最終更新日:2021/1/4

JR九州完乗:四日目―佐賀・長崎全線乗車、885系グリーン車で博多へ

目次

2003/3/13

博多6:27発〜筑前前原7:04着 425C 1000(6)

 朝の博多駅に降り立ち、一旦JRの改札口を出る。 これから福岡市営地下鉄で姪浜に向かい、筑肥線を乗りつぶす。肥薩線は、かつては博多駅に直接乗り入れていたが、 博多への通勤線化されるに当たって、姪浜から先が地下鉄に移管された。
 地下鉄の車内は、ラッシュの流れとは逆方向ということで空いていた。 福岡の中心地・天神を通り抜け、代々木上原と似た構造の姪浜駅に到着する。 姪浜からJR線に入る。このあたりは福岡の郊外で住宅も多いが、時折海も見える。すれ違う列車は福岡に向かう客を多数乗せ、 混んでいる。完全にラッシュの光景だ。筑前前原で乗換えとなる。

筑前前原7:08発〜唐津7:52着 325C 103(3)

 筑前前原からは単線となる。車両も地下鉄のステンレス車両から、 塗色のどぎつい103系3連に変わり、ローカルムードが出てくる。 ここの103系は国鉄末期に増備された車両で、車体の内装は同時期の201系に準じていて、あまり古臭い感じはしない。
 筑前前原からは、博多湾に面した海岸を走る。3月の朝はまだ肌寒く、海も寒々しい。 そんな海岸線の狭い土地にこじんまりと駅があり、 103系が似つかわしくないようなローカル線の光景が広がる。先ほどまでの賑わいが嘘のようだ。
 それでも、唐津に近づくにつれて通学の生徒などが乗ってきた。 東唐津からは高架となり、松浦川を渡ると唐津に着く。



銀色の地下鉄車両から、真っ赤な103系に乗り換える。

唐津7:56発〜西唐津7:59着 5823D キハ40(2)

 唐津は2面4線の、関東郊外の私鉄駅のような高架駅だった。そんな駅に似つかわしくないキハ40が停車している。 これから乗る西唐津行きだ。唐津から西唐津までは筑肥線ではなく唐津線となるが、 西唐津に肥薩線の電車の車庫があるため電化されている。
 唐津を発車し、高架線を降りて車庫の横を通り過ぎると、西唐津に着く。ホーム1面1線のシンプルな駅だ。 西唐津は今はただの終着駅だが、ここから先の呼子まで新線を作る計画があった。工事も随分進んでいたようだが、 国鉄再編に巻き込まれ、開業できぬまま終わってしまった。東唐津からの高架線も、当初は呼子線の一環として作られたらしい。 かつての筑肥線はの唐津を経由せず、東唐津から直接山本に向かっていたが、複雑な路線変更を経て今の形となった。

西唐津8:10発〜伊万里9:10着 2525D キハ125(1)

 西唐津から、伊万里行きの列車に乗って折り返す。唐津を通り過ぎ、唐津線と筑肥線の分岐点・山本に着く。 山本を出ると伊万里方に向かって筑肥線が左側、唐津線が右側を走る形で併走する。しばらく走ると、本牟田部の駅があるが、 唐津線にホームがあるものの筑肥線にホームは無い。本牟田部を出ると、筑肥線は唐津線を乗り越して右へカーブし、 肥前久保に着く。時刻表の路線図にもそのあたりの線形がきちんと描かれているのが面白い。
 唐津より西の筑肥線は非電化で、唐津より東側との直通列車は今は無く、途中で路線も分断されている事から 事実上別路線である。車窓は低い山と田畑が広がり、見るべきものはあまり無い。
 それにしても、車内を眺めると乗客は見事にお年寄りばかりである。 通勤通学時間帯を過ぎ、平日なので観光や遊びに行く人もいないのでこんな感じなのだろう。 ローカル線に乗ると、免許の無い未成年者を除けば、客層の多くをお年寄り、特にお婆さんが 占めていることがわかる。次に多いのが中年ぐらいのおばさん、その次が若い女性と中年男性で、 自分と同じ年代である20〜30台の男性はほとんど見かけない。たまに乗っていたとしても、その多くが趣味者である。 列車の利用率とクルマの利用率とが反比例していると考えれば分かりやすいが、同年代がいないというのはやや寂しい。
 そんなことを考えているうちに伊万里駅に到着。ホーム一本のシンプルな駅だ。おとといの志布志駅を思い出す。


昨日に続いて2度目の乗車となるキハ125。

伊万里9:46発〜山本10:23着 2526D キハ125(1)

