関東近郊私鉄乗りあるき(その2)―京王、西武、京成、新京成、東武野田線

 2007年は関東の私鉄の乗りつぶしに凝っていて、 東急、小田急、相鉄の未乗線区を乗りつぶした他、江ノ電と湘南モノレールにも乗った。
 そして9/9には割と近場にある京王・西武各線の乗りつぶしに出かけた。 両鉄道にはこれまで何度も乗車しており、本線格の路線はいずれも乗車済みだが、 末端部の支線は案外乗っておらず、大手私鉄乗りつぶしの一環として今回乗車することにした。
 加えて9/23には関東東部に路線を延ばす各私鉄と、東武野田線に乗りに出かけた。 千葉方面というのは普段あまり訪れる機会はなく、 例えば京成線は東京方面から成田・成田空港まで数回乗車したぐらいであった。 大手私鉄乗りつぶしの第2弾として、今回は京成線全線と東武野田線の乗りつぶしに出かけることにした。

目次

2007/9/9

八王子〜高尾〜高尾山口

 京王電鉄線で未乗車なのは、いずれも支線の高尾線、動物園線、競馬場線である。 このうち、まずは高尾線に乗る。
 八王子駅から、消滅を間近に控えた201系に乗り高尾に向かう。 JR高尾駅の脇にある高架ホームが、京王高尾線の乗り場である。 やってきた電車に乗り、終点の高尾山口に向かう。 通勤型電車が似合わないような谷地を進み、終点の高尾山口に着く。
 駅前を少し歩くと、高尾山に登るケーブルカー乗り場がある。 せっかくなのでこれに乗車し、山上へ向かった。 ハイカーで賑わう山上でしばし景色を眺めた後、今度はロープウェーで地上に降りる。 時間は掛かるが、乗る分にはロープウェーの方が楽しい気がした。


まもなくE233系に置き換えられる中央線201系。

高尾山口〜北野〜高幡不動〜多摩動物公園

 高尾山口に戻り、今度は京王線と合流する北野へと向かう。 高尾を過ぎ、東京郊外の住宅地を進むと程なく北野に着く。 北野からは準特急に乗り換え、高幡不動へ。
 高幡不動からは動物園線に乗る。 動物園線は高幡不動と多摩動物公園の2駅しかない短い線で、 全線が多摩都市モノレールと並行している。とはいえ廃線にはならず、粛々と地元客や観光客を運んでいる。
 がらがらの電車に乗り、住宅の並ぶ丘陵地帯を進む。程なく多摩動物公園に到着する。 駅前には動物園の他に、京王が運営する鉄道グッズショップがあり、 鉄道模型のレイアウトなどもあった。
 駅に戻ると、貴重な本線直通の急行列車が発車を待っていた。 動物園帰りの人はそれほど多くなく、駅構内は閑散としている。


多摩動物公園駅の案内板。「急行」の文字が表示されることは少ない。

多摩動物公園〜東府中〜府中競馬正門前

 多摩動物公園から乗車した急行は高幡不動を過ぎ、東府中に停車する。 これは非常に都合がよい。これから乗る競馬場線は東府中が始発だからだ。
 競馬場線は有名な府中競馬場へのアクセス路線で、 G1レースが行われる日などは大変混雑するというが、この日はレースは無いようで空いている。 それでも馬券の発売は行われているようで、競馬新聞を抱えたおっさんが結構乗っている。 時刻表を見ると、休日は全列車が8連なのに対し平日は全列車が2連のようだ。
 東府中を出た列車は、住宅街をゆっくりと進む。 そして、あっという間に終点の府中競馬正門前に到着。 ホームの幅は異常なまでに広く、混雑時に対応できるようになっている。 これで、京王電鉄の路線は全て乗り終えた。
 府中競馬正門前から、西武多摩川線の是政駅へと歩く。 距離は結構あるので大変だが、電車を乗り継いで行くよりは早い。 府中競馬場の外周をぐるりと回り、20分ほど歩いて是政に着く。


