓の一角を占める車窓である。 あいにく車窓の見える側とは反対側の席に座っていたので、ドア横に立って車窓を眺める。
 やがて、列車は姥捨駅に着く。この駅で特急「しなの」待避のためしばらく停車するため、 下車して駅舎を観察する。洋館風の瀟洒な建物だが無人駅で、駅周囲に人家などは無いため、夜は不気味かもしれない。 しばらくの停車の後、姥捨を発車する。この駅はスイッチバック駅であるため、 一旦バックして待避線に入った後に発車するという独特の運転が見られる。
 姥捨を出た後、引き続き善光寺平を見ながら進む。 途中、スイッチバック式の信号所を通過した。姥捨駅に比べると知名度は低いが、 篠ノ井線にはもう一つスイッチバックが存在するのだった。
 やがて平地に折りると、稲荷山の駅に着く。 さらに進み、しなの鉄道・長野新幹線と合流すると篠ノ井に着く。 あとは長野近郊の市街地を進み、終点の長野駅に到着した。


松本駅で売っていた幕の内「櫓膳」。


姥捨駅に停車する115系。ホームの向こうには絶景が広がる。

■ 長野12:13発〜湯田中12:59着 特急ゆけむり

 長野駅の改札を出て駅前広場に向かうと、焼けるような日差しが注いでいて暑い。 遠く信州の北部まで来たが、暑さは東京と変わらないようだ。
 駅前広場から地下に降りる階段を通り、長野電鉄の乗り場に向かう。 長野電鉄の長野駅は、地方私鉄では非常に珍しい地下駅である。 全線フリーきっぷと100円の特急券を買って改札に向かうと、 改札は昔ながらの有人改札だった。近代的な地下駅との対比が面白い。
 ホームに下りると、元小田急ロマンスカーの10000系が停車している。 HiSEという愛称を持ち、座席がハイデッカーとなっているのが特徴だ。 その構造ゆえにバリアフリーに対応できず小田急では引退に追い込まれたが、 この長野電鉄に移ってきて第二の人生を歩んでいる。 車内に乗り込むと、内装は小田急時代から全く変わっておらず、首都圏に戻ってきたかのように錯覚してしまう。
 先頭車には小田急ロマンスカー名物の展望席があるが、夏休みとあって混んでいる。 そこで展望席には後で乗ることにし、2両目に座る。 長野を発車して、地下線内を進む。2つ目の権堂に停車し、数人を乗せて発車する。 地下駅は完成以来一度も改修されていないらしく、かなり薄暗く古めかしい。
 さらにしばらく進むと、ようやく地上に出る。 地上に出てしばらくは住宅街を進む。こうやってロマンスカーに乗って車窓を見ていると、 小田急の新百合ヶ丘あたりを走っているのではないかと錯覚してしまう。
 信濃吉田を出ると新幹線、信越本線と交差し、長陽を出るとそれまで複線だった線路が単線となる。 このあたりから、車窓には田畑が見られるようになる。 柳原を出ると、急に列車のスピードが落ちた。この先の千曲川を渡る橋梁の架け替え工事のためらしい。 しばらくゆっくり進み、橋に差し掛かる。この橋は今では珍しい道路・鉄道の併用橋で、 すぐ横に2車線の道路がある。しかし道路の方はもう既に新しい橋梁に移され、古い橋は封鎖されている。 鉄道の方もまもなく新しい橋に移るようで、既に線路も引かれている。
 千曲川を渡ると、まもなく須坂に着く。沿線でも最も大きな町である。 この駅には車庫も設けられ、元田園都市線の8500系などが留置されている。 また、広い構内にはかつて自社発注した通勤型車両である「OSカー」が留置されている。 こちらはもう使われていないようで、塗装なども色あせてきている。 地方私鉄には珍しい自社発注車で、大型車体を導入するなど意欲作であったが、 一編成しかないという特殊性が嫌われたようだ。
 須坂を出るとりんご畑と住宅が入り混じる中を走り、小布施に着く。 この駅の構内には「電車の広場」という施設が設けられていて、長電の古い車両が保存されている。 しかし、保存状態はあまりよくなく、所々ボロボロになっている箇所が見受けられた。
 小布施を出て、引き続きりんご畑を進む。りんごの木の枝に支えがしてあるのは、 五能線に乗ったときに見た津軽平野のりんご畑と同じである。 このあたりは千曲川が形成した平地で、線形も良く列車は結構飛ばす。 線路は単線だが、一線スルーといって通過列車が速度を落とすことなく走れるように改良された駅もあった。
 やがて、列車は信州中野に停車する。信州中野駅には4つの乗り場があるが、 一番端のホームは使われていないようだ。 このホームからはかつて木島線という支線が出ていたが、何年か前に廃止されてしまった。 「木島」の文字がホームの番線表示の下に残っている。
 信州中野を出ると、一転して急勾配を上り始める。列車に乗っていても勾配がきついのが分かるぐらいだ。 カーブも多くなり、線路をきしませながらゆっくりと走る。 りんご畑の向こうに、志賀高原へと連なる山々が見えてきた。 山裾は林が切り開かれ、畑のようになっている。高原野菜でも育てているのだろうか。
 信州中野から5駅で、終点の湯田中に着く。 湯田中駅には線路を挟むように2つの駅舎が建っている。 うち1つが現役で、コンクリート造りの割と大きな駅舎だ。とはいえ、結構年季が入っている。 駅前からは志賀高原や白根火山へ向かうバスが発着しているが、バスに乗る観光客の姿はほとんどない。

