2008/5/2
高見橋〜郡元〜谷山 鹿児島市交通局
この日は、9時半に鹿児島を立つのだが、それまで時間があるので鹿児島市電の乗りつぶしをすることにした。
7時ごろ、ホテル近くの高見橋電停に行く。車内は通学の生徒で結構混んでいて、何とか空いている席に座る。
次の鹿児島中央で、また学生が乗ってきて車内はより混雑してきた。
しばらく走ると、鹿児島大学のキャンパスが見えてきた。
このあたりは学校が集中しているのか、生徒たちが続々と下車していく。
大学の横を通り過ぎると、郡元に到着。今乗ってきた系統はこの郡元止まりなので、乗り換え券をもらって降りる。
続いて、指宿枕崎線の谷山駅のほうに向かう系統の電車に乗る。
目の前で電車が行ってしまったが、さすがにこの時間は運転間隔が短く5分とせずに次の電車が来た。
今度の電車はラッシュと逆方向だけあって空いていた。
電車は程なくして併用軌道を離れた。
専用軌道を快走し、終点の谷山に到着。
ラッシュ時だからか、駅構内ではなく、駅の手前の道路沿いのようなところで下車させられた。
谷山〜高見馬場〜高見橋 鹿児島市交通局
進学校として知られるラサール高校の最寄り駅という谷山だが、特に見るべきものはない。
また、JRの谷山駅とは川をはさんでやや離れているようだ。
さっき乗ってきた電車で折り返す。今度は市内へ向かう方向なので混んでおり、席を確保するのがやっとだった。
谷山を出ると、加速度的に混雑が増してくる。先程通った郡元に着く頃には、首都圏並のラッシュになってきた。
もちろん首都圏の電車とは収納力に差があるので一概に比較はできないが、
そもそも市電というのはドアが少なくラッシュには向かない構造なので乗り降りに時間がかかるし、詰め込みが聞かない。
入り口付近はドアが閉まらないほど(客が手を挟まれそうになるシーンも見られ、冷や冷やした)なのに、
奥の方はさほど混んでいないという状況も見られ、もどかしかった。
いずれにせよ、こんなにラッシュ時に混むとは思わなかった。
市電の沿線には天文館などの繁華街や、県庁などの公官庁が集中しているのでこれほど需要が高いのだろう。
結局、谷山から繁華街の高見馬場まで戻ってくるのに30分もかかってしまった。
慌てて高見橋方面に行く電車に乗り換えると、
超低床の新型車両が来た。これに乗るのは昨日以来初めてのことだ。
広島でも見かけた低床のバリアフリー車両。
鹿児島中央9:27発〜吉松11:01着 はやとの風2号
ホテルをチェックアウトし、鹿児島中央駅へ向かう。
鹿児島中央駅となってから訪れるのは3回目だが、過去2回はいずれも九州新幹線でこの駅を発った。
だが今回は、吉松までの自由席特急券を買って在来線乗り場へ行く。
これから乗るのは吉松行きの特急「はやとの風」だが、
この列車は近郊型のキハ140を改造したという車両が使われる。
そもそも特急型でない車両を無理やり改造しているわけで、窓の配置が合っていない座席があることが予想される。
わざわざ指定席を取ってまでそんな座席をあてがわれてはたまらないので、あえて自由席を利用することにした。
一応発車30分前に並んだが、誰もいない。しばらくしてようやく観光客風の人がぽつりぽつりと現れた。
暇なので駅構内に停車中の車両を見てみる。「なのはなDX」用の指定席車両があったので見てみる。
もともと3ドア車だが、中央のドアが閉鎖され大きなガラスがはめられ、展望スペースに変わっている。
座席は回転式クロスシートに改造されている。今度の「はやとの風」も似たような改造がなされているはずだ。
また、構内には国分行きの特急「きりしま」が停車していた。
国分といえば鹿児島中央から普通列車でも40分程度の距離で、
おおよそ特急を運転する距離ではない。また、夜中の列車などは無人駅の竜ヶ水ぐらいしか通過しないなど、
各駅停車とほぼ変わらない。いくら特急型車両とはいえ、
これで特急料金を取られるというのはどうなんだろうかという気がする。
地元の人はどう思っているのだろうか。
やがて、真っ黒な車体の列車が入ってきた。早速進行方向右側の窓位置のいい席に陣取る。
とはいっても乗車率はそれほど高くなく、
発車時でも窓際の席が残っていたぐらいだ。この列車は主にJR九州のツアー客の利用が多いそうなので、
自由席の需要はそれほど高くないのかもしれない。観光列車らしく、列車の前で記念撮影をする人が多い。
この列車には昨日のゆふいんの森同様、客室乗務員が乗車しており、
隣の車両の販売コーナーでは車内販売の準備を行っていた。
列車は定刻どおり発車。朝食がまだなので鹿児島中央駅で買った駅弁を開く。
「さつま風土記弁当」というが、駅弁マークがないので
正規の駅弁ではないようだ。
昨日降りた鹿児島駅を過ぎ、島津家が作ったという仙厳園の前を過ぎると、
青い海の向こうに大きな桜島が見えてくる。
この区間は九州でも屈指の、個人的には一番のビューポイントで、写真を撮りつつしばし見入った。
