2007/10/7
名鉄名古屋6:40発〜犬山7:05着 名古屋鉄道特急
翌朝、名鉄名古屋駅に向かい、6時40分発の全車指定のパノラマカーの指定券を買う。
時間が時間だけにがらがらのようで、あっさり一番前の展望席が取れた。
本来のプランだと、もう少し後の急行で犬山に向かう予定だったが、せっかく名鉄に乗りに来たのだから、
せめて一度ぐらいは名鉄のフラッグシップであるパノラマカーに乗っておきたいと思った。
しばらく待つとホームにパノラマカーがやってきた。
展望席のある先頭車に乗り込んだのはわずか2人で、2人とも展望席に収まった。
おそらく向こうも同じことを考えていたのだろう。
乗った車両は「パノラマスーパー」で、先頭部の1階に運転台、2階に客室がある構造だ。
おかげで展望は素晴らしい。
名古屋を出て、昨日見たデルタ線を通過する。犬山線は名鉄の中でも屈指の通勤線で、
すれ違う列車の編成は長く客も多い。本線と違ってJRとの競合もないためだろう。
しばらく走ると高架駅の上小田井を通過する。
ここは昨日乗った地下鉄鶴舞線が乗り入れている。駅前後の構造は笹塚や代々木上原に似ている。
上小田井を過ぎると地平の線路を淡々とまっすぐに進む。
ロングシートなどに乗って通過すると何の魅力もない路線に写りそうなものだが、
パノラマカーからの車窓は楽しい。運転士になった気分で車窓を見ているとあっという間に犬山についてしまった。
犬山では時間が余ったので、駅の片隅のベンチで弁当を食べる。
すると、どこかから窓ガラスが割れてしまった車両が回送されてきた。
この頃、名鉄の沿線で投石の被害が相次いでいるという記事を見たから、この車両も被害にあったのだろうかと考える。
犬山までパノラマカーに乗る。特別席はがらがらだった。
犬山7:31発〜御嵩8:09着 名古屋鉄道
御嵩8:26発〜犬山9:02着 名古屋鉄道
犬山からは、新可児を経て御嵩に至る広見線という視線が延びている。これからその広見線を乗りつぶす。
が、やってきた車両はまたしてもロングシート。先程一本前の車両を犬山駅で見送ったのだが、そちらはクロスシートだった。
車両の引きの悪さは継続中のようだ。
犬山を出て、複線の線路を進む。列車は田園地帯から山間へと次第に入っていく。
人気のない山間部に複線の線路が引かれているのを見ると、何だかもったいない気がする。
それでも、やがて車窓は川沿いの平野に転じ、
家も増えてきた。部活の試合にでもいく様子の中学生を乗り降りさせながら、新可児に到着。
新可児駅は、JR太多線の可児駅の目の前に位置する。
列車はこの駅でスイッチバックする形となっており、ホームは頭端式だ。
最初の明智駅は、ホームが2面3線とローカル駅にしては広い。実はこの駅は以前は八百津線との分岐駅だった。
その次の顔戸と御嵩口は何とホームが2両分しかない。当然列車はドアカットして停車するのだが、どちらも簡素な駅で
ローカルムード満点だ。
やがて列車は終点の御嵩に着いた。狭いホーム一本のみの駅で、駅舎も古めかしくこじんまりとしている。
もちろん自動改札機はない。まるで過去にタイムスリップしたような、ローカル線の終点にふさわしい駅だと感じた。
折り返しまでの間に、駅前をぶらつく。まだ朝早いので人はほとんどいない。駅前に、敷地の広い立派なお寺がある。
少し覗いてみようかと思ったが、境内で婦人会の人たちがほうきを持って掃除をしているようで、入るのをやめた。
駅前通りを進むと、中山道みたけ館というのがある。ここ御嵩は中山道の宿場町として栄えていた街だそうだ。