 折り返しの列車まで時間があるので、駅周辺を歩いてみる。 線路は駅構内で行き止まりとなっているが、その先には空き地が広がっており、 さらに線路が延びていたことを伺わせる。実は湯田中駅はかつてスイッチバック構造となっており、 そのため引込み線が行き止まり方向に存在したのだ。
 駅の裏手には、木造の旧駅舎が残っていた。 その横には温泉施設や足湯もあるが、この日はたまたま休館日だった入ることはできなかった。 しかし、こう暑いと温泉に入ろうという気はしない。


地下駅に停車する「ゆけむり」と普通列車。東京近郊の駅のような光景だ。


信濃川に架かる道路併用橋。まもなく奥の新橋梁に役目を譲ろうとしている。


須坂駅に留置されるOSカー。赤い塗装があせ始めている。


湯田中に到着した特急「ゆけむり」。


湯田中の駅舎。コンクリート造りながら随分年季が入っている。

■ 湯田中13:29発〜須坂13:57着 特急ゆけむり

 先程乗ってきた特急で、須坂まで折り返す。 今度は先頭の展望席が空いていたので、ここに座ってみた。 湯田中を出た列車は、それこそ転がり落ちるかのように進んでいく。 勾配票を見ると、湯田中付近の勾配は実に40パーミルもあり、 信州中野までは大半の区間が30パーミルを超える勾配が続く。
 信州中野からは平野を進み、須坂に着く。 須坂の駅前にはビルやスーパーもあり、なかなか立派な市街地を形成している。 これくらいの市街地が沿線にあれば鉄道の経営も何とか成り立ちそうだ。


ロマンスカー名物展望車からの眺め。


地方私鉄の駅にしては非常に立派な須坂駅。

■ 須坂14:28発〜屋代15:05着 長野電鉄

 しばらく駅前を散策した後、駅に戻り今度は屋代線に乗る。 屋代線は千曲川の東岸を走り、須坂としなの鉄道の屋代を結ぶ路線である。 県庁所在地の長野を通らないため乗客は少なく、ローカル線の扱いであり本数も少ない。
 停車している列車に乗ってみて驚いた。元営団日比谷線の3000系なのだが、何と非冷房なのである。 割と最近まで大手私鉄で走っていた車両なのだから、当然営団時代に冷房化されているものだと思っていたが、 営団地下鉄は大手私鉄でも群を抜いて冷房化が遅かったから、 非冷房車のまま長電に譲渡されていても不思議はない。
 暑い車内に乗り込み、須坂を発車する。 乗客は多くなく、10人いるかどうかといったところだ。 須坂を出て、りんご畑や水田、住宅が入り混じる地帯を走る。 しばらく走ると、右に千曲川の堤防、左に山が時折迫ってくる。 また、上信越自動車道も屋代線と並行して走るため、時折その姿が見える。
 いくつか小駅に停車するうち、松代という駅に着く。 この駅はこの辺の主要駅らしく、乗客が一気に入れ替わった。 駅舎は木造の古めかしいもので、各種表記はホーロー引きのこれまた懐かしいものである。
 松代を出て、引き続き全ての駅に停車しながら進む。 暑さで朦朧としかけてきた頃、左からしなの鉄道が合流してきて、終点の屋代に着いた。 屋代駅の屋根や待合室は古い木造建築で、映画のセットのようだ。
 線路の終点方には長電の車両工場があるのだが、中ではしなの鉄道の車両を整備中だった。 どうやらしなの鉄道は車両の整備を一部長電に委託しているらしい。