しばらくすると海と線路の間に道路が割り込んでくるのでやや景色は悪くなるが、それでも海はよく見える。
竜ヶ水の駅を過ぎ、桜島は次第に離れていくが、海に目を転じると筏のようなものが浮かんでいるのが見えた。
何を養殖しているんだろうか。
重富を通過すると海岸線を離れ、隼人からは肥薩線に入る。地元の人の利用もあるようで、
新聞片手に乗ってきたおじさんなどもいる。
隼人を出るとあっという間に山の中に入る。エンジンを換装しているとはいえ、
非力なキハ140にはやや苦しく、速度が落ちてきた。
また、この辺は鹿児島空港のすぐ近くだが、空港は全く見えなかった。
ここで、隼人から積み込んだ駅弁の販売が始まった。
確か土日だけの販売のはずだが、と思っていたら、座席のパンフレットには金土日の販売とある。
つまり今日は販売日であるようだ。さっき弁当を食べたばかりだしと思いつつ買うのを見送っていると、
周囲の席に座っている女性客はみな購入しているようだった。このあたり、やはり女性の方が抜かりなく購入している。
そうこうしていると、まもなく嘉例川に到着するとの放送が流れた。嘉例川は100年以上前の古い駅舎が健在で、
ちょっとした名物駅として知られるようになった。
嘉例川駅では5分ほど停車するので、その間に駅を見物することが可能だ。
下車して駅を観察してみると、漆喰の壁や木造の天井、砂利敷きの駅前広場など、
補修はされつつも昔のままの風情を保っていた。
嘉例川を出て、再び山の中を進む。日本中いろんな所を列車で巡ったが、 この肥薩線の車窓から見える農村は、他の地方に比べて 昔ながらの情景をよく保っていると思う。次の停車駅は霧島温泉。 こちらは嘉例川とうってかわっていかにも国鉄という感じがする平屋のコンクリート駅舎である。
次に停車するのは大隈横川。この駅も嘉例川同様、古い駅舎が残っている。
見てみると、駅の構造は嘉例川とほぼ同じであるようだ。
駅には切符売り場のカウンター名が残っていたが、無人化されて久しいらしく、カウンターの向こうはがらんとしていた。
また、ホーム上の庇の支柱に、戦争中の機銃掃射の跡という穴が開いていた。
観光列車らしく、客室乗務員が何度か回ってくる。コーヒーなどの飲み物の販売、車内限定という限定グッズの販売、
昨日も見た写真撮影用のボードを持って回るサービスも実施していた。
大隈横川の次は栗野に停車する。コンクリート作りの結構立派な駅舎だ。
かつてはこの駅から水俣まで山野線という線が延びていたという。
その頃はこの駅は鉄道の要衝として大きな役割を持っていたのだろう。
栗野を出ると次は終点の吉松だ。ふと思い立って隣の車両の販売コーナーに行ってみると、
例の駅弁がまだ大量に残っていた。
おそらく折り返しの列車の分も積んでいるからだろうが、折角なので一つ購入しておく。
列車は吉松駅に到着。以前はなかったと思うのだが、ホームには売店が開いており、駅弁まで売られていた。
一方、変わらないものとしては、サボを保管するロッカーのようなものがホームにあった。
以前はローカル線では良く見られた光景だが、
最近はなかなかお目にかかれないものだ。
吉松では乗り継ぎ時間があるので、外に出てみる。駅前広場の左手にSLが置かれ、
その横にちょっとした売店があった。これも前回来たときはなかった光景だ。
一方、駅舎のほうは以前と変わらなかった。
待合室には畳が敷かれ、ちゃぶ台もある。そこに座ってしばし休憩した。
「さつま風土記弁当」の中身。寿司やきびなご、豚角煮などが入る。
嘉例川駅舎。駅名の看板だけが妙に新しいが、そこが却って自然体でよい。
霧島神宮駅に佇むはやとの風。
吉松11:40発〜人吉12:53着 しんぺい
しばらく待合室で待っていると、人吉からの「いざぶろう」号が入線してきた。
この列車が折り返し「しんぺい」号となる。
「いざぶろう/しんぺい」は、人吉〜吉松間の九州山地越え区間を通過する観光列車だ。
かつて、この区間は一日三往復の普通列車が行き来する
ばかりの寂れた区間だったが、風光明媚な区間であるので、このような観光列車を運転している。
実際、結構な数の観光客がいて列車は盛況だ。ほとんどの指定席は埋まっていたのではなかろうか。
以前はこの区間の客は鉄道マニアばかりであったが、今日は普通の観光客のほうが多い。
車内は木を多用したJR九州らしいものとなっているが、
基本はボックス席である。それを見越して、進行方向向きの席を予約しておいた。
人吉行きの列車の場合、A列を予約すれば必ず前向きとなる。
逆の場合は、D列をとればよい。向かいに座るのは、学生っぽい2人連れの男性である。
列車は吉松を発車し、峠目指してどんどん上っていく。
ちなみにこの列車も客室乗務員が乗っていて、列車のグッズや人吉駅の駅弁を売っていた。
もちろん、車窓の案内も行ってくれる。坂を上る途中、
第二山神トンネルがある。戦争直後の事故のため復員兵が多数亡くなった場所で、
夜中のワンマン列車で通過したときは背筋が寒い思いをしたものだが、
賑やかな列車で通過した今日はそんな思いはしなかった。