幅の広い府中競馬正門前駅のホーム。

是政〜武蔵境〜国分寺〜東村山〜西武園

 是政は、ごく普通の住宅街にある駅だ。 ここ是政は、西武多摩川線の終点である。 多摩川線は西武の他の路線とは接続していない「孤島」のような路線である。 ただし、車両は西武の他の路線でも見られる3ドアロングシート車両であった。
 是政を発車した列車は、住宅地を進む。 線路は単線のため、途中の白糸台と新小金井で列車交換がある。 白糸台は京王線の武蔵野台駅との乗換駅だが、車窓から見る限り両者の距離はかなりあり、 乗り換えは大変そうだ。
 途中、車窓にはかなり広い公園も見え、なかなか自然が豊富そうだ。 この多摩川沿線線は、東京からの距離の割にまだそれほど開発が進んでいないのかもしれない。 やがて、中央線と合流すると終点の武蔵境に着く。駅は中央線に先んじて高架化されていた。
 中央線で国分寺に行き、今度は西武国分寺線に乗る。 国分寺からは他にも多摩湖線が延びているのだが、そちらは以前西武球場に行くときに利用したので乗車済みである。 それにしても、このあたりの西武の路線網はややこしい。 路線図を見ないと、どの線がどこを通っているのかさっぱり分からない。
 国分寺線は路線のほとんどが単線である。車窓には林や田畑も見え、なんとなく田舎びた感じがする。 小川で拝島線と平面交差し、多摩湖線をまたいで、東村山に到着。ここで西武園線に乗り換える。 西武園線は、西武園駅までの1区間しかない短い線だ。 沿線には林が目立ち、山も迫ってきた。程なく終点の西武園に到着する。


多摩川線を往復する101系電車。

所沢〜本川越〜小平〜拝島

 西武園駅は競輪場の最寄り駅で、西武遊園地にも近いが、 競輪のないこの日は全くといっていいほど人がいない。 駅前のバス停からは所沢に向かうバスが出ており、少し待つとバスが来るというタイミングだったので、 これに乗って所沢に向かった。
 山の中に切り開かれた住宅街をバスは進み、やがて所沢の駅前に着く。 駅に入ると、新宿線の本川越行きが発車しようとしているところだったので、慌てて乗り込んだ。 新宿線は、所沢から先が未乗区間だ。
 所沢を発車し、本川越目指して北上する。 沿線には航空基地や田畑などが目立ち、ようやく首都の重力圏を抜けたという感じがする。 線形の良い線路をひた走り、列車は本川越に到着。 駅前はそこそこ開けているが、JRや東武の川越駅は遠いようだった。
 再び新宿線に乗り、小平まで折り返す。 小平からは西武最後の未乗線区である拝島線に乗る。 拝島線は多くの列車が新宿線に直通しており、乗車した列車も西武新宿からやってきた。
 小平を出て、萩山で多摩湖線と、小川で国分寺線と交差する。この辺の交差は本当にややこしい。 多摩都市モノレールと交わる玉川上水のあたりで日が暮れた。 あとは灯りの少ない住宅地を進み、終点の拝島に到着した。
 拝島に来るのは久しぶりだが、駅が立派な橋上駅舎に改装されており驚いた。 駅名標も、新仕様の真新しいものに取り替えられていた。


