最終更新日:2021/6/13

中・四・九 夏の海:四日目―清流沿いのローカル線・錦川鉄道に乗る

目次

2006/8/13

博多6:31発〜徳山7:22着 ひかり444号

 最終日の4日目、この日は昼までに大阪に向かわねばならない。 その途中に新岩国で下車し、山口県唯一の三セク線である錦川鉄道に乗ろうと思う。 少し早起きしてホテルを出て、博多駅に向かう。
 早朝の博多駅はまだ人も少なく、店も開いていない。 朝食を買おうとしたがコンビニぐらいしか店がなく、唯一開いていた駅弁屋で弁当を買う。 ホームに行くと、700系ひかりレールスターが停車していた。 東海道区間では見られなくなった100系などを撮影し、がら空きの先頭車に乗り込む。 余談だが、このひかり444号には2日前に福山から岡山まで乗車した。 タイムスリップしたような気分になる。言い方を変えると、 この列車で岡山まで行けば再び宿毛まで行き今までの行程を繰り返すことができるが、 流石にそんな体力はもうなかった。
 山陽新幹線の広島まではトンネルばかりで、見所は少ない。 小倉に停車した後、新関門トンネルを抜けるとあっという間に新下関を通過。 いかにもホームを後付した感じの厚狭駅を通過すると、 すぐに新山口に到着。山の中とトンネルを抜け、徳山へ。
 車内では、先程買った駅弁を食べる。 蓄積した疲労からか、それとも駅弁の食べすぎからくるのか分からないが、あまり食欲がない。


今や西日本区間の「こだま」でしか見られなくなった100系。

徳山7:28発〜新岩国7:40着 こだま632号

 徳山からは100系6両編成のこだまに乗る。2&2シートでくつろぐ間もなく新岩国着。

御庄7:49発〜川西7:56着 錦川鉄道

 新岩国の駅前は、小さな町があるだけでその裏には山が広がっている。 新幹線の駅前としてはかなり寂しい部類に入る町といえる。 そんな駅の出口を出て左に曲がり、新幹線の高架橋に沿って歩く。 この先に錦川鉄道の御庄駅があるのだ。 だがこの道を歩く人はなく、一応案内板はあるものの本当にこの先に駅があるのだろうかと思ってしまう。
 だが3分ほど歩くと無事駅が現れた。 駅舎は貨車を改造した古いもので、ホーム一本の寂しい駅だ。他には乗客はいない。
 錦川鉄道は岩国〜錦町間を運行する第三セクターである。 ただし、途中の川西からはJR岩徳線に乗り入れている。 岩徳線は乗車済みのため、錦川鉄道を乗りつぶすには川西まで乗車すればよいことになる。  川西を出ると、しばらく雑木林の中を進む。まもなく、右手から岩徳線が合流してくる。 実際に合流するのは川西駅より随分手前らしい。トンネルを抜けると、川西着。


新岩国駅から御庄駅まで、細くて長い通路を歩く。


長い通路を歩き、ホームへと続く階段を発見。


御庄駅の駅名標。文字が赤い妙な配色。


国鉄時代から残っているであろう乗換案内の看板。


しばらく待つと、岩国行きの列車がやってきた。水色のディーゼルカーの一両編成だ。

川西8:04発〜錦町8:55着 錦川鉄道

 川西駅は山沿いの駅で、ホームは地上10mぐらいの位置にある。ホームはコンクリートで、簡素な造りだ。 「錦川清流線起点」という看板のみが、この駅が錦川鉄道の始点であることを物語っている。 暇なので駅前に出ている。 この地は作家の宇野千代の生誕地だそうで、記念館への案内地図がある。 地図によると一応、錦帯橋へも歩いて行けるようだ。 だがそれ以外には何もない。駅の裏手に学校があるぐらいである。
 しばらくすると、錦町行きの列車がやってきた。 先程まで乗っていた列車と、次の駅の西岩国で交換してきたのだろう。 今度は緑色の気動車で、中はロングシートだ。
 朝の錦川行きだけに空いているかと思ったが、帰省客やハイカーなどがそこそこ乗っている。 御庄の次の駅は、守内かさ神という変わった名前の駅。 簡素なホームが一本あるだけの、仮乗降所のような駅だ。駅の周りには家も何もない。 そこから先は、錦川の緩やかな流れに沿って延々と走る。 錦川は流れは穏やかだが、川沿いに平地はほとんどなく、集落は駅の周辺にのみ 存在している。駅前には必ず行っていいほど橋があり、対岸の集落からも利用できるようになっている。 肥薩線の八代から人吉にかけての区間に似ている気がした。トンネルも少なく、本当に淡々と川を遡る路線だ。 柳瀬駅を過ぎると、唯一長いトンネルがある。これを抜け、錦川を渡ると終点の錦町に着く。