やがて、最初の停車駅である真幸に停車する。
駅周辺には集落もあるようだが、駅自体が高い位置にあるせいか家などは全く見えない。
古い木造駅舎も健在であった。この列車は途中の各駅で5分程度停車するので、
観光客はホームの鐘を鳴らしたり列車の写真を撮るなどして、思い思いの時間を過ごしていた。
真幸はスイッチバックの駅だ。列車は駅を出るとバックを始める。
駅構内を完全に出たところで一旦停車し、今度は前に進む。
列車は真幸の駅舎を見下ろすようにぐいぐいと坂を登っていく。
しばらく山の間を進むと、列車が速度を緩める。韓国岳や霧島が見渡せるビュースポットで停車する。
「ここは日本三大車窓の一つで・・・」というような観光案内が流れる中、昇降ドア越しに景色を眺める。
今日は天気が良く、霧島の向こうにさっき見た桜島がみえる。
乗務員さんの言によると、ここから桜島が見えるのは珍しいそうだ。
この列車でも、記念撮影用のボードを持って客室乗務員が回ってくる。
隣の席の老夫婦の夫は、かつて吉松の機関区で働いていたそうで、
機関士の帽子をかぶっての撮影を進められていた。本人は照れて辞退していたが。
列車は再び加速し、長いトンネルに入る。トンネルを抜けると矢岳。ここでも列車はしばらく停車する。
外に出てみると、SLの保管庫があったので、見てみる。
屋内に保存されているとはいえ、見た感じ表面が大分荒れている。
ちなみに、かつて「あそBOY」として走っていたSLはもともとここに保存されていたものだ。
SLの前では、客室乗務員がボードを客に渡し、記念撮影をしていた。
この「しんぺい」でも、駅弁やグッズの販売をしている。
前の席の2人組は弁当を買い求め、展望デッキで食していたようだ。
矢岳を出てしばらく走ると、再び目の前に大パノラマが開ける。今度は人吉盆地がはるか下に見える。
また、農道のようなものも見える。ようやく人里に下りてきたということか。やがて、
「ここから、大畑のループ線に入ります」との放送が入る。
よく注意していると、確かに右へ右へとカーブしている。
列車はスイッチバックしつつ大畑に到着。ここは駅舎の中に名刺がぎっしりと貼り付けられている。
やはり九州の人のものが多いが、
大阪や東京、あるいは外国の人のものも目立つ。駅を出て少し歩くと、石積みの丸い塔のようなものがある。
女性二人連れが「何だろう?」としゃべっていたが、これはSL時代の給水塔の跡である。
大畑を発車すると、あとはひたすら坂を下っていく。球磨川の深い谷を渡ると、人吉はもうすぐだ。
2本の観光列車で鹿児島から人吉までやってきたが、乗ってみた感想としては予想以上に楽しかった。
客室乗務員の行き届いたサービスもさることながら、
途中駅で下車して観光できるため、列車に乗りっぱなしになってしまわず飽きが来ない。周りを見てみても、
鉄道ファンでない人も割と楽しんでいたようだった。(もっとも、飽きてぐずっている子供もいたが。
どちらかというと古い駅舎やSL時代の遺構など、渋い観光ポイントが多いので子供にはややつまらないかもしれない。)
赤みがかった色が特徴の「いざぶろう・しんぺい」号。
日本三大車窓の一角を占める、肥薩線の車窓。
人吉13:05発〜阿蘇15:46着 九州横断特急4号
人吉に到着すると、これから乗る九州横断特急も到着したばかりだった。先頭車の自由席入り口に並び、待つ。
5分強で車内清掃が終わったので乗りこんだ。
キハ185は、客室の端部がガラス張りになっており、一番前寄りの席に座ると
ちょっとした前面展望が楽しめる。空いていることだし、ここに座ることにした。
この時点で発車までの時間が5分ほどしかないので、慌てて駅弁を買いに下車する。
改札には何故か列車の掃除係のおっさんがいた。
件の乗車券を見せたが、この駅が経路上にあるのを理解してもらうのにやや時間を要した。売店に行くと、
売店には「栗めし」しか置いていなかった。まあ一番有名な弁当なので、無難に栗めしを購入。
列車は人吉を出発。しばらく人吉盆地を走った後、球磨川の渓流に差し掛かる。
が、ここで最初の停車駅である渡に停車。
球磨川下りの起点のようだが、乗降客はほぼ皆無だった。
駅周辺に人家も少なく、特急停車駅とはおよそ思えないところだ。
やがて、球磨川の渓流が見えてきた。日本三大渓流に数えられるだけあって、流れは結構急で水しぶきが見える。
そんな流れを、川下りの船が果敢に下っていく。
おとといの伯備線から見た川と違い、コンクリートの護岸工事がなされていないため、
より自然の川に近い眺めだ。そんな球磨川を下りつつ、
途中一勝地、球泉洞と停車するが、やはり乗ってくる人はほとんどいない。
ここで、先程「はやとの風」車内で購入した駅弁を開く。
あまり腹は減っていないが、弁当が2個も溜まってしまっているので早く消化せねばならない。
早速開いて食べてみると、これが実に美味しい。おかずはいずれも私好みの薄味で、素材となる野菜の味がよく生きている。