非冷房の3000系は営団日比谷線からの転属車。


このような古めかしい木造建築が至る所に残る。

■ 屋代15:30発〜戸倉15:36着 しなの鉄道

■ 戸倉15:38発〜上田15:53着 しなの鉄道

 屋代駅では時間が余ったが、駅前に店もなくすることがない。 外にいると暑いので、駅舎に併設された無料のミニギャラリーに入って涼んだ。
 そうしているうちにようやく列車の到着時間となり、ホームに向かう。 どうせ115系が来るのだろうと思っていたら、予想に反してやってきたのは何と169系だった。 JRでは北陸地方を除いて全滅寸前の急行型電車であるが、 このしなの鉄道にはまだ生き残っていたのだった。 車内は原型のボックスシートからリクライニングシートに交換されていた。
 開いている席に腰掛けて走ること6分、戸倉に到着した。 この駅にはしなの鉄道の車庫が設けられており、今乗っている列車はこの駅で車両交換となる。 次の列車はさすがに普通の115系だった。
 工場やりんご畑などを眺めつつ15分ほど走ると、長野新幹線の高架橋が寄り添ってきた。 程なく、上田に到着する。


小さなギャラリーを備えた屋代駅。


しなの鉄道169系の車内。現在は主に通勤ライナー用に用いられる。

■ 上田16:20発〜高崎16:57着 あさま578号

 時間節約のため上田からは長野新幹線に乗り、一気に高崎を目指す。 新幹線改札を通り、駅弁を購入して乗り場へと向かう。 この日は「モバイルSuica特急券」を利用して指定席に座ったのだが、 列車は結構混んでいて、軽井沢を出る頃にはほぼ満席となった。 軽井沢に遊びに来た人が多いようだ。
 車内では、先程購入した「信州夢回廊膳」を食べる。 和風の揚げ物と煮物で構成された、上品な弁当であった。
 高崎に戻り、あとは高崎線に乗車して東京へと戻った。


上田駅で購入した「信州夢回廊膳」。

2009/8/5

 長野から帰った翌日、流石に朝早くから起きるのは無理なので、 近場の伊豆に出かけることにした。伊豆半島には伊豆急行と伊豆箱根鉄道という2つの私鉄があり、 それらに乗車するのが目的である。
 伊豆急行は観光路線だけあって普通列車にもリゾート色の強い車両を以前から導入している。 その最たるものが「アルファリゾート21」で、 時には東京まで臨時特急として乗り入れるほどの豪華な装備を誇るらしい。 車窓ももちろんだが、今日は豪華リゾート車両を味わうのが大きな目的である。

■ 横浜10:58発〜熱海12:07着

 平日の昼間、横浜駅へとやってきた。 まずは、熱海行きの快速「アクティ」に乗る。 この日は奮発してグリーン車に乗ったのだが、夏休みとあってグループ客で列車は混んでいた。 普段は2階建ての階下席などはがらがらなのだが、この日は結構な乗客がいた。
 車内では、横浜駅で購入した「幕の内弁当」を食べる。 内容は充実しているが、より安価な「シウマイ弁当」との差はフライの有無ぐらいなので、 買うなら「シウマイ弁当」でいいかなという気もする。
 弁当を食べているうちに大船、茅ヶ崎、平塚と主要駅をどんどん過ぎていく。 途中、貨物列車と競り合いながら列車は西へと進む。 平塚からはようやく快速運転となり(平塚までの間では辻堂しか通過しない)、小気味よいスピードで西へと進む。 小田原を過ぎ、早川を出ると左手に相模湾の風景が広がる。根府川を過ぎるとトンネルが多くなり、 海はあまり見えなくなる。
 湯河原を過ぎ、トンネルをいくつか通るとまもなく熱海である。 しかし、先行列車が遅れているとかで駅手前でしばらく停車した後、ようやく熱海に到着した。