川西駅は乗換駅とはとても思えないようなシンプルなホーム一面の駅。


駅構内には、錦川鉄道の0kmポストがある。


今度は全身緑色の気動車に乗って、錦町に到着。

錦町9:15発〜御庄9:57着 錦川鉄道

 駅のホームには食堂もあり、駅の利用者はそれなりにあるのだろう。 駅の構内には赤色と黄色のディーゼルカーが停まっている。 これと今まで乗ってきた水色・緑色の車両を含め4両がこの鉄道の全車両のようだ。 どの車両もかわいらしいイラストをラッピングしてある。 車両をよくよく観察してみると、塗装が剥げた跡もあり、そこそこ年季が入っていることが分かる。
 一通り駅前を観察した後、駅に戻る。乗り込んだ岩国行きの列車は、地元の客を多く乗せて発車する。 高校生ぐらいの若者が多いので、岩国か広島にでも遊びに行くのかと思ったら、 途中の駅でいきなり大挙して下車していった。 駅前に高校があるわけではなさそうだったので、送迎バスか何かで どこかの工場にバイトにでも行くのだろうか。


錦町の駅は白い洋風の建物で、中では野菜やみやげ物などを売っている。観光客や地元の人が群がり、賑わっている。


駅前には、清流線の利用をストレートに求める看板が。


構内には赤や黄色の気動車も留置されている。


錦町の駅名標。後ろにはホームから駅舎へ向かう階段が見える。


新幹線の高架橋の下をくぐり、岩国方面へと去っていく気動車。

新岩国10:17発〜広島10:36着 こだま640号

 御庄駅に戻り、またあの長い通路を通って新岩国駅に戻る。 新岩国からはこだま号で広島に行き、広島からはひかりレールスターで 一気に大阪へ向かう予定だ。指定席は既に押さえてある。
 が、新岩国駅に着いた途端、きっぷの買い方を間違えていたことに気付いた。 特急券を新岩国からではなく広島から買っていたのだ。 通常なら特急券を乗車変更すればよいが、持っていた指定券は諸事情により 既に一度乗車変更していたためそれもできず。 結局新岩国〜広島間の自由席特急券を別途買う羽目になり、百円ちょっと損をした。
 いまだに自動化されていない改札口を通り、やってきた100系こだまに乗る。今度も落ち着く間もなく乗り換える。

広島10:46発〜新大阪12:20着 ひかり454号

 広島からはこの旅3度目となるレールスターで新大阪へ。わずか一時間半ほどで到着した。短いものだ。
 在来線ホームに行き、久しぶりに見るJR西日本の車両をしばし眺める。緩行線はすっかり321系が幅を利かせており、 207系も321系と同じカラーリングへと模様替えを完了していた。


JR西日本大阪地区の新顔・321系。

私鉄乗りつぶし状況

新規乗車キロ数

会社名路線名乗車区間キロ数
北近畿タンゴ鉄道宮福線福知山〜宮津30.4
宮津線西舞鶴〜豊岡83.6
若桜鉄道若桜線郡家〜若桜19.2
井原鉄道井原線総社〜神辺41.7
土佐くろしお鉄道中村線若井〜中村38.6
宿毛線宿毛〜中村23.6
島原鉄道島原鉄道線諫早〜島原外港43.2
錦川鉄道錦川清流線川西〜錦町32.7
合計313.0

(島原鉄道島原外港〜加津佐間は乗車後に廃止されたため、集計せず)