最終更新日:2020/10/21

札幌の地下鉄・市電乗りつぶし―家族旅行の合間に完乗チャレンジ

 2012年の夏休みは、3年ぶりに札幌に出かけた。 札幌というと地下鉄や路面電車がほぼ手付かずなのだが、 今回は家族旅行なので、昼間に鉄道に乗りに出かける時間は取れない。 そこで、家族が寝静まった深夜や早朝のわずかな時間を使って、乗りつぶしに出かけることにした。

目次

2012/8/12

すすきの22:25発〜西4丁目23:04着 札幌市交通局

 日曜の夜、札幌駅近くのホテルを出て、酔客が目立つススキノにやってきた。 ここから、札幌に唯一残った市電が出ている。この路線は市内の南東部をぐるっと回って、 ススキノから程近い西4丁目電停に戻ってくるという経路を取る。 これから乗車するのは西4丁目行きの最終電車である。
 10数名の客を乗せて、発車。しばらくはススキノの繁華街が続くが、程なく静かな住宅街へと入った。 本州の住宅街と違って建物同士の間にスペースがあり、余裕のある土地の使い方だな、 という点以外は特に見るべきものはない。
 札幌は道路がきれいな碁盤上になっており、その上を走る路面電車も非常に線形がよく、 なかなかのスピードで走る。ただ、終電ながら乗客の入れ替わりはかなり頻繁にあり、 ほぼ全ての駅で乗降があった。定刻を3分ほど過ぎた23時7分頃、終点の西4丁目に到着。


ド派手な広告を施された車両が、すすきの電停で発車を待つ。

大通23:08発〜麻生23:19着 札幌市交通局

 西4丁目電停は地下鉄の大通駅と程近いが、市電の遅れのせいで乗り換え時間はわずか1分しかなくなった。 そもそも、路面電車には数分程度の遅れは付き物なので、こんなタイトな乗り継ぎを組むこと自体無謀なのだが。 とにかく、地下鉄への乗り場をひたすら走り何とか間に合わせた。
 さて、これから札幌の地下鉄の乗りつぶしをやろうと思う。札幌の地下鉄は3路線からなり、 今日は南北線を乗りつぶそうと思う。南北線は札幌駅、大通、ススキノといった中心街を縦貫する、 大阪でいえば御堂筋線のような重要路線である。しかし日曜の夜、しかもお盆の真っ只中だからか乗客は少なく、 大通であっさりと座れた。
 まずは北行の電車に乗り、麻生を目指す。札幌の地下鉄は車輪にタイヤを使用しており、 鉄輪式とは異なる独自の乗り心地が特徴だ。鉄輪式でみられるポイントや線路の継ぎ目での振動がないものの、 通常走行時の振動や騒音はタイヤ式のほうが大きいと思われる。 冷房がなく、窓を開け放って走っているので余計にそう感じるのかもしれない。
 大通を出て数駅ほど走ると、ホームドアが設置されている駅に出くわした。 どうやら順次全駅にホームドアを整備しているらしい。南北線にはついこの間まで、 ドア配置が異なる旧型車両が残っていてホームドア設置が不可能だったが、 これが淘汰されたのを機にホームドアの設置が開始されたようだ。 一部の駅には青色と緑色の2種類の乗車目標が残っていたが、これは車種の違いを表していたようだ。
 やがて、終点の麻生に到着。時間があるので外に出てみるが、 周囲はただの住宅街であった。


南北線のラインカラーは緑。車体にも緑色があしらわれている。


深夜の浅生駅は人影もまばらだった。

麻生23:26発〜真駒内23:54着 札幌市交通局

真駒内0:00発〜さっぽろ0:18着 札幌市交通局

 麻生から今度は南下し、南の終点の真駒内へと向かう。 今度の電車もやはり空いていて、席がすべて埋まることはなかった。 途中の平岸を過ぎると地下から外に出て、雪よけのシェルターに囲われた高架線を走る。 こちらも周囲は住宅街だが、沿線には高層マンションが目立つ。 総じて土地に余裕のある北海道だが、札幌だけは例外のようだ。
 途中の駅で少しずつ客を吐き出しつつ、終点の真駒内に到着。 駅を出ると、外には大量の客待ちのタクシーが待っていた。 深夜の終着駅では全国どこでも見られる光景である。
 6分の滞留後、0時ちょうどの最終電車で戻る。 札幌の地下鉄は、各末端駅からの終電の時刻が0時、始発の時刻が6時に統一されているのが特徴だ。 がらがらの電車に乗ること18分で、さっぽろに到着。駅周辺に張り巡らされている地下道はほとんど閉鎖されていて、 地上をとぼとぼ歩いてホテルに戻った。


オリンピックの会場にもなった真駒内。今はベッドタウンとなっている。

2012/8/13

さっぽろ6:21発〜福住6:34着 札幌市交通局

福住6:39発〜さっぽろ6:52着 札幌市交通局

 翌朝、今度は東豊線の南部区間を乗りつぶす。 東豊線のさっぽろ駅は南北線やJRの駅から離れていて、複雑な地下道を延々と歩かされた。
 東豊線は一番後発の路線で、編成も4連と短い。しかしホームはかなり長めに確保されていて、 端のほうは柵で囲われている。まるで大阪の千日前線のようである。 なお、東豊線は固有の車庫がなく、東西線内の車庫を利用しているらしい。 また、東豊線と東西線は両方ともパンタグラフで集電しているが、 南北線は第三軌条から集電しているという違いがあるらしい。
 始発から2本目の電車に乗る。早朝とあってまだ乗客は少ない。大通、豊水すすきの以外は目立った乗車もなく、 終点の福住に到着。福住は札幌ドームの最寄り駅だからか、長い地下通路を持つ余裕を持った造りになっていた。 すぐに折り返し、さっぽろに戻る。