が、早朝なので資料館は開いておらず、すごすごと駅へ引き返す。
再び列車に乗り、犬山に戻る。
犬山では時間が余ったため、朝食の名古屋駅弁「とり御飯」を食べる。
静かな山間の街にふさわしい、趣のある御嵩駅舎。
犬山9:12発〜犬山遊園9:14着 名古屋鉄道
犬山遊園9:20発〜動物園9:23着 名古屋鉄道
動物園9:26発〜犬山遊園9:29着 名古屋鉄道
犬山から一駅移動し、犬山遊園駅に着く。この駅は名鉄唯一のモノレール線との乗換駅だ。
地下道をくぐって改札を出ると、目の前にモノレール乗り場が現れた。
フリーパスを係員に提示し、階段を登ってモノレール乗り場へ行く。
既に乗り場にはモノレール車両が到着していて、客が乗り込んでいた。このモノレールは車体はなかなか古めかしいものの、
車内はきれいに改装されていて古さを感じさせず、レジャー施設に向かう列車にふさわしいものだと感じた。
動物園に向かう家族連れに囲まれながら犬山遊園を発車する。発車するとすぐに急勾配となり、ぐいぐいと山を登っていく。
やがて、山の中に立派なお寺が見えてくる。そして、その名も「成田山」という駅に停車した。
この駅の周辺には駐車場があって、この駅から動物園に向かう客も多かった。
さらに山の中を進むと、遊歩道や遊具など動物園の施設が見えてきて、程なく動物園駅に着いた。
とりあえず駅に着いたので、家族連れの後ろにくっついて改札を目指す。が、他の客を見ていると、係員に対し乗車券の他に
動物園の入場券を提示しているようだ。当然入場券など持っていないので、改札を出ることができない。
仕方ないので、そそくさと列車に戻った。幸い、他にも同じことを考えている鉄道マニアが乗り合わせていたようで、
戻ったのは自分ひとりではなかった。行きとは対照的にがらがらのモノレールで犬山遊園駅に戻った。
鉄道線の同じく、赤色の車体のモノレール。別のカラーリングの車両もある。
犬山遊園9:34発〜名鉄岐阜10:02着 名古屋鉄道(新那加まで)急行
犬山遊園駅はすぐそこに木曽川が迫っている。急行列車に乗り駅を出るとすぐに木曽川を渡る。
木曽川を渡る橋は以前は道路併用橋として
有名で、以前はパノラマカーと乗用車の併走も見られたが、今は鉄道単独の橋となっている。橋を渡ると新鵜沼に付く。
名鉄の「新」のつく駅名(新名古屋や新岐阜など)は、数年前「名鉄〜」に改名されたが、この新鵜沼は以前の名前のままだ。
新鵜沼を出ると高山本線と併走しながら西へ進む。最初は小さな駅を通過しつつ快調に進んでいたが、名電各務原あたりから
停車駅が増え、新那加からは普通列車となってしまった。少し進むたびに停車し、もどかしい。
手力、切通と変わった名前の駅を過ぎ、高架の細畑を過ぎて、JRの線路を乗り越す。
すると、右手に明らかに鉄道の道床と分かる
帯状の空き地が見えた。いわゆる岐阜600V区間全廃のあおりで廃止された田神線の跡地だ。
田神線は架線電圧が600V、今走っている各務原線は1500Vであるため、この田神駅手前にデッドセクションがあったという。
田神を出ると1駅で終点の名鉄岐阜に着く。
ホーム一本のこじんまりした駅のように見えるが、本線の線路は各務原線のホームと別にあるため、
当然ながら駅の規模はもっと大きい。
時間があったので改札の外に出てみる。岐阜市はドーナツ化現象がひどく、
中心部の衰退が著しいと聞いていたが、県都であり名古屋にも程近い立地であることから、
ぱっと見た感じそこそこ繁栄しているように見えた。
名鉄岐阜10:16発〜新羽島10:45着 名古屋鉄道(笠松まで)急行
