名古屋鉄道乗りつくし(その1)

 関西で生まれ、関東で過ごす自分にとって、東海地方は毎回通り過ぎるばかりで、じっくりと滞在したことはほとんどない。 鉄道のほうも当然おろそかになっており、JR以外の私鉄、地下鉄に乗車した回数は数えるほどしかない。
 その東海地方で私鉄第3位の路線網を広げているのが名古屋鉄道である。名鉄の路線はどちらかというと沿線にめぼしい観光地が少なく、 地域輸送に徹している印象がある。そのためわざわざ乗りに行くこともなく、大半の路線が未乗であった。
 そこで、休みを利用し名鉄を乗りつぶそうと思った。JRの路線を一通り乗りつくしてしまい、これからは私鉄に 足を向けてみようという思いもあった。名鉄は一日半もあれば全線乗りつぶせるので、帰り道に以前から興味のあった近江鉄道に 足を伸ばすことにした。

目次

2007/10/6

■ 新横浜6:11発〜名古屋7:29着 のぞみ99号

 朝6時、新横浜駅にやってきた。早朝だというのに人が多い。新幹線改札前の自動券売機には列が出来ており、 予約した切符を発行するのに5分ほど待たされた。朝食の駅弁を買い、ホームに上がると程なく列車がやってきた。 今年のダイヤ改正で新設された、品川始発ののぞみ号だ。この列車の登場で、新横浜から名古屋方面への 始発の時間が10分ほど早まった。しかもこの列車には新型のN700系が使われており、所要時間も700系より短くなった。 その結果、名古屋に着くのは何と7時半である。自分の住んでいる関東地方西部某所からだと、 関東の東の方、例えば成田空港には始発で行っても7時半には着かない。
 そんな列車で一路西を目指す。ちなみにN700系は、窓際のパネルの厚みが薄くなったり、喫煙スペースが出来るなどの点 以外は700系と大して変わらない気がした。


朝食は「やさいたっぷり幕の内」。上品な味付けで品数も多く、おいしかった。

■ 名鉄名古屋7:55発〜大江8:05着 名古屋鉄道急行

 名古屋駅は、連休の初日だけあってツアー客などで賑わっていた。 この後の食事などを買い、歩き慣れたJR駅の中央通路を抜け、 名鉄百貨店下の名鉄名古屋駅に向かう。早速窓口で名鉄2DAYフリーきっぷを購入する。3900円。 やや高い気もするが、どの程度元を取れるだろうか。その結果は後で計算してみることにする。
 改札を抜けてホームへ入ると、早朝なのに意外なほど多くの人がいた。ここ名鉄名古屋駅は、名鉄のほとんどの幹線の列車が わずか3面2線のホームに集結する日本一忙しい駅として知られているが、流石だと感じた。
 ホームに立っていると、次々と列車がやってくる。ホームの壁にはLEDの案内板があり、途中の停車駅が表示される。 豊明、鳴海、知立・・・ 見知らぬ駅名が次々に飛び込んできて、やや不安な気持ちになる。 今日の行程を考えるため、必死に名鉄の路線図を頭に叩き込んだ私でさえそう感じるのだから、 始めて名鉄を利用する一般の人はさぞ不安に感じることだろう。
 今日の予定は、まず列車が朝夕しか走らないことで知られる築港線に乗ることにしている。そのためには、 常滑・中部国際空港方面か、河和・内海方面に向かう列車に乗らなければならない。 しばらく呆然と列車を見送っていると、河和行き急行がやってきた。LEDの行き先案内板で大江に停車することを確認し、 恐る恐る乗り込む。やってきた列車は2ドアのクロスシート車で、なかなか快適そうだ。ただ、車内は混んでいたため ドア横の補助席のようなところに座る。急行でもクロスシート車が来るなんて、名鉄はなかなかサービスが良いな、 などと考えていたが、必ずしもそうではないことがこの後分かる。
 名古屋を発車し、すぐにトンネルを抜け、 JR線と併走する。ナゴヤ球場前から改名した山王を過ぎ、金山へ。ここで大幅な下車があるのかと思いきや、 全然空かない。朝の下りでこんなに混んでいるとは、名鉄の旅客流動は謎である。 次の停車駅は神宮前。東京で神宮前というとオシャレなスポットを思い浮かべるが、名古屋の神宮前は熱田神宮の門前町で、 ごく普通の町並みだ。ここで本線と分岐する。 ちなみに、神宮前始発の常滑線列車もあるようで、乗換えをさらに複雑にしている。
 神宮前でも客は降りず、列車は高架線を進む。名鉄に乗っていて感じたが、本数の少ない支線区であっても高架化されている 区間が多く意外だった。クルマ社会の愛知県だけあって道路の渋滞対策にはお金を掛けているのだろうか。 道徳という妙な名前の駅を通過し、大江に着く。