メインである「ガネ」と呼ばれるサツマイモの入ったかきあげもうまいが、
その横のコロッケが絶品だった。九州の駅弁人気投票で一位になったというが、
それも頷ける。原材料を見ると、駅弁で多用されがちな保存料をほとんど使っていない点も素晴らしい。
快適な車内で球磨川の絶景を眺めつつ、駅弁をいただく。まさに至福の時といえよう。
やがて、球磨川の鉄橋を渡る。それに伴って川の流れが左側の車窓に移った。
自分は右側に座っているので、一時的に左側に移ろうかと思った。
が、後ろの席を見ると鉄道マニアっぽい男性が座っている。
きっとこの人も最前列の席を狙っていたが、私に先を越されたのだろう。
さすがにそんな状況で今の席を一時的とはいえ空けるのはどうかと思い、今の席に踏みとどまる。
川に目を転じると、先ほどまで勢いよく流れていた水が川幅いっぱいに溜まっている。川の幅は次第に広くなり、
これはどこかにダムがあるのだなと思っていると、やはりダムが現れた。
このダムを過ぎると、坂本に停車。やはり乗り降りする人はいない。
ここを過ぎると、はるか山の上を走る高速道路や九州新幹線の下をくぐる。八代が近づいてきたなと実感する。
肥薩おれんじ鉄道の古びた鉄橋の下をくぐり、やがて併走する。
まもなく、古びた八代の駅に到着する。すぐに八代を発車し、
新八代に到着。ここで乗務員交代が行われる。が、なかなか発車しない。
しばらくすると、目の前のポイントをリレーつばめが横切っていき、
高架の新幹線ホームへ滑り込んでいった。どうやらこれを待つために発車を待っていたようだ。
新八代からは、一面の田んぼの中を進む。途中、九州新幹線の工事現場が見えた。
まだ高架橋の完成していない箇所もあったので、
開業までまだしばらくかかりそうだ。一応、2011年の開業予定となっているらしいが。
やがて、熊本駅に到着。熊本では列車の方向が変わるので、
自分の席を転換する。と同時に、周囲の席もいくつか転換しておいた。
熊本からは一転して乗客が増え、窓側の席はほとんど埋まった。
豊肥本線は列車の運転密度が濃く、通過駅では普通列車と次々にすれ違う。
鹿児島本線から乗り入れる特急「有明」の姿も見えた。
また、JRになってから設置された駅が多いので、ホームが狭い駅が多い。
新水前寺や東海大学前などは特に狭かった。
ここで、トイレに行くついでに隣の車両を除いてみる。
今乗車している車両は元々、国鉄時代末期に四国の特急列車用に投入された車両だ。
その後、四国には振り子式車両が投入された関係で余剰となり、九州へとやってきた。
この中には半室グリーン車の車両もいたが、九州では全車両が普通車扱いで運用されている。
隣の車両の半分がまさにこの車両で、足置きなどがついているあたりに元グリーン車の痕跡が見える。
だが、シートピッチなどは普通席とあまり変わらない上、普通席もリニューアルされているので
あまり差はないように見えた。また、半室に区切られている分閉塞感があるので、今いる普通席の方がいいような気がした。
しばらくは熊本の市街地を走るが、電化区間の終わりである肥後大津からは阿蘇山の外輪山に差し掛かる、
山の上のほうは風が強いらしく、大きな風車が回っている。
川や道路をはるか下に見下ろしつつ走ると、立野に着く。この駅に列車で来るのは4度目だ。
以前クルマで九州旅行をしたときもこの駅に立ち寄ったことがあり、懐かしい駅である。
立野といえばスイッチバックの駅として有名だ。
立野を発車し、列車は大きくバックする。この駅はいわゆるZ型スイッチバックなので、かなり長い間バックする。
しばらく走ってようやく停まり、再び前へ進む。やがて、阿蘇山のカルデラの中に入る。周囲には水田が広がっている。
左手の車窓には阿蘇の外輪山、右手には涅槃図に例えられる 阿蘇五岳が見える。
やがて列車は阿蘇に到着。ここで、九州横断特急を下車した。
山の中から海沿いへ、そしてまた山の中へと奇妙なルートを走ってきた特急は、
これから再び海沿いの別府を目指すことになる。
「百年の旅物語かれい川」の中身。
阿蘇駅を発車する九州横断特急。
阿蘇15:53発〜熊本17:21着 あそ1962
阿蘇駅を降りると、既に観光列車「あそ1962」が停車していた。
「はやとの風」とよく似ているが、こちらは車体に金帯が入っているのが大きな特徴である。
もちろん、中身は大きく違っていて、あちらは比較的新しいキハ40系列なのに対し、
こちらは1962年製のキハ58である。車体が古いことを生かし、
「昭和30年代」というコンセプトを掲げている点が、この列車の特徴である。
内装は種車のものを割と生かしており、シートはボックスシートである。
早速車内に入り、自分の席を探す。順方向の窓よりの席を取っておいたはずだが、
と思いつつ探すと、自分のボックスでは子連れの家族が思いっきりくつろいでいるではないか。
どうやらその人たちはC,D席(自分はA席)を取っていたようなのでまあ仕方のないこととはいえ、
家族団らんの茶の間に土足で乗り込んでいるようで何とも居心地が悪い。