新タイプの駅名標となった拝島駅。

2007/9/23

大手町〜東葉勝田台〜成田〜芝山千代田

 まずは、京成線の東成田支線を乗りつぶすべく成田へ向かう。 その際、普通に京成線で行くのもつまらないので、今まで乗ったことのない東葉高速鉄道に乗ってみることにした。 東葉高速線は地下鉄東西線と直通運転を行っているので、まずは東西線の大手町駅に向かった。
 大手町から東西線の快速電車に乗る。東陽町を過ぎると快速運転となり、 高架の線路をかなりのスピードで飛ばす。荒川や江戸川の長い鉄橋を渡り、あっという間に西船橋に着いた。 快速は東葉高速線に直通するので、引き続き乗車する。
 西船橋を出ると、しばらく地下を進む。 トンネルを抜けると飯山満に着く。田畑も目立つが、新しい住宅地も多い。 再び地下線を進んだ後、八千代緑ヶ丘、八千代中央と停車。 いずれも駅前には真新しいショッピングセンターやマンションが建ち並んでいる。 再び地下線に入ると、列車は終点の東葉勝田台に到着した。 ここで京成の特急に乗り換え、成田に到着。
 成田からは、いよいよ東成田線に乗る。東成田はかつての成田空港駅であるが、 空港ターミナルからは離れており、利用するにはやや不便であった。 そのため、ターミナル直結の現・成田空港駅ができるとほとんど利用する人はいなくなり、 列車本数も激減してしまった。しかし、最近になって芝山鉄道として東成田からの延伸線ができ、 その存在意義を少し取り戻した。
 成田でしばらく待ち、数少ない東成田線の列車に乗る。 空港に向かう本線をしばらく走り、成田空港に着く直前で本線と分岐する。 しかし、実際の線路を見てみると「本線の方が分岐する」と言ったほうが正しい。 まっすぐに空港敷地下のトンネルに突き進む東成田線から、脇に単線の本線が分かれていくという形状になっている。
 やがて、列車は東成田に到着。しかし、乗っている列車はそのまま芝山鉄道に直通するので、 そのまま乗車し続ける。東成田を出ても、列車はトンネルを進む。 途中、トンネルの中に急カーブがある。空港反対派の土地を避けるように線路を引いた結果だという。 トンネルを抜け、空港敷地の脇に出る。巨大なジェット機を眺めつつ進み、終点の芝山千代田に到着した。


成田空港近くにある芝山千代田駅。人の気配はほとんどない。

芝山千代田〜東成田〜空港第2ビル〜千葉

 真新しい芝山千代田駅にやってきたものの、駅には人の気配はほとんどない。 駅の外に出てみても、広大な駐車場が広がるばかりで店などは一切ない。 成田線の松尾などに出るバスもあるが、いずれの系統も本数は少ない。 いく場所もないので、ホームから空港内の飛行機を眺めたりして過ごす。
 乗ってきた列車で東成田へと戻り、下車する。 降りてはみたものの、見事に無人である。 2面あるホームの1つは閉鎖され、「成田空港」という旧駅名を掲げたままの看板が残る。 コンコースには、かつて多くの客で賑わったであろう売店の跡が放置されている。 これまで色んな駅を見てきたが、これほど「不気味」な駅というのは初めてな気がする。 単なる秘境駅とはまた違う、ある種独特のオーラがある。 改札口で駅員さんと会ったときに、何だかほっとしたぐらいであった。
 改札を出ると、空港第2ビルへの連絡通路がある。 これまた無人の、不気味な通路を延々と10分近く歩くと、 空港第2ビル駅の改札と、セキュリティチェック場の間に出た。 しばらく空港をぶらぶらした後、JRで千葉に向かう。


ホームからは整備中の機体が見える。

京成千葉〜ちはら台〜千葉中央〜松戸

 巨大なJR千葉駅と比べ、こじんまりとした京成千葉駅に向かう。 これから、京成千葉線と千原線を乗りつぶす。 千原線はかつて千葉急行という独立した私鉄路線だったが、 千葉急行の破綻により京成の一路線に変わった。
 やってきた普通列車に乗り、千原線の終点・ちはら台を目指す。 JR外房線と併走し、千葉中央に着く。この駅を出ると線路は単線となる。 やがて外房線を立派な高架でまたぎ、雑木林の中を進む。 先程の東葉高速に比べると、沿線風景はやや寂しい。 一応全線に渡って複線化用地が確保されているが、これを活用する日は来るのだろうか。
 ちはら台に到着し、真新しい駅舎を観察した後、千葉中央に戻る。 しばらく待つと、クリーム色の車体に茶色い帯を巻いた新京成線の車両がやってきた。 2007年から、京成千葉線と新京成線との相互乗り入れが開始され、 昼間は千葉線の半数の列車が新京成線に直通するようになった。 これに乗って千葉線と新京成線の乗りつぶしをすることにする。
 列車は時折総武線と併走しながら千葉近郊の住宅地を走り、京成津田沼に着く。 ここから新京成線に入るのだが、その線形がものすごい。 JR津田沼駅近くにある新津田沼との間を無理やり結んだせいか、 線路がS字にねじ曲がっている。単線の線路をきしませながら、列車は新津田沼に向かう。
 新津田沼で多くの客を乗せ、列車は一路松戸に向かう。 駅の数は結構多く、かなり頻繁に停車するのだが、列車の加速・減速はなかなかするどく、 遅いという印象はあまり受けなかった。新津田沼からは線路も複線で、行き違いのため待つこともない。 住宅の合間に時折ナシ畑があるという車窓を眺めるうちに、終点の松戸に着いた。