水色の帯を巻いた東豊線の車両。幅広で背が低く、どことなく日本離れした車体だ。


札幌ドーム最寄りの福住駅。市内を目指す通勤通学客が集まり始めていた。

小樽市総合博物館

 その後家族と合流し、レンタカーで道央を観光した。 その途中、小樽市の郊外にある小樽市総合博物館に立ち寄った。 ここはかつて小樽交通記念館と呼ばれていて、長らく交通系の博物館として運営されているが、 しばらく休館している期間もあったりして、なかなかタイミングが合わず来られていなかった。
 館内に入ると、北海道初の鉄道である「幌内鉄道」で活躍したSL「しづか号」が展示されている。 ちなみに幌内鉄道の終点はこの博物館のある手宮で、当時は内陸部で採集した石炭の積出港として賑わったそうだ。 また、屋外にも様々な車両が展示されている。北海道は国鉄時代であっても内地とは別仕様の車両がほとんどで、 ここにしかない貴重な車両がそろっている。キハ20系やキハ58系の北海道仕様版はもちろん、 郵便車と荷物車、座席車が一両に詰め込まれたキハユニ25という珍車両もある。 雪や氷でスリップするのを防ぐためか、比較的後年の車両でも床が板張りになっているのも目を引いた。
 車両を眺めているうち、一日に数回ある転車台の実演が行われるとのことで、行ってみる。 これは大宮の鉄道博物館で行われているのと似たイベントで、古いSLを転車台の上まで走らせた後、 車両ごとくるくる回転させるというものだった。


転車台の上を回転するSL。アメリカンスタイルの古めかしい車両だ。


キハ22の車内は床が板張りで、まるで戦前の旧型客車のよう。


全国的にもここ小樽にしかないという貴重な車両、キハユニ25。

2012/8/14

札幌22:28発〜新札幌22:40着

 翌日、今度は東西線の末端である新札幌に向かう。札幌駅から新札幌へはJRの方が早く行けるので、 まずは千歳線の普通列車に乗る。この普通列車は快速「エアポート」に使われる編成の間合い運用で、 普段は指定席の「uシート」が無料開放されていた。座席が軽く埋まる程度の混雑で札幌を出発し、 程なく新札幌に到着した。


札幌駅で見かけた735系。JR北海道では珍しくアルミニウム車体を採用していて、6両しか存在しない希少な車両。

新さっぽろ22:43発〜宮の沢23:18着 札幌市交通局

宮の沢23:24発〜大通23:39着 札幌市交通局

 新札幌は函館や新千歳から札幌に向かう際に何度も通過しており、 その度に駅前の高層ビル群に目を見張っていたのだが、実際に降りるのは初めてだ。 だが、地下鉄との乗り継ぎ時間は3分しかなく、 連絡通路を大急ぎで走って地上2階のJR駅から地下3階の地下鉄駅に向かった。
 乗り継ぎは無事成功し、東西線の乗りつぶしを開始する。東西線は3路線のうちもっとも長い路線で、 端から端まで乗ると35分も掛かる。ずっと地下なのでさすがに退屈だ。 しかし、この東西線は地下でも携帯電話の電波が通るので、暇をつぶすことができた。 また、東西線は南北線に先んじて全駅にホームドアが設置されている。 札幌の地下鉄は車両も総じて新しく綺麗であり、設備はなかなか先進的であるように感じた。
 大通で多くの客を乗せ、立つ客も出た。 ここまで乗車してきた中でも一番の混雑かもしれない。 途中の琴似から先の区間は、東西線でも最後にできた区間で、発寒南と宮の沢の各駅は他の駅に比べて新しかった。 終点の宮の沢で折り返し、大通へ戻る。


東西線はホームドアの整備が完了していて、車体の写真は撮りにくい。


西の終着駅・宮の沢に到着し、東西線の乗りつぶしが完了。

大通23:41発〜栄町23:54着 札幌市交通局

栄町0:00発〜さっぽろ0:11着 札幌市交通局

 大通ではわずか2分で東豊線へと乗り継ぐ。さっぽろ駅の東豊線はとんでもない場所にあったので、 また通路を延々と走らされるかと思ったが、今度はそんなに遠くなかった。
 いよいよ、乗り残した最後の区間である東豊線の北部を乗りつぶす。 さっぽろで帰宅客を乗せ、23時54分に終点の栄町に到着。 これで札幌市交通局の全路線を乗りつぶした。
 終電でさっぽろに戻ると、今度も地下道は全て閉まっていて外に出されてしまった。 人通りのない暗い道をとぼとぼと歩き、ホテルへと戻った。


東豊線の栄町駅で、札幌市交通局の乗りつぶしを達成。


札幌の地下鉄車両は、いずれも車端の通路部分が六角形となっている。

私鉄乗りつぶし状況

新規乗車キロ数

会社名路線名乗車区間キロ数
札幌市交通局南北線麻生〜さっぽろ、中島公園〜真駒内12.4
東西線宮の沢〜新さっぽろ20.1
東豊線栄町〜福住13.6
1条・山鼻・山鼻西線西4丁目〜すすきの8.5
合計54.6