 伊万里駅の駅舎はつい最近建て直されたものらしく、まだ真新しい。道路を挟んだ反対側に松浦鉄道のホームがあり、 JRの駅舎とは歩道橋でつながっている。昔はどちらも国鉄の路線で、線路もつながっていたはずだが、 今は道路によって完全に分断されている。かつては博多から筑肥線を通って伊万里まできた後、 今の松浦鉄道に乗り入れて松浦半島を一周し、 佐世保に至る急行も運転されていた。 しかし、今では筑肥線は博多に乗り入れなくなり、伊万里でも線路が分断されてしまったため、 このような経路の列車を運転することは不可能となってしまった。
 時間が余ったので、焼き物の町らしく陶器のパネルがあしらわれた駅を観察し、列車に再び乗り込む。 唐津線の残り部分を乗りつぶすため、30分ほど掛けて山本へ戻る。


駅名標がよく見ると陶器のパネルである。


伊万里には松浦鉄道の車両が乗り入れる。

山本10:25発〜佐賀11:30着 5830D キハ47(2)

 山本では2分しか乗り継ぎ時間が無いため慌てて乗り換える。次の列車は既に到着していた。 山本を出て、先ほどの筑肥線と似た光景を進む。県都・佐賀と唐津を結ぶ路線だけあって、筑肥線よりは客が多い。 沿線の中心駅、多久を出てしばらく行くと佐賀平野に出る。しばらく走り、久保田で長崎本線と合流する。
 久保田からは直接肥前山口に向かっても良いが、肥前山口での特急との接続が悪いため一旦佐賀へ行く。 田んぼの広がる佐賀平野を東へ向かう。このあたりは平らなため、毎年熱気球の大会が開かれていて、 アクセス駅としてバルーンさが駅が開設される。
 高架の佐賀駅に到着し、列車を待つ。駅を観察していると、 廃止された佐賀線のホームがまだ残っていた。

佐賀12:02発〜佐世保13:08着 4009M みどり9号 783(4)

 佐賀から乗車するのは佐世保行きのみどり号だ。この列車はかもめ号、ハウステンボス号と連結する3階建て列車である。 3階建てというのは今のJRではおそらく唯一の存在ではないかと思う。
 みどり号のグリーン車に乗り込む。 昼行特急のグリーン車に乗るのは今回の旅行で初めてだ。783系グリーン車の椅子はどっしりしていて安定感がある。 佐賀平野を快走し、肥前山口に着く。ここで長崎に向かうかもめ号を切り離し、佐世保線に入ると単線となり、速度も落ちる。
 温泉地として有名な武雄温泉に到着。が、人気が少なく観光地の玄関口としてはやや寂しい。 しばらく山間を走り、有田へ。有田では先程見かけた松浦鉄道の路線が分岐し、伊万里へ向かっていく。
 やがて早岐に到着し、ハウステンボス号を切り離す。ここで進行方向が変わるので、座席を転換する。 このあたりまで来るとグリーン車も閑散としている。時折海を見ながら進み、海が目の前に見える佐世保駅に到着。 高架の真新しい駅だった。


佐賀駅の案内板。3階建て列車ともなると表示も賑やかだ。



783系のみどり号は、改造によって設置された切妻の運転台と、オリジナルの流線型運転台とで見た目がまったく異なる。


長崎地区に配属されたばかりの真新しい817系。


783系と松浦鉄道の気動車が肩を並べる光景も。


真新しい高架駅の佐世保駅。

佐世保13:26発〜諫早14:42着 3229D シーサイドライナー9号 キハ200(2)

 佐世保からは快速シーサイドライナーに乗る。新型のキハ200は転換クロスシートで、なかなか快適だ。
 諫早まで戻り、まもなくハウステンボスに着く。駅前に建つヨーロッパ風の外観のホテルがまず目に入る。 数年ぶりに来たが、駅周辺の様子は特に変わっていないようだった。ハウステンボスを出ると、海沿いに進む。 大村湾は、西彼杵半島にぐるりと囲まれ、ほとんど湖のような地形である。そのため、海面に波はほとんど無い。
 しばらく走ると、大村に着く。大村駅近くの海上には長崎空港がある。 立地的には「大村空港」と名乗ってもよさそうなぐらいだが、 この空港は他の海上空港である関空などと違い、既存の島を拡張したものだ。大村まで来ると、乗換駅の諫早はもうすぐだ。


快速シーサイドライナーはブルーのキハ200で運行される。

諫早15:20発〜長崎16:14着 239D キハ200(2)