やがて列車が発車したので、とりあえず車内を観察しに行く。
車内の3分の1は座席が取り外され、自転車置き場とフリースペースを兼ねた
空間となっている。そこにはメニューも置いてあり、阿蘇行きの列車には弁当やお土産の饅頭が積み込まれるようだ。
この列車は熊本行きなのでお菓子ぐらいしかないようだが。
客室に戻って改めて車内を見ると、端の方のボックスがいくつも空いている。
とりあえずそこに座ることにする。結局、途中駅から乗ってくる人はあまりおらず、
そのボックスを使っていても問題なかった。
さらには、後で気づいたのだが隣の車両には誰もいないようだった。連休中というなのにずいぶん寂しい乗車率だ。
ここまでの車窓は既に見てきたので、特に見るものはない。
一応観光案内は流れ、飴のサービスや恒例の写真撮影サービスはあったが、
「しんぺい」のように途中駅での観光のための長時間停車はなかった。
(一応肥後大津で10分ほど止まったが、特に観光スポットのようなものはない)
壁のテレビに昭和30年代の鉄道の映像が流れていたので、
それをぼんやりと見つつ過ごした。
肥後大津からは再び電化区間を走る。夕方の時間帯に差し掛かり、途中駅には学生が
多く列車を待っているが、全席指定席のこの列車に乗ってくる人はいない。
ボックスシートで脚を伸ばしつつ、熊本へ戻った。
「あそ1962」に乗った感想としては、もう少しイベントが欲しいなと思った。
「SLあそBOY」の代替列車という位置づけなので、
単なるレトロな気動車という存在で終わってしまわずに、
SLに負けないぐらいのインパクトが欲しいところだ。阿蘇行きの列車は立野で20分ほど停車し、
その間散策が可能であるそうなので、上下列車にセットで乗るべきなのかもしれない。
車両の壁にはこんな絵が飾ってある。
駅に佇む「あそ1962」。
熊本17:39発〜上熊本17:43着
今日は博多で宿泊する予定なので、この後熊本から博多に移動する必要がある。 とはいえ、所要時間は2時間も掛からないので、 時間には余裕がある。ということで、博多に行く前に熊本のローカル私鉄である熊本電鉄に乗車してみることにした。 荷物をコインロッカーに預け、鹿児島本線の普通列車に乗る。ロングシートの815系に1駅だけ乗車し、上熊本に移動する。 北熊本の駅は、新幹線工事の影響でプレハブとなっていた。 以前は昔ながらの駅舎が残っていたはずだが、取り壊されてしまったようだ。
上熊本17:50発〜北熊本17:59着 熊本電鉄
JRの駅を出ると、左手に熊本電鉄のホームが見えた。ホームには緑色の電車が一両ぽっきりで停まっている。
かつて東急で活躍した5000系電車だ。
前面は丸みを帯びた2枚窓のデザインとなっており、「青ガエル」のあだ名で親しまれたのも頷ける。
何年か前に渋谷の駅前にこの車両が置かれ、それを何度か目にしていたのだが、動く車両を見るのは初めてだ。
ちなみに反対側は後付けで運転台を設置したので、平面的なデザインとなっている。
近くで観察してみると、塗装はかなりボロボロになっており、
細かくひび割れている。この車両はカルダン駆動の黎明期に作られた車両なので、もう相当年季が入っているようだ。
この系列の車両は東急を引退後、各地の私鉄に移籍したが、この熊本電鉄のものが最後の生き残りとなっている。
車内のつり革には「東急百貨店」「東横のれん街」の広告が健在だった。
さっきの「あそ1962」よりも、ある意味昭和30年代の色香を残している。
しばらくして、北熊本を発車。列車は家屋の裏をのろのろと走る。線路の状態はあまりよくなく、左右によく揺れる。
最初の停車駅は韓々坂。これがすさまじい駅で、一両分のホームと狭い通路、貧相な屋根があるだけの駅で、
もちろん駅前広場や商店もない。乗り降りのないまま列車は進み、池田へ。ここはさらにすさまじく、
道端の駐車場のような砂利敷きの広場がそのままプラットホームになっている。道路との仕切りは何もない。
まるで電車が路地裏に迷い込んだかのようだ。
池田を出ると意外にもトンネルがある。この辺は案外起伏が激しいようだ。トンネルを抜けると、打越駅。
民家の裏庭のようなところにボロい東屋が立っているだけの駅だ。ここで、小学生が一人下車して行った。
坪井川公園を過ぎると、車庫もある運転上の拠点駅である北熊本に到着。上熊本〜北熊本間は一両編成の電車が往復するのみで、
これから乗る御代志方面の電車は熊本中心部に近い藤崎宮前から発着する。
そんな上熊本支線だが、戸籍上は本線であり、藤崎宮前に行く方が支線であるようだ。
「青ガエル」こと5000系。全国で唯一の生き残りとなった。
北熊本18:01発〜御代志18:21着 熊本電鉄
広々とした北熊本駅構内のホームでしばらく待つと、元都営三田線のステンレス車両がやってきた。
4ドアの近代的な車両で御代志へ向かう。勤め帰りや学校帰りの人が多いが、余裕で座れた。
熊本市郊外の住宅街を列車は下っていく。車窓には家並みが目立つ。各駅には改札口はないので、