横浜駅「幕の内弁当」。

■ 熱海12:12発〜伊豆急下田13:48着

 熱海駅に到着すると、もう12時10分を過ぎていた。 乗り換え時間はわずか1分ほどしかなく、足が遅く不案内な子連れや団体客にとっては厳しいが、 熱海駅での乗換えを幾度となく経験している私には余裕だ。 真っ先にホームにたどり着き、空いている席を確保した。 が、列車は律儀に乗り換え客を待っていたようで、発車は3分ほど遅れた。
 今度の列車は、伊豆急の「アルファリゾート21」という車両で運転される。 伊豆急のリゾート21は何編成かあるのだが、これはその中でも最も新しい。 普段は伊豆急線・伊東線内の普通列車に充当されているが、 しかし繁忙期には東京直通の特急にも充当されるほどの豪華な設備を持っている。
 急いで乗り換えたおかげで、6号車にある窓向きのシートを確保できた。 このシートはクロスシートを90度回転した格好で固定されていて、 大きな窓から伊豆の海を見るのに適した配置になっている。 一方、山側は普通のボックスシートだが、こちらもハイデッカー仕様になっていて座りごごちもよさそうだ。 屋根は高く、電球のところにはイルカをあしらった装飾がなされている。 確かにこれなら特急に使っても申し分のない設備で、普通列車としては破格の豪華さだ。
 熱海の次の来宮を出ると、しばらくはトンネルが続く。せっかく窓向きに座っても、 ガラスに自分の顔が反射するばかりである。 だが、伊豆多賀のあたりからは、下のほうに相模湾が見えてきた。 宇佐美のあたりからは、国道とともに海沿いを進む。先の方に有名な旅館の建物なども見えてきた。 ようやく伊豆半島に来たんだなあと実感する。
 伊東に着き、ここでJRから伊豆急行線に入る。乗務員も交代して、伊東を発車する。 伊東を出ると再びトンネルの連続となる。そもそも伊豆半島は急峻な地形の所が多く、 伊豆急も海沿いを避けるように建設されているのでやむを得ない。 山の中にホームがある川奈駅、全然海岸という感じのしない城ヶ崎海岸駅を過ぎ、 伊豆高原に着く。
 伊豆高原は伊豆急の車庫もある重要な駅で、観光客や通学生で騒がしかった車内もこの伊豆高原で急に静かになった。 この伊豆高原では上下のスーパービュー踊り子と行き違いをするため、しばらく停車する。 その間に最後尾の方に行ってみると、運転席に向かって座席を階段状に配した展望席があった。 この席、発車時は混んでいたと思うのだが今はがらがらなので、こちらに席を移す。
 伊豆高原を出ても、相変わらずトンネルが多い。時折、はるか下のほうに海がちらりと見えるぐらいだ。 そんな中、伊豆稲取を出たところで急に海沿いぎりぎりのところに出た。 車内放送によると、ここは伊豆急でも一番の景勝地なのだそうだ。 結構荒い波が、線路の真下の岩にぶつかって豪快にあわ立っている。
 3分ぐらい海沿いを走ったところで列車は再びトンネルに入る。 まもなく列車は河津に着く。あとでこの駅からバスに乗る予定だが、駅前に商店は多くなく、 時間つぶしができる場所はあまりなさそうだ。 河津を出ると、横に川が寄り添ってくる。川に沿ってしばらく下ると、ぽっこりと盛り上がった山が車窓に見えてきて、 程なく伊豆急下田に到着した。