2ドアクロスシートの急行。JRの117系を連想させる車両だ。

■ 大江8:17発〜東名古屋港8:20着 名古屋鉄道

■ 東名古屋港8:22発〜大江8:25着 名古屋鉄道

 大江駅は、伊勢へと続く国道沿いの駅だった。車は多いものの人の気配は薄い。 そんな大江駅の外れから、築港線という支線が出ている。 わずか一駅の短い支線で、主に港湾で働く労働者の輸送を行っているため 朝夕しか列車がない。関東の鶴見線、関西の和田岬線といった路線と似ている。
 陸橋を通って築港線のホームへ行こうとすると、間に中間改札があった。 東名古屋港駅は無人なので、ここで集札をしているようだ。 列車は2両編成と非常に短い。車両はVVVF制御の割と新しいものが使われているが、前面の字幕がないらしく 方向板を使っていた。乗客は非常に少なく、10人もいない。
 大江駅を発車すると、工場街を進む。線路沿いに太い道路があり、 トラックが行きかっている。しばらく走ると、車両のそこからガクンガクンと衝撃があった。 みると、今乗っている線路と他の線路が直角に交差している。 向こうの線路は名古屋港に引かれた貨物線の一つで、最近は使われていないのか 線路が錆びてしまっている。普通鉄道では今や唯一の平面交差だ。
 やがて、列車は東名古屋港に着いた。駅には改札口もなく、ローカル線のように直接外につながっている。 上屋のホームが妙に太いのが印象的だった。駅のホームに下りて写真を撮り、様子を見わたしていると、 すぐに発車時間となる。わずか5人ほどの客(しかも大半が鉄道マニア)を乗せ、大江に戻った。


これは車内から撮った写真である。日本ではここでしか見られない光景。

■ 大江8:36発〜内海9:30着 名古屋鉄道急行

 大江駅に戻り、内海行きの列車を待つ。目の前を全車指定席の特急が通過していった。 これに乗れれば内海に早く着けるのだが、どうしようもない。次に普通列車がやってきて、ホームの高校生たちが 乗車していった。普通しか止まらない駅に学校があるのだろう。
 ようやく内海行き急行がやってきた。 が、先程と違いロングシートの車両だ。内海といえば知多半島南部の観光地であり、クロスシート車を期待していたが 見事に当てが外れた。しかも、車内は満席と来ている。 こんなところで立ち席を余儀なくされるとは思っていも見なかった。 仕方ないので、立って車外を眺める。基本的に住宅地だが、田畑も時折見える。
 最初の停車駅の大田川で、ドア横の折りたたみ式の補助席がかろうじて席が空いたので座る。 クロスシート車ではこういう補助椅子がたまにあるが、ロングシート車で採用しているのは名鉄だけだろう。 大田川で常滑線と別れる。名鉄らしく平面交差で大胆に分岐した。大田川を過ぎると、車窓の風景も大分ひなびてきた。 これから知多半島を横切るので、車内放送を聞いていると、この先の知多半田で 何かお祭りがあるらしい。そのせいで列車が混んでいるのだろうか。 とりあえず目の前に座っている家族連れは祭りを見に行くようであった。
 列車は知多の市街地に入るとほとんど各駅に停車する。知多半田駅に着くと、京都の祇園祭で見られるような 立派な鉾がいくつも立っているのが見えた。 これは確かにかなりの規模の祭りだ。降りる人も多く、車内に大分空席が目立ってきた。 「上ゲ」という変わった名前の駅を通過し、以前武豊線の乗りつぶしの際にやってきた知多武豊駅を過ぎると、富貴駅に着く。
 富貴駅を過ぎると、本線から右側に分岐する単線へと入る。これが知多新線で、新線と言うだけあって 線路の規格も良く、大胆な切通しやトンネルが増える。また、路盤も複線分が確保されている。 家も何もない山中をしばらく走ると、信号所で一旦停車する。周囲は平野が開け池と高速道路が見える。 行き違いをして発車し、上野間に着く。駅前の小集落の向こうに海が見える。なかなか良い風景だ。
 次の美浜緑苑駅は、駅前に車道もなく秘境っぽい感じ。 その次の知多奥田では、家族連れなど多くの客が下車した。 近くに観光施設でもあるのだろうか。ここまでくると車内はガラガラとなる。 さらに10分ほど走り、ようやく終点の内海に到着した。 待ち時間の間に駅前に出てみると、バス停がいくつかある以外は雑木林が広がっている。 もうちょっと観光地っぽい場所を想像していたのだが、随分殺風景だ。