乗客は車両先頭の運賃箱に運賃を入れていく。典型的な地方私鉄の風景だ。
北熊本から20分で、列車は終点の御代志に到着。
今度の電車は、都営三田線で活躍していた車両。
御代志18:26発〜藤崎宮前18:52着 熊本電鉄
御代志は後方には森が広がる静かな駅だ。終点らしく駅前にはバスロータリーが広がっているが、
ホームとバスロータリーの間には何の仕切りもない(一応、段差はあるが)。
これだけ開けっぴろげな駅というのも珍しい。
御代志の駅前には特に何もないので、乗ってきた電車で折り返す。
北熊本で上熊本方面行きの線と分かれ、藤崎宮前を目指す。
と、ここで意外な光景を目にした。何と短いながら併用軌道区間があるのだ。片側2車線の狭い道を、
民家の玄関をかすめつつ20m級の車両が走るという光景はなかなかお目にかかれないものだ。
そんな難所を過ぎると、終点の藤崎宮前に到着。
開放的な御代志駅。バス停から5歩で電車に乗れる。
通町筋〜熊本駅前 熊本市交通局
藤崎宮前駅は、他の鉄道との連絡は全くない。
とりあえず、駅の前の通りをまっすぐ歩く。このあたりは若者向けのブティックなどが目立つ。
熊本でもオシャレなスポットのようだ。
しばらく行くと、アーケードの商店街が現れた。
人も多く、どの商店も人であふれている。このあたりが熊本の中心部のようだ。
逆に言うと、熊本駅の辺りは町の中心から外れているようだ。そういえば駅周辺はあまり大きなビルはなかった。
商店街を進むと、路面電車が走る大通りに出た。通町筋電停があるので、ここから市電で熊本駅に戻る。
が、やってきた電車はえらく混んでいて、熊本駅まで混んだ車内で立つ羽目になった。
今朝の鹿児島といい、九州の路面電車はどこも元気だ。
熊本市電は、通町筋から熊本駅前を経て田崎橋まで延びている。折角なので田崎橋まで乗りつぶしておこうと思ったが、
電車は熊本駅止まりとなってしまい、降ろされてしまう。
どうやら電車が遅れていたせいで駅前で打ち切られてしまったようだ。
駅に戻り、みどりの窓口に行くとこれが大混雑で、しかも至近の電車は普通車・グリーン車共に満席だという。
仕方がないので、その次の列車のグリーン席を購入する。この列車は途中駅に多く停まるタイプの列車で時間が掛かるのだが、
折角グリーン車に乗るのなら長い時間乗っていられるほうがいいのでかえって好都合だ(?)。
また、グリーン券と一緒にドリンクサービスの券を渡された。
車内でドリンクを受け取れなかった場合はキオスクでジュースに交換できる旨の注意書きがあった。
九州では何度かグリーン車に乗ったが、こんな券を受け取るのは初めてだ。
熊本20:24発〜博多21:50着 リレーつばめ62号
JR九州に特急は数あれど、
博多・熊本・鹿児島という九州の主要都市を結ぶ「つばめ」はフラッグシップといえる存在であり、
787系車両が投入されハイレベルなサービスが行われている。新八代以南が新幹線に切り替えられたことに伴い、
ビュッフェが廃止されるなどかつてに比べるとトーンダウンも見られるが、
現在でもJR九州の看板列車であることには代わりがない。
今回は、その「つばめ」のグリーン車に乗車してみることにした。
九州の特急満喫ツアーのトリを飾るにふさわしいといえよう。
「つばめ」のグリーン車には、今はなき豪遊券で何度か乗車したが、
いずれも夜行の「ドリームつばめ」への乗車であり、
昼行のつばめのグリーン車は初めてだ。非常に楽しみである。
熊本駅では時間が余り気味だったので、ホームのベンチに座ってしばらく時間をつぶした後、
ようやくリレーつばめ62号を迎える。
指定された席はどこだろう、とグリーン券を見ると3列席の真ん中のB席である。
さすがに混んでいるのかな、と思いつつ客室に入ると、窓際の席も多数空いている。
慌てていたので窓口で確認しなかったのだが、窓際が開いているのに通路側の席を割り振られるとは予想外だった。
指定席を買ったが乗らなかった人がいたのか、
あるいは客室乗務員が接客しやすいように客を一ヶ所に固めようという熊本駅の配慮なのだろうか。
やや納得いかない思いで指定された席に座った。隣には出張帰りのサラリーマンが座っていた。
発車してすぐに、客室乗務員がやってきたので先程のドリンク券を渡そうとすると、少し待ってくださいとのこと。
どうやら新八代から乗ってきた人へのドリンク配布を先にやるようだ。改めて車内を観察してみると、
濃い木目調の壁が非常にシックで落ち着いた雰囲気を醸し出している。
また、デッキとの間にグリーン個室があり、結果としてグリーン室内とデッキが隔離されているため、
非常に静粛性が保たれている。
デッキとの間のドアは透明なガラスの開き戸になっていて、
鉄道車両としては非常に斬新だ。座席は3列シートで広々としており、隣に知らない人がいてもあまり気にならない。
車両の後方に目を転じると、一車両に三席だけ設けられているDXグリーン席がある。
かつての「トップキャビン」と呼ばれる4人がけシートを撤去し、
