2003/3/5
札幌11:25発〜長万部15:22着 3940D キハ150(2)
ここまでの4日間、非常にタイトなスケジュールを組んで乗りつぶしをしてきた。特に今回は冬場の北海道だけに、
ある程度のダイヤ乱れは覚悟していた。だが、JR北海道の正確なダイヤのおかげで無事スケジュールを消化できた。
そのおかげで、今日は札幌から函館本線経由で函館まで行くだけでよい。そのため、札幌出発は11時半と余裕がある。
そこで、朝のうちは札幌市内を散策し、テレビ塔や時計台を見に行った。
この旅行ではこういった観光らしいことをするには初めてである。
一通り散策したところで札幌駅に行き、弁当を買うなど万全の準備を整えた後、
これから乗る快速ニセコライナーの出るホームで早めに列車を待つ。
何せ今度の列車は札幌圏にしては短い2連なので、早く行かないと座れない恐れがある。
ホームでしばらく待っていると、2連のキハ150がやってきた。キハ150のシートは2列席と1列席があるので、当然1列席に座る。
発車を待っているうちに席はだいぶ埋まってきた。
11時25分、札幌を発車。札幌にずっと滞在していたわけではないが、
それでも4日間断続的に滞在してきた札幌を離れると、もうこの旅行も終わりが近づいてきたんだな、という感慨が沸いてくる。
札幌の市街地を走り、手稲を出ると左手に山が迫ってくる。
銭函を出ると、列車は波打ち際を地形に忠実にカーブしながら進む。
左手は険しい崖になっていて、雪崩でも来ないか心配になる。
こんな所が電化され、数分間隔で電車が行き交っているのだからすごいと思う。
この区間は何回乗っても海に見入ってしまう。臨時駅の張碓を過ぎると、前方に小樽の市街が見えてきた。
やがて小樽の市街に入る。小樽築港付近では海側に巨大なマイカル小樽の建物が見える。さらに市街地を進み、小樽に到着。
小樽ではしばらく停車するが、その間に次々と乗客が乗ってきて座席は全て埋まった。立つ人もいるほどの盛況だ。
小樽を発車すると、近くに座った若者が弁当を食べ始めた。
紐を引くと湯気が出るタイプのものを、混雑をものともせず食べ始めた。
私も弁当を持っているが、列車が混んでいるので食べるのをためらっていた。
が、こうなったらこっちも対抗せねばとばかりに札幌で買った「SL弁当」を開いた。
SL弁当といっても石炭とか水が入っているわけではなく(当たり前だ)、普通の幕の内である。
小樽を出た列車は、いきなり急な勾配にかかる。ちょっとした半島を越えるためだが、
これから先こんな勾配がずっと続くのだった。
勾配を登り、小高い岡の上にある塩谷を出ると今度は坂を下る。下りきると一転して海沿いを走り、余市に到着。
海沿いの余市を出ると、線路は海を離れてぐんぐん勾配を登り始める。
特に銀山から倶知安にかけては険しい山越えの連続で、急勾配、急カーブが続く。
このあたりの線形を地図で見てみると、真っすぐなところがほとんどなく、見事にぐにゃぐにゃである。
やがて列車は倶知安に到着。ここで20分ほど停車するという。ホームに出てみると、羊蹄山の見事な山並みが見えた。
倶知安を出ると、列車はまた森の中を進む。勾配も多く、これが「山線」なのだなと妙に感心した。
小樽から長万部にかけての区間は以前は函館と札幌を結ぶ幹線で、特急も走っていた。
だが、今では全特急が苫小牧回りの「海線」を経由するようになり、山線はローカル線に転落してしまった。
確かにこの線形では、輸送力増強や高速化は難しそうなのでやむを得ないだろう。
ただし、将来北海道新幹線が開業した暁には山線に近いルートを走ることになる予定だ。
倶知安から2時間近く掛かって、ようやく長万部に到着。
4時間も同じ列車に乗りっぱなしだったので、さすがに疲れた。
長万部15:27発〜森16:07着 5014D 北斗14号
山線の普通列車と長万部以南の列車との接続は概してよくなく、特に普通列車同士の接続は極めて悪い。
だが、今回は珍しく5分の接続で特急に乗り換えることができる。
やってきた特急「北斗」は恒例の増結を行っているようで、