ようやく末端部で客が減ったので、名古屋駅で買った「幕の内名古屋めし」。 味噌カツ、手羽先、天むすに、ういろうまで入っている。

■ 内海9:36発〜富貴9:53着 名古屋鉄道急行

■ 富貴9:57発〜河和10:06着 名古屋鉄道

 今乗ってきた車両で富貴まで折り返す。富貴駅は、ホームの駅舎も古びていて、いい味を出している。 新しい自動改札機を除けば、構内の光景は30年前から変わっていないのではないだろうか。 そんな駅に、レトロなパノラマカーが停車しているので、思わず撮影する。
 次は河和線の終点・河和へ向かう。やってきたのは2連の普通列車だが、一部の席がクロスシートとなっており、 久しぶりに前を向いて座ることができた。この後、この車両には何度も出くわした。
 列車は、知多半島の末端に近い部分を走る。河和口駅の付近では、海が見える。先程知多新線で見たのとは反対側の海だ。 河和口から単線となり、やがて列車は終点の河和に着いた。 頭端式のターミナルで、駅前には名鉄ストアやバスターミナルがある。 また、少し先にはフェリー乗り場もあるようで、港町であることが分かる。


富貴駅ではパノラマカーに遭遇。構内踏切より正面を撮影。

■ 河和10:19発〜知多半田10:35着 名古屋鉄道急行

 駅の構内に戻ると、次に乗る急行電車がパノラマカーであることに気づいた。 あわてて先頭車まで行くと、まだ誰もいなかったので先頭座席に座ってみた。 すぐ目の前が窓ガラスというわけではなく、奥行き1m程の机のような台を挟んで窓がある感じだ。 それでも、走行時の迫力は十分にありそうだ。発車まで時間があったので、パノラマカーの クラシカルな外観をじっくり観察した。
 やがて発車時間となり、今来た線路を引き返す。 だが、通常の車両で行くのとパノラマカーで行くのとではまた車窓の見え方も違うように感じられた。 富貴、知多武豊と停車して乗客を拾っていく。パノラマシートは子供だけでなく大人からも注目の的のようで、 続々と客がやってくる。
 10時35分、知多半田に着く。まだ乗り足りない気もするが、ここでパノラマカーから 下車した。何故知多半田という途中駅で下車したかというと、この知多半田の近くから三河湾を抜ける海底トンネルが 伸びており、それを使えば一気に三河線の碧南へ抜けることができるからだ。 タクシー代はかかるが、行き止まりの盲腸線を いったり来たりするよりよほど効率がよく、列車だけで行き来するより一時間も節約できる。
 そんな訳で、先ほど車内から見たとおり、祭りが行われている知多半田に降り立つ。そんなに人が集まるほどの 祭りなのかと半信半疑で降りてみると、駅前広場には祇園祭の鉾のような豪華絢爛な山車が何十台も集結している。 見学客の数もすごく、これは確かに相当な規模の祭りだと実感した。
 しばし山車を見て、観光客に混じって写真などを撮った後、タクシー乗り場を探す。 が、駅前広場は人で埋め尽くされており、 車両進入禁止になっている。警備の人に聞くと、駅の裏に臨時のタクシー乗り場があるらしい。 少々迷いながら臨時の乗り場にたどり着いたものの、 タクシーはいない。待てど暮らせどやってこない。そのうち、タクシーの乗る客が集まってきた。お年寄りが多い。
 看板にタクシー会社の電話番号が書いてあり、業を煮やして電話してみたが、 車が出払っていて車をよこすことはできないという。 もはや他に手段がなく、万策尽きてしまった。仕方なく、ただひたすら待つ。駅について30分以上経っただろうか、 ようやくタクシーがやってきた。お年寄りが待っている中やや申し訳ない気持ちでタクシーに乗り込んだ。
 タクシーで、祭りの行われている町並みを抜ける。武豊線の線路を渡ると、埋立地のようなところに出る。 埋立地は臨時の駐車場になっているらしく、大型バスが何十台も停車している。各地から観光客が集結しているようだ。 どうやら、当初の予想をはるかに上回る規模の祭りのようだ。 埋立地をしばらく走ると、衣浦臨海鉄道の高架下をくぐって臨海地区をしばらく進むと、海底トンネルが現れる。 このトンネルで衣浦湾を超え、衣浦臨海鉄道の高架下をくぐると、昔ながらの港町らしい風情の 細い路地を抜け、碧南の駅前に着いた。結局、当初予定の列車には乗れず、15分遅れの列車に乗ることになった。