千葉まで乗り入れる新京成線の車両。

松戸〜金町〜京成高砂〜京成船橋

 松戸から常磐線に一駅乗って金町に出る。 ここから、京成最後の未乗線区である金町線に乗る。 京成金町駅は、ホームが1本あるだけのこじんまりした駅であった。 意外に多くの客を乗せ、金町を発車する。
 単線の線路をのろのろ進むと、柴又に到着する。 ここでかなりの数の客が乗ってきた。見てみると熟年の客が多い。 「寅さん」の舞台にもなった帝釈天の最寄り駅とあって、休日は参拝客がかなり多いようだ。
 やがて、列車は京成高砂に到着。 線路がややこしく入り組んだ地平駅で、風情があっていいがダイヤ編成上は非常にネックだろうと思う。 ここで本線の快速に乗り換え、京成船橋へ。京成線内ではあまり見かけない京急車であった。


京成本線では見かける機会の少ない京急車両。京成船橋にて。

船橋〜柏〜春日部

 京成船橋駅から少し歩き、JR船橋駅へ向かう。 ここから、東武野田線が遠く大宮まで延びている。今日は、最後にこの野田線を乗りつぶそうと思う。 ただし、春日部から大宮までは以前乗ったので、今日は春日部まで乗ることにする。
 東武の標準車両である8000系に乗って、船橋を発車する。 初めて野田線に乗った頃は、吊り掛け式の5000系が爆音を響かせながら走っていたものだが、 それは既に過去のものとなった。
 先程の新京成線と似たような車窓を眺めつつ進む。 途中の六実と逆井の間は単線だったが、あとは複線の線路を進み、柏に着く。 柏はスイッチバック構造となっていて、大半の列車はここ柏止まりであるため、乗換えが必要となる。
 柏を出て、運河を過ぎると線路は再び単線となる。 線名の由来となった野田市あたりで日が暮れてきた。 車庫のある七光台を過ぎ、江戸川を渡ると、周囲は一面の水田地帯となった。 この辺は春日部に近いのだが、野田線沿線でも一番ひなびている気がする。
 やがて、列車は春日部に到着。これで千葉の私鉄はだいぶ乗りつぶした。

私鉄乗りつぶし状況

新規乗車キロ数

会社名路線名乗車区間キロ数
小田急電鉄江ノ島線藤沢〜片瀬江ノ島4.5
多摩線小田急多摩センター〜唐木田1.5
東京急行電鉄東急多摩川線多摩川〜蒲田5.6
池上線旗の台〜蒲田7.8
相模鉄道本線大和〜海老名14.1
いずみ野線二俣川〜湘南台11.3
江ノ島電鉄江ノ島電鉄線鎌倉〜藤沢10.0
湘南モノレール江の島線大船〜湘南江の島6.6
京王電鉄高尾線北野〜高尾山口8.6
競馬場線東府中〜府中競馬正門前0.9
動物園線高幡不動〜多摩動物公園2.0
西武鉄道新宿線所沢〜本川越18.6
西武園線東村山〜西武園2.4
国分寺線国分寺〜東村山7.8
拝島線小平〜拝島14.3
多摩川線武蔵境〜是政8.0
東葉高速鉄道東葉高速線西船橋〜東葉勝田台16.2
芝山鉄道芝山鉄道線東成田〜芝山千代田2.2
新京成電鉄新京成線松戸〜京成津田沼26.5
京成電鉄東成田線京成成田〜東成田7.1
千葉線京成津田沼〜千葉中央12.9
千原線千葉中央〜ちはら台10.9
金町線京成高砂〜京成金町2.5
東武鉄道野田線春日部〜船橋47.5
合計249.8