駅に戻り、2日間に渡った名鉄乗りつぶしの最後を飾る列車に乗り込む。
新羽島行きの急行列車で、車両はこれまで何度もお世話になった
2連の固定クロスシート車だ。前の方のクロスシートに陣取り、発車を待つ。
岐阜を発車し、ノンストップで本線と竹鼻線の分岐する笠松に到着する。竹鼻線というのは変わった線名だが、
途中に竹鼻という駅がありそこから取られたようだ。
笠松駅の片隅の竹鼻線ホームからいよいよ竹鼻線に進入する。
線路は単線で、周囲は住宅だ。平地が続くものの、やたらとカーブが多い印象を受けた。
途中の駅で、法被を着たおばさんたちが乗り込んできた。
どこかでお祭りでもあるのかと思ったら、車窓から小さいながらもおみこしを担いで行列している集団を見かけた。
知多半田でも祭りに遭遇したが、ちょうど秋祭りのシーズンである。
それにしても、途中すれ違う列車はことごとく白いパノラマカーの付属編成である。
昼間はパノラマカーの増結がないため、竹鼻線でアルバイトしているのだろう。
向こうの方が座席もいいはずで、今回の旅は最後まで車両の引きが悪かった。
この竹鼻線はまだ自動改札の導入に至っていないようで、昔ながらの駅の風情が残っていた。
ただ、一部駅の改造に着手している箇所もあったので、まもなく他線のような画一的な駅舎が建てられるのだろう。
列車は淡々と進み、江吉良に着く。見ると、前方にまっすぐに廃線後が伸びている。
竹鼻線はかつて江吉良より先まで路線が伸びていたが、近年廃止となった。
現在は江吉良から新羽島に路線が延びているが、この線は元々竹鼻線の支線という扱いであった。
その支線のほうが生き長らえる形になっている。
江吉良を発車し、いよいよ最後の区間に入る。線路は右に大きくカーブし、高架となる。
しばらくすると左手に新幹線の高架橋が見え、まもなく新羽島に到着した。
ホームは一本しかなく、コンクリート質の殺風景な駅であった。
有人改札で駅員にフリーパスを見せ、外に出た。
ちなみに、ここまで名鉄に乗車した際の運賃を計算してみると、10000円以上になった。 それを3800円のフリーきっぷでまかなってしまった訳で、十分すぎるほど元を取ったといえよう。
名鉄乗りつくしの最後にたどり着いた新羽島駅は、そっけない高架駅だった。
岐阜羽島10:59発〜米原11:13着 こだま533号
開業時、何もない所に建てられたことから「政治駅」と揶揄された岐阜羽島駅だが、
平成の今となっても周囲の建物はさほど多くない。コンコースも東海道新幹線の駅としては人が少なくがらんとしている。
駅弁屋も撤退してしまったそうだが、その代替ということか構内の売店で仕出し弁当を売っていた。
そんな岐阜羽島だが、高速道路が近くを走る交通の便を生かし、バスツアー客の乗り換え場所として利用されているようだ。
券売機で乗車券と自由席特急券を買い、こだま号に乗る。がらがらの列車に乗ること14分で米原に着く。
米原では時間が余った。これから乗る近江鉄道があるほうの出口に出てみると、
駅前は再開発中で建物はほとんどなく荒涼としている。そんな中、「鉄道総研の施設公開」という立て看板が目に付いた。
米原から琵琶湖線に乗ると、線路沿いに新幹線の試験車両が3両置かれているのが見えるが、
どうやらその試験車両が一般公開されているらしい。時間もあることだし、行ってみる。
5分以上歩いて施設に着くと、子供連れなどで結構賑わっていた。人が多くてなかなかいい写真が取れなかったが、
一応車両を撮影した。
3両の試作車のうちの1つ。デザインや配色は500系に近い。
こちらは700系のプロトタイプか?