古豪パノラマカーに初乗車。前面展望を満喫した。


豪華絢爛な山車が何台も並ぶ。が、この祭のためスケジュールが狂う羽目に。

■ 碧南11:27発〜知立11:59着 名古屋鉄道

 昔ながらの駅舎が残る碧南駅は、構内に留置線が何本かあり、列車が数本休んでいた。知立方面からやってきた列車に乗る。 ロングシートの4両編成だ。
 碧南の次の碧南中央は、近代的なスーパーもあり、こちらの方が町の中心のように感じた。 列車は変凡な街中を淡々と進む。単線なので、途中駅で時折交換を行う。 行き交う列車は、2ドアクロスシートの車両が多い。こちらはロングシートなので、なんだか貧乏くじを引いた気分だ。 向こうが2連なのに対し、こちらは4連と長いのが救いだ。
 やがて列車は刈谷に着く。JR東海道線の乗換駅だ。 JRの側は幾度となく通過しているが、名鉄で刈谷に来るのは初めてだ。 というより、刈谷に名鉄が乗り入れていること自体知らなかった。 刈谷では一気に乗客が下車する。知立経由でも名古屋には行けるが、JR経由で名古屋方面に向かう客が多いのだろう。
 刈谷を出て、JRの線路をまたぎしばらく走る。右から本線と豊田方面からの三河線が合流して、知立に着く。


支線区では、写真のような標識板を付けた古い車両も健在。

■ 知立12:08発〜東岡崎12:17着 名古屋鉄道快速特急

 知立駅はいくつもの路線が交わる要衝だが、駅は地上駅のままで昔ながらの風情をよく残している。 駅の構内に地蔵があるのも面白い。
 知立からは本線・豊川線経由で豊川稲荷に向かう。とりあえず、直近の快速特急に乗ってみる。 本線特急は基本的にクロスシート車が用いられているようで、やってきたのは白い「パノラマスーパー」だった。 自由席の転換クロスシートに座り、しばし特急の快走を味わう。愛知環状鉄道と交差し、 岡崎城のある岡崎公園の脇を過ぎると、やがて列車は東岡崎に停車。快速特急は豊川線の乗換駅である 国府を通過するので、東岡崎で下車する。

■ 東岡崎12:22発〜国府12:38着 名古屋鉄道快速急行

 東岡崎で、後続の快速急行に乗り換える。 やってきた列車は前よりがステンレスの新型車、後ろが従来型のロングシートだったので、 前2両に乗る。ロングシートではあったが、まだ製造されたばかりのようで、ピカピカであった。
 東岡崎を出て、男川という川沿いに進む。 途中駅には真新しいマンションが駅近くにあるが、東岡崎から先は普通列車の本数が少なく、 昼間は30分に一本しか来ない。利用するのはなかなか大変だ。しばらく走ると、人家はぐっと少なくなる。 名鉄は東海道と併走して走る。藤川や本宿といったかつての宿場町を走るが、かつての反映は見る影もなく寂れている。
 しばらく走り、国道だけでなく東名高速も併走してきた。狭い谷地を三者が寄り添うように走る。 やがて町が開けてきた。程なくして国府に到着する。