 諫早から長崎に向かう線路は、旧線と新線に分かれている。そのうち旧線のほうにはまだ乗車していないので、 旧線経由の普通列車を待つ。今日の行程ではもっとも長い40分の待ち時間があるので、駅前をうろついてみるが、 ごく普通の商店街やスーパーがあるぐらいで大したものは無い。
 やがて列車が来たので、乗る。喜々津で新線と別れ、海沿いを走る。 山の傾斜は険しく、長崎半島の地勢の厳しさが感じられる。 トンネルで峠を抜けると、本川内に着く。本川内はつい最近までスイッチバックが残っていた駅で、 最近になってスイッチバックが廃止になったもののまだホームが真新しい。 あとは山を下り、長崎のベッドタウンを進む。西浦上を過ぎると市電が見え、平和公園の脇を進む。 ビルの立ち並ぶ長崎の町を南下し、長崎駅に着いた。


諫早で見かけた、国鉄色リバイバルのキハ65。

長崎16:30発〜博多18:17着 2034M かもめ34号 885(6)

 長崎を訪れるのは久しぶりだが、駅ビルが建て替えられ、雰囲気が一変している。 さすがは県庁所在地だけあって街の新陳代謝が早い。
 さて、これから乗る特急「かもめ」が、3日間の豪遊券の旅のフィナーレを飾る列車となる。 乗るのはJR九州の特急列車でも最新の885系、しかもグリーン車だ。トリを飾るのにふさわしいといえよう。 その名も「かもめ弁当」という駅弁を買い、列車に乗り込む。
 最後尾の半室グリーン車に乗り込む。入り口には巨大な「書」や、赤いイルミネーションがあり、独自の世界が広がっている。 室内は885系の売りである革張りシートが並んでいる。一見するとオフィスの椅子のようだ。 椅子にはいくつかレバーがあり、椅子の高さや背ずりの角度を変えることが出来る。また、テーブルは前方の椅子の背面ではなく、 床から突き出した「ポール」に設置されている。運転台との間は一面ガラス張りになっていて、運転席が良く見渡せる。 博多方面行きだと逆方向となってしまうが。
 長崎を発車し、諫早を出ると、列車は長いトンネルに入る。 長崎と諫早の間の山地を一気に抜け、諫早駅に戻る。諫早から先は長崎本線でも閑散区間となる。 列車は振り子式走行装置をフル活用し、 曲がりくねった線路を快速で駆け抜ける。途中の小長井あたりからは、海沿いを走る。おそらくこの旅で 最後となる海を眺めながら、先程買った弁当を食べる。
 肥前鹿島からは佐賀平野に戻り、肥前山口に着く。 あとは今来た道を戻るのみだ。肥前山口からは走行速度でまっすぐな線路を飛ばす。
 このグリーン車に乗車した感想だが、設備的には申し分ないものの、 椅子をポール一本で支えているだけなので足元に風をさえぎるものが無く、足元がスースーするのが気になった。 そんなことを考えているうちに、博多に到着した。


JR九州ご自慢の最新車両、885系。783系と区別するため「白いかもめ」と呼ばれている。



885系の内装。グリーン車は3列シート。背面のガラスは今は曇っているが、先頭に立つときは曇りが取れ 前面展望が可能。デッキは鉄道車両とは思えない独自の雰囲気を醸し出す。

博多20:00発〜博多南20:10着 639A 0(6)

 博多駅近くのホテルにチェックインし、少し休憩した後、再び博多駅に戻る。 これから、九州で唯一JR西日本所属の在来線である博多南線に乗る。在来線とはいっても、 使用する車両は新幹線車両で、乗車の際は特急料金100円が必ず必要である。 この線は新幹線の回送線を活用していることで良く知られている。 余談だが、九州新幹線が博多まで開通した折にはこの線が本線となる予定である。 その後の博多南線の扱いがどうなるかが気になる。
 切符を買い、新幹線ホームへ上がる。しばらくして小倉方面からのこだま号が入線してくる。 停車するとすぐに字幕が「博多南」に変わる。ホームにいた通勤帰りの客が次々と乗り込み、発車となる。 列車は新幹線らしからぬ低速で進む。特に博多南駅付近は複雑にポイントを通過するせいか、ノロノロ運転となる。
 終点の博多南駅は、新幹線の基地の真横にある。昼間だと新幹線の車両がよく見えるかもしれない。 改札を出ると、ごく普通の住宅街が広がっている。来た道を折り返すのもつまらないので、 駅前に停車中の西鉄大橋駅行きのバスに乗車する。
 15分ほどで大橋駅に着く。ここから初乗車となる西鉄で天神へ行き、天神の繁華街やキャナルシティ、 中州の屋台街などをのぞきながらホテルに戻った。


かつての主役、0系や100系も、今は山陽新幹線のこだま号でしか見られなくなった。


大橋駅から西鉄に乗って天神へ。


那珂川の川面に、博多の街のネオンが反射する。