最終更新日:2020/11/3

「まる乗り1DAYフリーきっぷ」で名鉄特急特別車満喫の旅

 名古屋鉄道では「まる乗り1DAYフリーきっぷ」というフリーパスを発売している。 これは長大な名鉄全線が乗り放題となるばかりでなく、昼間帯(10時から16時)の特急の特別車にも乗車できる。 ただし座席指定はされないので、空いている席を見つけて座る必要がある。
 名鉄は過去に全線を乗りつぶしたのでそれなりに乗車しているはずだが、特別車にはあまり乗ったことがなかった。 そこで、今回は特急の走る幹線を中心に乗車するプランを立て、特別車に乗りまくることにした。

目次

2013/9/21

名鉄名古屋10:08発〜名鉄岐阜10:37着 特急

 9時半過ぎに、名鉄名古屋駅のホームにやってきた。 特別車には10時を過ぎないと乗れないので、それまでホームで列車を観察する。 長編成から短編成、特急から各駅停車まで雑多な列車が行き交う様は見ているだけで面白い。その他、 これまで気付かなかったがホームの端の方には新聞を積み下ろしするコンベアのようなものがあった。今も使われているのだろうか。
 10時を過ぎ、最初にやってきた岐阜行き特急に乗車する。新型の特急車両である2200系が来た。 車内に入ると、他の客はほとんどいなかった。名古屋〜岐阜間はJRとほぼ並走しており、線形の悪い名鉄は劣勢に立たされている。 それを象徴するかのような閑散ぶりだった。
 慌ただしく名古屋駅を発車すると、デッキにつながる自動ドアがさっと閉まり、網棚の下に仕込まれたLEDライトが一斉に白く光った。 この演出には感心してしまった。名古屋を発車すると程なく地上に出て、しばらくJRと並走した後、 右へ左へと慌ただしくカーブしながら進む。津島線と分岐する須ヶ口あたりからようやくスピードが出るようになり、 程なく国府宮に到着。結構下車する人は多かった。一宮からは再びJRと並走した後、新木曽川、笠松と停車。 やがて岐阜市内に入り、最後はゆっくりとした速度で岐阜駅に進入する。 2200系は一般席も転換クロスシートだが、これとは別に後部にロングシートの2両編成も連結しており、 岐阜駅ではこの増結編成を切り離す作業が行われていた。


特急型の新エース・2200系のエンブレム。


終点の名鉄岐阜では増結編成の切り離しが行われていた。

名鉄岐阜10:58発〜新鵜沼11:29着

新鵜沼11:32発〜犬山11:36着

 岐阜から新鵜沼までは日中特別車の運行はなく、今回唯一となる一般型車両での移動となる。 田舎とも都会ともつかないところを各駅停車でゆっくりと進まざるを得ず、気だるい時間が続いた。
 新鵜沼では少し待って中部国際空港に行くミュースカイに乗るつもりだったが、いざ駅に到着すると、 1000系パノラマSuperが停車しており、しかも先頭部分はがら空きであった。せっかくなので、 次の犬山まで先頭の席に乗車してみることにした。 短い時間ではあったが、木曽川に架かる元道路併用橋をばっちり見ることができた。


名鉄岐阜から新鵜沼までは新鋭の3000系に乗車。何となく223系に似ている気がする。


名鉄を代表する車両の一つである「パノラマSuper」。


階段状に座席が配されたパノラマSuperの先頭部。

犬山11:50発〜中部国際空港12:48着

 犬山からは2000系「ミュースカイ」に乗る。この列車は現在名鉄で唯一の全車指定席編成である。 内装は最初に乗った2200系とほぼ共通している。名古屋まではそれほど混まないのかと思っていたが、 途中駅からの乗車が想像以上に多く、何度も席の移動を強いられた。犬山線内から名古屋への需要が多いようだ。
 名古屋で乗客が大幅に入れ替わり、大きな荷物を抱えた空港利用客ばかりとなった。 神宮前からはノンストップとなり、最高速度120km/hで疾走する。新舞子あたりからは海も時折見えるようになってきた。 常滑あたりから高架を進み、やがて空港連絡橋を最高速度で駆け抜ける。 空港到着のアナウンスが入ると、同時に網棚下のLEDが青色に点灯する演出があり驚かされた。 やがて、終点の中部国際空港に到着。やってくるのは2度目だが、売店などを眺めてしばし時間をつぶす。


初の乗車となった看板特急「ミュースカイ」。


空港到着前にはこのように青色のLEDが点灯。

中部国際空港13:17発〜太田川13:36着

太田川13:58発〜富貴14:19着

 再び2200系の特急に乗り、常滑線と河和線の分岐駅である太田川まで戻る。 この駅は京急蒲田のような2層の高架駅となっており、上層のホームはかなり高い位置にある。 少し時間が余ったので駅前に出てみたが、比較的静かな駅で、店舗はスーパーマーケットぐらいしかなかった。
 太田川から、今度は河和線の特急に乗る。新鵜沼から少し乗ったパノラマSuperが来た。 しかし車内は結構混んでいて、パノラマシートは半分ほどの席が埋まっていた。そこで、パノラマでない席に座る。 2000系などに比べると椅子は古めかしく、詰め物もややへたっている。 列車は知多半島の丘陵部を横切り、知多武豊などの途中駅で少しずつ客を降ろしていく。 やがて、知多新線との分岐駅である富貴に到着。これ以上深入りすると戻るのに時間が掛かるので、ここで折り返すことにする。 富貴は古めかしい駅舎が残り、駅前には数軒の店があるばかりの静かな駅だった。


京急羽田のような二層式高架の太田川駅。


中部国際空港で発車を待つ2200系。

富貴14:34発〜金山15:08着

金山15:21発〜豊橋16:07着

豊橋〜新横浜

 富貴から金山まで折り返し、いよいよ最終ランナーとなる豊橋行き特急に乗る。 今度の列車は、今まで乗車できていなかった1700系が来た。1700系は元々3連の全車指定席編成を組んでいたが、 今は2200系のように一般車を組み込んで運用されている。2200系ほどではないがまだ新しく、グレーをベースにしたシックな内装が印象的である。 ただ、車内はこれまでで一番混んでおり、通路側に席を確保するのが精いっぱいであった。
 その混雑も東岡崎ぐらいまで来ると落ち着き、あとは旧東海道に沿って田舎びた所を進んでいく。 豊橋が近づくと飯田線と合流し、あとは東海道線に沿ってのんびり走って、終点の豊橋に到着。 6時間に渡る名鉄特別車の旅を締めくくった。 それにしても、飯田線や東海道線を走るJR車両が幅を利かせる駅構内に、名鉄特急がちょこんと停車する様は何度見ても妙だ。
 豊橋からは「ひかり」で東京に戻った。


最後の最後で数少ない1700系に乗車できた。