フルフラットに近い倒れ方をする豪華な座席が設けられている。
おそらく、JR1の豪華なシートだが、
個人的にはわざわざ乗る気はしないかなあと思う。DXグリーン車は結構料金がお高いし、何より一時間半の乗車なら
普通のグリーン車でも十分すぎるほど快適だからだ。
玉名を過ぎたあたりでようやくドリンクのサービスと検札があった。
ここで特急券と共に、「阿蘇→二日市」「二日市→博多」と分割した乗車券を見せると
(分割購入することで運賃が若干安くなるのだ)、
「研修中」の札をつけた客室乗務員さんは20秒ほど固まっていた。程なく指導役の人が現れ、問題ない旨を耳打ちした。
実習生のいい「教材」となったようで幸いである。
ドリンクが届いたので、昼に購入したまま残っていた弁当を食べる。
人吉の「栗めし」だ。シンプルだが非常に素朴な味で、食が進む。
食事をしている間にも、客室乗務員さんは色々と持ってきてくれる。おしぼり、飴、雑誌、ひざ掛け・・・。
至れり尽くせりのサービスで、何だかこちらが恐縮してしまうほどだ。雰囲気としては、国際線の機内サービスに近い。
きっとJR九州もそのあたりをお手本にしているのだろう。
快速を誇る「つばめ」は闇の中をかなりの速度で駆け抜け、
定刻に博多に到着した。乗務員さんのお見送りを受けつつ、下車。
さすがはJR九州の看板列車のグリーン車だけあって、快適だった。
これで普通車指定席との差額は1000円ほどなのだから、次に乗るときもまた利用してしまいそうだ。
とはいえ、在来線「つばめ」はこの先安泰ではない。九州新幹線の全通を控えているからだ。
大阪まで乗り入れる九州新幹線の新型車両にもグリーン車がつくようなので、
航空機との対抗という意味でも、「つばめ」のグリーン車のサービスが継承されればと思う。
素朴で昔ながらの「栗めし」。よく見ると容器が栗の形だ。
車両のサイドには「篤姫」の大きなラッピングが施されていた。
2008/5/3
博多7:07発〜天神7:12着 福岡市交通局
明けて5月3日、この日は午前中に西鉄線の乗りつぶしをしようと思う。ひそかに進めている大手私鉄乗りつぶしの一環である。
既に大牟田から甘木までは前回乗車しているので、残りを乗車しようと思う。
博多駅前のビジネスホテルを出て、地下鉄の乗り場へ行く。
この日の博多は、毎年ゴールデンウィークの観光地の人手ランキングで日本一になる
「博多どんたく」が開かれる。早朝なので博多駅にはまださすがに人は少ないが、これから混んでくるのだろう。
地下鉄の駅では、どんたく記念の一日乗車券を売っていた。500円と安いので購入しておく。
地下鉄に乗り3駅で天神に着く。西鉄の乗り場に向かったが、案内通りに歩くと駅ビルの中の狭い階段を歩かされる。
ターミナル駅の乗り換え通路にしては何だか貧弱だ。
西鉄福岡(天神)7:30発〜西鉄二日市7:42着 西日本鉄道
西鉄二日市7:48発〜大宰府7:55着 西日本鉄道
天神から西鉄に乗車するのは初めてだ。天神の駅は東横線の渋谷駅を思わせる頭端式の立派なものだった。
これから乗る特急はロングシートの車両だった。特急には基本的に2ドアクロスシートの車両が入っているはずなのだが、
一度も巡り合っていない。
列車は天神を出るとすぐに薬院に停車するが、その後は二日市までノンストップで進む。
昨日のリレーつばめに比べれば速度は出ていないはずだが、ロングシートの通勤車なのでスピード感はかなりのものだ。
二日市駅で大宰府行きに乗り換える。
大宰府行きの電車は3000系という新型車量だった。3ドア転換クロスシートで、
JR東海の313系のような内装だった。わずか2駅の支線区なのに、なぜか6両か7両もつないでいた。
こっちをさっきの特急で運用すればいいのにと思う。単線の線路をごとごと走り、大宰府に到着。
大牟田行きの特急はロングシート車両だった。
大宰府8:02発〜西鉄二日市8:09着 西日本鉄道
西鉄二日市8:13発〜西鉄久留米8:28着 西日本鉄道
大宰府駅前からは、太宰府天満宮へと参道が延びている。参道の店は全く開いておらず人影はまばらだ。
天満宮までは遠そうなので、至近の列車で引き返すことにした。先程乗った3000系電車で二日市に戻る。
再び大牟田行きの特急に乗る。次の特急もロングシートの車両だった。しばらくは住宅密集地を走るが、
しばらくすると右手に水田、左手に川の土手というところを走る。この辺まで来ると駅と駅の間隔は大分長くなってきた。
二日市から快走すること15分、久留米に到着。これで西鉄の本線は乗りつぶした。
駅前に出ると、大きなバスターミナルがある。
バスの行き先を見ると、佐賀駅行きというものや、福岡空港行きの高速バスというのもある。
「バス会社が営業する鉄道」とよく揶揄される西鉄だが、
鉄道線と経路が重なる路線バスを平気で運転しているあたり、流石である。
観光地らしく、立派な大宰府の駅舎。
西鉄久留米8:39発〜西鉄福岡(天神)9:19着 西日本鉄道
