最終更新日:2021/1/1

JR北海道完乗:四日目―根室本線全線走破、「スーパーおおぞら」で札幌へ

目次

2003/3/4

札幌6:55発〜滝川7:46着 3001M スーパーホワイトアロー1号 785(5)

 ホテルをチェックアウトし、地下鉄の中島公園駅へ向かう。ゴムタイヤ方式の地下鉄で、札幌駅へ。 流石に早朝とあってまだ乗客の数はさほど多くない。
 今日は、函館本線の滝川から分岐し、帯広、釧路を経て根室へ至る根室本線を乗りつぶす。 根室本線のうち、新得〜釧路間は特急「スーパーおおぞら」が走っているが、それ以外の区間は現在特急も走らず、 ローカル線と化している。函館本線や室蘭本線と同じく、線名が輸送の実態と合っていない状態となっているといえる。
 今日も札幌周辺は小雪が舞っており、札幌駅にたどり着いた通勤電車は雪で白く覆われている。 札幌駅から、まずは特急スーパーホワイトアローに乗車。785系はまっすぐな線路を快走し、あっという間に滝川に着く。 札幌〜滝川間の距離は80km超。それを50分で走破するということは、表定速度は実に100km/h近いということになる。


在来線特急ではJR随一のスピードを誇る「スーパーホワイトアロー」。

滝川8:05発〜富良野9:08着 3425D キハ40(1)

 根室本線はここ滝川から富良野を経て落合まで空知川沿いを走る。 今では石勝線が山を貫いて札幌から落合付近までショートカットしているが、 明治時代の土木技術ではそんな線路の引き方をできるはずもなく、 空知川沿いのルートを取るのは必然的だったといえよう。 だが、このルートは札幌から道東へ行くには大回りなので、石勝線開通後は特急も走らなくなり、 辛うじて観光シーズンに札幌から富良野へ行く臨時特急が運行されるのみとなっている。
 この区間は昨日も乗車したが、昨日は夜間に通過したので実質的には初乗りである。 朝8時ということで通学生が多そうな時間帯だが、 車内には学生はほとんど見当たらない。通学のルートとは逆だからだろうか。
 滝川を出て、列車は空知川沿いを走る。川幅は広く水はゆったり流れているものの、川沿いにはあまり平地は見られない。 沿線には赤平、芦別の両市がある。 いぜれも炭鉱で栄えた街だが、炭鉱の衰退した今ではすっかり寂れてしまっているという。 路線だけでなく、沿線の町まで寂れてしまっているという状況は何とも物悲しい。
 芦別を出て少しすると、列車は長いトンネルに入る。ここまでトンネルはほとんどなかったので意外だったが、 空知川に作られたダムを避けるためのもののようだ。以前、並行する国道を車で走ったときダム湖の横を通ったが、 あの横を通っているのかと思う。トンネルを抜けると、富良野の盆地に出て富良野駅に到着。

富良野9:15発〜帯広11:31着 3427D 快速狩勝 キハ150(1)

 先程書いたように特急の来なくなった富良野であるが、 滝川あるいは旭川と帯広を結ぶ長距離快速列車が辛うじて残っている。 その快速「狩勝」に乗って帯広を目指す。やってきた列車はやや混んでいて、 空のボックスシートはなかったため運転席後ろのロングシートに座る。
 富良野を出た列車は空知川沿いを遡り、かなやま湖というダム湖の横を抜けて南富良野へと進む。 だが、このあたりは積み重なった疲労のため居眠りをしていて車窓は見ていなかった。 目が覚めると、狩勝トンネル手前の落合まできていた。
 これまで4日間北海道を旅していたが、ここへきて初めてJR北海道オリジナル形式であるキハ150に当たった。 JR東日本のキハ110とほとんど同仕様と見受けられたが、少し気になる点があった。 キハ150は国鉄型の気動車とちがい、デッキがない。 しかし、ワンマン運転時は前方のドアを開けっ放しで停車するのだ。それは交換待ちの長時間停車時でも例外ではない。 入口のすぐ近くの席に座っていたので、とても寒い思いをした。 北海道の人は寒さに慣れているから平気なのかもしれないが、半自動ボタンを使用して欲しいと思った。
 落合を出ると、いよいよ石狩地方と十勝地方を分ける山脈をトンネルで越える。 トンネルの入り口近くで石勝線と合流し、長いトンネルを通って十勝へと抜ける。 トンネルを抜けるとうねうねとカーブしながら十勝平野へと降りていく。 以前ここを通過したときは特急で通過したので高速で駆け抜けたが、今回は普通列車なのでスピードは遅い。 しかも、広内信号場というところで列車は交換のため停車した。 特急列車は信号所で停まることは少ないので、普通列車ならではの経験だ。
 交換を終え、列車はさらに高度を下げていき、新得に到着。 このあとは後続のスーパーおおぞらに乗り換えて釧路へ向かう予定なので、 新得で乗り換えてもよいのだが(指定席も新得から取っていた)、このまま帯広まで行ってしまうことにする。 新得からは雪で真っ白になった畑や牧草地の真ん中を進み、帯広に到着。


車内から撮影した広内信号所の建物。


無人の山岳地帯を越え、都会的な高架駅である帯広に到着したキハ150。

帯広11:36発〜釧路13:04着 4003D スーパーおおぞら3号

 帯広では5分の待ち合わせで、特急スーパーおおぞら3号に乗る。 2000年2月にこの辺を通ったときはスーパーおおぞら1号に乗ったが、 あの時は遅延のためスーパーおおぞら3号のスジで走っていたため、実質は当時と同じ列車に乗ったといってもいい。
 帯広を出てしばらくは平野を進むが、浦幌あたりからは阿寒岳へと続く山脈を越える。 非常に人気のない上厚内を通過し、しばらく山の中を進むと太平洋岸に出る。人工物のない寂しい海岸だ。 その後は畑や人家のない荒涼としたところを進む。 白糠を過ぎ、海沿いをまっすぐ走ると久々に人家の密集したところに出た。 やがて、釧路に到着する。