米原11:40発〜多賀大社前12:04着 近江鉄道
秋にしては気温が高い中を急ぎ足で歩いて米原駅に戻り、近江鉄道の乗り場に向かう。
近江鉄道では土日に550円の一日乗車券を発売している。これから近江鉄道全線に乗車することを考えると驚くほど安い。
有難く利用させてもらう。
JR駅の移転に伴って最近建てられた真新しいホームには、黄色い2両編成の列車が到着していた。
親会社である西武から移籍してきた車両のようで、ロングシートの造りなどにその面影がある。
ただし、前面はオリジナルとは大きく離れた独特のデザインになっている。
また、ワンマン運転用の運賃精算機が付いている。
米原を発車し、列車は田んぼと工場が入り混じる中を走る。ここで早速米原で買った駅弁を開いた。
車内はロングシートで本来駅弁を食べるには適さないが、
列車はがらがらで先頭車両には5人ぐらいしか乗っていないのでいいことにする。
購入したのは「湖北のおはなし」。唐草模様の風呂敷に包まれているのが特徴だ。
この弁当を食べるのは2度目だが、鴨肉などのおかずが綺麗に並べられていて、かつ美味しい。
幕の内駅弁では全国でも屈指の出来なのではないかと思う。
弁当を食べていると、列車は深い森に差し掛かった。そして目の前には古びたトンネルが現れる。
入口にはもやが掛かっていて、何だか不気味だ。JRだと米原と彦根の間はずっと平地で、こんな山越えはなかったはずだがと思う。
ちなみに後で地図を見ると、このルートは北陸道、今の国道8号線のルートと同じであるようだ。
トンネルを抜けると、程なく彦根に着く。彦根には近江鉄道の車庫があり、機関車などが留置されている。
今はそれほどでもなくなったが、以前はこの車庫に雑多な改造車や何年も使われず放置された車両、
果ては小運転用のレールバスまでが留置されており、JRの車窓から見るたびにその異様な光景に目を奪われたものだ。
彦根からしばらく走って、高宮に着く。高宮からは多賀線という支線が出ているが、この電車はその支線に乗り入れる。
高宮を出て東海道新幹線、名神高速の下をくぐって、終点の多賀大社前に到着。
西武鉄道時代とは全く異なる前面に改造された、近江鉄道の車両。
おばんざい風のおかずが魅力の「湖北のおはなし」。
多賀大社前12:21発〜高宮12:25着 近江鉄道
折り返しの列車まで時間があるので、駅名の由来である多賀大社まで歩いてみることにした。
この神社のことは良く知らなかったのだが、駅に張ってある案内などを見ると由緒ある神社のようだ。
参道を歩いてみると、和風の小じゃれた茶店や土産物店が沿道に続いている。
それにしても、参道には参拝客がいないばかりかお店にも人影がない。
どうしてだろうと思っていると、近くのグラウンドから歓声が聞こえる。
どうやら、住民総出で運動会をやっているようだ。そのせいで人がいないのかと思う。
結局、途中で時間がなくなり神社にはたどり着けなかったものの、
ここの参道は風情があり、いつかゆっくりと歩いてみたいと思わせるものがあった。
駅に戻り、留置されている区間運転用の単行の電車を撮影して、高宮に戻る。
こちらは単行で運用される車両。湖北地方は名古屋に近いためか、
車体広告は中日新聞のもの。
高宮12:33発〜八日市12:57着 近江鉄道
高宮でもしばらく乗り換え時間があるため、駅構内を観察する。この高宮駅、昔ながらの風情をよく残していた。
駅舎は新しいものに立て替えられているものの、ホームとホームの間には昔ながらの構内踏切が残り、
藤棚や古ぼけた案内板など、懐かしいアイテムが健在で印象的だった。また、構内の側線には
使われなくなった車両が留置されている。多賀線のホームの端からは新幹線の高架が見え、時折轟音とともに
新幹線がすごい速さで通過していく。
そうこうしていると列車がやってきたので、乗る。しばらく走ると、横に東海道新幹線が併走する。