最後尾にはお座敷改造された車両が連結されていた。噴火湾沿いを南下し、森に到着。
この列車に乗り続ければ目的地である函館まで行けるのだが、ここ森であえて下車する。
森16:20発〜函館17:49着 5884D キハ40(2)
森といえば「いかめし」の駅弁で有名だが、鉄道ファンにとっては函館本線が分岐する駅として知られている。
函館本線は森から大沼にかけて二股に分かれている。一つは駒ヶ岳の西麓を抜ける通称「駒ケ岳回り」、
もう一つは駒ヶ岳回りの急勾配を避けるために海沿いを経由する通称「砂原回り」である。
特急列車は基本的に前者を経由し、半数の普通列車と上り貨物列車は後者を経由する。
「砂原回り」は今まで乗ったことがなく、今回はそちらを経由する列車に乗る必要がある。
ちなみに函館本線は大沼と七飯の間でも、仁山などの途中駅を経由する本線と、
途中駅を経由しない短絡線である通称「藤城線」の二股に分かれている。
こちらは下り特急は藤城線、上り特急は本線経由と決まっているので両方の特急に乗ればどちらも通過できる。
さて、森でしばらく待って「砂原回り」の普通列車に乗る。車内には学校帰りの高校生などがいて、まずまずの乗車率だ。
列車は森を出ると、海からやや離れる。海沿いのはずなのに海が見えないな、と思いながら走っていると渡島砂原に到着。
この辺ではそこそこ大きな駅のようで、高校生がぞろぞろと下車していく。構内には貨物列車の姿も見えた。
渡島砂原を出ると、ますます周囲は山深くなっていく。
山の中を淡々と進んで聞くと、いきなり目の前に200系新幹線車両が現れた。
そこは流山温泉という、JR北海道が開発した温泉施設がある駅で、北海道新幹線の延伸を期して設置されたのだという。
ちなみに、この列車で温泉に行こうという人はいないようだった。
その次の池田園を出ると、いよいよ北海道の全線完乗が目前に迫ってきた。
姿は見えないが大沼の湖岸を走ると、右から駒ケ岳周りの線路が寄り添ってきて、大沼に到着。
この時点でJR北海道全線を乗りつぶしたのだった。
引き続き同じ列車に乗り続けて、函館に到着。
函館では時間が余ったので、寒い中ではあるが歩いて観光に出かけた。
古い街並みが残る元町の方に行き、ライトアップされた教会などを見る。
函館21:48発〜上野9:40着 2レ 北斗星2号
観光を終え、函館駅に戻る。5日間に渡る北海道旅行のトリを飾るのは、
豪華寝台列車としてデビューした北斗星である。
北斗星もデビューから随分日が経ち、後輩のカシオペアに最近は注目を奪われがちだが、
食堂車や個室寝台を多く連結しブルートレインの中でも一際華やかな存在であることは変わらない。
そんな北斗星に乗車するのは初めてである。
始点の札幌からではなく函館からの乗車というのがやや冴えないが、B寝台「ソロ」を予約しておいた。
上野まで約12時間、個室寝台の旅の始まりである。
とはいっても、もはや疲れきっている。
乗車したのはJR北海道の編成で、個室寝台主体である上ロビーやシャワー、食堂車も装備しているが、車内を見て回る気力はない。
個室に落ち着くとともに早々に眠くなってきた。列車が青函トンネルに入るのを確認したところで寝る。
目が覚めると、列車はもう郡山を過ぎていた。
北斗星に乗る機会も今後そうそうないだろうと思い、今や貴重となった食堂車に向かう。
洋定食は1500円と少々高かったが、パンやジュースや食後のコーヒーがつくなど、ちょっと贅沢な気分になった。
食事をしているうちに、列車は黒磯を過ぎ栃木県内に入った。
食堂車の窓から那須の山々を眺めつつ、旅行の余韻に浸った。
そうこうしているうちに列車は大宮に着いた。
本来なら大宮で乗り換えた方が早く家に帰れるが、それは野暮というものだろう。
折角なので終点の上野まで乗車する。
朝9時40分、ラッシュの余韻が残る上野駅に到着した。
5日間に渡る北海道旅行が終わった。しかし、数日後には九州へ出かける予定であるため旅が終わったという寂しさはない。
次なる旅への期待を抱きつつ、帰宅した。