■ 国府12:42発〜豊川稲荷12:54着 名古屋鉄道

 国府で、豊川稲荷行きに乗り換える。今度は2両編成の固定クロスシートの車両だ。 先ほど河和線で乗ったのと同じである。 国府を出て最初の駅は八幡。あまり乗降客の多そうな駅ではないが、高架化されている。八幡を過ぎると地上に降りる。 線路は単線で、太い道路が両サイドを走っておりまるで路面電車のような感覚だ。この路線はもともと路面電車であったそうで、 その名残だろう。
 途中、家並みの向こうに日本車両の工場が見える。名鉄や小田急の車両を作っている車両メーカーで、 ここ豊川に工場がある。国府から12分で、豊川稲荷に到着。昼下がりとあって駅構内には客の姿はあまりなく、静かである。

■ 豊川13:02発〜豊橋13:16着 名古屋鉄道

 豊川稲荷駅の目の前に、JR飯田線の豊川駅がある。切符を買いホームへ行くと、既に豊橋行きの列車が停車している。 豊橋−豊川間の区間運行列車で、2両編成なのでがらがらである。豊川を出て、名鉄本線と合流し豊橋へ向かう。 豊川付近では名鉄線と飯田線が線路を共有しており、名鉄の赤い列車とすれ違う。

■ 豊橋13:25発〜蒲郡13:35着 名古屋鉄道

 豊橋に到着し、昼食の駅弁を買い込んで東海道線の新快速列車に乗り込む。10分走り、次の停車駅蒲郡で下車。


買ったのは「手筒花火」。ご飯が花火を模した巻き寿司になっている。

■ 蒲郡13:40発〜西尾14:22着 名古屋鉄道

 蒲郡駅はJR、名鉄ともに真新しい高架駅である。名鉄の改札口にいくと、自動改札機がない。 これから乗る蒲郡線は、運行間隔が30分と名鉄屈指の閑散線区である。 近年、名鉄はSFカード導入に伴い自動改札化を推し進めているそうだが、 この蒲郡線はまだその波が訪れていないようだ。
 ホームに上がると、2両編成のロングシート車がいた。これまでの車両と違い、 ワンマン運転用に運賃箱が先頭に取り付けられている。蒲郡を発車すると、しばらく東海道線に沿って高架線を走る。 最初の停車駅は蒲郡競艇場。その名のとおり競艇輸送のための駅だが、今日は競艇はないようだ。 すぐ脇にJRの三河塩津駅がある。JRと別れ、しばらくは宅地を進む。 支線区らしく、本線に比べて速度も遅くのんびりとした乗り心地だ。
 途中、西浦という駅で行き違いをする。ここで地元の人が一気に降り、車内はやや閑散としてきた。西浦を出ると 海が見えてきた。同時に山も迫ってきて、なかなか旅情がある。次の駅はこどもの国。神奈川県の同名駅を思い出すが、 こちらは駅付近に観光施設は見当たらない。駅には山が迫り、乗り降りする人もいない。東幡豆、西幡豆付近で再び海が見えた。 街も漁港のような雰囲気で、のんびりとした時間が流れる。
 やがて列車は吉良吉田に着く。駅の手前で右へとポイントで渡り、 右にカーブして停車した。線路をまっすぐ進むと、どうやら廃止になった三河線に進むようだ。まだ三河線のホームが残っていた。 吉良吉田を出ると、線路の規格が上がったのか急に速度が増した。田んぼの広がる平地をどんどん進み、高架の西尾に着く。


蒲郡線はワンマン運転で、運賃箱の付いた専用車で運行される。

■ 西尾14:29発〜知立14:51着 名古屋鉄道快速急行

 西尾は茶どころとして知られているそうで、駅前にもそれを示す看板が立っている。西尾からは本線直通の急行に乗る。 車両は今日3度目となる固定クロス車である。
 西尾を発車し、単線の線路を行く。急行を名乗っているものの停車駅は多く、 通過する駅のほうが少ないぐらいだ。途中の駅には改札機はない。何だか近代化の波から取り残されているようで不憫である。 やがて列車は東海道新幹線をくぐり、JRの線路をまたぐ。この線はJRとの接続はないようだ。まもなく右手に本線の線路が現れ、 新安城駅の名古屋方面行き副本線に停まる。
 本線に入り、しばらく走ると知立に着く。およそ3時間ぶりに戻ってきた。