釧路13:09発〜根室15:25着 5635D キハ54(1)

 釧路でも5分の接続で根室行き普通列車に乗り換える。 いよいよ日本の最東端まで行くんだ、という実感が湧いてくる。 車両はJR北海道の道北・道東地区で見られるキハ54だ。車内は特急から捻出したクロスシートを装備している。 ただしシートは集団離反式といって、前向きか後ろ向きに固定されて設置されているため、 急いで乗らないと前向きの席を確保できない。 特急から慌てて乗り換えたので、無事前向きの席を確保できた。
 釧路を発車し、次の東釧路で釧網本線と分岐すると、早くも列車は原生林に分け入るように走る。 さすがは北海道、と感心した。原生林はその後延々と続く。ようやく人里に出たところで尾幌、門静と続き、 このあたりの拠点駅である厚岸に着く。厚岸といえば牡蠣で有名で、名物の牡蠣駅弁があると聞いていたが、 停車時間が短く購入することはできなかった。もっとも、閑散期だけに駅で降りる人も少なく、 本当に駅弁を売っているかどうかは疑問だったが。
 厚岸を出ると、真っ白な雪原の中を進む。白い雪原は最初は美しいのだが、 雪の下にあるのが原野なのか何なのか区別がつかず、どうしても車窓も単調になりがちだ。 そんな雪原を進み浜中、厚床といった駅に停車する。 厚床はかつて標津線という路線との分岐駅だったが、今ではそんな姿が想像できないほど静まり返っている。
 厚床の次は初田牛。実はこの初田牛には、以前自動車で北海道を旅行したときに立ち寄った。 初田牛の駅は2車線の道道沿いにあるのだが、駅は原生林に囲まれていてあたりには道路以外何もなく、道路を走る車も全くない。 何でこんなところに駅があるのだろう、と当時は疑問に思ったものだが、その後「秘境駅」がちょっとしたブームとなり、 初田牛もそのラインナップに載るようになった。
 初田牛からしばらく原生林の間を走ると、いよいよ太平洋岸に出る。 ここからが根室本線のハイライトともいえる区間で、まずは前方に落石岬の断崖が見える。
 しばらくすると線路は海から離れ、再び林の中に入る。すると、列車が汽笛を鳴らして急ブレーキをかけた。 外を見ると、エゾシカが線路沿いを走っている。エゾシカの出没はその後何度となくあった。 例えは悪いが、まるでサファリパークにでもいるかのようで面白い。
 しばらく丘陵のようなところを走り、いよいよ根室の市街に差し掛かる。ここまでずっと東へと走ってきたのだが、 根室本線は根室市街で「し」の字を横に倒したような軌道を描いており、終点の一つ手前の東根室駅の方が根室駅より東にある。 それを主張するかのように、東根室には「日本最東端の駅」という大きな看板が立っていた。
 東根室を出ると、まもなく終点の根室に着く。滝川からほとんど休みなく列車に乗り続けること7時間あまり、 ようやく長い長い根室本線の終点にたどり着いた。


初田牛を出てしばらくすると、海の向こうに落石岬が見える。


線路沿いにエゾシカが2匹。線路に立ち入り、急ブレーキが掛かることも。


日本最東端の駅、東根室。板張りのホームが一本あるだけで、駅舎もない寂しい駅である。

根室15:50発〜釧路18:05着 5640D キハ54(1)

 根室にやってくるのは例の自動車旅行のとき以来二度目だ。駅前に蟹を売る店が広がる光景も代わらない。 せっかく東の果てまで来たので、線路の終端を観察するなどして過ごす。
 乗ってきた列車は25分の滞留で釧路へと折り返す。 この列車に乗らないとその日のうちに札幌に戻れないので、 せっかく根室まで来たのにほとんど何もしないまま去ることとなった。 折り返しの列車でも、エゾシカが線路に入ってきて急ブレーキが掛かった。乗客は観光客が多く、 線路際のエゾシカをはしゃぎながら撮影するマニア風のおっさんもいる。
 釧路には18時過ぎに到着。もう日が暮れかかっていた。


さいはての根室駅はそれほど大きくなく、駅前には蟹を売る店が広がる。


線路の終端には、このような看板が立っている。札幌まででも500km近くの距離がある。


稚内、根室と日本の北端、東端の両方を走るキハ54。


根室本線を走るキハ54には「花咲線」のロゴが入る。

釧路18:42発〜札幌22:32着 4012D スーパーおおぞら12号

 釧路の駅で夕食を捜し求める。 すると、十勝地方の名物となった豚丼を売る店があったので買い求める。
 しばし休止の後、本日の最終ランナーとなる札幌行きスーパーおおぞらに乗る。車両は相変わらずキハ283系だが、 編成をチェックするのを忘れてしまった。スーパーおおぞらは所定6両編成だが、 増結が日常茶飯事となっており、所定の編成で走っている姿を見たことがない。 この日もおそらく増結されていたものと思う。
 落ち着いたところで先程の弁当を食べる。 最初は美味しく食べていたのだが、初日の夜にも出た列車酔いで気分が悪くなっていた。 もはや景色も見えないし、疲労も激しいので少し眠る。
 目が覚めると、もう列車は石勝線に入っていた。残った弁当を食べたりしいるうちに、札幌に到着。 駅前のビジネスホテルにチェックインし、早々に眠る。明日は久しぶりに朝寝坊ができる。


釧路から札幌までを駆け抜け、札幌駅に佇むスーパーおおぞら。