しばらく駅前をうろついたが、することもないので福岡に戻る。やってきたのは天神行きの急行。隣の花畑始発のようで、
空いていた。車内から外を見てみると、線路の幅が広い。
どうやら西鉄は標準軌を採用しているようだ。てっきり狭軌だと思っていた。
特急は天神〜久留米間で2駅しか停まらないが、急行は結構停車駅が多いので時間が掛かる。
結局、天神まで40分も掛かった。天神では若い女性がぞろぞろと下車した。天神の百貨店やショップの店員だろうか。
天神9:25発〜貝塚9:37着 福岡市交通局
ずいぶん人の増えた天神の街を歩き、地下鉄乗り場へ戻る。すぐに貝塚行きの電車が来たので、乗る。 福岡市営地下鉄は、中洲川端で福岡空港行きと貝塚行きに分岐する。中洲川端は2層式になっているようだ。 電車はずっと地下を進むが、最後の貝塚駅で地上に出る。横にはJRの線路が見える。
貝塚9:47発〜西鉄新宮10:11着 西日本鉄道
貝塚駅で西鉄貝塚線に乗り換える。以前は宮地岳線と呼ばれたが、 宮地岳に至る線区が部分廃止されたため、線名が変更になった。 切符を買い、駅に入ると発車まで時間があるようなので写真などを撮って過ごす。
貝塚を出て、単線の線路を進む。駅を出てすぐに川を渡る。右手にJRの線路、左手にはよく分からない古い鉄橋がある。
廃線跡かと思ったが、博多の貨物ターミナルへ向かう線路のようだ。
電車に乗りながら車外を見ていると、JRの線路がすぐ近くを寄り添っている。
これでは競合があって経営は大変だろうなと思う。
JRとの乗換駅である千早から家族連れが多く乗ってきた。
しばらく走ると香椎花園に到着。ここは駅前に小さな遊園地があり、家族連れはそこで下車していった。
和白でJR香椎線とクロスし、終点の西鉄新宮に到着。静かな住宅街の駅だった。
貝塚線の車両は本線の車両より一回り小さい。
西鉄新宮〜古賀駅前 西鉄バス
有人改札を出ると、駅前に西鉄バス乗り場があった。廃止になった津屋崎までの代替バスの乗り場のようだ。
これからどう戻るか決めていなかったので、とりあえず乗る。
バスはしばらく廃線跡を走った後、国道をしばらく走る。
10分ちょっとでJRの古賀駅前に着いた。ここからJRに乗って博多に戻ることにした。
古賀10:33発〜博多10:53着
古賀では目の前で快速が行ってしまったので、普通列車に乗る。
やってきた普通列車は混んでいて、座るのがやっとだった。
途中駅からも続々と乗車があり、博多に着く頃には相当な混雑となった。みんなどんたく見物に行くのだろうか。
博多駅で下車すると、構内は相当な混雑となっていた。新八代行きのリレーつばめなどには長蛇の列ができていた。
流石は連休初日だけある。しばらく見ることがないであろう787系や885系をしばらく眺めた後、改札を出た。
博多駅前に出ると、駅前には特設ステージが設けられていて、和服姿の人たちが踊っている。
今まで「どんたく」というのがどういう祭りなのかよく分からなかったのだが、
どうやら市内各地に30箇所ほど特設ステージが設けられ、
順番にどんたく踊りを披露するようだ。また、花電車ならぬ「花バス」が市内を循環したりもするらしい。
それら全ての観客を来場者にカウントするようなので、数字上来場者が増えるのだろう。
しばらく舞台を眺めた後、駅構内に戻ると楽器を抱えたどんたく隊が乱入(?)してきた。舞台で踊るだけでなく、
一部は遊撃隊として市内を練り歩いているようだ。人でごった返す駅構内の片隅で、乗車券の立ち売りが行われていた。
とはいっても補充券などではなく、マルスで出力した自由席券を売っているだけのようだった。
ホテルをチェックアウトして博多駅に戻り、今度は駅弁を見定める。
ここは九州各地の駅弁が多数取り揃えられており大いに迷ったが、
駅弁売り場のおばちゃんのイチオシだというので「博多三色弁当」を購入してみた。
ちらしずし、かしわめし、幕の内の三種類の弁当から構成され、ボリューム満点。
福岡空港に着いた後食べてみたが、朝から何も食べずにいたのだが相当腹が膨れた。
割り箸が2本ついており、そもそも2人で食べることを想定しているようだ。
とにかく腹が減っているときにはお勧めできる。
おばちゃんは具体的にどういう理由でこの弁当を勧めていたのか、詳しく聞いてくればよかった。
どんたくで賑わう博多駅前。
博多駅で購入した「博多三色弁当」の中身。
博多〜福岡空港 福岡市交通局
再び地下鉄の駅に向かい、福岡空港行きに乗る。
車体は201系、足回りは103系という珍車103系1500番代に乗って福岡空港へ。
福岡空港にやってきたのは東京に戻るためではなく、さらに西を目指すためだ。
博多や鹿児島より西といえば、沖縄しかない。
沖縄では鉄道と関係ない普通の観光旅行をしたので詳細は記さないが、
沖縄唯一の軌道系交通であるゆいレールはしっかり乗りつぶしてきた。
沖縄に戦後初めて登場した軌道系交通、ゆいれーる。編成が2両と短いためいつ乗っても混んでいた。
ゆいれーるの那覇空港駅は日本最西端の駅である。