■ 知立15:05発〜猿投15:39着 名古屋鉄道

■ 猿投15:45発〜梅坪15:52着 名古屋鉄道

 知立では接続が悪く、15分も待ってようやく発車する。これから、三河線の残り部分、通称三河山線に乗る。 車両はまたしてもロングシートである。
 知立を出て、本線の線路をまたぐと、すぐに三河知立駅に着いた。 知立からあまりにも近すぎるせいか、乗降客は少ない。草生した側線がわびしい。この駅を出ると、右に廃線跡が分かれている。 どうやら少し先で本線と合流しているようだ。一体何のための線路だったのだろうか。次の三河八橋付近は高架化の予定があるのか、 仮の線路の敷設が進んでいた。このあたりは自動車道が何本も通っている。自動車王国の豊田が近いためか、などと考える。
 その先の土橋は駅の構内が広く、列車が留置されている。このあたりは見所が少なく、早く豊田に着かないかな、と思う。 愛知環状鉄道と交差し、ようやく豊田市につく。駅前には立派なデパートもあり、町の繁栄ぶりが伝わってくる。 次の梅坪で豊田線と分岐し、さらにしばらく進む。近くに山が迫ってきたところで終点・猿投に着く。 三河線の車庫の機能があるようで、構内に列車が何本も留置されていた。

■ 梅坪15:54発〜伏見16:41着 名古屋鉄道・名古屋市営地下鉄

■ 伏見〜栄町 名古屋市営地下鉄

 猿投から梅坪まで戻り、豊田線に乗る。車両は名鉄の赤い車両ながら、ドア数が4つと多い地下鉄乗り入れ専用車両である。 豊田線は割と最近になってできた路線で、近年になって人口の増加した豊田と名古屋市内を 短絡する路線として建設された。名古屋市内は地下鉄鶴舞線の路線となっている。
 新規路線らしく、山を切り開いて進む。そのため掘割やトンネルが多く、景色はあまり見えない。 土曜日の夕方の上りとあって最初は空いていたが、途中の浄水で若者がぞろぞろと乗ってきた。みなパンクロック風というか、 妙な格好をしている。この辺で何かイベントでもあったのだろうか。
 列車はその後も山の中を進む。 途中には貯水池も見えた。そんな光景に混じって新しい住宅地や工場も見える。神戸市営地下鉄の末端部に似た風景だ。 やがて、地下鉄鶴舞線の車庫が見えてきた。車庫を見やりながら列車は右に大きくカーブし、地下へと滑り込んでいく。 地下鉄との境界駅である赤池に着いた。
 地下鉄線に入ると客も増え、立つ人も目立ってきた。この鶴舞線、 地下鉄にしては運転間隔が7分半と長い。そのせいで混んでいるのではないだろうか。 八事や鶴舞といった乗換駅で客を大きく入れ替えながら、伏見に到着。
 伏見からは東山線で栄へ向かう。

