最終更新日:2021/5/26

大回り乗車の旅2006―関東平野の外縁をぐるっと一周する

 6月のある休日、無性に列車に乗りたくなった。しかし、18きっぷのシーズンでもなく、 かといってあまりお金を掛けたくない。そこで、東京近郊区間内の「大回り乗車」を実行することにした。 大回り乗車とは、「東京近郊区間内では運賃を最短経路で計算できる」という制度を逆手に取って、 短距離の切符であえて大回りのルートを取り何時間も列車に乗り続けることを指す。鉄道ファンの間では以前から有名だ。 近年、Suicaの利用可能範囲が広まった関係で東京近郊区間も拡大し、両毛線や水戸線までが含まれるようになった。
 そこで、大回り乗車で八高線・両毛線・水戸線といった関東平野の限界に位置する路線に乗車し、 広い関東平野を一周してみることにした。

目次

2006/6/4

八王子〜高麗川

 今回の大回りの出発は八王子である。 八王子を出て関東平野を時計回りにぐるりと回って、横浜まで行く予定だ。 関東平野を本当に一周するなら、横浜から茅ヶ崎に出て、相模線経由で八王子まで戻ってくるべきだが、 そこまでの時間もないので省略することにする。
 まずは、八高線に乗って高麗川を目指す。車両はつい最近投入された205系である。 山手線で走っていた中間車を改造し、運転台とドアの半自動ボタンを取り付けた代物だ。 列車は単線の線路を結構な速さで進む。拝島を過ぎ、米軍基地の横を抜けると箱根ヶ崎。 ここを過ぎると周囲には山が目立ち始める。早くも関東平野の外縁に来たという感がある。 列車は時折交換のため長時間停車しつつ進む。


今回は乗車しなかったが、相模線の車両は朝夕のみ八王子まで乗り入れる。


八高線の205系は、元山手線の車両を改造したもの。

高麗川〜高崎

 やがて列車は高麗川に到着。ここは電化区間の北限で、ここからは気動車でさらに北上する。 東京近郊区間では唯一残った非電化区間だ。
 JR東日本標準型の気動車であるキハ110に乗り、北上する。 列車は程よく空いており、八王子で買った駅弁を開いたりしていると、東京近郊とは思えないほど旅情がある。
 途中、竹沢という駅で列車交換のため長時間停車した。 時間があるので駅舎を眺めてみたが、なかなか古めかしく印象的だった。 やはり、関東近郊とは思えない。
 そんなのんびりとした旅がしばらく続いたが、群馬藤岡あたりからは地元の若者がどんどん乗ってきた。 高崎方面に遊びに行くのだろうか。それなりに混みあった状態で高崎に到着。


古めかしい駅舎が残る竹沢駅。


高崎駅に到着した八高線のキハ110。

高崎〜小山

 高崎からは両毛線に乗る。が、至近の列車は伊勢崎行きで、しかもロングシートの107系だったので見送る。 次の小山行きは115系が来た。ボックスシートに陣取り、発車。
 両毛線は、先程までの八高線と違い関東平野を取り囲む山々からは若干離れたところを走る。 そのため車窓も平板で、時折東武の各線と交差する以外は特徴は少ない。 そんな車内でぼんやりと過ごし、終点の小山に到着。両毛線のホームは新幹線の高架下にあり、 昼間でも薄暗い。


高崎から伊勢崎方面へ、先に発車する107系には乗らずに見送る。


高崎線から撤退した115系だが、高崎以北ではまだその姿が見られる。


小山駅の両毛線ホームの奥の方には、線路が剥がされた7番線の跡が残る。

小山〜友部〜我孫子

 小山からは水戸線に乗る。水戸線は両毛線に比べて本数が少なく、下手をすると1時間以上も待たされるが、 今回は非常に乗り継ぎがよかった。水戸線も最初は平坦な関東平野を進むが、 下館を過ぎたあたりからは南に筑波山が迫り、地勢もやや険しくなる。 このあたりの途中駅はどこも乗降客が少なく、非常に静かである。 ここは本当に東京近郊なの?、という先程と同じ感想を抱いてしまった。
 それでも笠間あたりからは客も増え、常磐線と交わる友部に到着した。 友部からは常磐線の普通列車で我孫子に向かう。


水戸線の415系は、窓の周囲が丸い初期型の車両だった。


下館駅の片隅に、関東鉄道の気動車が停車していた。


写真の稲田駅などは、古びた駅名標といい何とも味がある。


土浦では「フレッシュひたち」を待避するためしばらく停車。

我孫子〜成田〜千葉

 我孫子駅に降り立つと、千代田線・小田急線直通の唐木田行き電車が停車していた。 ああ、ようやく東京に戻ってきたんだなと思う。
 が、ここからは再び東京に背を向けるように成田線で成田を目指す。 やってきたE231系に乗車し、我孫子を発車。列車は単線の線路をかなりの速度で飛ばし (単線のローカル線とは思えないぐらい速かった)、東我孫子へ。 この駅は駅舎もホームの屋根もないというすごい駅で、我孫子の隣にこんな駅があるのかと驚かされた。 が、出口には取ってつけたようにSuicaの読み取り機が設置されている。 今乗っている新型のE231系といい、駅の雰囲気にマッチしていない。
 木下、安食など、難読駅が目立つ途中駅を通り過ぎ、成田に到着。113系の普通列車で千葉に向かう。


遠く小田急線の唐木田まで走る千代田線の6000系。


成田駅には常磐線のE231系も乗り入れる。


成田駅には臨時特急「あやめ祭り号」が停車していた。

千葉〜蘇我〜東京〜横浜

 千葉から総武線快速に乗れば東京に戻れるが、関東平野の外縁にこだわってきた以上、 やはり京葉線で東京に向かわねばならないだろう。 ということで蘇我に出て、京葉線の快速で東京に向かう。京葉線は沿線に普通の住宅が少なく、 コンビナートや倉庫、巨大ショッピングセンター、ディズニーランド等、 他の通勤線ではあまりお目にかからないような施設が目立つ。個人的には結構好きな路線である。
 東京に到着した後、東海道線で横浜に出てこの旅を締めくくった。


内房線113系に乗って千葉から蘇我へ。


京葉線オリジナルの205系は白いフェイスが特徴。


東海道線にわずかに存在するE217系に乗って横浜へ。