新幹線の車窓から近江鉄道の線路をよく見ていたのだが、ここだったかと思う。
併走区間にもいくつか駅があるのだが、どれも巨大な新幹線の高架の脇にちょこんと建っていて、
何だか健気だなあと思ってしまう。ただし、駅舎はどれも新しく立派だった。
やがて列車は八日市の駅に着く。ここは近江鉄道の中枢となる駅だけあって大きな駅で、
コンクリート造りの真新しい駅舎がそびえていた。
高宮駅の構内通路。こんな通路も最近見かけなくなった。
八日市13:10発〜近江八幡13:28着 近江鉄道
八日市からは近江八幡に向かう支線に乗る。乗客の流れを考えるとこの線が本線であってしかるべきだが、
ともかく米原から貴生川へ向かう線が本線となっている。
八日市からの列車はまたしてもロングシートだった。八日市を発車した列車は大きく右にカーブし、
しばらくして新八日市に着く。ここの駅舎はすさまじく、ライトブルーの塗装が茶色く変色して
幽霊屋敷のような様相を呈している。しかもこの駅は無人化されているようなのだが、その割に駅舎は巨大で、
それがますます不気味さを醸し出している。
その後は田んぼや住宅の入り混じる土地をまっすぐに走る。折りしも田んぼは収穫期で、刈り取りの済んだ所と
済んでない所が入り混じっている。途中、武佐のあたりで山が張り出している以外は目立った景色もなく、
終点の近江八幡に到着。
車内から撮影した、新八日市の駅舎。
近江八幡13:36発〜八日市13:54着 近江鉄道
近江八幡では一応改札の外に出てみたが、特に何をするでもなく列車に戻る。
結局乗ってきた列車でそのまま八日市へと折り返した。
八日市駅のホームには、これまで見てきたロングシート車とは明らかに違う車両が停まっていた。
前面は流線型で、車内は転換クロスシートに改造されている。窓も大きく、221系のような連窓になっている。
驚くことに、この車両の種車は他と同じく元西武の通勤車なのだそうだ。
近江鉄道の車両改造技術はすごいと聞いていたが、大いに感心させられた。
ただ、この車両は米原行きということで乗車は出来なかった。やっぱり今回は車両の引きが悪い。
今回乗車できなかったクロスシート車両。JR琵琶湖線を走る
221系の影響を受けているようだ。
八日市13:58発〜貴生川14:39着
八日市から再び本線に戻り、貴生川を目指す。八日市を出ると、列車は相変わらずのどかな田園地帯を進む。 やや上り勾配となり、周囲に山が迫ってきたところで日野に到着。ここで下車する人は多く、車内の人は減った。 日野を出ると、人の気配のない山の中に突入する。途中に駅もなく、どこまで続くんだろうというぐらい山の中を進み、 水口松尾に着く。ここからは城下町・水口の町内に入り、立て続けに駅がある。 水口の市街を抜けると、まもなく貴生川に到着。これで近江鉄道の全線を乗りつぶした。
貴生川14:47発〜草津15:12着
草津〜石山〜石山寺〜坂本
貴生川から草津線で草津に出て、さらに琵琶湖線で石山に向かう。これから、滋賀県内の京阪の2路線に乗ろうと思う。
2つの路線のうち、浜大津から京都市内に向かう京津線には乗ったことがあるが、ここ石山を通る石山坂本線には
まだ乗ったことがない。
石山から、まずは石山坂本線の起点である石山寺を目指す。京阪石山駅の事務所で一日フリー切符を買い、電車に乗り込む。
石山駅前をぐねぐねと曲がりながら通過した後、住宅街の中をまっすぐに進む。終点の石山寺は、瀬田川と
山に挟まれた狭苦しい所にあった。しばらく周囲を歩いてみたが、特にめぼしいものはなかった。
石山寺から再び電車に乗る。石山を出ると東海道線を大きな陸橋で乗り越し、
電車は住宅密集地の中をうねうねと曲がりながら低速で進む。
線路際まで家が張り出している。そんな所を走り続けると、膳所に到着。JRとの乗換駅だ。
膳所を出ると、太い幹線道路に沿って走る。以前はこの道路上を併用軌道で走っていたのかもしれない。