■ 栄町16:55発〜尾張瀬戸17:26着 名古屋鉄道急行

■ 尾張瀬戸17:39発〜栄町18:08着 名古屋鉄道急行

■ 栄町〜名古屋 名古屋市営地下鉄

 栄は、名古屋随一の繁華街であるが、この駅に名鉄はわずか一路線しか乗り入れていない。それが瀬戸線で、 他の名鉄路線から孤立した「離島」路線となっている。人でごった返す栄の地下街を急ぎ足で歩き、名鉄の乗り場を目指す。 地下鉄の乗り場とはやや離れていてあせったが、3分ほどでたどり着いた。
 乗り場へ向かうと、既に急行電車が客を乗せて待っていた。 栄町を発車し、最初の停車駅は東大手。薄暗い地下駅だった。その後、カーブしながら地上に出て、高架線を走る。 途中の駅では多くの学生が電車を待っている。この線は普通列車は15分おきと少なく、通学は大変そうだ。
 やがて、大曽根に停車。隣には中央本線の線路が見える。駅の位置は若干ずれていて、乗り換えはやや大変そう。 大曽根を出ると、高い高架線で大きくカーブしながら中央本線をまたぐ。遠くに独特の形のナゴヤドームが見える。 高架から地平に降り、矢田を通過。通過すると大きく減速し、カーブを通過する。この路線は規格の低いカーブが残っているようだ。
 線路ぎりぎりまで古い家の密集する線路を進み、小幡に停車。名古屋ガイドウェイバスに小幡緑地という駅があるが、 その近くだろうか。次の駅は喜多山。ここは駅のすぐ近くに古い木造の車庫が併設されている。なお、この車庫はすでに移転し、 近く廃止されるようだ。
 さらに進み、尾張旭駅の手前に真新しい電留線がある。ここが車庫の移転先のようだ。 尾張旭を過ぎると、列車は各駅に停まる。新瀬戸で愛知環状鉄道と3度目の交差をして、まもなく終点の終わり瀬戸に着く。 時間があるので夕暮れの街に出てみるが、真新しい駅ビルと幹線道路が目の前にあるごく普通の駅だった。 瀬戸の窯元は駅からやや離れているようだった。
 再び急行に乗り、栄町まで戻る。名古屋市内に入ると日がだいぶ暮れてきた。 再び地下鉄に乗り、名古屋駅へ戻る。


夕暮れの尾張瀬戸駅。以前は古めかしい駅舎であったが近年建て替えられた。

■ 名鉄名古屋18:22発〜名鉄岐阜18:48着 名古屋鉄道快速特急

■ 名鉄岐阜18:52発〜名鉄一宮19:01着 名古屋鉄道快速特急

 名古屋駅での乗り換え時間はわずかな上、名鉄の乗り場と遠い位置に降りてしまい、大慌てで乗り換える。 名鉄の北行ホームに下りると、夕方だけに多くの人が列車を待っていた。すぐに、岐阜行き快速特急がやってきた。 一番新型の車両で、白地に赤い帯が巻かれている。とりあえず、一般車に乗り込んで立つ。中は1列+2列のクロスシートだ。
 名古屋を出て、地上に出る。やがて、犬山線と分岐するデルタ線が現れる。デルタ線のうち、犬山方〜岐阜方の線路は あまり使われていないようで、車庫として用いられているようだ。また、デルタ線のど真ん中に古い民家があるのが面白かった。 電車の音がさぞかしうるさいに違いない。
 暗闇の中を時々カーブで減速しながら走り、国府宮に着く。 ここでかなり客が降り、クロスシートに座れた。さらに闇の中を走り、高架の一宮駅に着く。この後一宮から尾西線に乗る予定だが、 明日は犬山経由で岐阜、岐阜から岐阜羽島に行き、そこから新幹線で米原へ抜けてしまうため、一宮から笠松までの区間に乗る機会がない。 そのため、一旦この列車で岐阜まで行くことにする。
 闇夜の中を東海道線と併走しながら北上する。途中、無人の小駅を次々通過する。 やがて登りに差し掛かり、木曽川の堤を越えて木曽川橋梁を通過する。その手前に、木曽川堤という小さな駅がある。 やがて、岐阜駅に差し掛かり大きく減速する。名鉄岐阜駅の手前でJRの高架をくぐるのだが、そこが部分的に単線になっていて、 ダイヤ上のネックになっているそうだ。18時48分、岐阜着。
 到着した列車はわずか4分で名古屋方面へと折り返す。 乗ってきた客を吐き出し、岐阜駅からの客を乗せるともう発車時刻となる。 特別席の清掃や座席の転換などはどうしているのだろうかと思う。一宮あたりから清掃員が乗り込んでいるのだろうか。