普通列車としては日本屈指の豪華列車である「アルファリゾート21」。


映画館のように、座席に段差のついている展望席。


中間車両は窓向きの座席とボックスシートの組み合わせとなっている。


照明のカバーには、イルカや魚があしらわれている。

■ 伊豆急下田14:39発〜河津14:53着 伊豆急行

 観光シーズンとあって、下田の駅前はそこそこの活気を呈していた。 土産物屋を見るなどして時間をつぶした後、駅に戻る。 これから熱海方面に戻る訳だが、単純に今来た道を往復するのもつまらない。 そこで、河津から天城峠を越えて修善寺に行くバスに乗り、修善寺から伊豆箱根鉄道で三島に抜けることにした。
 まずは下田から河津へ移動する。この列車は先程の列車の折り返しで、 「アルファリゾート21」での運転である。空いているので、発車前に車内を観察してみた。 車内のシート配置は、一両ごとに微妙に変化していて面白い。 窓向きの席が3人分ごとに固まっている車両もあれば、窓側もボックス席になっている車両もある。 あまり詳しく説明はしないが、 伊豆急のホームページに座席配置図が載っているので、そちらを見れば座席構造が分かるだろう。
 机の付いたボックス席で、伊豆急下田駅で買った弁当を食べる。 伊豆急下田は私鉄の駅ながら、観光地ということもあって結構な種類の弁当を置いているのである。 購入したのは「とろ金目の塩焼き弁当」である。 量はそれほど多くないが、魚はしっかりと脂が乗っていた。
 下田を出て15分で河津に着く。先程列車の中から存在を確認しておいたバス乗り場へと急ぐ。


伊豆急下田駅「とろ金目の塩焼き弁当」。

■ 河津15:00発〜修善寺16:30着 東海バス

 河津駅のバスターミナルに行くと、修善寺行きのバスが発車を待っていた。 車内には乗客はおらず、発車まで他の客が現れることはなかった。 あれだけ混んでいた伊東線や伊豆急とは対照的だ。
 河津駅を発車し、しばらく街中を走る。 峰温泉というところを過ぎると、バスは徐々に山の中に入る。 しばらく山の中を進むと、前方に巨大なループ橋が見えてきた。 山肌から飛び出した桟橋がぐるぐると二重のループを描いている。 バスはそちらには入らず、河津七滝という温泉地に一旦向かう。 やがて、ドライブインを備えた河津七滝バス停に停車した。ここでしばらく停車する。
 河津七滝を出て元来た道を戻り、いよいよ先程のループ橋に入る。 途中に障害物が何もないことから、この橋からの眺めは見事だった。 橋を過ぎると、バスは無人の山地をひた走る。延々と走ったところで、 バスは長いトンネルに入った。これが「天城越え」で有名な天城峠である。 よく整備された高規格道路で越える天城越えは何ともあっけなかった。
 トンネルを抜けてしばらく走ると、道の駅「天城越え」がある。 そこからさらに下ると浄蓮の滝のドライブインがあり、ここで再びバスは小休止に入る。 ここには無料のトイレもあるので、運転士に頼み込めばトイレに行かせてくれるかもしれない。
 再び発車してしばらくして、湯ヶ島温泉を過ぎたあたりからようやく車窓に民家が見えてきた。 土肥などの西伊豆方面からの道路と合流すると、ちょっとした渋滞に巻きこまれた。 観光シーズンなので道が混んでいるのだろう。 有料道路である修善寺道路と分岐してしばらくすると、ようやく修善寺駅に到着した。
 さすがに1時間半もバスに乗ると、たっぷり乗ったという実感がある。 途中、短区間を乗車した客は何人かいたが、ずっと乗りとおしたのは自分一人だけであった。

■ 修善寺16:35発〜三島17:11着 伊豆箱根鉄道

 バスがやや遅れたせいで、修善寺駅に着くと既に16時33分ぐらいであった。 慌てて切符を買って改札を通ると、発車ベルが鳴り始めたので走って列車に乗る。
 列車は3両編成で、車内は転換クロスシートであった。 伊豆箱根鉄道の車両は転換クロスシートからボックスシート、ロングシートまで「玉石混交」の状態であり、 転換クロス車に乗れたのはかなり運が良かったことになる。
 修善寺を発車し、引き続き狩野川沿いを下っていく。 修善寺を出る頃には車内は空いていたが、駅に停車するごとに乗客が乗ってくる。 伊豆長岡から先は周囲が平地となり、乗ってくる客の数も増える。 三島田町あたりからは三島の市街に入るせいか、客が一気に増え立つ客も多数出てきた。
 17時11分、三島に到着。三島からは東海道線の普通列車を乗り継いで帰宅した。


伊豆箱根鉄道は自社発注の車両が中心で、中には転換クロスシート装備のものもある。