やがて電車は浜大津に到着。京津線との乗換駅でもあるターミナルで、ここで乗客が一気に乗ってきて立つ人も出るほどになった。
浜大津を出ると、わずかな区間ではあるが併用軌道を走る。さらにしばらく進み三井寺を出ると
線路はまっすぐになり、駅の間隔も長くなってきた。この区間は他の区間とは違って、
高速鉄道を目指して造られていることが原因のようだ。駅間が長くスピードが出る上、勾配も多いためなかなか豪快な乗り心地だ。
やがて、終点の坂本に到着。住宅街に佇む静かな駅だ。湖西線の比叡山坂本駅や比叡山に行くケーブルの乗り場が付近にあるが、
やや距離があるため乗り換える人は多くなさそうだ。
静かな石山寺駅で発車を待つ、石山坂本線の車両。
坂本〜浜大津〜京都市役所前〜烏丸御池〜京都
坂本から浜大津に戻り、今度は京津線に乗る。浜大津駅では京津線と石山坂本線はホームを共有しており、
乗り換えは容易だ。引き上げ線からやってきた電車に乗り込み、発車。
この京津線は、大津市内に併用軌道があり、山科との間に山岳鉄道なみの急勾配があり、そして京都市内では地下鉄に乗り入れるという
ハチャメチャな路線で、その全ての条件を満たす専用車両が導入されている。4両編成の地下鉄車両が
路面を走る奇妙な光景は鉄道ファンにはよく知られている。
浜大津を出ると、いきなり大きな交差点を90度カーブし、併用軌道に入る。鉄道写真などでよく知られるスポットだ。
これから走る道路は京都へと抜ける国道で、渋滞していた。渋滞が電車の運転に影響を与えないよう、
誘導員が懸命に軌道敷から車を排除していた。地下鉄に直通するので、ダイヤを乱さないよう苦労しているようだ。
この道路、勾配はなかなかのもので鉄道にはやや厳しいのではないかと思うが、
電車はそれをものともせず進んでいく。
最初の駅である上栄町付近で専用軌道に入るが、相変わらず急勾配が続く。しばらく走ると、右に90度カーブする。
このカーブがとんでもなく急で、一両前の車両が窓から見える。カーブを抜けるとトンネルに突っ込み、大谷駅に着く。
この駅は急な勾配上にあり、駅のベンチの足の長さが左右で違うほどだ。駅周辺にはわずかな集落しかなく、とても静かだ。
これが京都から程近くにある駅とは思えない。
やがて電車は下り始め、車庫のある四宮を過ぎて山科に着く。ようやく人里に戻ってきた気がする。
山科を出ると地下トンネルに入る。御陵で地下鉄東西線と合流し、京津線電車の終点である京都市役所前に着く。
京都市役所前からは地下鉄を乗り継ぎ、京都駅に向かう。京都駅に着いた時には京阪のフリーきっぷしか持っておらず、
精算してもらおうとすると変な顔をされた。
京津線には、このような急カーブ区間が存在する。
京都〜宇治〜京阪宇治〜中書島〜丹波橋〜近鉄京都
京都駅に着く頃にはほとんど日が暮れかけていたが、まだ帰るには時間があるのでこれから京阪の宇治線に乗車してから
東京に戻ろうと思う。まずは宇治に向かうべく、奈良線の列車に乗る。停車していた221系の快速に乗るが、
発車までは15分以上ある。車内に誰も乗ってこないので、京都駅で買った駅弁を食べて待つ。
ようやく発車時間となり、夕闇の街を宇治に向けて進む。221系4連の快速は立ち客が出るほどの乗車率になった。
単線と複線が入り混じる線路を20分ほど走って宇治に到着。
ここで誤算だったのが、JRの宇治駅と京阪の宇治駅が結構離れていること。てっきりすぐ近くにあるものと思っていた。
仕方なく日の暮れた宇治の町をとぼとぼと歩く。宇治川に掛かる橋を渡り、10分ほどかけてたどり着いた。
ぱっと見た感じ、京阪の駅よりJRの駅前の方が栄えているような印象を受けた。
京阪宇治を発車し、JRの線路と時折併走しつつ中書島に向かう。中書島で本線の各駅停車に乗り換え、
さらに丹波橋で近鉄に乗り換えて京都駅に戻り、新幹線で帰宅した。
京都駅で購入した「松茸めし」。松茸はあまり入っていないが、
季節感があってよい。