■ 名鉄一宮19:09発〜玉ノ井19:17着 名古屋鉄道

■ 玉ノ井19:20発〜名鉄一宮19:29着 名古屋鉄道

 一宮に戻り、今度は尾西線の玉ノ井行に乗る。尾西線は弥富から玉ノ井を結ぶ線だが、全線を通しで走る列車はなく、 津島と一宮で運行系統が分断されている。
 尾西線のホームに行くと、一つのホームに2本の列車が並んで停車している。 北側が玉ノ井行き、南側が津島行きだ。日常的に一つのホームを2列車が共有する使い方をしているのは珍しい。 一宮を出て、しばらく高架線を走る。 今乗っている区間は通常30分に一本しか列車のない閑散区間ながら、2連のクロスシート車はそこそこ 乗客で埋まっている。高架から地上に降りても回りは住宅街で、駅ごとに乗客が降りていく。 車窓にやや田んぼが増えてきたところで、終点の玉ノ井に到着。 一面一線の駅があるばかりで周囲に商店もない無味乾燥な駅だ。 駅の建物も最近のもののようで素っ気無い。
 わずか3分の滞留で一宮へ引き返す。

■ 名鉄一宮19:40発〜津島20:12着 名古屋鉄道

 一宮で今度は津島行に乗る。4連のロングシートで、一番先頭の車両に乗ったががらがらであった。 列車は単線の線路を、時折駅で列車交換しながら進んでいく。 もはや車窓は何も見えないが、一宮から離れるにつけ田畑が増えるのが分かる。 もっとも、地形の起伏もなく取り立てて見るものはなさそうだ。 実はプランを組む際、この尾西線はもっとも見所が少ないであろうと予想し、 夜間の乗車に回したのだった。
 途中の森上で、交換のためしばらく停車する。2面3線で、JRのローカル線の駅のような趣がある。 もっともこの尾西線にも改良の手が伸びているようで、バリアフリーなどの工事が各駅で行われていた。
 森上を過ぎると、いよいよ乗客が減り、先頭車は自分だけとなった。そもそもこの線に4連は過剰な気もする。 行き交う列車を見ていると、2連のクロスシート車が充当されていることが多い。できればクロス車に乗りたいのだが、 今日はどうも車両の引きが悪い。
 一人きりの車両で何をするでもなくぼんやりと過ごし、ようやく津島に着いた。

■ 津島20:29発〜弥富20:39着 名古屋鉄道

 津島では17分も待ち時間がある。高架のホームを出て駅前に出てみるが、めぼしいものもなく、仕方ないので高架下の ゲームショップを覗いて時間を過ごす。
 ホームに戻り、弥富行に乗る。車両はまたしてもロングシートだ。 津島の2つ先に佐屋という駅がある。 一部のパノラマカーの折り返し駅となっており、そこそこ大きな駅なのかと思っていたが、 見てみると特に変哲のない駅だった。 津島駅に2線しかホームがなく、折り返す余裕がないため、佐屋まで事実上回送しているというのが 実態なのだろう。
 佐屋を出ると、線路は高架となる。車窓には一面の田んぼが広がる。高架の途中、真っ暗なホームが目の前を過ぎていった。 これは近年廃止された弥富口という駅の跡らしい。名鉄は、自動改札機の設置などとともに合理化を進めており、 利用客の少ない駅の廃止がかなり行われている。地上の駅だとホーム等を撤去してしまうためぱっと見では気づきにくいが、 この弥富口は高架のためホームがしっかり残っていた。
 やがて、右手に関西本線の線路が見えると、弥富に着く。 弥富駅のホームは関西本線に間借りする形であり、改札も共通であった。 暇なので駅前に出てみると、列車の通過する音が前方から聞こえた。 近鉄の線路が近くにあるようだ。駅前には一軒の店もなく、 仕方なく引き返し、「地上で日本一(標高が)低い駅」の看板を撮影するなどして時間をつぶす。

■ 弥富20:52発〜須ヶ口21:20着 名古屋鉄道

 弥富から、今来た道を引き返す。列車は津島からは津島線に入り、本線の須ヶ口へ向かう。 須ヶ口までくると、この駅から準急になるとの車内放送が入る。が、本線からの急行を待避するため、結局は そちらに乗り換えたほうが早いらしい。という訳で乗り換える。

■ 須ヶ口21:21発〜名鉄名古屋21:29着 名古屋鉄道急行

 須ヶ口からは名古屋まで8分である。途中の栄生(他地方の人間からみるとかなりの難読駅だが、「さこう」と読む)で 飲み会帰りのグループを乗せ、名古屋に着く。この日は名古屋駅近くのビジネスホテルに投宿。